調査レポート

Deloitte CFO Signals Japan: 2018Q3

民間企業の社会的課題への取り組みに関する課題感や今後の展望について

日本における第13回目の実施となったCFO向けの定期サーベイ。本サーベイでは、「経済環境に関する調査項目」で時系列でCFOの意識変化や調査時点での最新の見通しを考察し、またマクロ的な視点での日本経済及び世界主要国のリスクシナリオに関する意識調査を行いました。加えて、今回のホットトピックとして、民間企業の社会的課題への取り組みに関するCFOの現状認識をテーマに取り上げています。(調査期間:2018/10/3~10/17)

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Deloitte CFO Signalsについて

Deloitte CFO Signalsは、デロイトがグローバルレベルで定期的に実施している、企業を取り巻く経済環境に関するCFOの意識調査です。毎回の調査で世界各国CFOの皆様から得られた回答結果を集約し、デロイトの専門家が考察を加え、CFOからの”Signals”として発信しています。
日本で行うDeloitte CFO Signals Japanでは、「経済環境に関する調査」において、毎回グローバルで統一の設問を設定しています。それによって日本だけに限らず、グローバルレベルでCFOの動向を考察します。さらに毎回日本固有の設問として、その時々でトレンドやホットトピックとなっている事柄に関連するものを設定しています。本ページでは、今回のサーベイ結果の中で特徴的な回答結果についてまとめています。

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グローバル共通設問である、企業を取り巻く経済環境の見通し、業績の展望、ビジネス環境における財政的および経済的な不確実性については、グローバル版(英語)に掲載されております。各国の結果とあわせてご覧ください。グローバル版のサーベイ結果についての総評はこちらからダウンロードいただけます。

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不確実性

グラフ3 は、財政的・経済的な不確実性の見通しを表している。今回は不確実性が「非常に高い」「高い」との回答合計が67%と、前回の44%から大幅に増加した。前回回答で予想外に不確実性が後退した際に、今後の不確実性の高まりの可能性を指摘した通りの結果となった。不確実性が高まった背景はグラフ1で考察した通り、米中貿易摩擦の拡大、英国のEU離脱交渉の難航、新興国通貨下落、中国経済の減速懸念などが考えられる (グラフ5で詳述)。米中貿易摩擦や英国のEU離脱交渉は年内に方向性が明らかになるとの期待が強く、2018Q3はその意味で一番不確実性の高い時期に当たるといえる。更に不確実性の要因の一つに11月の米議会選挙がある。世論調査によれば、米議会上院は共和党が多数を維持するものの、下院については共和党・民主党が拮抗している。共和党の下院での過半数確保如何は、今後のトランプ政権の政策、また株高に見られるいわゆる「トランプ相場」の持続如何に関わってくるといえる。今後のCFOの見る財政的・経済的な不確実性は、年末にかけての米中貿易交渉、英国EU離脱交渉、米議会選挙結果等に左右されそうだ。

企業の社会課題への取り組みについての課題認識

昨今、サステナビリティの重要性が改めて指摘され始めている。今回の調査では、民間企業が社会課題に取り組むにあっての課題感や現状認識についてCFOのお考えを聞いた。

持続的成長のためには、自然環境に配慮した経済成長や社会格差の是正への貢献が必要であるとのテーマは、従来国連レベル、国家レベルの課題と考えられてきた。近年、ダボス会議等で脚光を浴びていることを契機に、企業にとっても無視できない課題、または、企業が取り組む必要のある課題として日本においても再認識され始めている。

各社の社会的課題への取り組みのご状況

「全社的な取り組みとして積極的に推進している」との回答は30%と、ある程度自社の取り組みに自信を持たれている企業の割合が全体の約3分の1にとどまった。また、「会社としては積極姿勢だが、一部の部門、社員の関心事にとどまっている」との回答が全体の36%と最も多く、会社としては取り組み始めたが、社員にとってどの程度腹落ちしているか、ということにはやや懐疑的だというご意見も多いようだ。近年、ESG投資に見られるように企業の環境への配慮の度合いや社会貢献度が投資家目線で取り扱われ始めたせいか、まずは体裁は整えようという姿勢が強いのかもしれない。実際、大企業のほとんどが、「社会課題への取り組みについて」「サステナビリティについて」といったタイトルで、ホームページ上でかなりのページを割いて説明されている。しかしながら、実際はまだまだ取り組みの途上にあると認識されるCFOが多いようで、個別にご意見を聞いた企業でも、ほぼこのグラフと同じような傾向が見られた。

社会課題に取り組む上でのCFOの役割

「社会課題への取り組みと民間企業」が今回の調査のテーマであり、ここまでCFOの認識をお伺いしてきた。民間企業も積極的に取り組むべきという認識が大半を占めているものの、自社の状況は全体として取り組みの途上であるとの認識が全般的な傾向といえるようだ。最後の質問では、各社のそうした状況のなかで、社会課題対応の上でCFOはどの程度の役割を担っているのか聞いた。

社会課題に取り組む上でのCFOの役割

経営幹部の一人としての役割に留まる、との回答が約半分を占め、会社の中でリードする役割であるとのお立場を認識されている方はごくわずかだった。また、bの「各部門が取り組みやすいように支援する立場」、とcの「費用の妥当性をチェックするという役割」はある意味、CFOとしての会社のなかでの役割分担を踏まえながら会社として積極的に進められるように役割を果たしたいという気持ちの表れかもしれない。CFO の役割を、欧米の企業のように「CEOの片腕としての戦略推進役」と求めるのであれば、今後は、サステナビリティや社会貢献等のテーマに関してもCFOのより積極的な関わりが求められるのかもしれない。

CFOの”The Trusted Adviser”になるために

デロイト トーマツ グループでは、様々な課題に直面するCFOを支え、ファイナンス組織の能力向上に寄与することを目指したサービスを展開しています。われわれは、グローバルに展開するプロフェッショナルファームとして先進的な知見やネットワークの場を提供し、CFOにとっての“the Trusted Advisor"となることを目指します。

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リスク管理戦略センターは、近い将来に起こり得る様々なストレス事象に備えた一般企業のフォワードルッキングなリスク管理態勢の構築を支援するために、2014 年 2 月に、有限責任監査法人 トーマツ内に設置されました。リスク管理戦略センターでは、海外の主要機関や当局、金融機関やメディアが伝えるマクロ・リスク情報や、バーゼル3を始めとした世界の規制情報を等の情報を分析し、グローバル企業や、海外投資を行う法人に対して、これらの情報や蓋然性の高いストレス・シナリオ等の情報提供および、これらを活用したリスク管理に関するアドバイザリーサービスを行っております。

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