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IASB、IFRS第13号及びIAS第19号の修正案、及び開示の開発及びドラフトに対するガイダンス案を公表
IAS Plus 2021.03.25
IASBは、公開草案「IFRS基準における開示要求-試験的アプローチ」(IFRS第13号及びIAS第19号の修正案)を公表した。本公開草案は、開示要求を開発しドラフトする際のIASBのガイダンス案と、ガイダンス案を適用したIFRS第13号及びIAS第19号の修正案からなる。コメントは、2021年10月21日まで募集される。
国際会計基準審議会(IASB)は、公開草案「IFRS基準における開示要求-試験的アプローチ」(IFRS第13号及びIAS第19号の修正案)を公表した。本公開草案は、将来、開示要求を開発しドラフトする際のIASB自身のガイダンス案と、ガイダンス案を適用した成果であるIFRS第13号「公正価値測定」及びIAS第19号「従業員給付」の修正案が含まれている。コメントは、2021年10月21日まで募集される。
背景
IASBは、新しい及び改訂基準により導入される開示要求の累積的な影響に関する関係者の懸念に留意し、開示要求の全般的な見直しを目的とするリサーチ・プロジェクトを実施した。
最初のステップとして、IASBは、DPに記述されている原則を用いて、どのように既存の基準が再ドラフトされ得るかについての2つの設例の付録を含む、2017年3月にディスカッション・ペーパーDP/2017/1「開示に関する取組み-開示原則」(デロイト トーマツのWebサイト-※1)を公表した。
多くのDPに対する回答者が、開示の問題の原因となる重要な要因として「チェックリスト」アプローチを強調し、具体的な開示目的なしに多くの開示要求があることが多いため、IFRSにおける開示要求を開発しドラフトするIASBの方法がこの点に部分的に責任があることを強調した。さらに、開示のセクションは整合的にドラフトされていない。
IASBは、これらの懸念を認識し、プロジェクトを以下の4段階のアプローチで進めることを決定した。
- 開示セクションを開発及びドラフトする際に使用するIASBに対するガイダンス案を開発する。
- ガイダンス案を適用する2つの基準を選択する。
- 当該基準に適用することにより、ガイダンス案をテストする。
- 当該基準の修正の公開草案を作成する。
本日公表された公開草案には、ガイダンス案と、ガイダンス案を適用した成果であるIFRS第13号「公正価値測定」及びIAS第19号「従業員給付」の修正案が含まれる。
ガイダンス案及び変更案
公開草案「IFRS基準における開示要求-試験的アプローチ」(IFRS第13号及びIAS第19号の修正案)は、3つのブロックで構成されている。
- 将来IFRSにおける開示要求を開発しドラフトする際に、IASBが適用するガイダンス案。
- IFRS第13号の修正案。
- IAS第19号の修正案。
ガイダンス案
認識されている開示の問題の主要な理由の1つが「チェックリスト」メンタリティであるため、IASBは、判断の使用及び開示の背景にある目的を企業が満たしているかどうかを決定することに焦点を当てるように変更するアプローチを開発することを決定した。
この目的のために、IASBは、財務諸表の利用者の全般的な情報ニーズを記述する将来における全般的な開示目的、及び財務諸表の利用者の具体的な情報ニーズを記述する具体的な開示目的を使用することを提案している。企業は、その結果、情報が目的適合性があるかまたはないか、及び情報が企業が効果的にコミュニケーションすることに役立つかどうかを検討することにより、それぞれの具体的な開示目的に対する情報の項目を識別するために判断を適用する必要がある。具体的な開示目的を満たすために必要な情報については、IASBは通常、より規範的ではない文言を使用することとなるが、全般的な開示目的については、IASBはより規範的な文言を使用することとなる。
ガイダンス案は基準ではない。しかし、最終化後に、IASBは、将来IFRSの開示セクションの開発及びドラフトの際に本ガイダンスを適用する。IASBは、本ガイダンスの広範な適用が企業、監査人及び規制当局の行動に重要な影響を与えることを期待している。IFRSが要求する特定の情報が提供されているかどうかをチェックすることに代えて、監査人及び規制当局は、準拠を評価するために判断を使用しなければならない。準拠は、提供されている情報が企業のケースにおいて開示目的を効果的に満たす場合に達成される。
IFRS第13号の修正案
ガイダンス案に従って、IASBは、以下を示す情報を開示することを企業に要求する全般的な開示目的を提案する。
- 公正価値で測定する資産、負債の重大性。
- 公正価値測定がどのように決定されたのか。
- 当該測定の変動が企業の財務諸表にどのように影響を与えるのか。
具体的な開示目的は、それを受け、公正価値ヒエラルキー、測定の不確実性、代替的な公正価値測定、公正価値測定の変動のドライバーが含まれる。さらに、具体的な開示目的は、財政状態計算書において公正価値で測定されないが、注記において公正価値が開示される資産及び負債に関する開示もカバーしている。
IAS第19号の修正案
IAS第19号に対して提案されている全般的な開示目的は、確定給付制度と確定拠出制度に区分している。確定給付制度について、全般的な開示目的は、財務諸表の利用者が企業の確定給付制度への関与に伴う不確実性を評価し、確定給付制度が企業の財務業績、財政状態及びキャッシュ・フローに与える影響を評価することを可能にする情報を開示することを企業に要求する。確定拠出制度について、全般的な開示目的は、財務諸表の利用者が、確定拠出制度が企業の財務業績及びキャッシュ・フローに与える影響を評価することを可能にする情報を開示することを企業に要求する。
IASBは、確定拠出制度について具体的な開示目的を提案していないが、確定給付制度についての具体的な開示目的案には、確定給付制度に関する基本財務諸表の金額、確定給付制度の性質及び関連するリスク、期末における確定給付制度債務に関連する期待将来キャッシュ・フロー、新規の加入者に対して閉鎖された制度の加入者に対する将来の支払い、確定給付制度に関連する測定の不確実性、確定給付制度に関連する財政状態計算書の金額の変動のドライバーが含まれる。本修正案は、開示目的を満たすために必要な情報の種類も示している。
さらに修正案は、複数事業主制度及び共通支配下にある企業間でリスクを分担する確定給付制度とともに、他の種類の従業員給付制度についても触れている。
ガイダンス案及び変更案に対するコメントは、2021年10月21日まで募集される。
発効日
IASBは、公開草案の後に発効日を決定する予定であるため、公開草案には発効日案は含まれていない。早期適用は認められることとなる。
さらなる情報
下記リンクをクリックしてください:
》IASBのプレス・リリースの日本語訳(ASBJのWebサイト)
》公開草案へのアクセス(PDF:426KB-IASBのWebサイト-英語)
》結論の根拠へのアクセス(PDF:364KB-IASBのWebサイト-英語)
》IASBのSnapshotドキュメント提案の要約(PDF:184KB-IASBのWebサイト-英語)
》DeloitteのIFRS in Focus : IASB proposes amendments to the disclosure requirements in IAS 19 and IFRS 13(IAS Plus-英語版)
》IAS Plusのプロジェクト・ページ開示 に関する取組み-開示のレビュー(IAS Plus-英語版)
※1》IFRS in Focus「IASBが開示原則に関するディスカッション・ペーパーを公表」(デロイト トーマツのWebサイト)