ナレッジ

IASBがIFRS第15号の明確化を提案

IAS Plus 2015.07.31

国際会計基準審議会(IASB)は、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の明確化を提案する公開草案(ED/2015/6)を公表した。コメント期限は、2015年10月28日である。(IAS Plus 2015.07.31)

関連コンテンツ

国際会計基準審議会(IASB)は、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の明確化を提案する公開草案(ED/2015/6)を公表した。コメント期限は、2015年10月28日である。

背景
2014年5月28日、IASBはIFRS第15号(※1)「顧客との契約から生じる収益」を公表した。FASBの「ASU(会計基準更新書)2014-09」と実質的に同等である新収益基準の公表後、IASBとFASBは、新基準の適用を支援するために合同の収益認識移行リソース・グループ(※2)(TRG)を設置した。TRGが議論した大多数の論点は、基準設定活動を必要とせず解決された。しかし、5つの論点(履行義務の識別、本人か代理人かの検討、ライセンス、回収可能性および現金以外の対価の測定)は、両審議会による検討を要する論点として識別された。さらに、一部の利害関係者が、実務上の便法の要請も行った。5つの論点と実務上の便法について検討した結果、IASBは、IFRS第15号の3つの分野と移行時の救済措置に関する修正を提案することを決定した。

変更案
ED/2015/6「IFRS第15号の明確化(IFRS第15号の修正案)」で提案されている修正は、識別された5つの論点の内の3つの論点(履行義務の識別、本人か代理人かの検討およびライセンス)を取り扱うと共に、変更が行われた契約と完了した契約についての移行時の救済措置を提案している。IASBは、回収可能性と現金以外の対価の測定についてはIFRS第15号の修正が必要ないと結論付けている。これらを決定する際に、IASBは、企業のIFRS第15号の適用に対する支援と、適用プロセスを妨げない事のバランスの必要性を考慮している。

【履行義務の識別】
IFRS第15号は、約束した別個の財またはサービスを基礎として、企業に履行義務を識別することを要求している。「別個」の概念を明確にするため、IASBは、IFRS第15号の設例の修正を提案している。

【本人か代理人かの検討】
他の当事者が顧客への財またはサービスの提供に関与する場合、IFRS第15号は、顧客への移転前に当該財またはサービスを企業が支配しているかどうかを基礎として、企業が当該取引において本人であるか代理人であるかを決定することを要求している。支配の評価方法を明確にするため、IASBは、本論点に関する適用指針の修正および拡大、既存の一部の設例の修正、ならびに2つの設例の追加を提案している。

【ライセンス】
企業が他の財またはサービスとは別個であるライセンスを付与する場合、企業は、顧客が権利を有する知的財産に著しく影響を与える活動を企業が行うことを契約が要求するかどうかを基礎として、ライセンスが一時点で移転するのか一定の期間にわたり移転するのかを決定する。どのような場合に企業の活動が知的財産に著しく影響を与えるのかを明確にするため、IASBは、本論点に関する適用指針といくつかの設例の修正および拡大を提案している。さらに、IASBは、ロイヤルティの制限の適用に関して適用指針の拡大を提案している。

【移行時の救済措置】
IASBは、IFRS第15号への移行に関して2つの実務上の便法の追加を提案している。
・企業は、表示する最も古い期間の期首より前に変更された契約において充足した履行義務と未充足の履行義務の識別と取引価格の決定に、事後的判断を使用することができる。
・ 完全遡及法を選択した企業は、表示する最も古い期間の期首現在で完了している契約にIFRS第15号を遡及適用する必要がない。

【その他の論点】
公開草案では、IASBは、回収可能性、現金以外の対価の測定および売上税の表示に関する実務上の便法についてIFRS第15号の修正は必要ないとする評価に利害関係者が賛成するかどうかも、個別に質問している。

反対意見
1名のIASBメンバーは、本公開草案の公表に反対した。このIASBメンバーは、明確化案と移行時の救済措置の追加のすべてに賛成しているが、本提案を遡及適用する提案に反対している。

FASB
FASBは、収益基準についてより広範な修正を提案することを決定している。履行義務の識別とライセンスに関する最初の会計基準更新書(ASU)案は、2015年5月(※3)に公表された。本人か代理人かの検討の明確化、回収可能性、現金以外の対価の測定、および移行と売上税の表示に関する実務上の便法を取り扱う2つ目のASU案は、2015年後期での公表が予想されている。IASBの公開草案の結論の根拠では、両審議会が異なる決定に到達したことの結果として、異なる結果がもたらされる可能性があることが言及されている。

次のステップ
IASBは、2015年末までに再審議を終了させる予定である。公開草案には発効日案は含まれていないが、IASBは、IFRS第15号の改訂後の発効日(※4)と一致する発効日とするために十分な時間が設けられるように修正案を最終化することを目標としている。

※1≫「IASBとFASBがコンバージェンスされた収益基準を公表」 (デロイト トーマツのWebサイト)
※2≫‘Joint Transition Resource Group for Revenue Recognition’(IAS Plus-英語版)
※3≫「米国財務会計基準審議会(FASB)がライセンスおよび履行義務の識別に関する収益の会計基準更新書(ASU)を提案」(デロイト トーマツのWebサイト)
※4≫「IASBがIFRS第15号の発効日の延期を議決」(デロイト トーマツのWebサイト)
  

お役に立ちましたか?