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IASBが、重要性の定義に関するIAS第1号及びIAS第8号の修正を最終化

IAS Plus 2018.10.31

IASBは、「重要性がある」の定義を明確化し、概念フレームワークで使用される定義と基準を整合させるために、「『重要性がある』の定義」(IAS第1号及びIAS第8号の修正)」を公表した。本修正は、2020年1月1日以後開始する事業年度から適用される。

国際会計基準審議会(IASB)は、「重要性がある」の定義を明確化し、概念フレームワークで使用される定義と基準を整合させるために、「『重要性がある」の定義」(IAS第1号及びIAS第8号の修正)」を公表した。

 

背景

 重要性プロジェクトは、2012年に開始されたIASBの開示イニシアチブの一環として開始された。 本プロジェクトの一環として公表された最初の文書は、2013年5月のフィードバック文書「ディスカッション・フォーラム-財務報告の開示」    (デロイト トーマツのWebサイト-※1)である。本フィードバック文書は、諮問グループからのインプットを踏まえて重要性に関する適用指針または教育マテリアルを開発することを探求する、重要性に関するプロジェクトを含む、多くの追加のイニシアチブを検討するというIASBの意向の概要をまとめている。
 
重要性に関する実務記述書案(デロイト トーマツのWebサイト-※2)は、2015年10月28日に公表された。しかし、その後、ガイダンス案のいくつかは、求められる効果を得るために権威を有する必要があることが明らかになった。そのため、本プロジェクトは、実務記述書の公表を予定する部分と、IAS第1号及びIAS第8号の修正につながることを目的とする部分に分割された。 最終化された実務記述書「重要性の判断の行使」(デロイト トーマツのWebサイト-※3)は2017年9月に公表され、同時に公開草案ED/2017/6「『重要性がある』の定義」(IAS第1号及びIAS第8号の修正案) (デロイト トーマツのWebサイト-※4)が公表された。当該公開草案は、本日最終化された。

 

変更点と変更点の背景にある理由

「『重要性がある』の定義」(IAS第1号及びIAS第8号の修正)における変更点はすべて、「重要性がある」についての改訂された定義に関連するものであり、最終修正から以下のとおり引用する。


情報は、それを省略したり、誤表示したり覆い隠したりしたときに、特定の報告企業についての財務情報を提供する、一般目的財務諸表の主要な利用者が当該財務諸表に基づいて行う経済的意思決定に影響を与えると合理的に予想し得る場合には、重要性がある。


新しい定義の3つの新しい側面に特に注意する必要がある。

  • 覆い隠す。 これまでの定義では、情報の省略または誤表示にのみ焦点が当てられていた。しかし、IASBは、重要性がある情報を省略することが可能である情報で覆い隠すことは、同様の効果をもたらす可能性があると結論付けた。覆い隠すという用語は定義では新規のものであるが、すでにIAS第1号(IAS第1号30A項)の一部にあった。
  • 影響を与えると合理的に予想し得る。 これまでの定義では「影響を与える可能性がある」と言及されていたが、IASBは、その可能性がほとんどないとしても、ほとんどすべてのものが一部の利用者の意思決定に影響を与える「可能性がある」ため、より多くの情報を要求していると理解している可能性があると考えた。
  • 主要な利用者。 これまでの定義では「利用者」のみが言及されていたが、IASBはこれも、開示すべき情報を決定する際に、財務諸表のすべての可能性のある利用者を考慮する必要があるようにあまりにも広く理解されていることを懸念した。

再審議の間、IASBは、何が情報を覆い隠すことを構成するのかについての議論に多くの時間を費やした。 本修正では、特に重要性のある情報が覆い隠される可能性のある5つの方法を強調している。

  • 重要性のある項目、取引または他の事象に関する文言が、あいまいまたは不明確である場合
  • 重要性のある項目、取引または他の事象に関する情報が、財務諸表の異なる場所に散在している場合
  • 類似していない項目、取引または他の事象が、不適切に集約されている場合
  • 類似する項目、取引または他の事象が、不適切に分解されている場合
  • どのような情報が重要であるかが不明確になる程度に、重要な情報が重要でない情報によって隠されている場合

新しい「重要性がある」の定義とそれに付属する説明の項は、IAS第1号「財務諸表の表示」に含まれている。 IAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」における「重要性がある」の定義は、IAS第1号への参照に置き換えられた。

 

発効日

本修正は、2020年1月1日以後開始する事業年度に発効する。 早期適用は認められる。


さらなる情報
下記リンクを参照:

IASBのプレスリリース(IASBのWebサイト-英語)
Deloitteのプロジェクト・ページ Disclosure initiative- Materiality(IAS Plus-英語版)
Deloitteのプロジェクト・ページ Disclosure initiative- Overview(IAS Plus-英語版)

 

※1》IAS Plus 2013.05.28「IASBが、開示に関するフィードバック・ステートメントを公表」(デロイト トーマツのWeb サイト)
※2》IAS Plus 2015.10.28「IASBが重要性に関する実務記述書案を公表」(デロイト トーマツのWeb サイト)
※3》IFRS in Focus 2017.09.14「IASBが、重要性に関する判断の行使に関する実務記述書を公表」(デロイト トーマツのWeb サイト)
※4》IFRS in Focus 2017.09.14「IASBが、IAS第1号およびIAS第8号における『重要性がある』の定義の修正を提案する」(デロイト トーマツのWebサイト)


 

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