調査レポート

2024年度「国内Z世代意識・購買行動調査」

世代間のライフスタイルや消費志向の違いを捉える

デロイト トーマツでは、Z世代と他の世代のライフスタイルや消費志向、購買行動の違いを把握することを目的に、2024年4月に国内15歳~79歳の男女を対象にWEBアンケート「国内Z世代意識・購買行動調査」を実施した。本稿ではその調査結果の一部を紹介し、考察する。

本調査では「消費意向・ライフスタイル」「購買行動」「サステナビリティ」に関する調査を実施しており、以下の4つの世代に分類した分析を行った。

【本調査における世代の定義】

Z世代:15~29歳
ミレニアル世代:30~44歳
X世代:45~59歳
ベビーブーマー世代:60~79歳

 

【本調査で示されたZ世代の価値観・行動まとめ】

デジタルネイティブであるZ世代の特徴として、SNSを通じたセルフブランディングを重視し、ミレニアル世代やX世代よりも、サステナビリティへの関心が高い世代であることが示された。商品やサービスの購入時は、SNSやテレビ番組・CMを参考にするが、SNS映えよりも、他世代と同様に価格やコストパフォーマンスが購入の決め手となっている。ただ、一口に「Z世代」と言っても、年代ごとに価値観や消費志向が少しずつ異なることも明らかになった。

 

独自性とウェルビーイングを重視するZ世代の価値観

【生活・消費に関する価値観】

生活に関する価値観については、すべての世代で「これまで以上に節約や貯蓄を重視する」「効率的に生活をしたい」という意向が高いものの、特にZ世代ではその傾向が顕著であることが示された。先行き不透明な将来に備える意識や、タイムパフォーマンス・コストパフォーマンスといった高効率な生活を求める意識が窺える。

また、他人と同じ選択を避け、独自性を重視するZ世代は、承認欲求が高く、評価やセルフブランディングにも力を入れる傾向がある。Z世代の中でも特に若い年代ほどその意識が強い結果となった。一方で、人生を豊かにする出会いやつながりを創出し、ウェルビーイングな生活を重視する傾向も見られる。

消費に関する価値観においては、口コミやSNS情報を重視し、「売れているもの」「話題になっているもの」を意識して購入する姿勢が強い。さらに、サステナビリティに配慮した商品を好み、製造プロセスの透明性が高い商品や、ジェンダーレスな商品に魅力を感じる傾向も見られるほか、購入後のサポートやカスタマイズ可能な商品に対する関心も高い。

個性を重視するZ世代に対し、カスタマイズ可能な商品やサービスを提供することで、彼らの承認欲求を満たすことも考えられる。

 

【消費意向】

「今後、消費額を増やしたいもの」として、すべての世代で約2割が「貯蓄/投資」を挙げており、消費を増やしたいものの上位となった。特にミレニアル世代でその割合が最も高いことが特徴である。一方、Z世代においては、年代間・男女間で違いが見られた。Z世代の中でも、年代が若いほど自らの趣味・嗜好に合ったものへの消費を増やしたい意向が高いが、男女間で差があり、男性は「デジタルコンテンツ」、女性は「推し活」が上位となった。一方、年代が高いほど「貯蓄/投資」のほか食料品などのより日常生活に根付いたものへの消費意欲が高い傾向にある。

 

SNSや口コミ・評価を重視するZ世代の購買行動

【情報収集・購入時の決定要因】

商品・サービス購入・予約時に参考にしている情報源については、商品カテゴリや世代を問わず「テレビ番組・CM」が上位に挙げられており、媒体としてテレビが幅広い世代に影響力を持っていることが示された。

Z世代に焦点を当てると、女性は「SNS」を中心に情報収集を行っている一方で、男性は「テレビ番組・CM」を挙げており、Z世代内でも性別によって参考にしている情報が異なることが明らかになった。さらに、世代が若いほどSNSやインターネットを活用する一方で、世代が上がるほど店頭のディスプレイや折り込みチラシといった、リアル起点の媒体を活用している。

また、「商品・サービスを購入・予約を見合わせる要因」については、食料品・飲料を除く商品カテゴリにおいて、Z世代は他の世代に比べて「口コミ・他人の評価」を重視する傾向にある。

 

【SNSの使い方】

Z世代の約6割が「新しいものを購入する際はSNSで口コミ等を調べてから購入する」「トレンドは主にSNSで把握している」と回答しており、SNSが重要な情報源であることが示された。

デジタルネイティブであるZ世代に対するマーケティング戦略においては、SNSやアプリなどデジタルプラットフォームでの接点を拡大させることがエンゲージメントの強化に繋がるとともに、同世代や興味関心の視点が同じ消費者の評価・意見が、購買に繋がるものと想定される。

サステナビリティに関する世代間の違い

サステナビリティに対する興味関心を世代間で比較すると、ベビーブーマー世代に次いでZ世代が高い傾向にある。Z世代の中では、男性の方が女性よりも興味関心が高いことが特徴である。また、Z世代の中でも年代が若いほど興味関心や商品購入時の選択意識が高く、10代後半から20代前半の男性のサステナビリティ意識が高い傾向が見られる。ただし、Z世代の中でも20代後半になると、ミレニアル世代と近しいサステナビリティ意識や志向を持つようになる。

ベビーブーマー世代はサステナビリティへの興味関心が高く、特に女性の半数以上が興味関心があると回答しており、全ての属性の中で最も高い。一方X世代は、サステナビリティに関する認知度はベビーブーマー世代に次いで高いものの、興味関心は世代間で最も低い。特に男性でその傾向が高く、働き世代として仕事でのサステナビリティへの取り組みや意識はあるものの、実際の行動や選択は積極的ではない。

サステナビリティのテーマでは、SDGs17項目において、Z世代は比較的に「ジェンダー平等」や「産業と技術革新」について興味関心が高い一方で、ベビーブーマー世代は男女ともに「気候変動」について興味関心が高い傾向にあり、サステナビリティへの興味関心が高い2世代の間でも、関心の向き先が異なることが示された。

Z世代やベビーブーマー世代は、商品購入時にもサステナビリティを意識した選択をする傾向にある。ベビーブーマー世代は、特に生活必需品についてサステナビリティを意識した商品選択を行っているが、Z世代は特に10代後半男性が衣料品・化粧品について約半数が意識して購入していると回答した。また、Z世代は他の世代に比べて、「リユース」「フェアトレード」「アニマルウェルフェア」「代替肉」など新しいトレンドにも取り組んでいる。

サステナビリティに対する捉え方は世代によっても異なるため、新しいサステナビリティトレンドにも目を向けていく必要がある。

 

調査概要

調査日:2024年4月下旬

調査方法:インターネットを利用したパネル調査(47都道府県)

※統計局2024年4月発行の人口データを元にウエイトバック値を反映

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