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Value Shift - 「守り」から「攻め」へ

季刊誌「百家争鳴」第6号(2014年1月)

グローバルレベルでのプロセスの統合や効率化を実現したグローバル企業においては、ファイナンス組織の役割が変化しています。企業価値の毀損を防ぐ「守りの役割」から、企業価値を高める「攻めの役割」へ、徐々に重心をシフトさせているのです。このような企業と戦う上で、日本企業のファイナンス組織は、いかなる価値を提供すべきでしょうか。-季刊誌『百家争鳴』第6号(2014年1月)

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Issue - グローバル統合の先にある、真の課題

グローバルで戦うための次なる目標

前号では、グローバルで戦うためには、データやプロセス、システムなど、ビジネスを支える仕組みをグローバルレベルで標準化し、統合することが最低条件になることを述べた。常に激しい競争にさらされる中で、業務の効率化を追い求めるだけではいられない。ファイナンス部門も、事業部門とともにビジネスをリードする存在へと価値を高めることができなければ、グローバル競争では勝ち残れない。

グローバル企業CFOの意識変化

デロイトフレームワーク"4 Faces of CFO"では、ファイナンス組織には4つの役割があることを示している。①事業計画策定、業績評価など「戦略実行の推進」、②投資管理や財務戦略立案等の「戦略立案への参画」、③決算や内部監査等の「統制環境の整備」、④会計処理等の「取引処理の実行」の4つだ。これらのうち、①②は企業価値を高めるための「攻めの役割」、③④は企業価値の毀損を防ぐための「守りの役割」と考えられる。それぞれの役割に配分する時間の割合について、グローバル企業のCFOに調査したところ、2010年から2013年までの3年間で、③「統制環境の整備」にかける時間が10%以上減る一方、②「戦略立案への参画」が増えていることがわかった。守りから攻めへ、企業価値を高める機能へとCFOが重心を移している。

より高い価値を生むファイナンス組織への転換

「攻めの役割」への移行は、ファイナンス組織の機能別人員構成比にも表れる。デロイトの調査によると、日本企業JP1では会計及び決算に8割近い人員を割いている。業種や業態によって異なるものの、グローバル統合が遅れている日本企業の多くでは、JP1に類似した人員構成となっていることが推察される。一方で、グローバル企業G2では、半数以上の人員を経営管理に充てている。グローバル統合により業務効率化を実現し、より付加価値の高い領域にリソースシフトすることが、これを可能にしている。このような企業と戦う上で、ファイナンス組織として、いかなる価値を提供すべきかは、今から考えるべき課題である。

Case Study - 将来いかなる価値を提供するか

大きく変容する、ファイナンス組織の提供価値

グローバル統合の進んだ先進企業では、ファイナンス組織の役割は従来と大きく異なる。データはシステムで正確かつ迅速に処理され、レポート作成が自動化されると、人の関与は限定的となる。その分、ファイナンス組織は、いかに事業部門のビジネスパートナーとして有益な提言をするかに集中するようになっている。

将来に向けた、価値実現のための体制作り

日本企業の大半は、グローバルレベルでのプロセスやシステムの統合が実現しておらず、今もなお、標準化を進めている段階だ。しかし、長期的視野を持つ企業は、既に将来のファイナンス組織のあり方を考え、業務の効率化を進める一方で、新たな役割を担える人材の育成に取り組んでいる。

Insight - 先を見据え、自らを変化させる

グローバルで勝ち続けるために、先を見据えて行動する

厳しい競争環境の中で、「絶対的優位」も「盤石な経営」も幻想に過ぎない。ビジネス自体が大きく変わる中では、当然、ファイナンス組織に対しても求められることは変わっていく。先を見据え、絶えず変化し続けていく企業のみが、グローバルで勝ち残ることができる。
もちろん、そのような変革を続けていくことは容易なことではない。変革をリードするCFOとして次の3つは心に留めておきたい。
1つ目は、提供する価値に対する共通認識を醸成すること。ファイナンスが事業部門のパートナーとしてどのような価値を提供すべきか、事業側のニーズを理解し、ともに信頼できる関係を築くことから始めるべきである。
2つ目は、価値を実現するためのリソースを動かすこと。一段高い価値を提供していくために、内部人材だけでなく外部も活用し、チーム力を高めることが重要である。
最後に、変化に身を置き続ける覚悟を持つこと。決して、完成形はない。グローバルで激しい競争を勝ち残るためには、常に先を読み、変化し続けることを恐れない姿勢が最も重要である。
これらの3つのうち、どれを欠いても、グローバルで勝ち残れる組織となるための変革は成し遂げられない。CFOは、今こそリーダーシップを持ち、行動を起こすべきではないだろうか。

バリューシフトを実現するための3つの心得

 

1.提供する価値に対する共通認識を醸成する

2.価値を実現するためのリソースを動かす

3.変化に身を置き続ける覚悟を持つ

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生き残るのは、強い者、頭の良い者ではない
変化に対応した者が生き残るのだ
自然学者 チャールズ・ダーウィン

激しさを増すグローバル競争を勝ち抜くためには、ファイナンス組織も従来と同じままではいられません。事業を支えていくには、今、何に着手し、長期的にどのような価値を提供すべきなのでしょうか。
グローバルに勝ち残る企業となるため、将来を見据え、今なすべきことは何か、本号が示唆を与えます。 

(2.6MB, PDF)

CFOの“the Trusted Advisor"となるために

デロイト トーマツ グループでは、様々な課題に直面するCFOを支え、ファイナンス組織の能力向上に寄与することを目指したサービスを展開しています。われわれは、グローバルに展開するプロフェッショナルファームとして先進的な知見やネットワークの場を提供し、CFOにとっての“the Trusted Advisor"となることを目指します。

 

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