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SECが、米国におけるIFRSの新しいアプローチを提案する可能性

IAS Plus 2014.12.04

米国商工会議所が主催する会議で、米国証券取引委員会(SEC)の主任会計士が、米国における国際財務報告基準(IFRSs)についての可能性のある方向性に関する見解を示し、IFRSsへの別のアプローチが、近い将来公表される可能性があることを示唆した。 (IAS Plus 2014.12.04)

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米国商工会議所が主催する財務報告の将来(the future of financial reporting)に関する最近の会議で、米国証券取引委員会(SEC)の主任会計士、ジム・シュヌアー(Jim Schnurr)氏が、米国における国際財務報告基準(IFRSs)についての可能性のある方向性に関する見解を示した。そこで、米国におけるIFRSsへの別のアプローチが、近い将来公表される可能性があることを示唆した。彼は、収益認識およびリースのコンバージェンス・プロジェクトに関する見解についても示した。

IFRSに関するSECのプラン

彼が時間を費やしたことに関するオープニング・コメントにおいて、シュヌアー氏は、彼が取り組んでいる「最初の仕事(the first thing)」はIFRSsであると述べた。彼は、可能性のある次のステップが何であるかについての個人的な意見に移る前に、米国の会社によるIFRS使用の検討を進めることについて、メアリー・ジョー・ホワイト(Mary Jo White)SEC委員長の2014年の以前のコメント(トーマツのWebサイト※1 )を振り返った。

議論の過程において、しばしば繰り返されたテーマについて、シュヌアー氏は、「第一に、私の助言や提案(counsel or recommendations)は、米国投資家にとって最も利益(best interests)となる必要がある」と述べた。とはいうものの、米国は、「依然として、一組のグローバルな基準をコミット」しており、このコミットメントは、米国投資家のニーズに照らして検討されるべきであるとの彼の考えを強調した。

外国登録企業に米国会計基準との調整なしにIFRSの財務諸表を提出(IAS Plus-英語※2)することを認めた、2007年のSECの動向を振り返り、シュヌアー氏は、他の基準がより乖離(more diverged)するなか、IASBとFASBとの間で、多数の基準が多くの側面で極めて整合されていることを含め、その当時からの「状況において大変重要な変化」を述べた。しかし、彼は次のように続けた。

「米国の投資家が、米国の登録企業によるIFRS使用の顕著な増加を期待する、大きな需要と呼べるものは無いように思われる。」

そして、シュヌアー氏は、以下の事項を含む、米国におけるIFRS使用に関する、以前の3つの代替案の概要を述べた。

  • 「IASBに主導権を渡す(turning the keys over to the IASB)」と称される、完全なIFRSの適用
  • IFRS財務諸表をファイルするオプションを米国の登録企業に提供する
  • ポール・ベスウィック(Paul A. Beswick)氏(SEC副主任会計士)によって提案された、いわゆる「コンドースメント」アプローチ(IAS Plus-英語※3)

シュヌアー氏は、これらの代替案は、検討を要する法律、法令および実務上の影響があると述べた。そして、彼は、SEC主任会計士の任務についてから、代替案を調査し、SEC委員と議論することにこれまで8週間を費やし、「近い将来に、フィードバックを得る、他の可能性のあるオプションを公表することができる」ことを期待していると述べた。

収益認識

議論は、最近IASBおよびFASBによって公表された、コンバージされた収益基準および適用上の論点の数に移った。シュヌアー氏は、米国財務諸表作成者から提起されている多くの論点があると述べ、彼は、概して3つの区分(buckets)に分けられるとみている。

1. 基準を修正する必要があるかもしれない論点

これらは、IASBおよびFASBが、「達成しようとする明確化に再度試みる」必要があるとシュヌアー氏が考える領域、特にライセンスに関連する収益をアップフロントで計上するか、期間にわたり認識するかを特定することを含んでいた。

2. 過度に基準をテクニカルに解釈すること(over technical reading of the standards)から生じる論点

これらのタイプの論点は、IASBとFASBが通常の収益取引に異なるモデルを導入しようとしていると誤って推察したことから生じたものである(例えば、財の販売と出荷を複数の履行義務に分ける)。多様性を排除するため、これらのタイプの疑問を扱うプロセスが必要とされる。

3. 上記2つの区分に当てはまらない論点

これらは、解釈指針を必要とする可能性がある論点である。

特に、米国の事情から生じる論点の数の視点から、シュヌアー氏は、論点のボリュームについて懸念を表明した。また、同一の取引の結果における一貫性の重要性を述べ、それが米国市場の根本的な強みであるとの見解を示した。彼は、収益認識に関する会計方針を策定するにあたり、道理にかなった判断を適用する企業に問題はないが、実務上多様性が生じる場合、基準が「充分に規定(sufficiently articulated)」されていないことを示しているかもしれないと述べた。

米国投資家の重要性に関する先のコメントに戻り、シュヌアー氏は、FASBとSECがこの種の多様性を除外したいと考えており、FASBは、このような状況において、コンバージェンスされた基準から乖離する可能性があると述べた。本セッションの後半において、グローバルの視点に戻り、シュヌアー氏は、収益認識プロジェクトがグローバル・ベースの業界内および業界間に多様性を生じる結果となるならば、これは「失敗(failure)」と考えられるとの見解を述べた。

リース・プロジェクト

リースプロジェクトに関する聴衆の質問に答えて、シュヌアー氏は、この分野におけるFASBとIASBのコンバージェンスの欠如に関する懸念に回答した。彼の見解では、米国の投資家は、リースを貸借対照表にオンバランスすることは好ましく思っているが、損益計算書に定額で費用処理することが望ましいと考えていると述べた。そのため、FASBは、これらの提案に対するニーズに対応し、米国投資家の最大の利益(best interest)が、「コンバージェンスに切り札を出す」ことになる。

シュヌアー氏は、ワシントンDCで2014年12月8-10日に開催された最近のSECおよびPCAOBの動向に関する2014年AICPA会議で、講演している。

※1≫2014.05 SECが、「比較的近い将来」にIFRSについて多くを言及 (トーマツのWebサイト)
※2≫2007.11 US SEC votes to drop the IFRS reconciliation (IAS Plus-英語)
※3≫2011.05 SEC staff paper explores the 'condorsement' approach for IFRS adoption in the US(IAS Plus-英語)

セッション「The Future of Financial Reporting」のWebcast (米国商工会議所のWebサイト-英語)

 

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