出版物

企業価値を守るためのクライシスマネジメント~組織対応力が問われるとき~

季刊誌「百家争鳴」第9号(2015年9月)

「クライシス」が起きてからの対応では遅すぎる。企業価値を守るためには、中長期的な視点で、全社的かつ周到に「クライシス」に備えておくことが肝要だ。そうすれば、「クライシス」はマネージできる。

Issue - 「クライシス」への対応は、企業価値の毀損を軽減する第一歩

クライシス頻度は急激な増加傾向も、企業側の対応は「ほぼ最低限」

サイバー攻撃等による個人情報の漏洩、製品偽装や品質不備等によるリコールなどで、企業価値が著しく毀損したり、収益を大幅に悪化させたりする事案が相次いでいます。有限責任監査法人トーマツが2014年11月に実施したクライシスマネジメントの実態調査では、有効回答を寄せた上場企業の実に65%が過去12年間に何らかのクライシスを経験していました。2003-05年と2012-14年のそれぞれ3年間でのクライシス経験数は、日本国内で倍以上、海外子会社では6倍以上と、明らかな増加傾向にあります(図表1)。その一方で、これまで経験したクライシス上位項目ですら、十分な対応が取られておらず、「最低限な対応策」にとどまっている実態が明らかになりました(図表2)。

CFOのクライシスに対峙する姿勢が問われている

近年、ソーシャルメディア等によって、企業の不祥事を含む重大なインシデントは瞬く間に拡がるようになり、企業のレピュテーションや、収益に与える影響は従来以上に大きくなっています。「リスクは発現する」という前提に立ち、いかにして企業価値の毀損を軽減し、収益に与える影響を最小化するかというクライシスマネジメント(図表3)は、企業価値の維持向上に責任を負うCFOの重要な役割の一つです。

Case Study - リスク優先度の見極めと全社的態勢整備を含めた事前対応が鍵

「リスクアペタイト」を経営者目線で考える

企業経営においては、「事業目的を達成するために、敢えてとっているリスクの種類や規模」を見極めるリスクアペタイトの考え方が重要となります。CFOはCEOとリスクへの対峙の仕方を対話し、課題の優先順位づけをしなければなりません。

クライシスを想定した全社的態勢整備が鍵となる

クライシス状況下では、平時の情報ルートや指揮命令系統が混乱し、的確な判断を下すことが容易ではありません。そのため、対応が後手に回り、結果的に被害を拡大させる場合もあります。クライシスが発生しても、組織全体が俊敏、冷静かつ、自信を持って対処できるように、「Ready」な状態にしておくことが肝要です。

Case Study - リスク優先度の見極めと全社的態勢整備を含めた事前対応が鍵

「リスクアペタイト」を経営者目線で考える

企業経営においては、「事業目的を達成するために、敢えてとっているリスクの種類や規模」を見極めるリスクアペタイトの考え方が重要となります。CFOはCEOとリスクへの対峙の仕方を対話し、課題の優先順位づけをしなければなりません。

クライシスを想定した全社的態勢整備が鍵となる

クライシス状況下では、平時の情報ルートや指揮命令系統が混乱し、的確な判断を下すことが容易ではありません。そのため、対応が後手に回り、結果的に被害を拡大させる場合もあります。クライシスが発生しても、組織全体が俊敏、冷静かつ、自信を持って対処できるように、「Ready」な状態にしておくことが肝要です。

Insight - CFOはクライシス マネジメントにおける司令塔である

インシデントに対する備え(準備)に加えて、クライシス発生後には、直後の「対処」とその後の「回復」に分けた対応が必要となる
準備プロセス

• 指揮命令系統を明確化し、迅速かつ的確なクライシス対処時の判断を可能とする
• 状況認識スキームを事前に策定し、継続的にクライシスを把握する
• 社内外への情報発信・コミュニケーション方法・手段を予め想定しておく
• 平時から、具体的なシナリオシミュレーションやリハーサルを実施する

対処プロセス(短期的)

• 発現したクライシスに直接的に対処し、事態を沈静化することで、収益への影響を最小限に抑える
• レピュテーションに対して配慮を欠かさない

回復プロセス(中長期的)

• レピュテーションや企業価値を回復させ、再発防止にも着手する
• 通常の事業活動へと復旧する

効果的なクライシスマネジメントのための3つの心得

CFOは企業の持続的成長と中長期的な企業価値の維持・向上を支えるインフラとしてのクライシスマネジメントライフサイクルを俯瞰して捉え、各プロセスにおいて適切なリソースが準備できるよう、経営判断をリードすることが期待される。

1 クライシス対応は、CFOが主導的立場にあるという認識を持つ

• 企業価値毀損を防ぐ観点で、事業推進上のクライシス対応をリードする
• 企業内外への情報発信やタイミングがレピュテーションに影響を与えることを認識したうえでコントロールする

2 「準備プロセス」では、企業価値回復までを見据える

• クライシスを引き起こした足下のインシデント対応だけでなく、中長期的な視点で企業価値回復まで見据える
• クライシスにより影響を受けるファイナンス領域も含めた経営戦略策定をリードする

3 CEOのコミットメントを引き出す

• クライシスマネジメントには、リソース(ヒト・モノ・カネ)を適切に準備するという経営のコミットメントが必要である
• CFOは、準備を怠るリスクや企業価値に与える影響を明確に説明することで、CEOのコミットメントを引き出す

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恐怖心を克服するには、どんな手順で行動するか前もって計画し、その通りに実行すればよい。
作家、実業家 デール・カーネギー

「クライシス」は一時的に大きな損害を生じさせるだけでなく、企業イメージやレピュテーションの毀損を通じて企業価値に中長期的で甚大な影響を与えます。投資家などのステークホルダーマネジメントの中心を担うCFOが果たすべき役割も少なくないはずです。本号が、CFOにとってのクライシスマネジメントのあり方について考える契機になれば幸甚です。

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