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IASBとFASBがコンバージェンスされた収益基準を公表

IAS Plus 2014.05.28

国際会計基準審議会(IASB)は、2014年5月28日に、新しい収益基準であるIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」を公表した。(IAS Plus 2014.05.28)

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国際会計基準審議会(IASB)は、2014年5月28日に、新しい収益基準であるIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」を公表した。同時に、米国財務会計基準審議会(FASB)は、これと同等な収益基準である会計基準アップデート(ASU)2014-09「顧客との契約から生じる収益」(トピック606)を公表した。これらの基準書は、両審議会によるコンバージェンス・プロジェクトの成果である。IFRS第15号は、IFRS報告企業がいつどのように収益を認識するかを明確にし、財務諸表の利用者により有益で関連性の高い開示を提供することをIFRS報告企業に要求している。本基準は、IAS第18号「収益」、IAS第11号「工事契約」および収益に関連する多くの解釈指針を置き換えるものである。本基準はすべてのIFRS報告企業に適用が強制され、ほとんどすべての顧客との契約(主な例外として、リース、金融商品、保険契約がある)に適用される。

背景

共同の収益プロジェクトは2002年に開始され、プロジェクトの主な目的は以下のようなものであった。

・現行の収益に関する要求事項の不整合及び欠点を取り除く。
・収益に関する論点を取り扱う、より堅牢なフレームワークを提供する。
・企業間、法域間及び資本市場間での収益認識実務の比較可能性を改善する。
・開示要求の改善を通じて財務諸表利用者により有用な情報を提供する。
・企業が参照しなければならない要求事項の数を削減することにより財務諸表の作成を簡素化する。

最初のディスカッション・ペーパーは 2008年12月に公表され、最初の公開草案は2010年6月に公表された。 コメント期間の終了後に、両審議会は、変更された提案事項について再公開することを決定した。2回目の公開草案は、2011年11月に公表された。両審議会は、提案事項について関係者から多くのコメントを受領し、広範囲にアウトリーチを実施した。それらのコメントはすべて再審議の過程において考慮され、最終基準書においていくつかの重要な変更をもたらす結果となった。

範囲

IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」は、IAS第17号「リース」の範囲内のリース、IFRS第9号「金融商品」、IFRS第10号「連結財務諸表」、IFRS第11号「共同支配の取決め」、IAS第27号「個別財務諸表」及びIAS第28号「関連会社および共同支配企業に対する投資」の範囲内の金融商品及び他の契約上の権利または義務、IFRS第4号「保険契約」の範囲内の保険契約、ならびに、同業他社との非貨幣性の交換取引で、顧客または潜在的な顧客への販売を容易にするものを除く、すべての顧客との契約に適用される。

概要

・新基準は、すべての顧客との契約に適用される、単一の、原則に基づく5つのステップを提供している。当該5つのステップは、以下のとおりである。

顧客との契約を識別する。
契約における別個の履行義務を識別する。
取引価格を算定する。
取引価格を契約における履行義務に配分する。
企業が履行義務を充足したときに(または充足するにつれて)収益を認識する。

・収益を一時点で認識すべきか、または一定の期間にわたり認識すべきかに関する新しいガイダンスを提供する。これは、従来の財またはサービスの区別を置き換えるものである。
・本基準は、収益の金額が変動する場合について、新しい収益認識の閾値を導入する。当該閾値は、変動する金額は、将来の見積りの変更の結果として重大な収益の戻入れが生じない可能性が非常に高い(highly probable)場合に、その範囲においてのみ、収益に含めることを要求している。しかし、知的財産のライセンスから生じる売上ベースまたは利用ベースのロイヤルティについては、異なるアプローチが適用される。そのようなロイヤルティに関する収益は、収益を生じさせる売上または利用が生じたときにのみ認識される。
・本基準は、区別できる履行義務の識別、契約の変更の会計処理、および貨幣の時間価値の会計処理等のさまざまな論点について、詳細なガイダンスを提供している。
・返品権付きの販売、追加の財またはサービスに対する顧客の選択権、本人か代理人かの検討、ライセンス、および請求済未出荷(bill-and hold)契約等のトピックについては、詳細な適用指針が含まれている。
・本基準は、契約を履行するためのコストおよび契約を獲得するためのコストに関する新たなガイダンスも導入しており、そのようなコストについて資産化が要求される状況を明確化している。資産化のための規準を満たさないコストについては、発生時に費用化される。
・本基準は、IFRS報告企業の財務諸表における、収益についての新たな拡大された開示要求を取り入れている。

発効日

IFRS第15号は、2017年1月1日以後開始する期間における企業の最初の年次IFRS財務諸表より適用される。本基準の適用は強制であり、早期適用は認められる。2017年1月1日より前にIFRS第15号を適用することを選択する企業は、その旨を開示しなければならない。

2017年という発効日が設定された理由の1つには、企業が新基準への準拠のために必要となる可能性があるシステムやプロセスの変更を行うための時間への考慮がある。


IASBプレス・リリース (IASBのWebサイト)
IASBプロジェクトサマリーおよびフィードバックステートメント (IASBのWebサイト)
ニュースレター「IFRS in Focus – IASBが収益認識に関する新基準を公表」 (トーマツのWebサイト)
FASBプレス・リリース (FASBのWebサイト)
IASB収益プロジェクトの経緯 (IAS Plus)
IFRS第15号の概要 (IAS Plus)
ロバート・ブルース氏の本プロジェクトに関するコラム (IAS Plus)
本プロジェクトの特定の業界への影響についてのショートビデオ (IAS Plus)

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