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グローバル消費財メーカーにおけるプライシング戦略

消費財市場での持続的価値 実現の即効薬

発展途上国における中間層の増加、不安定な商品価格、プライベートブランド商品の台頭などにより、消費財業界におけるプライシングの重要性は高まっています。デロイトが発表しているレポート“Pricing: A fast track to creating sustainable value”では、世界の消費財メーカーが直面しているプライシングや収益管理における課題を解説しています。

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プライシング戦略

新興国における中産階級の消費者は毎年7,000万人ものペースで増加しており、グローバル市場ではインフレ圧力から商品価格は急激に高騰している。更に、小売企業によるプライベートブランド商品の普及が進むなど、消費財業界は構造的な変化の真只中にある。このような背景から、消費財業界におけるプライシング(価格設定)は、これまで以上に重要な経営課題となってきている。

デロイトが発表しているレポート“Pricing: A fast track to creating sustainable value”では、プライシングにおける5つの課題について考察しており、本稿ではその概要について紹介する。

1.原材料価格の変動に対して考慮すべきことは何か

一般的に世界のリーディングカンパニーでは、原材料価格の高騰・変動を(1)金融のヘッジ取引(2)プロモーション投資の調(3)定価の調整(4)パッケージサイズの調整の4つの方法で調整している。

2.会社全体でプライシングを如何にハンドリングするか

昨今、クロスファンクションやクロスボーダーでの連携の必要性の高まりから、各種ソフトウェア技術によるパフォーマンスの可視化が進み、適切な値引きやプロモーションなどの実行に活用されている。グローバルに展開する消費財メーカーの中には、Centers of Excellence(COE)を設立し、各ビジネスユニット・地域に対して、強力なリサーチ力と分析力を提供している。

3.グローバルな小売企業と如何に協働するか

元来、消費財メーカーと小売企業との関係においては、小売企業が主導権を握ってきた。例えば、ヨーロッパでは消費者の購買行動に関するデータへのアクセスが小売企業に限定されているケースもあり、消費財メーカーは、マーケットシェアやプライシングに関して、推定のもとで判断せざるを得ない状況に置かれてきた。しかし近年、小売企業も顧客の購買行動の変化を受け、大規模なスーパーマーケットの売上が落ち込み、より消費者からの距離が近い小さい店舗(日本のコンビニなど)やオンラインチャネルのシェアが増えている。その結果、小売企業はこれまで以上に顧客の行動を理解するため、消費財メーカーとの協働の幅を拡げている。

4.プライベートブランドの台頭によりどういう影響が起きているか

世界的な不況の中、世界の主要市場において、プライベートブランドが台頭している。デロイトの調査によると、2008年半ばから2011年1月にかけてアメリカのプライベートブランドのマーケットシェアの増加率は16%を超える(2008年半ば:18% ⇒ 2011年1月:21%)。また、アメリカの買い物客のおよそ85%がプライベートブランドの品質はナショナルブランドの品質と遜色がないと感じており、およそ93%が景気回復後もプライベートブランドによる節約を考えている。現在の長期的な不況は消費者の購買行動を恒久的に変化させてしまったのだ。

5.新興国へ拡大し旧来のチャネルと関わる際、如何に価格を管理するか

ディストリビューターやホールセラーなどの第三者の中間業者を介する旧来のチャネルを活用する際の、価格コントロールはより困難になる。彼らも彼ら自身のシェアを確保するために値引きが必要であり、それは消費財メーカーへの値引き要求へと繋がる。そのため、大手消費財メーカーはバリューチェーンの可視化と消費者の購買行動や各チャネルでの価格設定を把握するために多大な投資を行っている。

本ページに収録している全訳版レポートでは、これまで述べた5つの課題に加え、具体的なプライシングに関するケーススタディもご紹介しているので、そちらも是非ご一読いただきたい。

(1.67MB, PDF)
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