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業界展望2019 旅行・ホスピタリティ

好調な経済、世界的な消費者購買力の向上、デジタルの革新を背景に、米国の旅行業界およびホスピタリティ業界は過去最高の成長を遂げた。本稿では、業界全体のトレンドに加え、ホスピタリティ、クルージング、航空、および陸上輸送の各セグメントにおける今後の展望を紹介する。

米国における2019年の旅行業界及びホスピタリティ業界の動向

米国の旅行業界が不況を脱してから今年で10年になる。この10年間は、景気回復と世界の新興市場の経済的転機が重なったため、業界全体がかつてない需要増を経験する目覚ましい結果となった。成長したのは従来型の業者だけではなく、トラベルテック業界にとっても異例の成長を遂げた。デジタルイノベーションが契機となり、まったく新しいセグメントが市場に参入し、成功を収めるようになった。2009年時点では駆け出しだった民間の宿泊施設や一般ドライバーが運転して乗客を運ぶライドヘイリング企業が、今や大手旅行会社と肩を並べている。

旅行業界は、好況と世界的な消費者購買力の向上、デジタル革新に牽引され、かつてない成長を遂げたが、まだ気を緩めることはできない。2019年も堅調に推移すると見られているが、拡大する業界が避けては通れない、成長期の苦難が待ち受けている。

詳細は業界展望 2019 旅行・ホスピタリティ参照。

 

業界セグメント別

ホスピタリティ

ホテル業界は、外部要因がきっかけで不況に陥ることが多い。「いつ」景気が後退期に入るのかにかかわらず、ホスピタリティ業界の経営者は早めの対策を心がけておいて損はない。需要が軟化した場合、価格決定力が消費者側に移るにつれ、売上管理者は料金維持の圧力に迫られる。景気の回復と後退が繰り返されてきた過去30年間を振り返ってみると、一般に景気後退期はあまり長く続かないことがわかる。コスト削減を図りたいホテルオーナーが、サービスレベルを維持したい運営会社と衝突することは避けられないだろう。しかし、サービスの質や料金を大幅に下げることなく、不況を乗り切ることができれば、景気回復後は収益増が望めるだろう。

 

クルージング

クルージング業界も、堅調な旅行需要の恩恵を受けて力強く成長しているが、その勢いは非常に近い存在にあるホテル業界には及ばない。これは、クルージングがより特別な体験であることに起因するだろう。海外には多くのの課題が存在するが、米国にはまだ成長の余地が大いに残されている。中核となるクルーズ商品にはすでに固定客がついているが、新規顧客を外洋に誘うためには、供給側が違う角度から、すなわち、顧客の嗜好や興味に訴えるアプローチをする必要があるのかもしれない。クルーズ船では、複数の場所を訪れ、より長い距離を移動し、船上で他の集団とコミュニケーションを図ることもできる。したがって、クルージング業界は、他の業界が真似のできない深い一体感を提供することができる。遠からず、多くの船旅会社がこの機会を活用する方法を見出すことだろう。

 

航空

過去10年間の航空業界における変化は非常に大きなものであった。格安航空会社(LCC)の草分け的存在が成功を収めたことにより、大手航空会社はこぞってパッケージ化された商品やサービスを切り離して基本運賃を明らかにし、予算重視の旅客の獲得にしのぎを削るようになった。2019年は、キャリアにとって、収益管理に関する創造性を発揮できる刺激的な年になるだろう。技術や技法は急速に進化している。すでに一部の旅行業者は、15秒ごとに料金を更新する新しいプライシングエンジンを利用している。しかし、ダイナミックプライシングが持つポテンシャルを鑑みると、それが単純に用意できるプラグ・アンド・プレイ・ソリューションではないことが分かる。多くのキャリアにとって、このレベルの高度化を実現するには、データ管理プロセスの構造的な変革と、販売、マーケティング、運用などの従来型およびサイロ化された業務機能との統合が必要である。

 

陸上輸送

どの業界のリーダーも、業界を変容させているディスラプションについて熱弁しているが、陸上輸送ほどその影響を感じた業界は少ないだろう。その点では、ライドヘイリングの台頭は、ほんの序章に過ぎないのかもしれない。既存の陸上輸送業者が、マルチモーダルソリューションを拡大するにあたっては、データ統合が重要な課題となるだろう。業界は、一元的な交通プラットフォームに必要な新たなデータ処理規則の策定に向けて、準備を開始するべきであろう。一部の業者では、データ管理プロセスを全面的に見直す必要があるかもしれない。先日、「Netflix風」に、月極めでライドヘイリングを提供するサービスが開始された。これは、陸上輸送のビジネスモデルが、今後数年間で劇的に変化すること暗示しているといえるだろう。

 

詳細は各章参照。

 

原文(英語)レポートは以下よりご参照頂けます。

2019 travel and hospitality industry outlook.pdf

(5,110KB, PDF)
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