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調査レポート
世界の小売業ランキング2023
力強い成長とサステナビリティへの注力拡大
インフレ率の急上昇、商品価格の高騰、金融政策の引き締め、サプライチェーンの混乱など、2022年の世界経済は様々な逆風に直面したが、小売企業上位250社は総じて売上高を伸長させた1年でもあった。サステナビリティ(持続可能性)が依然として高い関心を集めている中で、テクノロジーによって実現したイノベーションが数多く見受けられた。
パンデミック後の世界が姿を現しつつあるなか、小売業界においては、顧客を実店舗に回帰させる上でも、没入型買い物体験を創出する上でも、テクノロジーの統合がますます重要になっている。成功を収めているのは、最適な顧客体験を提供するためにテクノロジーと人的要因をうまく組み合わせた企業であり、この小売業の新時代において、顧客ロイヤルティを育み、事業を成功に導くためには、テクノロジーを革新的な方法で利用することが必要不可欠となるだろう。
目次
- 調査レポート全文(PDF)
- 上位10社の過半数がデジタル機能を強化
- 急成長している小売企業
- サステナビリティへの注目は変わらないが、投資対象は変化している
- Global Powers of Retailing 2023(原文)
本レポートでは、2021年度(2022年6月30日までの会計年度)の世界の小売企業上位250社について、地域および商品セクターの観点から分析を行った。また、今後予想される世界経済の概況や、特に高成長を遂げた小売企業および新規参入企業についても考察している。加えて、今年のレポートでは、小売企業のサステナビリティへの取り組みの高まりも解説している。
上位250社の小売売上高は前年比8.5%増となり、前年の5.2%増からさらなる拡大を見せた。中でも衣料品・服飾品セクターは31.3%と最も高い年間売上成長率を達成した。
コンシューマー業界のCXOの73%が、過去1年間にサステナビリティへの投資を増加させており、依然として重要な課題となっている。本レポートでは、特に高成長を遂げた小売企業および新規参入企業についても考察している。
上位10社の過半数がデジタル機能を強化
今年もWalmartが小売売上高で世界の小売企業上位250社のトップの座を獲得した一方で、昨年中国企業として初めて上位10社にランクインした中国のオンライン小売専門企業であるJD.comは、小売売上高が25.1%増加した結果、7位に上昇し、トップ10の中で最も急成長した小売企業となった。上位10社の大半は、パンデミック下でもその後も引き続き消費者の買い物をサポートする店舗内テクノロジーの導入や、オムニチャネルの提供を拡充したことで、デジタル面の機能強化を積極的に推進している。
また、上位企業各社は引き続き、意欲的な二酸化炭素排出量削減目標の設定、使い捨てプラスチックの削減、消費者が環境に配慮して購買決定できるようにするためのツールの提供といった施策を通じて、それぞれのESG戦略を継続している。
急成長している小売企業
「急成長小売企業50社」は、世界の小売企業上位250社の中で、2016~2021年度の5年間の年平均成長率(CAGR)が最も高い50社である。急成長小売企業50社の平均小売売上高成長率は、前年度よりも1.4ポイント高い20.1%となった。これは、上位250社の8.5%の2倍以上の伸びである。
今年度には、新たに16社が急成長小売企業50社にランクインしており、上位10社の中では、Costco・JD.com・Amazonが名を連ねている。また、急成長小売企業上位5社のうち、トップのAlibabaを含め、3社がアジア太平洋地域を拠点とする企業であった。
サステナビリティへの注目は変わらないが、投資対象は変化している
多くの小売企業がサステナビリティへの投資を続けている中、その取り組みには以下の4つの焦点があると考えられる。
- 小売業における再販(リセール)
- 持続可能なサプライチェーン
- サステナビリティにおけるテクノロジーの役割
- ESG関連の規制や枠組みの遵守
今年度のレポートでは、サステナビリティ領域において先進的な取り組みを実施する世界の小売企業の経営幹部のインタビュー特集を掲載している。
本レポートはDeloitte Touche Tohmatsu Limited が発表した内容をもとに、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社が翻訳・加筆したものです。和訳版と原文(英語)に差異が発生した場合には、原文を優先します。
調査レポート全文
原文(英語)レポートは以下よりご参照いただけます。
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