調査レポート
世界の小売業ランキング2017
新しい消費スタイルに対する理論と実践のアプローチ
本年は「新しい消費スタイルに対する理論と実践のアプローチ」と題し、消費者主導の経済が購買体験や小売業界の事業戦略に与える影響について考察しました。
20年目を迎える年次レポート「世界の小売業ランキング」では、全世界の小売企業から、2015年度(2016年6月までに期末を迎える各社の事業年度)の公開情報を元に大手250社を選定し、その業績を地域、セクター、チャネルごとに分析した。また、eリテーラー上位50社、急成長小売企業50社に関する展望も提供している。
世界経済は勢いを増すには至っていないが、2015年度、世界の小売企業上位250社は収益力を増し、成長を遂げている。当該250社の小売売上高は総額43,000億米ドルを超え、1社当たりの平均規模は172億米ドルとなった。
本稿は、小売企業のランキングに留まらず、デロイトのチーフ・グローバルエコノミストIra Karishによる、世界経済の見通しー今後1年間に渡る、グローバル化やデフレ、物価等の動向が小売企業の成長もしくは崩壊に与える影響ーについても述べている。
さらに、小売企業がテクノロジーの力を借りて斬新な体験をデザインし、消費者のロイヤルティを高めるための、カスタマーエンゲージメントの理論と実践についても述べている。
以下に論じる5つの主要トレンドは目新しいものではないが、2017年で興味深いのは、かつては遠い未来の話と思われていたことが、今や(市場・ビジネス参入の)最低必要条件と考えられていることである。革新的な小売企業は、購買体験において、テクノロジーをもはや補助的なものではなく、根本的なものとして認識している。ただしテクノロジーだけでは十分ではない。消費者は、斬新で驚きに満ちた商品や体験を求めている。
■ 5つの主要トレンド:
- 嗜好の変化: 質の良いモノを少しだけ
消費者は、多くのモノを所有するよりも、どれだけ厳選されたモノを所有し体験しているかによって自身の価値が決まると考えている - 嗜好の変化:「フォロー」による経済
消費者は、ソーシャルメディア上でアピールするパーソナルブランドを反映するような体験や商品を求めている。 - 業態の変化:世界における「リテライゼーション」
メイカームーブメントやシェアリングエコノミーなどの台頭に伴い、小売企業とその事業内容を定義することがますます困難になっている。 - 業態の変化:オンデマンド・ショッピングとフルフィルメント
現代の消費者と小売企業の関係性は、消費者のオンデマンド志向への対応力によって決定する。 - 期待の変化:エクスポネンシャルな生活
エクスポネンシャル・テクノロジーは、生活やショッピングのあり方を変えつつある。
原文(英語)レポートは以下よりご参照いただけます。