調査レポート

2014年版 消費市場としての魅力が高まるASEAN市場

ASEANはこれまで安価で豊富な労働力を背景に生産拠点として存在感を高めてきましたが、ここ数年は中間層の増加に伴い消費市場としての魅力が高まっています。このたび、インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、シンガポールの6カ国に着目し、市場概況についてまとめました。レポートのサマリーと目次をご案内します。レポート本編は問い合わせフォームよりお申し込み下さい。

マクロ環境

ASEAN(東南アジア諸国連合)は、インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、シンガポールの主要6カ国で5.4億人の人口を有しており、今後も安定的に増加するとみられている。また、経済成長に伴う中間層の増加により、個人消費が大きく増大していくことは明らかであり、コンシューマービジネス業界にとっても、市場機会はより増えていくものと思われる。中でも、インドネシアは規模の大きさ、成長性ともに特筆すべきものがある(図1)。

6カ国の人材についてみたとき、各国の成人識字率の伸長から教育レベルの上昇が推測され、より優秀な人材が確保可能になってきていると考察される。また、賃金は上昇傾向にあり、ASEANを「生産工場」として見た場合には人件費の上昇が想定される一方で、「市場」として見た場合は市場機会の広がりが期待される。実際、日本企業の海外進出はこれまで中国一極集中だったが、最近ではASEANへ進出する企業が増えている。

ここで、ASEANにおける事業環境について、世界銀行が毎年発表している「Doing Business」で確認することにする。これは世界銀行が世界各国でのビジネスのしやすさを10項目の指標に基づきランキングしているものであり、2014年版では189カ国/地域が対象になっている。シンガポールが世界でも最高水準と評価されているほか、マレーシアは6位、タイは18位と相対的に高く評価されている。一方で、ベトナムは99位、フィリピンは108位、インドネシアは120位と評価が厳しく、ASEAN内においても評価は国ごとに大きく分かれている。

加工食品・飲料市場

ASEANの加工食品、飲料市場は、人口増や所得水準の上昇に伴い、高い成長が見込まれている。加工食品の市場規模については、2013~2018年の年間平均成長率(CAGR)が6カ国合計で10%と予測されている。中でもインドネシアがボリューム・成長性ともに顕著であるのと、ベトナムが6カ国中で最も高い成長性を示している(図2)のが特徴的だ。市場シェアについては、ASEANに早期進出したネスレがベトナムを除く4カ国で首位となっている。日本企業では、エースコックがベトナムで、味の素がタイで上位となっている。

また、アルコールドリンクの市場規模も拡大が見込まれているが、宗教や政治の事情等によって国ごとに傾向が異なっている。ボリュームではタイ、成長性ではベトナムが最も高い。注目すべきはインドネシアで、イスラム教徒が国民の大半を占めるためボリュームは小さいものの、ここ数年で観光客の増加が需要を牽引し、高い成長性を示している。一方で、フィリピンは昨年1月に酒・たばこ税制が改正されたことに伴い、成長が鈍化するとみられている(図3)。市場シェアについては、各国とも上位4社で7~9割が占められており、寡占化が顕著である。尚、ハイネケンは2012年にアジアで人気の「タイガービール」醸造会社を買収したことで市場シェアが高まっている。(ソフトドリンク、ホットドリンクについてはレポート本編にて掲載)

日用品市場

ASEANの日用品市場は、所得上昇と美容・衛生意識の高まりを背景に、各国とも高い成長が見込まれている。美容・パーソナルケア用品の市場規模については、2013~2018年の年間平均成長率が6カ国合計で9.1%と予測されている。現状、6カ国中でボリュームが最も大きいタイは、政情不安等に大きな影響を受けることなく安定成長が続くとみられている。またタイに次ぐボリュームを誇るインドネシアが2018年には最大規模になるとみられている。市場シェアについては、各国ともユニリーバ、P&G、ロレアル、コルゲート・パルモリーブといった欧米大手メーカーが上位を占めており、地場メーカーは上位にみられない。(ホームケア用品、ティッシュ・衛生用品については、レポート本編にて掲載)

小売市場

ASEANの小売市場は所得水準の増加に伴い、拡大が見込まれている。グロッサリーリテール*1の市場規模については、2013~2018年の年間平均成長率が6カ国合計で6.9%と予測されている。6カ国中でボリュームが最も大きいインドネシアは、依然としてトラディショナル・トレード*2が大半を占めているが、市場の近代化に伴い更なる拡大が見込まれている(図5)。市場シェアについては、欧米大手リテーラーが一定のポジションを築いているが、そのシェアは国によってばらつきがある。特にインドネシアやベトナムでは、モダン・トレード*3が少ないことからグローバルリテーラーの占めるシェアも小さい。

*1. グロッサリーリテールとは、主に食品・飲料、日用雑貨、タバコを販売する小売業を指す。

*2. トラディショナル・トレードとは小さな個人食料雑貨店などの伝統的小売業態を指す。
*3. モダン・トレードとは、ハイパーマーケット、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどの近代的小売業態を指す。

おわりに

ASEANは2015年末までにASEAN経済共同体(AEC)を創設することを目指している。AEC創設後は域内のヒト・モノ・カネが自由に移動できる一つの大きな経済圏になり、ASEANの魅力は生産拠点、消費市場の両面でさらに高まるとみられている。

ASEANへの進出に際しては、民族・宗教・文化や生活事情、投資環境、インフラ整備状況など、国ごとに異なる特徴を踏まえておく必要がある。その上でASEAN全体の将来を見据えつつ、各国の消費者ニーズに合う製品を投入できるかどうかを検証し、戦略を策定していくことが求められる。ただし、各市場とも先行進出した欧米大手や地場大手による寡占化が進んでいるため、いかに他社との差別化を図るかが重要である。

なお、本文中の意見や見解に関わる部分は私見であることをお断りしておく。

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<レポート本編の目次>

マクロ環境
  ・基本情報
  ・総人口
  ・年齢別人口構成
  ・可処分所得
  ・個人消費
  ・教育レベル
  ・賃金水準
  ・産業構造
  ・ビジネス環境評価

食品・飲料市場
  市場規模/カテゴリ別市場構成/主要プレイヤー
  ・加工食品
  ・ソフトドリンク
  ・ホットドリンク
  ・アルコールドリンク
  ・ビール

日用品市場
  市場規模/カテゴリ別市場規模/主要プレイヤー
  ・美容・パーソナルケア用品
  ・ホームケア用品
  ・ティッシュ・衛生用品

小売市場
  市場規模/カテゴリ別市場規模/主要プレイヤー
   ・小売全体
   ・グロッサリーリテール

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