調査レポート

2015年版 タイ市場動向

タイはこれまでにアジア通貨危機、歴史的な大洪水、政治的な混乱などで度々の経済減速に見舞われてきましたが、ASEANではインドネシアに次ぐGDP規模を誇る有望な市場です。本レポートでは、タイのマクロ環境と、加工食品・飲料市場、日用品市場、小売市場の動向についてとり上げています。ここではサマリーをご紹介していますが、本編をご希望の方は、問い合わせフォーム(右矢印からアクセス)よりお申し込み頂けます。

1.マクロ環境

タイは、インドシナ半島の中央及びマレー半島の北部に位置している。面積は51.3万k㎡で日本の1.4倍である。総人口は6,701万人(2013年時点)であり、首都バンコクは820万人超を有する最大の都市である。民族はタイ族が大半を占める他、華僑、マレー族、山岳少数民族などで構成されており、公用語はタイ語である。宗教については仏教徒が国民の9割以上を占めており、少数派(4%)のイスラム教徒は南部4県に集中している。
政治は、1932年の立憲革命以降、立憲君主制が続いている。タクシン政権は2001年に発足したが、2006年にタクシン派と反タクシン派の対立が激化し、軍事クーデターの発生によりタクシン政権は崩壊した。その後しばらく混乱が続いていたが、2011年にタクシン元首相の妹であるインラック氏が首相に就任してからは、政情が比較的安定していた。しかし、反政府集会が依然実施されるなど、タクシン派と反タクシン派の対立は続いており、2014年5月にインラック氏の国家安全保障会議の事務局長人事権に関する職権乱用が違憲との最高裁判所の判決が出てインラック氏は失脚した。インラック氏失脚後、デモ拠点で銃撃戦が起こるなど緊張が高まっていた同5月にプラユット陸軍司令官は全国に戒厳令を発令。軍を中心とする「国家平和秩序維持評議会(NCPO)」が全統治権の掌握を宣言し、暫定軍事政権が発足した。NCPOは、即座に民政復帰に向けた「ロードマップ」を発表。6月には同ロードマップに基づき,7月中に暫定憲法を公布し、 9月に立法会議及び暫定内閣を、10月に改革会議をそれぞれ立ち上げ、暫定憲法から約1年後となる2015年7月を目処として新憲法を公布、新憲法公布の3ヶ月後に議会選挙を実施して、2015年中に民政復帰する政治プロセスが発表されている。現在ではとりあえずの落ち着きは取り戻しているものの、政治的な不安定さは拭えない。
総人口は成長が鈍化し、今後の大幅な増加は見込まれていない。年齢別構成比をみれば、30歳未満の若年層の割合が急速に減少している一方で、高齢層や壮年層の割合が増え続けており2021年には完全な高齢化社会へと突入すると見られている。
経済は、政府による外資導入と輸出振興策により急成長してきた。アジア通貨危機、リーマンショック、11年の歴史的な大洪水、政治的な混乱などで度々経済の減速に見舞われるが、基本的には拡大傾向であり、ASEANではインドネシアに次ぐGDP規模を誇る。
個人消費は、GDPの伸び率以上に急速に伸びてはいるが、消費の内容は食品・飲料、交通費・通信費、家賃・水道・光熱費が80%程度を占めるなど、生活必需品がまだまだ中心の消費形態となっている。
 

2.加工食品・飲料市場

タイの消費者のライフスタイルは急速に都市化しており、消費者はより簡便な食品を求めるようになってきている。こうした背景を基に、加工食品市場(特に乾燥加工品と冷凍加工品)は拡大を続けており、また今後も安定的な成長が見込まれている。
ソフトドリンク市場では炭酸飲料水の市場規模が最も大きいが、年平均成長率(04-14)は3%程度と低い。一方で果汁飲料、紅茶飲料、ボトル入り飲料水は、規模は小さいながらも、消費者の嗜好の多様化を背景に年平均成長率(04-14) 10%以上と大きく拡大している。また都市化、高所得化を受けて嗜好が洗練されてきているタイでは焙煎コーヒーなども人気となっており、コーヒー市場は大きく拡大している。

(アルコールドリンクの市場動向についてはレポート本編にて掲載)

3.日用品市場

タイでの政治的混乱による日用品販売の落ち込みを受けて、各メーカーは価格の切り下げを余儀なくされるなどの対応に追われた。結果として、郊外への拡販を基にこれまで続いていた高成長が、今後はやや減速する見込みである。
ティッシュ・衛生用品市場はこれまで年平均成長率(04-14)10%の成長を遂げてきた。中でも乳幼児用紙オムツ市場が最も大きく成長率も高いが、高齢化を受けた大人用紙オムツ市場も大きく拡大している。市場ではこれら分野に強みを持つユニチャームがシェアを伸ばし続けている。

(美容・パーソナルケア用品、ティッシュ・衛生用品については、レポート本編にて掲載)

4.小売市場

タイの小売市場は現状、パパママショップのようなトラディショナルトレード*1が過半数を占めている。ただしこれらのセグメントはいずれも年平均成長率(03-13)が5%以下と成長率が低く、それに取って代わるがごとく、スーパーやコンビニといった近代的なモダントレード*2が徐々に存在感を増して来ている。13年度時点でグロッサリーリテール市場*3に占めるモダントレードの割合は44%程度に達しており、今後も成長が続く見通しである。モダントレードの中でも特にコンビニは年平均成長率(08-13)が13%と成長が著しく、同セグメントに属するセブンイレブンはここ数年でシェアを1.5倍程度に拡大している。

*1. 零細小売店、小規模な食品・日用雑貨店などの伝統的小売業態を指す。
*2. ハイパーマーケット、スーパーマーケット、コンビニエンスストア(CVS)などの近代的小売業態を指す。
*3. 主に食品・飲料、日用雑貨、タバコを販売する小売業態を指す。

5.おわりに

タイは様々な要因により度々経済が減速に見舞われてきたが、ASEANではインドネシアに次ぐGDP規模を誇る有望な市場である。現プラユット首相はこれまで強固であったサービス業に対する外資規制を緩めることを仄めかしており、今後の政策動向に注目する必要があるだろう。本レポートがタイへのビジネス参入の一介になれば幸いである。
なお、本文中の意見や見解に関わる部分は私見であることをお断りする。

(デロイト トーマツ コンサルティング合同会社)

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<レポート本編の目次>
マクロ環境
● 基本情報
●  政治の動向
●  人口
●  GDP
●  所得水準
●  個人消費
●  投資環境としての評価
●  外資規制
● (参考)インフラ整備状況

食品・飲料市場
 市場規模/主要プレイヤー
●  加工食品
●  ソフトドリンク
●  ホットドリンク
● アルコールドリンク

日用品市場
 市場規模/主要プレイヤー
●  美容・パーソナルケア用品
●  ホームケア用品
●  ティッシュ・衛生用品

小売市場
●  小売市場規模
●  モダングロッサリーリテールの市場規模/主要プレイヤー

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