調査レポート

世界の小売業ランキング2022

苦境で発揮されるレジリエンス

一進一退の経済状況が続いた1年の中で、小売企業は強い経済的逆風に直面したが、デジタルやサステナビリティ分野で技術革新も進み、これらの前例のない時代に成長を見せた。しかし残念ながら、不安定な状況はしばらく続くと考えられ、顧客のニーズを予測することがかつてないほど重要になっている。消費者が望むものを、望む時に、望む場所で提供できる小売企業が成功を収め続けるだろう。

本レポートでは、2020年度(2021年6月30日までの会計年度)の世界の小売企業上位250社について、地域および商品セクターの観点から分析を行った。また、今後予想される世界経済の概況や、特に高成長を遂げた小売企業および新規参入企業についても考察している。加えて、今年のレポートでは、小売企業のサステナビリティへの取り組みの高まりも解説している。

 

困難な状況の中、回復基調にある小売業

2020年度において新型コロナウイルスの感染拡大は、2019年度を上回るペースで小売企業上位250位の成長に拍車をかけた。消費者がオンラインでの購買に移行したことで、EC専門企業は大きな成長を見せており、上位10社には、初めて中国EC企業・JD.comがランクインした。

消費がホスピタリティ業界などの外需から在宅などの内需に切り替わったために、食料品・飲料小売企業の売上は拡大し、ホームセンターなどその他のセクターの小売企業も、消費者が「在宅」中心の生活を送ることで恩恵を受けた。

困難な状況の中、回復基調にある小売業
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小売企業の原動力は引き続きECであるが、店舗の急速な有機的拡大、M&A活動、強力な顧客基盤の構築に向けた小売企業の不断の努力が、この高い小売売上高成長率を支える重要な要因となっている。

 

商品セクター別の動向

本レポートのこのセクションでは、主要な小売商品セクター別に上位250社の小売業の業績を分析している。分析では、「衣料品・服飾品」、「日用消費財」、「ハードライン(家電・日用品等)およびレジャー用品」、「その他の商品」という4つの商品セクターを使用している。

日用消費財セクターは、ロックダウン中も店舗が営業していたことで引き続き利益を得ており、上位250社の最大のシェアを占めている。
一方、2020年度に前年度比で最も高い小売売上高成長率を記録したのは、ハードライン・レジャー用品であり、最も収益性が高かったのも同セクターだった。家で過ごす時間が増えたことで、消費者は個人的な空間をリフレッシュし、屋内外でのエンターテインメントを提供するこれらの製品に注目したのである。

その他の商品セクターは、ハードライン・レジャー用品に次いで高い前年比小売収益成長率を記録し、この分野の最大手小売企業の間では、ECが大きな推進力となっている。
 

上位250社に占める割合
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サステナビリティの高まり

消費者行動、政府規制、投資家心理といった3要素の影響が追い風となり、小売企業は自社の戦略的計画への取り組みや投資を、世界的な規模で持続可能な責任ある成長へと方向転換しつつある。

上位250社のほとんどすべての小売企業が、「環境・社会・ガバナンス(ESG)」への取り組みの概要をまとめ、サステナビリティ会計基準審議会(SASB)、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)、グローバル・レポーティング・インデックス(GRI)など1つ以上のESG報告基準に基づくESG関連指標を公表している。


DeloitteのGlobal State of the Consumer Trackerによると、2021年10月時点で、調査対象の消費者の55%が持続可能な商品やサービスを購入し、32%が持続可能な商品に対して、その代替品よりもかなり多くの金額を支払ったとも回答した。回答者が購入した持続可能な商品のうち、最も多かったのが食料品と飲料で42%を占め、次に多かったのが日用品で25%であった。

今年のレポートでは、世界中の小売企業が持続可能な責任ある成長にどのように取り組んでいるかについても考察している。小売企業は、ますます多様化する消費者の懸念に対応するために、ビジネス戦略の中核のひとつとして、自社の商品やブランドに対してサステナビリティに関わる証明書や情報の提供を検討している。
 

消費者需要が小売業におけるサステナビリティへの取り組みを促進
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本レポートは、小売業界のこれまでの歩みと今後の方向性について、重要なスナップショットを提供している。世界的なパンデミックが経済を混乱させ続ける中、顧客ニーズの先取りはかつてないほど重要な課題となっている。

本レポートはDeloitte Touche Tohmatsu Limited が発表した内容をもとに、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社が翻訳・加筆したものです。和訳版と原文(英語)に差異が発生した場合には、原文を優先します。
 

原文(英語)レポートは以下よりご参照いただけます。

Global Powers of Retailing 2022

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