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IASBが、IFRS第9号と保険契約の新基準における異なる発効日についての懸念に対処する修正を提案

IAS Plus 2015.12.09

国際会計基準審議会(IASB)は、IFRS第9号「金融商品」と保険契約の新基準における異なる発効日についての懸念に対処する、IFRS第4号「保険契約」の修正を提案する公開草案(ED/2015/11)を公表した。コメント期限は、2016年2月8日である。(IAS Plus 2015.12.09)

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国際会計基準審議会(IASB)は、IFRS第9号「金融商品」と保険契約の新基準における異なる発効日についての懸念に対処する、IFRS第4号「保険契約」の修正を提案する公開草案(ED/2015/11)を公表した。コメント期限は、2016年2月8日である。

背景
保険契約に関するIFRSの発効日を、IFRS第9号「金融商品」の発効日に揃えることができないことが明確になったため、保険活動に対するIFRS第9号の適用を延期させ、保険活動に対するIFRS第9号の発効日を保険契約の新基準の発効日に揃えるよう、IASBに要請があった。延期の提案者は、以下を主張した。

•異なる発効日は、会計上のミスマッチと、財務諸表利用者が理解し難いかもしれない純損益のボラティリティをもたらす。
•保険の新基準の詳細すべてを知り得た企業の決定と異なる可能性があるため、保険契約の新基準が最終化される前にIFRS第9号(IAS Plus-英語※1)の新しい分類および測定要求事項の適用について決定を下すことは困難である。
•比較的短期間に2つの主要な会計処理の変更に対処しなければならないことは、(作成者にとっても利用者にとっても)著しく多大な費用と労力を伴う可能性がある。

IASBは、これらの懸念を認識したため、IFRS第9号および保険契約の新基準における異なる発効日について表明された懸念に対処するため、IFRS第4号(IAS Plus-英語※2)「保険契約」を修正することを提案する。

変更案
公開草案ED/2015/11「IFRS第4号「保険契約」におけるIFRS第9号「金融商品」の適用(IFRS第4号の修正案)」で提案された修正は、IFRS第4号の範囲に含まれる保険契約を発行する企業に以下の2つの選択肢を提供することを意図している。
•指定された金融資産から生じる収益または費用を、純損益からその他の包括利益に分類変更すること許容する選択肢(オーバーレイ・アプローチ(overlay approach)と呼ぶ)
•IFRS第4号の範囲内にある契約を発行することが大半を占める主要な(prediminant )活動とする企業に、任意の一時的なIFRS第9号の適用除外の選択肢(延期アプローチ(deferral approach)と呼ぶ)両アプローチの適用は任意であり、保険契約の新基準が適用される前に、これらの適用を中止することが許容される。

オーバーレイ・アプローチ:オーバーレイ・アプローチを形成する修正は、企業がIFRS第4号で会計処理される契約を発行する企業で、IFRS第4号に関連してIFRS第9号を適用し、かつこれまでIAS第39号(IAS Plus-英語※3)に従い「償却原価」または「売却可能」に分類した金融資産を、IFRS第9号に従うと「純損益を通じて公正価値」に分類する場合、IFRS第9号に従うと純損益に認識される金額と、IAS第39号「金融商品:認識および測定」に従い純損益に認識される金額との差額を、純損益から除外してその他の包括利益に認識することを許容する。
オーバーレイ・アプローチの適用では、財務諸表利用者が、報告期間に分類変更された金額をどのように算定し、財務諸表に対する分類変更の影響を理解できるよう、十分な情報の開示が要求される。最初にIFRS第9号を適用する際に、適格な金融資産に遡及的にオーバーレイ・アプローチを適用する。

延期アプローチ:延期アプローチを構成する修正では、これまでどのバージョンのIFRS第9号も適用しておらず、かつ大半を占める主要な活動がIFRS第4号の範囲に含まれる契約を発行することである場合、2021年1月1日より前に開始する事業年度に、IFRS第9号ではなくIAS第39号を適用することを許容する。企業は、IFRS第4号の範囲に含まれる契約から生じる負債の帳簿価額と負債の帳簿価額の総額とを比較することにより、その大半を占める主要な活動がIFRS第4号の範囲に含まれる契約を発行することであるかどうかを決定する。IASBは、「大半を占める主要なもの(predominance)」かついて、特定の定量的閾値を特定していないが、「大半を占める主要なもの」は高い閾値を意図しており、75%の負債が保険活動によるものであることは「高い」には適格ではないということが、結論の根拠に示されている。IASBは、報告企業レベルで「大半を占める主要なもの」かを評価する必要があることも維持する。最後に、IASBは、延期アプローチを適用するが、事後の報告期間で「大半を占める主要なもの」の閾値を下回る企業は、次の事業年度の期首からIFRS第9号を適用する必要がある。企業は、2018年1月1日以後開始する事業年度に延期アプローチを適用する。延期アプローチの適用は、その適用理由と共に開示する必要がある。延期は、2018年1月1日以降の3年間のみに使用できる。

代替的見解
3名の理事は、保険活動が大半を占める主要な活動である企業にIFRS第9号適用の一時的免除を提供する提案に賛成しないため、EDの公表に反対票を投じた。これらの理事は、延期アプローチは、保険契約を発行する企業間についても含め、比較可能性を減少させると主張している。彼らは、寄せられた懸念は認識しているが、オーバーレイ・アプローチが十分な免除を提供しており、IFRS第9号適用の一時的な免除は不必要であるという意見である。彼らは、延期アプローチが制限される3年のスパンを超えて、保険契約プロジェクトに遅延が生じるかもしれないことも懸念した。

次のステップ
公開草案ED/2015/11「IFRS第4号「保険契約」におけるIFRS第9号「金融商品」の適用(IFRS第4号の修正案)」は、コメント期間が60日である。IASBは、デュー・プロセス・ハンドブックは、事象が狭い範囲で、かつ急を要する場合、120日の基本的な最短期間よりも短いコメント期間を許容しており、IASBは、本修正がこのケースにあたると考えている。IASBは、本提案に関して受領するコメントを考慮して、可能な限り再審議を2016年内に完了させる予定である。

※1≫’IFRS 9 — Financial Instruments’(DeloitteのIAS Plus-英語版)
※2≫’IFRS 4 — Insurance Contracts’(DeloitteのIAS Plus-英語版)
※3≫’IAS 39 — Financial Instruments: Recognitionand Measurement’(DeloitteのIAS Plus-英語版)

プレス・リリース(IASBのWebサイト)
公開草案(PDF:IASBのWebサイト)
スナップ・ショット(PDF:IASBのWebサイト)
≫’Different effective dates of IFRS 9 and the new insurance contracts standard’(DeloitteのIAS Plus-英語版)

IFRS in Focus 「IASBがIFRS第9号とIFRS第4号を置き換える保険契約の新基準との発効日の相違に関する懸念に対処するためにIFRS第4号の修正を提案」

 

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