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ISSB、SASBスタンダードの国際的な適用可能性を改善するための方法論の案を公表

IAS Plus 2023.05.11  

ISSBは、公開草案「SASBスタンダードの国際的な適用可能性を向上させるための方法論及びSASBスタンダードのタクソノミの更新」を本日公表した。コメント提供の期限は、2023年8月9日である。

国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は、公開草案「SASBスタンダードの国際的な適用可能性を向上させるための方法論及びSASBスタンダードのタクソノミの更新」を本日公表した。コメント提供の期限は、2023年8月9日である。

 

背景

国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は、サステナビリティ会計基準審議会(SASB)により開発された基準の維持及び向上を引き継いでおり、その責任を負っている。SASBスタンダードの一部は、グローバルには適用可能でなく、地域のバイアスを導入し、適用コストを増加し、その結果の開示の比較可能性と意思決定有用性を減少させる可能性がある、特定の法域の法律及び規制への参照を含んでいる。したがって、ISSBは、特定の開示トピックまたは測定基準の意図または基礎となる概念を変更することなく、SASBスタンダードをより国際的に適用可能にし、会計基準(GAAP)に関係なくするために、SASBスタンダードの内容を向上するための方法論を開発するための作業を行っている。

 

方法論の案

ISSBは、公開草案ED/ISSB/2023/1「SASBスタンダードの国際的な適用可能性を向上させるための方法論及びSASBスタンダードのタクソノミの更新」における提案に対するコメントを募集している。

 

 

範囲

 

本公開草案に記載されている方法論の適用範囲案は、IFRS S2基準「気候関連開示」が公表される際に修正されないすべてのSASBスタンダード(気候関連以外のSASBスタンダード)を含んでいる。

 

目的

 

公開草案において提案されている方法論の目的は、構造または内容の当初の意図の実質的な変更なしに、SASBスタンダードの国際的な適用可能性を向上させることである。方法論案は、修正がSASBスタンダードの一般目的財務報告の利用者にとっての意思決定有用性を保ち、作成者にとって適用のコストを増加させることがないことを保証するためにも設計されている。

 

改訂アプローチ

 

優先順位の高い順に、気候関連以外のSASBスタンダードの修正は、以下の改訂アプロ―チにより実施されることとなる。

アプローチ1 —法域に固有の参照を、利用可能な国際的に適用可能な基準、定義または計算方法への参照に置き換える。
アプローチ 2 —法域に固有の参照を、より一般化された基準、定義または計算方法への参照に置き換える。
アプローチ 3 —法域に固有の参照を置き換えるために、適用可能な法規の法令、規制方法論またはガイダンスを作成者が使用できるように、より一般化された法域における参照を導入する。
アプローチ4 —国際的な適用に適合しないまたは特定の法域外に識別される国際的な同等のもののない開示指標を削除する。
アプローチ5 —関連性のある置換えが、開示トピックの完全性(integrity)を保ち、 リサーチをできる限り基礎とするオリジナルの指標の意図と整合し、一般目的財務報告書の利用者のニーズを満たすことが識別できる場合に、法域固有の指標を削除し置き換える。

 

 

SASBスタンダード・タクソノミの更新

 

SASBスタンダードの国際的な適応可能性を向上するための方法論案を反映するために、SASBスタンダード・タクソノミは、SASBスタンダードの修正案と整合させるために、タクソノミの概念を変更、削除または追加するように、修正される。

 

公開草案は、国際的な適用可能性を改善するための方法論案に従って、SASBスタンダードを修正する狭い範囲の作業の最初のフェーズに特に焦点を絞っている旨を述べている。今後のフェーズでは、ISSBは、意思決定有用性の改善、作成者にとっての費用対効果のバランス、国際的な目的適合性の確保のために、SASBスタンダードのさらなる向上を検討する。公開草案に対するコメントは、2023年8月9日まで募集されている。

 

さらなる情報

以下の情報が、IFRS財団のWebサイト及びIAS PlusのWebサイトから入手できる。

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