最新動向/市場予測

人材の需給ギャップを克服するには

Analytics Trends 2016

一部の組織では、限界の見えてきた「教育機関からの人材獲得」を補完すべく、多面的アプローチを模索し始めている。

Analytics Trends 2016

2016年は、デロイトが「Analytics Trends」の発刊を通じて、短・中期的にビジネスの潮流に影響を与えるであろうと思われるアナリティクスのトレンドを分析し続けて3年目となる。アナリティクス関連の様々なトピックを定点観測し続けると、一部のトレンドは一過性のブームとして消えることなく、ビジネス社会にしっかりと根を下ろしながら、きわめて速いスピードで進化し続けていることが明らかになってきた。科学の世界では、急速に変化する事象について注意深く観察することが求められる。アナリティクスのトレンドについても同じで、急速に進化を続けるトレンドについては、新たな目で見直すことが重要であろう。

深刻化する人材不足

大学などの高等教育機関は、急速に拡大する需要を満たすほどのスピードでデータサイエンティストを教育し、社会に送り出すことはできていない。ましてや、「経験豊かな」アナリストを二年制・四年生のカリキュラムで育て上げることなど不可能である。2015 MIT Sloan Management Reviewサーベイにおいて、40%に上る回答者が「高度なデータ分析スキルを持つ人員の採用に苦慮している」と答えている。「アナリティクスが重要課題である」と考える企業のうち、十分な人材が確保できていると答えた企業はわずか17%であった。一方で、「アナリティクスのイノベーターである」と考える企業では、十分な人材が確保できていると答えた企業が74%であった。

創意工夫

International Data Corporation(IDC)社の予測によると、米国では2018年までに高度な分析スキルを持つ人材は181,000人、またデータマネジメントスキルやデータ解釈スキルを持つ人材はその5倍必要になるとされる4。また、「データサイエンティスト」のスキルセットが必ずしも明確に定義されていないことも、さらに問題を複雑にしている。というのも、個別の課題に応じて、必要とされるスキルセットは異なるからだ。一部の組織では、限界の見えてきた「教育機関からの人材獲得」を補完すべく、マネージドアナリティクスへの着目、あるいは既存要員からの育成など、多面的アプローチを模索し始めている。

現在米国だけでも、アナリティクスやデータサイエンスに係る教育課程は100以上存在し、その数は増える一方だ。アナリティクス領域における人材獲得競争はますます激化している。組織がこうした教育機関からの人材獲得を目指す場合、インターンシップや学生プログラムなどに注力することが成功率を高める鍵となる。こうした経路から採用した学生には、意義あるキャリアパスと、似たようなスキルセットやバックグラウンドを持つ仲間たちと働く環境を用意することで、離職する確率は低くなり、生産性の高い人材として組織に貢献するであろう。

 1出典:International Data Corporation

人材エコシステム

アナリティクス人材を必要とする組織であっても、必ずしも自組織内にアナリティクス人材を抱えなくてもよい。組織外部の人材エコシステムの育成・活用を、積極的に推進する企業もある。ある企業では、ビジネスインテリジェンス、予測的アナリティクス、データサイエンス、コグニティブテクノロジーといった領域ごとに、複数の人材を擁するサービス提供事業者と提携している。この企業は、こうしたパートナー企業が適切に人材プールを管理しているか(スキルの高い人材の獲得/育成や、最新テクノロジーや最新手法へのキャッチアップを適切に行っているか)のモニタリングを継続的に行うことで、自社が活用できる人材スキルの品質を担保している。

このような方法論は特別なものではない。賢明な企業は、アナリティクス人材が自社のビジネスの成功に不可欠であり、かつ人材は不足していることを認識し始めている。そして、自社のビジネス戦略を成功させるためには、組織の垣根を越えた人材プールの活用に本腰を入れて取り組む必要があることを理解し始めているのだ。

インパクト

・社会へのインパクト:中程度

・ビジネスへのインパクト:大

・ピークの予測到来時期:1年後

・もっとも影響を受ける業界:コンシューマープロダクツ、国、自治体、ヘルスケア

・変革を牽引するであろう領域:人事、IT
 

ケーススタディ:シスコシステムズ

シスコシステムズ社ではアナリティクス/データサイエンスのスキルが自社にとってのキーコンピテンシーであることを明確に認識し、データサイエンティストや、データの扱いに長けたマネジャーを育成する積極的なプログラムを打ち立てた。同社は2大学と提携し、全社横断的に全職域の従業員にデータサイエンスの基礎を身に着けさせることを目的とした5カ月間の教育プログラムを導入しており、現在までに200名が当該プログラムを履修した。またシスコは一定のスキルを習得した後のキャリアパスを明確に定義しており、対象者は、将来的に責任のあるポジションや手厚い報酬が約束されたデータサイエンス分野における複数の職種に就くことが可能となる。

シスコのデータサイエンス本部は、マネジャー層のデータやアナリティクスに対する意識を高め、理解を深める啓発活動をきわめて重視し、継続的に力を注いできており、経営層を対象に2日間の研修プログラムも実施している。また同社は、社内の他部門がアナリティクスによって判明した課題への改善に取り組むためのプラットフォームとなる「データ・ラボ」という物理的拠点を複数開設している。

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