調査レポート

Deloitte CFO Signals Japan : 2017Q1 

安定し始めた財政環境とデジタルが企業経営に与える影響

日本における第7回目の実施となったCFO向けの定期サーベイ。本サーベイでは、「経済環境に関する調査項目」で時系列でCFOの意識変化や調査時点での最新の見通しを考察し、またマクロ的な視点での日本経済及び世界主要国のリスクシナリオに関する意識調査を行いました。加えて、今回のホットトピックとしてはデジタルが企業経営とCFOに与える影響を取り上げています。(対象期間:2017/4/3~4/14)

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Deloitte CFO Signalsについて

Deloitte CFO Signalsは、デロイトがグローバルレベルで定期的に実施している、企業を取り巻く経済環境に関するCFOの意識調査です。毎回の調査で世界各国CFOの皆様から得られた回答結果を集約し、デロイトの専門家が考察を加え、CFOからの”Signals”として発信しています。
日本で行うDeloitte CFO Signals Japanでは、「経済環境に関する調査」において、毎回グローバルで統一の設問を設定しています。それによって日本だけに限らず、グローバルレベルでCFOの動向を考察します。さらに毎回日本固有の設問として、その時々でトレンドやホットトピックとなっている事柄に関連するものを設定しています。
本ページでは、今回のサーベイ結果の中で特徴的な回答結果についてまとめています。グローバル共通設問である、企業を取り巻く経済環境の見通し、業績の展望、ビジネス環境における財政的および経済的な不確実性については、グローバル版(英語)に掲載されております。各国の結果とあわせてご覧ください。

(637KB, PDF)

経済環境に関する調査

日本経済の注目点

グラフ4は、今後1年間の事業展開を展望するうえで注目される日本経済の動きを示している。注目されるのは、日本経済の景気循環や構造改革への関心が高かった点である。具体的には、「a. 景気回復の明確化」が最大の回答数となったほか、「c. 働き方改革を含む、構造改革の若干の進展」も34%(13名)の回答を集めた。特に、これまでの調査においてCFOから構造改革について慎重な見方が示さることが多かった点を踏まえると、足元の働き方改革には一定の期待が示されていると解釈することができるように思われる。

なお、「f. 財政健全化にかかる安倍政権のコミットメントの低下」や「g. 安倍政権の不安定化」の回答割合がそれほど高くなく、これらの回答から判断すると、安倍政権の政策運営に対してCFOは一定の評価をしているようにうかがえる。もっとも、「b. 米国トランプ政権との軋轢の可能性」が最大の回答数となった点には留意が必要であろう。CFOの視点からみれば、日米両国間の関係、とりわけ、貿易面での衝突リスクが不安視されていると考えることができる。

デジタルが企業経営とCFOに与える影響

今回の調査では、AIやIoT、クラウドコンピューティングやビッグデータ解析といったDigital技術の急速な進展が、企業経営、特にCFOとCFO組織(経理・財務ほか)に与える影響に関してCFOの皆様のご認識を伺った。保守的と言われる経理業務や組織においても、経営環境が急速に変わる、あるいは社員の働き方に影響を与える技術の進展について、予想も交えた忌憚のないご意見が寄せられた。

AIやIoT、クラウドコンピューティングなどデジタル技術の進展が経理業務に影響するか

グラフ7はデジタル化の影響についての回答結果である。大多数のCFOが自分自身と配下の組織が何らかの影響を受けると回答しており、CFO自身にも経理組織に対しても「c. 特段の影響はない」という回答はわずかであった。影響の方向性としては、「b. 担当領域が広がる」もしくは「a. 担当領域は現状と変わらないものの、事業側に対する意思決定支援などの比重が高まる」との回答が大半となった。

また、経理組織以上に、CFO自身への影響がいずれも大きいと回答があったことは、デジタル技術が、業務課題ではなく、むしろ経営課題のレベルへ影響すると認識していることの表れかもしれない。

情報技術実装への投資目的と期待する効果

グラフ11は情報技術実装への投資目的と期待する効果に対する回答である。「b.経理・決算上の判断、投資判断など、経営上の判断により確実性と信頼度を高めることに利用したい」という選択肢への回答より、わずかながら、「a.顧客動向や、顧客情報、マーケット動向など「顧客」分析をより高度化したい」という選択肢への回答が上回った。このことから、CFOが、より経営者として全社的な課題を「対顧客」に感じていることがうかがえる。いずれにせよ、これら分析・判断技術への期待が、(ロボットに代表される)省人化効果を上回ったことが興味深い。

また、自部門の課題として常に上位にあげられる「e.投資効果や収益予測を行う高度で複雑なモデルを作成し、将来予測・資産が安易にできることを期待したい」という選択肢に回答が集まらなかったことから、これらはデジタル技術にあまり期待すべきことではないようだ。このことについては、今後さらに技術の利用方法の研究が進むことが期待される。

米国での同種の調査[1]では、「顧客に関する分析」に対する回答数が最も多かった点は一致しているが、日本ではわずか11%(4名)の期待でしかない、「f. グラフやチャートを多用した見やすくわかりやすい分析レポートが迅速に手間をかけずに作れることを期待したい」は、米国では上位に来ている。データを手作業で集め会議の都度時間を費やして資料を作る、といったことはどこの会社でも“課題”と耳にするが、それがレポーティング機能の発達で解消に向かう課題であることは意外と注目されてないようだ。

前回のロボティクスに関する調査に続いて、今回はより広くデジタル技術の経理財務部門およびCFOへの影響と利用についてCFOの皆様にお聞きしたが、総じて期待は大きいものの、利用の方向性と効果についてはまだ未知数で、導入の計画はあってもまだ現実のものにはなってはいないという「黎明期」としての特徴が明確となって示された。米国での調査ではこれが半歩進んだ状態で表れていることを見ると、我が国でも「開花」が近いのかもしれない。

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