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IASBがIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の明確化を公表

IAS Plus 2016.04.12

IASBは、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の明確化の最終版を公表した。本修正は、2018年1月1日以後開始する事業年度から発効(IFRS第15号自体の発効日と同日)し、早期適用は認められる。(IAS Plus 2016.04.12)

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国際会計基準審議会(IASB)は、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の明確化の最終版を公表した。本修正は、2018年1月1日以後開始する事業年度から発効し(IFRS第15号自体の発効日と同日)し、早期適用は認められる。 

背景
2014 年5 月28日、IASBは、IFRS第15号(※1)「顧客との契約から生じる収益」を公表した。FASBの「ASU(会計基準更新書)2014-09」と実質的に同じである新収益基準の公表後、IASBとFASBは、当該新基準の適用を支援するために、収益認識移行リソース・グループ(※2)(TRG)を共同で結成した。TRGで議論された論点の大多数は、基準設定活動の必要性なしに解決された。しかし、5つのトピック(履行義務の識別、本人か代理人かの検討、ライセンス供与、回収可能性、現金以外の対価の測定)については、両審議会による検討を要するものとして識別された。さらに、一部の利害関係者は、実務上の便法を求めた。5つのトピックと考えられる実務上の便法を検討した結果、IASBは、IFRS第15号の3つの分野と移行時の救済措置に関する修正を2015年7月に提案(※3)した。本公開草案における修正案が、今回最終化された。 

 変更点
「IFRS第15号『顧客との契約から生じる収益』の明確化」における修正は、識別された5つの論点の内の3つの論点(履行義務の識別、本人か代理人かの検討およびライセンス供与)に対処するとともに、変更が行われた契約と完了した契約についての移行時の救済措置を提供している。IASBは、回収可能性と現金以外の対価の測定についてはIFRS第15号の修正が必要ないと結論付けた。これらを決定する際に、IASBは、企業のIFRS第15号の適用に対する支援と、適用プロセスを妨げないことのバランスの必要性を考慮している。 

【履行義務の識別】
IFRS第15号は、約束した別個の財またはサービスを基礎として、企業に履行義務を識別することを要求している。「別個」の概念を明確にするため、IASBは、顧客に財またはサービスを移転する約束を評価する際の目的は、(契約の観点において)約束の性質が、財またはサービスのそれぞれを独立して移転することなのか、それとも当該財またはサービスがインプットとなる複合された項目を移転することなのかを判断することであることを明確化した。 

【本人か代理人かの検討】
他の当事者が顧客への財またはサービスの提供に関与する場合、IFRS第15号は、顧客への移転前に当該財またはサービスを企業が支配しているかどうかを基礎として、企業が当該取引において本人であるか代理人であるかを決定することを要求している。支配の評価方法を明確にするため、IASBは、本論点に関する適用指針の修正と拡大を行い、特に次のことを強調している。

•企業は、自らが本人であるのか代理人であるのかを、顧客に約束した特定された財またはサービスのそれぞれについて判断し、企業は、ある特定された財またはサービスについて本人であり、他の特定された財またはサービスについて代理人である可能性があること

•支配を評価するために提供されている指標は、決定的なリストではないこと

•提供されている指標は、特定された財またはサービスの性質および契約の条件に応じて、支配の判定への関連性が高い場合も低い場合もあり、異なる契約においては、説得力のより高い証拠を提供する指標が異なる可能性があること 

【ライセンス供与】
企業が他の財またはサービスとは別個であるライセンスを付与する場合、企業は、顧客が権利を有する知的財産に著しく影響を与える活動を企業が行うことを契約が要求するかどうかを基礎として、ライセンスが一時点で移転するのか一定の期間にわたり移転するのかを決定する。どのような場合に企業の活動が知的財産に著しく影響を与えるのかを明確にするため、IASBは、適用指針を修正し、特に次のいずれかの場合に、活動が知的財産に著しく影響を与えることを強調している。

•当該活動が、知的財産の形態または機能性を著しく変化させると見込まれること

•知的財産から顧客が便益を得る能力が、実質的に当該活動から得られるかまたは当該活動に依存している。

さらに、IASBは、ロイヤルティの制限の適用に関して適用指針を拡大している。 

【移行時の救済措置】
IASBは、2つの実務上の便法を追加している。いずれも、選択適用である。

•完全遡及法を選択している企業は、表示する最も古い期間の期首現在で完了している契約を修正再表示する必要はない。

•表示する最も古い期間の期首よりも前に条件変更された契約について、企業は、当該契約を修正再表示する必要はなく、その代りに、表示する最も古い期間の期首よりも前に行われたすべての条件変更の合計の影響を反映する(本便法は、本基準の適用開始による累積的影響を認識する企業について、適用開始日にも利用可能である) 

代替的見解
1名のIASB理事は、本修正の公表に反対票を投じた。このIASB理事は、明確化と追加的な移行時の救済措置のすべてに賛成しているが、当該修正が、あたかも適用開始日のIFRS第15号に含まれていたかのように、当該修正を遡及適用することを企業に要求するという提案に反対している。このことは、IFRS第15号の早期適用を認めることと不整合だからである。 

FASBとの相互関係
FASBは、収益基準の修正について、より段階的なアプローチを採用し、より広範な修正の公表を決定している。本人か代理人かの検討に関する適用ガイダンスの修正の最終版は、2016年3月に公表された。履行義務の識別とライセンス供与に関する修正の公表は、近日中に予定されている。その他の狭い範囲の修正と移行時の実務上の便法の修正については、その少し後の公表が予定されている。

また、IASBは、利害関係者はIFRS第15号のこれ以上の変更がない事を確信して適用プロセスを継続できることを知る必要があるという見解であるため、TRG会議に今後参加しないことを公表(※4)した。一方、FASBは、適用上の論点に対処することを継続し、2016年には3回のTRG会議を予定していることを2月に公表(※5)した。


プレス・リリース(IASBのWebサイト-英語)

※1≫「IASBが収益認識に関する新基準を公表」 (デロイト トーマツのWebサイト)

※2≫‘Joint Transition Resource Group for Revenue Recognition’(IAS Plus-英語版)

※3≫「IASBがIFRS第15号の明確化を提案」 (デロイト トーマツのWebサイト)

※4≫「IASBがTRGの再度の会合を予定していないと言及」(デロイト トーマツのWebサイト)

※5≫「収益認識に関する移行リソースグループ(TRG)のFASB関係者は会議を継続予定」(デロイト トーマツのWebサイト)


≫IFRS in Focus 「IASBがIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の明確化を公表」(デロイト トーマツのWebサイト)

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