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IASBが、負の補償を伴う期限前償還要素および金融負債の条件変更に関するIFRS第9号の修正を最終化

IAS Plus 2017.10.12

国際会計基準審議会(IASB)は、「負の補償を伴う期限前償還要素」(IFRS第9号の修正)を公表した。(IAS Plus 2017.10.12)

国際会計基準審議会(IASB)は、「負の補償を伴う期限前償還要素」(IFRS第9号の修正)を公表した。これはIFRS第9号「金融商品」が特定の期限前償還可能な金融資産を分類する方法に対する懸念に対処したものである。さらに、IASBは、条件変更された金融負債の会計処理を明確化している。


背景

2016年に、IFRS解釈指針委員会(IFRS IC)は、特定の期限前償還可能な金融資産について、IFRS第9号「金融商品」を適用することでどのような分類となるかを質問する要望書を受け取った。IFRS ICは、IFRS第9号「金融商品」に基づいて、特定の期限前償還オプションは、これ以外は元本および利息の支払のみ(SPPI)である契約上のキャッシュ・フローの特性を有する金融商品を、償却原価またはその他の包括利益を通じて公正価値で測定すべきものから除外することになることに留意した。この場合に問題となるのは、貸手が元本および利息の未払額よりも大幅に低い金額で期限前償還を受け入れことが強制される可能性がある場合の期限前償還要素である。なぜなら、これは貸手による「借手への」支払であり、「借手から」貸手への補償ではないからである。IFRS ICは、償却原価測定の使用はこの場合において有用な情報を提供し得ることに納得し、IASBに対してIFRS第9号の狭い範囲の例外に追加することを求めた。

IASBはIFRS ICの論拠に従い、公開草案ED/2017/3「負の補償を伴う期限前償還要素」(IFRS第9号の修正案)を2017年7月に公表した。公開草案において、それ以外は元本および利息の支払のみである契約上のキャッシュ・フローの特性を有するものの、期限前償還要素ゆえに償却原価またはその他の包括利益を通じて公正価値の測定に適格とならない特定の金融資産について、IFRS第9号の狭い範囲の例外を提案した。IASBは、次の2つの条件に合致する場合は、そのような金融資産は、(企業のビジネスモデルに従って)償却原価またはその他の包括利益で測定することに適格であることを提案している。

  • 期限前償還の金額が元本および元本残高に対する利息の支払のみではないという評価が、契約を早期に終了することを選択した当事者が、そうするために追加的な補償を受け取る可能性があるという事実のみに基づいている。
  • 企業が、当該金融資産を当初認識する時点で、期限前償還要素の公正価値が僅少である。

 

変更

「負の補償を伴う期限前償還要素(IFRS第9号の修正)」での修正は次のとおりである。


対称的な期限前償還オプションに関する変更

現在のIFRS第9号の要求事項では、借手による終了であっても貸手が清算金(早期償還益と言われることもある。)を支払われなければならない場合には、SPPIの条件に合致しない。

「負の補償を伴う期限前償還要素」は、終了する権利に関するIFRS第9号の現在の要求事項を修正して、負の補償を支払う場合であっても、償却原価(または、ビジネスモデルによってはその他の包括利益を通じて公正価値)で測定することを可能にしている。

当修正では、償還金額の符号は関係ない。すなわち、終了の時点での実勢金利に応じて、早期償還を実行する契約当事者に支払いが行われる場合もある。この補償の支払の計算は、早期償還ペナルティの場合も早期償還益の場合も同じである。

再審議の間、IASBは、公開草案ED/2017/3で提案された2つ目の適格要件(当初認識時の期限前償還要素の重要ではない公正価値)については、確認しないことを決定した。
 

金融負債の条件変更に関する明確化

最終修正では、結論の根拠において、償却原価で測定される金融負債の条件変更および交換のうち、金融負債の認識の中止とならない場合の会計処理についての明確化も含まれている。IASBは、企業が条件変更または交換の日に、条件変更または交換から生じる金融負債の償却原価に対する修正を純損益に認識することを明確化している。そのため、過去に実効金利を変更していて償却原価の金額を修正していない場合、会計処理の遡及的な変更が必要となる。

 

発効日および経過措置

本修正は2019年1月1日以後開始する会計年度から遡及的に適用される。すなわち、IFRS第9号の現在のバージョンを最初に適用してから1年後である。早期適用が認められており、企業が望む場合には、IFRS第9号と一緒に修正を適用することができる。修正を最初に適用する時には、追加の経過措置と付随する開示要求に従わなければならない。

 

追加情報

下記リンクを参照:
IASBプレスリリース(IASBのWebサイト-英語)
負の補償を伴う期限前償還要素に関する提案されたIFRSタクソノミのアップデート(2017年12月11日までコメント募集)(PDF:IASBのWebサイト-英語)
IFRS in Focus「IASBが、「負の補償を伴う期限前償還要素(IFRS第9号の修正)」を公表」(デロイトトーマツのWEBサイト)
IFRS 9-Prepayment features with negative compensation(IAS Plus-英語)
EFRAGステータスレポートの更新(IAS Plus-英語)

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