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IASBが重要性に関する実務記述書案を公表

IAS Plus 2015.10.28

国際会計基準審議会(IASB)は、IFRS実務記述書案「財務諸表への重要性の適用」(PS)の公開草案(ED)を公表した。PSは、重要性の概念を説明・解説すること、および、財務諸表作成者が当該概念を適用する際に役立つことを目的としている。コメント期限は、2016年2月26日である。(IAS Plus 2015.10.28)

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国際会計基準審議会(IASB)は、IFRS実務記述書案「財務諸表への重要性の適用」(PS)の公開草案(ED)を公表した。PSは、重要性の概念を説明・解説すること、および、財務諸表作成者が当該概念を適用する際に役立つことを目的としている。コメント期限は、2016年2月26日である。
 
背景
IASBは、アジェンダ・コンサルテーション2011年(IAS Plus-英語※1)への対応の一環として2012年12月に開示イニシアティブ(IAS Plus-英語※2)を開始した。重要性に関するプロジェクト(IAS Plus-英語※3)は、2014年3月に開示イニシアティブに追加された。プロジェクトの目的は、作成者、監査人および規制機関が、財務報告書の有用性を高めるために、重要性の概念を適用する際に判断を用いることに役立つことである。IASBが最終的に公表しようとしているのは、基準書ではなく実務記述書である。したがって、IFRSを適用する企業は、企業の法域による特段の要求がない限り、当実務記述書に準拠することは要求されない。さらに、実務記述書に準拠していなくても、他の点ではIFRSに準拠している場合には、企業の財務諸表がIFRSに準拠することを妨げるものではない。
 
ガイダンス案
IFRS実務記述書「財務諸表への重要性の適用」(ED/2015/8)のガイダンス案は、経営者が重要性の概念を適用する際に役立つ説明と設例を提供することを目的としている。ガイダンスは、3つの主要な分野(重要性の特性、財務諸表の表示と開示、脱漏(omissions)および誤表示(misstatement))を取り扱っている。認識および測定の要求事項を適用する際の重要性の適用に関する短いセクションも含んでいる。

重要性の特性
PSは、公開草案「財務報告に関する概念フレームワーク」(ED/2015/3)(※4)における重要性の定義を基礎としている。本公開草案は、「情報は、その脱漏または誤表示により、特定の報告企業に関する財務情報に基づいて一般目的財務報告書の主要な利用者が行う意思決定に影響する可能性がある場合には、重要性がある」と記述している。PSは、重要性は、一般目的財務報告書の作成に共通のものであり、主要な財務報告書全体として検討する必要があると述べている。IASBは、情報が主要な利用者の意思決定に影響することが合理的に見込まれるかどうかを評価するためには、判断を適用する必要があることを認めている。PSは、情報が重要かどうかの評価は、個別ベースと集合ベースの両方であり、全体としての評価も必要であり、かつ、定性的および定量的要素の評価が含まれる、と述べている。

財務諸表の表示および開示
PSは、財務諸表作成時に、経営者は、企業への将来の正味キャッシュ・インフローに関する見通しおよび企業の資源に対する経営者の受託責任を評価する際に利用者にとって有用な情報を提供する目的を考慮すべきであるとしている。この目的は、重要性の判断のための文脈を提供し、財務諸表の異なる部分において異なる重要性の評価につながる可能性がある。IASBは、財務諸表を、全体的に適切に組合わされ、バランスの取れた情報を含む包括的な書類とするために、3つのステップ(どの情報を主要な財務諸表に表示すべきかの評価、どの情報を注記において開示すべきかの評価(適切な強調の評価を含む)、そして、財務諸表全体としてのレビュー)を提案している。IASBは「IFRSが、企業が重要性のない情報を開示することを禁じてはいない」ことを認めているとしても、重要性のない情報により重要性のある情報を覆い隠すこと、または、異なる性質または機能を有する重要な項目を集約することにより、企業が財務諸表の理解可能性を低下させるべきではないとも述べている。

脱漏および誤表示
PSは、識別された誤謬または脱漏の重要性は、個別および財務諸表全体を基礎として評価する必要があると述べている。そのため、相殺し合う重要性のある誤表示または脱漏も財務諸表の重要性のある誤表示とみなされる。PSは、意図的な誤表示は、つねに重要性のある誤表示とみなされるとも述べている。

認識および測定
PSは、重要性の検討が、IFRSの要求事項を適用しない影響に重要性がないと考えられるために特定の項目を認識する際にIFRSの要求事項を適用しないという判断にも適用されるとしている。PSは、一部の企業は、この理由により実務上の便法を選択する可能性があることを強調している。しかし、PSは、その影響に重要性がある場合には、認識および測定の要求事項を適用する必要があり、重要性のある誤謬(error)、または企業の財政状態、財務業績またはキャッシュ・フローに関する特定の表示を達成するために意図的に行われた重要性のない誤謬を含む場合、当該財務諸表はIFRSに準拠していないとも述べている。
 
適用開始および移行措置
PS案は強制適用されるIFRSではないため、発効日案や移行ガイダンスを含んでいない。IASBは、概念フレームワーク(※4)および開示原則プロジェクト(IAS Plus-英語※5)の開発次第で、最終化後であっても追加の変更を行うかもしれないともしている。
 
※1≫“Agenda consultation 2011 ”(DeloitteのIAS Plus-英語)
※2≫“Disclosure initiative — Overview”(DeloitteのIAS Plus-英語)
※3≫“Disclosure initiative — Materiality”(DeloitteのIAS Plus-英語)
※4≫「IASBが改訂概念フレームワークの公開草案を公表」(デロイト トーマツのWebサイト)
※5≫“Disclosure initiative —  Principles of disclosure”(DeloitteのIAS Plus-英語)

 

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