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IASBが、財務諸表における全般的な表示及び開示に関する新基準を提案する      

IAS Plus 2019.12.17

IASBは、基本財務諸表プロジェクの成果として、IAS 第1号「財務諸表の表示」を置換えることを意図する新基準「全般的な表示及び開示」の公開草案を公表した。コメントは、2020年6月30日まで募集される。

国際会計基準審議会(IASB)は、IAS 第1号「財務諸表の表示」を置換えることを意図する新基準「全般的な表示及び開示」の公開草案を公表した。コメントは、2020年6月30日まで募集される。

 

背景

アジェンダ協議2015では、回答者が、IASBが開示イニシアティブ及び基本財務諸表プロジェクトを含む、財務諸表の利用者にとって重要なプロジェクトに優先順位を付けることを望んでいることが明らかになった。IASBは、2016年4月に本プロジェクトについての議論を開始した。

IASBは、4つの主要な分野に焦点を当てることを決定した。

  • 純損益計算書における定義された小計及び区分(category)の導入
  • 集約及び分解を改善するための要求事項の導入
  • 財務諸表における経営者業績指標(MPM)の導入および付属する開示
  • キャッシュ・フロー計算書の対象を絞った改善の導入 

2019年5月にIASBは、ディスカッションペーパーが不要であり、次のプロジェクトの段階として、IAS第1号「財務諸表の表示」を置換える新基準の公開草案を開発することを決定した。IAS第1号の関連する要求事項は、限定的な文言の変更の上新基準に引き継がれる。IAS第1号の他の要求事項は、IAS第 8号(「作成の基礎、会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」に変更される)、及び IFRS第7号に移動する。 

 

主要な提案

上記の4つの分野について、公開草案ED/2019/7「全般的な表示及び開示は、以下を提案する。

  • 純損益計算書における定義された小計及び区分の導入は、追加的な関連性のある情報及び企業間でより比較可能なP&Lの構造を目指している。提案には以下が含まれる。

    ・全ての企業に、純損益計算書において営業利益または損失の小計を表示することを要求する。営業利益は、税引前、投資(個別にかつ企業が保有しているその他の資源からおおむね独立して生み出される投資からのリターンと定義)、財務(企業の財務活動に関連する資産及び負債から生じる収益及び費用と定義)、及び不可分な関連会社および共同支配企業の持分法投資損益反映前の、継続事業からの利益として定義される。項目が「通例でない」かどうかは、それが営業利益に含まれるかどうかに影響を与えない。金融企業における営業利益については、別個のアプローチ案がある。

    ・企業に、財務業績計算書及びキャッシュ・フロー計算書において、「不可分」及び「不可分でない」関連会社及び共同支配企業を表示することを要求する。企業と関連会社または共同支配企業との間の重大な相互依存性が、関連会社または共同支配企業が企業の主な事業活動に不可欠であることを示す。(定義は、共同支配企業または関連会社が「不可分」または「不可分でない」かどうかを決定するための指標で補完される。)

    ・EBITDAを定義するのではなく、現在使用されており明確に理解されている多くのEBITDA指標と同様の情報を提供することとなる「減価償却及び償却前の営業利益または損失」を使用する。

 

  • 集約及び分解を改善する要求事項の導入は、追加的な関連性のある情報を提供し、重要な情報が覆い隠されないことを確保することを目的としている。提案には以下が含まれる。

    ・営業費用の分析について、性質別または機能別で表示するかのフリー・チョイスを削除する。代わりに、IASBは、この評価を行う際に企業が考慮する一連の要素を提供することを提案している。純損益計算書が機能別の分析を表示する場合、各表示項目を、注記において性質別に分析する要求事項はない(分析は、営業費用の総額で行う。)。

    ・個々の取引または他の事象から生じる資産、負債、資本、収益及び費用を識別し、それらを共有する特徴に基づいてグループに分類し、少なくとも1つの特徴を共有する基本財務諸表における表示項目にし、それらの表示項目を追加的な特徴に基づいて区分し、注記において重要性のある項目を別個に開示することを、企業に要求する。関連性のある情報を覆い隠さないように、類似しない特徴を持つ重要性のない項目を集約する必要があるかもしれない。企業は、記述的な名称を使用するか、それが不可能な場合は、そのような集約された項目構成に関する情報を注記で提供する必要がある。

    ・通例でない収益及び費用を、その種類及び金額が類似している収益または費用が将来の数報告年度に発生しないことが合理的に予想できる場合に、予測価値が限定的な収益及び費用として定義する。現在の価値(current value)で測定される項目の経常的な再測定から生じる収益及び費用は、通例でないとして分類されることはないと予想される。通例でない収益及び費用は、純損益計算書において表示されている表示項目に分解し、企業が純損益計算書において機能別に費用を分析している場合、性質別による営業費用の分析において開示されている表示科目に分解する。

 

  • 財務諸表における経営者業績指標(MPM)及び付属する開示の導入は、このような指標の使用についての透明性及び規律、及び1か所での開示を目的としている。提案には以下が含まれる。

    ・財務諸表以外での財務諸表の利用者との公開のコミュニケーションで使用され、IFRS に含まれる合計または小計を補完し、企業の財務業績の側面における経営者の観点を伝える収益及び費用の小計を、注記に開示することを要求する。透明性を高めるために、単一の注記による開示を伴う。

    ・MPMは、非財務業績指標または財務業績指標とすることができる。それらには、MPMが業績についての経営陣の観点を提供する理由、MPMが計算されている方法、指標がどのように企業の財務業績に関する有用な情報を提供するかの説明、最も直接的に比較可能なIFRSにより特定されている小計または合計に対するMPMの調整表、MPMが企業の財務実績の側面についての経営者の観点を提供するという記述、MPMと最も直接的に比較可能なIFRSに規定されている小計または合計との差異のそれぞれについて区分した税金および非支配株主の影響を提供する注記による開示を伴う。MPM の計算方法に変更がある場合は、利用者が変更の理由と影響を理解するのに役立つ説明が提供される。

    ・調整後1 株当たり利益に関して、調整後EPSの分子は、IFRSで規定されている小計または経営者業績指標のいずれかのみが可能であることを規定する。

 

  • キャッシュ フロー計算書の目的を絞った改善の導入は、企業間の比較可能性の改善を目的としている。提案には以下が含まれる。

    ・間接法による調整の単一の開始点として、営業利益を使用することを企業に要求する。

    ・利息及び配当金の分類についての選択肢を削除する。
     

本提案に対するコメントは、2020年6月30日まで募集される。

 

発効日及び経過措置

IASBは再審議の完了時にのみ発効日を決定するため、公開草案には発効日案は含まれていない。本基準は、最終版として公表された後約18-24か月後に発効することが現在見込まれる。

本基準は遡及的に適用され、早期適用は認められる。

 

さらなる情報
下記リンクを参照:

IASBのプレスリリース及び公開草案の日本語訳 (ASBJのWebサイト-日本語)
》公開草案(206.544KB,PDF-IASBのWebサイト-英語)
   ・公開草案
   ・結論の根拠
   ・設例
IASBのスナップショット(提案の要約)(IASBのWebサイト-英語)
IAS Plusのプロジェクト・ページ基本財務諸表(IAS Plus-英語版)

 
 
 
 
 
 
 
 
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