調査レポート

Deloitte CFO Signals Japan : 2016Q4

楽観的なグローバル経済の見通しとRPAやAIが会社業務に与えるインパクト

日本における第6回目の実施となったCFO向けの定期サーベイ。本サーベイでは、ミクロ・マクロそれぞれの視点からみる日本企業を取り巻く環境、また日本独自の設問としてロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)や人工知能(AI)が会社業務に与えるインパクトについてCFOの意識調査を行いました。(対象期間:2017/1/10~1/20)

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Deloitte CFO Signalsについて

Deloitte CFO Signalsは、デロイトがグローバルレベルで定期的に実施している、企業を取り巻く経済環境に関するCFOの意識調査です。毎回の調査で世界各国CFOの皆様から得られた回答結果を集約し、デロイトの専門家が考察を加え、CFOからの”Signals”として発信しています。
日本で行うDeloitte CFO Signals Japanでは、「経済環境に関する調査」において、毎回グローバルで統一の設問を設定しています。それによって日本だけに限らず、グローバルレベルでCFOの動向を考察します。さらに毎回日本固有の設問として、その時々でトレンドやホットトピックとなっている事柄に関連するものを設定しています。
本ページでは、今回のサーベイ結果の中で特徴的な回答結果についてまとめています。グローバル共通設問である、企業を取り巻く経済環境の見通し、業績の展望、ビジネス環境における財政的および経済的な不確実性については、グローバル版(英語)に掲載されております。各国の結果とあわせてご覧ください。

(518KB, PDF)

経済環境に関する調査

グローバル経済及び主要国経済の見通し

グラフ4は、グローバル経済と主要国・地域の経済成長率の見通しについて、2016Q2の調査結果と今回の調査結果を比較したものである。CFOは、中国を除く全ての地域について、経済成長率に関してポジティブな見方を持ち始めている。この結果、グローバル経済全体についても楽観的な見方が急速に広がっている。

まず、グローバル経済の成長率見通しの回答結果をみると、2016Q2時点では「c. 低下する」という見方が67%を占めていたが、今回は、こうした悲観的な見方が13%に急低下するなかで、「a. 上昇する」という回答が47%を占めた。「a. 上昇する」という回答割合が2016Q2に3%であったことを考えると、CFOの見通しが急速に改善していることがわかる。

次に、国・地域別にみると、米国経済への見方が劇的に変化していることが確認できる。米国経済の成長率の見方を振り返ると、2016Q2時点では、62%のCFOが「変わらない」と回答し、安定的な成長が見込まれていた。これに対して今回の調査では、「a. 上昇する」という回答が86%に急上昇している。ほとんどのCFOは“トランプノミクス”が米国経済にとってプラスになると予想していると考えられる。

楽観的な見通しは、日本、アジア諸国(中国を除く)、欧州(英国を除く)でも確認できる。例えば、日本経済については、2016Q2時点に67%を占めていた「c. 低下する」という回答が、今回は13%にまで低下した。更に、31%のCFOが「a. 上昇する」と回答しており、日本経済について楽観的な見方を持つCFOが増加している。

また、英国経済への慎重な見方が目立って低下している点も注目される。2016Q2の調査では、Brexitを巡る国民投票の衝撃もあり、全てのCFOが英国経済の成長率が低下すると回答していた。ところが今回の調査では、「c. 低下する」という回答が49%にまで低下し、一頃のような悲観論一色ではなくなっている。もっとも、「a. 上昇する」という回答が4%にとどまっている点にも注目すべきかもしれない。国民投票後の英国経済がポンド安に伴う輸出増や観光客の増加から堅調に推移していることを踏まえると、楽観的な見方が4%にとどまったということは、英国経済の先行きに対してCFOが依然として慎重な見方を保持していることの現れともいえる。

最後に、中国経済に関して楽観論と悲観論が交錯している点も興味深い。今回の調査結果を2016Q2時点と比較すると、「c. 低下する」という回答割合が29%から42%に上昇すると同時に、「a. 上昇する」という割合が0%から14%に上昇している。この結果を見る限り、現在CFOにとって、中国経済の先行きを見通すことが一番難しいのではないかと推測される。

ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)や人工知能(AI)が会社業務に与えるインパクトに関する調査

今回の調査では、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)や人工知能(AI)が会社業務に与えるインパクトについて確認した。特に、RPAは、経理処理などルールの決まった処理を複数のシステム(エクセル、ERP、メールなど)をつないで作業自体を自動化してしまう仕組みで、近年注目を集めている。
CFOからの回答は、これら新技術への関心の高さと期待の大きさを示しており、予想以上に注目されていることが認識された。

RPAとAIの導入

以下の設問(グラフ6)では、RPAとAI各々について業務のどの部分に適用可能かについて確認した。まず、半数以上のCFOが特にAIにとって代わられる業務があると答えており、RPAに関しては、間接業務のある程度の部分に導入可能という回答と、ごく簡単な定型業務に導入可能という回答が各々三分の一近くに上った。「本社・事業にかかわらず探せばRPAに置き換えられる業務がある」との回答が40%に上ったことと合わせて、現時点でかなりの人数のCFOが、これら技術の実際の業務の現場への適用の可能性に期待していることがわかる。

また、事業モデルとして人件費比率の高さをCFOが感じている背景から、ロボットへの置き換えを期待する、というコメントも寄せられていた。

RPAとAIについての認識

以下の設問では(グラフ10)では、「どの程度の業務がロボットに置き換えられると思うか」ということを率直に伺った。

20~30%が置き換わると答えた方が半分以上にのぼり、40~50%という回答も28%とCFOの目には経理業務のかなりの部分がロボットに置き換わると答えている。さすがに70%以上との回答はなかったが、デロイトが別の場で行った同種のアンケート※1では、経理部門の社員自身に同様の質問をしたところ、90%以上の方が、自分の仕事の一部または半分以上がロボットに置き換わる、と答えた事例もある。
いずれにせよ、CFOの目にも、また実際の経理の現場でもロボットに置き換え可能な仕事の存在が目立ち始めているのかもしれない。

※1: 非公開プロジェクトにて実施したアンケート

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