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IAS Plus(日本語版) 過去掲載記事一覧

IFRS関連の総合ナレッジサイト「IAS Plus」に、2013年9月以前に掲載された主要記事をピックアップし、日本語訳でご紹介しています。

<2013.09.23> ハンス・フーガーホースト氏、WSS会議で協調を語る

ハンス・フーガーホースト(Hans Hoogervorst)IASB議長は、本日世界会計基準設定主体(WSS)会議で、組織の関係強化についてスピーチを行った。彼は、IFRSの現在および将来の成功における協調(collaboration)が果たす役割を論じた。

フーガーホースト氏は、各国会計基準設定主体会議の早い時期、すなわち個々の会計基準の相違を単に減らすことが当時のゴールであった頃を思案することから、スピーチを始めた。20年以上経った現在、ゴールは一組の高品質のグローバルな会計基準を達成することに発展した。彼は、「一組の会計基準は、単一の会計基準設定主体を意味しない。IFRSは、長期にわたる世界中の会計基準設定コミュニティが一体となった取組みである。」ことを強調した。

最近公表された法域プロフィールを簡潔に論じたあと、フーガーホースト氏は、グローバルなIFRSの適用の整合性の重要性を述べ、証券監督者国際機構(IOSCO)とIFRS財団の共同の取組みを説明した。彼は、会計基準アドバイザリー・フォーラム(ASAF)の創設についても述べ、その便益を強調した。すなわち、(1)多面的なフィードバックを与える能力、(2)メンバーがお互いに協議できること、および(3)参加者が競合する見解をより良く理解することである。フィードバックの質の向上は、IASBの審議にも有益なインパクトがある。

フーガーホースト氏は、それから「会計基準設定のパラドックス(paradox of standard-setting)」、すなわち透明性を改善し、関係者の合理的なテクニカルまたは実務上の懸念を考慮しつつ、投資家を保護し、既得権利のあるロビイストに抵抗することについて話した。

ハンス・フーガーホースト氏のスピーチ全文 (IASBのWebサイト)

<2013.09.13> IFRSの使用に関する法域別のプロフィールが追加

IFRS財団(IFRSF)は、IFRSの使用に関する15の新しい法域別のプロフィールを追加し、プロフィールの合計は81の法域に達した。新しいプロフィールを追加し、IFRSFは国際財務報告基準(IFRSs)を使用する法域の進展を評価する取組みの第2フェーズを完了した。

以前の66のプロフィールに新しく追加されたプロフィールは、キプロス、エストニア、フィンランド、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド共和国、ラトビア、リヒテンシュタイン、ルクセンブルグ、ポーランド、ポルトガル、スロベニア、スペインおよびスウェーデンである。

IFRSFは、個々の法域でのIFRSsの使用についてプロフィールを作成するため、様々な情報源からの情報を利用している。デロイトは、デロイトのメンバーファームが支援するIAS Plusが、IFRSFによるこの意欲的なプロジェクトに役立つことができたことを誇りに思っている。このプロジェクトは、国際会計基準審議会(IASB)の前理事であり、かつ、よく知られたデロイトの世界各国のIFRSの使用に関する一覧表(最近、より詳細な内容のG20法域のIFRSsの使用に関する一覧表により補完)を最初に作成した、IAS Plusの前Webマスターでもあるポール・パクター(Paul Pacter)氏により主導されている。

プロフィールおよび分析はIASBのWebサイトで入手可能である。

 》法域別のプロフィール・ページ (IASBのWebサイト)

<2013.09.13> FASB議長がコンバージェンス後の米国基準に期待

2013年9月12日ニューヨークのFASB40周年会議のスピーチで、米国財務会計基準審議会(FASB)の議長ラッセル・ゴールデン(Russell Golden)氏は、将来におけるFASBの優先事項について彼の見解を提示する広範なスピーチを行った。ゴールデン氏の将来のビジョンはIASBとFASBの合同プロジェクトを完了させ、新しいグローバル関係のモデルを構築し、FASBのアジェンダを更新することを含んでいる。

将来におけるFASBの全般的優先事項に関して、ゴールデン氏は以下の領域にフォーカスした。

•アジェンダ決定プロセスの評価およびFASB コーディフィケーションに関する関係者の懸念への対応のような行動を通じて、「品質を強化する一方で、プロジェクトのライフサイクルを短縮する」ため、FASB運用の効率性および効果性を改善する。

•非公開会社審議会との作業を通じてのものを含め、非公開および公開会社の両方によって提供される情報の目的適合性を維持または改善する一方で、会計基準の複雑性およびコストを減少させる。

•「簡易な英語(plain English)」にフォーカスすること、および(間もなく公表される収益認識の基準に対するような)実施(implementation)および教育(education)の論点に対処することに時間を費やすことを含め、プロジェクトへの認知度および理解度を改善するためFASBのコミュニケーション方法を改善する。

•あらゆる関係者のニーズに、より良く対応するため、財務会計財団(FAF)および政府会計基準審議会(GASB)との協調を増やす。

ゴールデン氏は、FASBにおいて何を意味するかの観点から「独立性(Independence)」の概念と、高品質の会計基準の設定にとって、その決定的な重要性を論じた。ゴールデン氏は、「独立性」は以下のプロセスのような行動、すなわち全般的に「象牙の塔の高い壁を降下し、 FASBが設定する基準によって直接的および間接的に影響を受ける人々と重要な時間を費やす」が、広範囲な見解の検討、およびFAFの会計基準の適用後レビュー(Post –implementation review)の注意深い検討を通して、説明責任を果たす(being accountable)ことによって「得られる特権(a privilege to be earned)」であると考えている。

次に、国際財務会計基準(IFRS)との米国会計基準のコンバージェンスの話題に変わり、コンバージェンスされたグローバルな会計基準の目標を達成するために使用される方法が「変わるであろう」ことを述べる前に、ゴールデン氏は2002年のノーウォーク合意からのプロセスでの「主な実績」についての彼の分析から始めた。

「二者間でのコンバージェンスの時代の終了が迫っているが、我々は、正に重要な決定に直面する新しい環境を迎えようとしている。我々は、米国の資本市場に投資する人々の差し迫った問題に取り組むことを確保する一方、コンバージェンスの目標を追い続けるかどうか、もしそうであればその方法を決定しなければならない。」

ゴールデン氏は、収益認識基準が2013年末までに公表され、リースの最終基準、金融商品の分類および測定、および金融商品の減損が2014年に公表され、「それ以降において保険に関する決定が最終化される」という期待を表明し、主要なIASB-FASBコンバージェンス・プロジェクトの完了を、残る2013年および2014年の最優先事項と考えている。このタイムテーブルは、直近の首脳宣言でG20に要請された期間より長い。

IASBおよびFASBの両者の以前の見解と一貫して、ゴールデン氏は、以前の二者間コンバージェンスモデルは、他の法域およびその基準設定主体、特に主要な資本市場を代表する法域とその基準設定主体に答えるため、「進化する必要」があると認識している。

「私は、FASB、IASBおよび他の主要な資本市場の基準設定主体が共存し、彼らが基準を設定する資本市場での特定のニーズを取り扱いつつ、コンバージェンスされた基準を公表するという定められたゴールに向かい協力するという、長期的でグローバルな基準設定の環境を想定している。」

FASB自身の目標へのこれらの所感と関連して、ゴールデン氏は「FASBの最優先事項は、米国資本市場の投資家および他の財務情報利用者の利益のために財務報告を改善することにある」ことを述べ、 「世界中の法域の財務報告の監査および施行の重要な相違」のような財務報告のグローバルな相違を減らすことに対する他の障害にも言及した。これは、「財務報告の完全なコンバージェンスは財務会計基準だけでは成し遂げられない」ことを意味している。

これらのコメントにかかわらず、ゴールデン氏はFASBが「国際的に財務報告を改善しコンバージェンスしようとする一方で、以下のように米国資本市場のために財務報告を改善する」ことができる多くの方法を述べている。

•米国基準の開発を通して

 米国基準の改善を実行する際に、および米国基準が国際基準の様式および将来の方向性に影響を与えられる場合に、IFRSの評価および検討から始めることによって

•IFRSの開発に積極的に参加することによって

会計基準アドバイザリー・フォーラム(ASAF)、およびFASBのデュープロセスおよびアウトリーチ活動からの見解の共有のような他の手段を通じて、IASBのプロジェクトに積極的に参加することを通じて 

•他の各国基準設定主体との関係およびコミュニケーションを強化することによって

 たとえ、「自身の資本市場の投資家の利益が、完全にコンバージェンスされた会計基準を創造するという目標より重要である」ような場合でも、「お互いの考えを相互に伝達する広範囲な情報およびアイディアを促進させ、より多くのコンバージェンスを発展させる環境に貢献すること」

ゴールデン氏は、財務会計基準諮問委員会(FASAC)による直近のサーベイの結果に基づくFASBプロジェクトの可能性の高い優先事項の分析で彼のスピーチを締めくくった。サーベイの結果は、間もなく公に入手可能となる予定であり、FASBが、(多くの合同IAS--FASBプロジェクトのために元々開始されたまたは検討された)後回しとなっているプロジェクト、、新しい話題およびコメントに焦点を当てる論点、潜在的なコンバージェンスの論点、およびFAFの適用後レビュープロセスから生じる論点を進めるかどうかを扱うのに有用である。

ラッセル・ゴールデン氏のスピーチ全文 (FASBのWebサイト)

< 2013.09.09> IASB議長が、欧州、IFRSおよびコンバージェンスについて論じる

IASBは、IASB議長ハンス・フーガーホースト(Hans Hoogervorst)氏が行ったスピーチ「欧州と世界的会計基準への道」を、本日Webサイトに掲載した。このスピーチで、フーガーホースト氏は欧州とIASBの強固な関係をたたえ、IFRSと欧州資本市場はいかに共に成功するかについて論じ、IASBのFASBとの主要なコンバージェンス・プロジェクトの最新情報を提供し、IASBの将来アジェンダの概要を示した。

フーガーホースト氏は、欧州連合、IASBおよびIFRSの関係についての全般的なコメントからスピーチを始めた。彼は、IFRSを適用するという欧州の決定が「IFRSに世界的会計基準の単一のセットとなるために必要とされる信頼性および必要不可欠性(critical mass)を与えている」と認めた。彼は、IFRSは適用より透明性が増し、上場企業の資本コストが減少するという点で欧州市場に利益をもたらしたとも述べている。また、フーガーホースト氏は欧州連合の完全なエンドースメント手続を評価しており、大幅な対応(adaption)なしでIFRSを適用する欧州連合は、IFRSの質について度々言及していると認識した。彼はIFRS財団により最近公表された法域別プロフィール(Jurisdiction profiles)についても述べ、他の国のIFRS適用についても言及した。

次に、フーガーホースト氏は、残るIASB-FASBコンバージェンス・プロジェクトについての最新情報を提供した。

•収益認識:新基準は、来たる3ヶ月以内に公表予定である。

•リース:議論の多い論点は、財政状態計算書におけるリース契約の表示にある。

•減損:FASBとIASBは、予想損失モデルが必要であることは合意しているが、適用方法について合意することは困難がある。フーガーホースト氏は、「共通の答えに至ることが難しいと思われる1つの理由は、将来の不確実性のある結果を扱うため、本来予想損失モデルは主観性の程度が比較的高いことにある。これをどのように扱うべきかについての容易な(straightforward)回答はない」と説明している。彼は、9月の両審議会の合同会議で進展があることも確信している。

•保険契約:IASBの最新の公開草案は、保険業界において真の業績に対してより現実的な視点を生むという最終的な目標に向けてのステップである。フーガーホースト氏は、いくつかの保険会社が、当業界における低金利の継続により、資本に関する規制を満たせないという欧州保険年金監督機構(EIOPA)の最近の懸念を引用した。現在の保険の報告における曖昧さは、潜在的危機が完全に発覚することを防いでいるかもしれないという懸念がある。

概念フレームワークのディスカッション・ペーパーについて簡単に触れたあと、フーガーホースト氏は財務報告の開示の改善、すなわちより簡潔で、理解し易く、役立つものととすることの重要性についても論じた。彼は、財務報告における開示を改善するため2013年6月に提示した10項目のプランについても言及した。

 》ハンス・フーガーホースト氏のスピーチ全文 (IASBのWebサイト)

<2013.09.09> G20が引き続きコンバージェンスを求める

20か国・地域(G20)は2013年9月5日と6日にサンクトペテルブルクで開催されたG20首脳サミットを踏まえ、G20首脳宣言および関連する文書を公表した。世界的金融危機の終結にむけたより強固で持続可能な経済成長目指す、「協力、協調、及び信頼」のテーマに焦点を合わせ、本宣言は会計基準のコンバージェンスの必要性についても再度論じている。

サミットに至るまでの間に、金融安定理事会(FSB)は、世界的金融危機に対応するために2008年にG20によって構築された世界的金融システムの根本的な改革による過去5年間の成果を要約するレポートを公表した。

レポートに記載された成果は、本宣言の前文に以下の通り記載されている。

「最初の会合からこれまでの5年間において、G20の協調した行動は金融危機に対処し、世界経済を回復軌道に乗せる上で極めて重要であった。しかし、我々の仕事はまだ完了しておらず、G20諸国が、現代史におい最も長期化している危機からの恒久的な出口を見出すために、我々の全ての共同の努力を集中することは引き続き極めて重要であるとの点で一致した。」

会計基準に関して、本宣言は以前と概ね同様の期間での会計基準のコンバージェンスを繰り返し求めているが、2013年末までにコンバージェンスプロジェクトを完了させるという明確な要請も含んでいる。2012年10月の開示強化タスクフォース(EDTF)の提言により、当初は銀行のリスク開示の改善必要性についても具体的に言及しており、2013年8月にタスクフォースは経過報告を行っている。

「我々は,金融システムの回復力を高めるため,会計基準のコンバージェンスに関する継続中の作業の重要性を強調する。我々は,国際会計基準審議会(IASB)及び米国財務会計基準審議会(FASB)に対し,2013年末までに,質の高い単一の会計基準を達成するための主要な未決着のプロジェクトに関する作業を完了させることを促す。我々は,開示強化タスクフォース(EDTF)が進めている作業を含め,直面するリスクについての金融機関による開示を強化するため,官民セクターによる更なる取組を奨励する。」

本宣言は、以下の様な他の重要なテーマについて触れている。

•いくつかの国におけるハイレベルな公的債務および持続可能性

 公的セクターの報告の改善必要性の議論を含むG20財務相・中央銀行総裁会議での前回の宣言と同様であり、開かれて透明性のある政府という、より広範なG20のビジョンと一致している。 

•「万人のための開発」への焦点

 国連のポスト2015年開発目標、リオ+20の成果文章「我々が望む未来」および経済・社会・環境目標に係わる他の国際的イニシアティブに関連し、さらなる持続可能性の報告に向けた高まる動きを含んでいる。

最終コミュニケはG20Webサイトで入手可能です。加えて、EDTFレポートおよび、機関投資家による長期投資ファイナンスのG20/OECDハイレベル原則のような、様々な付属書も入手可能です。

 》G20サンクトペテルブルク・サミット首脳宣言(仮訳) (外務省のWebサイト)
 》G20 Leaders' declaration首脳宣言原文 (外務省のWebサイト)

<2013.07.26> IASBとFASBは収益認識の新基準に関する合同の移行リソース・グループを創設

国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計審議会(FASB)は、収益認識の新基準に関する合同の移行リソース・グループを創設する計画を公式に発表した。移行リソース・グループは、基準の適用において発生する解釈上の論点(interpretive issues)についての情報を、常にIASBとFASBに提供することに責任をもち、実務上の多様性(diversity)を解決するために必要となる可能性のある行動を決定することを支援する。

移行リソース・グループは、10名から15名で構成され、収益の新基準の公表後まもなく発表される。メンバーには、IASBとFASBのメンバーとともに、財務諸表の作成者、監査人、規制当局、利用者、及び他の関係者の専門家が含まれる。

収益認識移行リソース・グループに関するさらなる情報は、IASBのWebサイトから入手可能である。

<2013.07.25> IASBは、IFRS第3号の適用後レビューを開始

国際会計基準審議会(IASB)は、IFRS第3号「企業結合」の適用後レビュー(PIR)を開始した。PIRは、2つのフェーズで構成され、連結財務諸表の表示についての変更を含む、企業結合プロジェクト全体(2004年及び2008年)にわたり導入された変更のレビューを行う。

最初のフェーズは、企業がどのようにIFRS3を適用したかのレビューを行うことによりPIRの範囲を開発し、どのような論点又は予想外のコストに直面したかを識別する。学界により行われたIFRS第3号の適用に関するリサーチの分析も行う。本フェーズで得られた情報は、2013年第4四半期に公表予定の公開協議のための「情報提供の要請」(RFI)に含める。

レビューの第2フェーズでは、実務上どのように本基準が適用されたのかについての追加の知見を得るために、IASBはアウトリーチを予定しており、PFIに対する回答のレビューを行う。PIRの最後には、IASBは、主要な発見事項と、レビューの結果必要な場合に追加のステップについて議論するフィードバック文書を公表する。

 》プレス・リリース (IASBのWebサイト)
 》IAS Plus プロジェクト・ページ IFRS第3号の適用後レビュー (IAS Plus)

<2013.07.24> FAFがFASBの副議長にジェームス・クローカー氏を任命

米国財務会計財団(FAF)は、ジェームス・L・クローカー氏(James L. Kroeker) をFASBのメンバーとし副議長に任命したことを公表した。クローカー氏の任期は9月1日からであり、前FASB議長レスリー・F・サイドマン氏(Leslie F. Seidman)の退任による欠員を埋めることとなる。

FASBの歴史の初期においては、副議長のポジションが設定されていたが、後に削除された。最近になって、FAFの評議員会はFASB議長へのますます増加する要求に対応するため、副議長のポジションを再度設定すること決定した。副議長の役割は、FASBを代表して外部利害関係者を支援すること、及び必要に応じて現職議長に代わってFASBの内部オペレーションの指導を行うことにある。

クローカー氏は、2009年から2012年まで米国証券取引委員会(SEC)の主任会計士を務めていた。SEC主任会計士である時には、彼はコンバージェンスへの支援を表明し、委員会は完全にコンバージェンスされた基準の開発に充分な時間を費やすことの必要性を強調した。

SECに勤務する以前は、彼はDeloitte & Touche LLPのNational Office Accounting Services Groupでパートナーを務め、1999年から2001年まではFASBのpractice fellowであった。

クローカー氏の任期は、2018年6月30日までの5年間であるが、さらに5年間の再任が可能である。

公表のプレスリリースは、FAF Webサイトで入手可能である。

<2013.07.18> 国際会計基準審議会(IASB)が、新たな概念フレームワークに関するディスカッション・ペーパーを公表

国際会計基準審議会(IASB)は、現行の概念フレームワークについて、IASBが改訂と修正が必要であると考える領域に対する提案を含む包括的なディスカッション・ペーパーを公表した。ディスカッション・ペーパーに含まれる提案は、資産及び負債の定義の改訂、認識の中止に関するガイダンスの導入、その他の包括利益に関する目的(objective and purpose)の明確化、表示及び開示に関するフレームワークの設定に関するものである。コメントの提出期限は、2014年1月14日である。

背景

現在の概念フレームワークは、1989年の導入以来ほとんど変更されることはなかった。2004年には、IASBと米国財務会計基準審議会(FASB)が、概念フレームワークを見直し、改訂することを決定したが、優先順位の変更とプロジェクトの進捗の遅延により、2010年にはプロジェクト自体が中止された。

当初の共同プロジェクトは、数多くのフェーズで実施されていた。これらのフェーズは、以下のトピックを取扱うものであった。

これらのフェーズのうち、フェーズAのみは最終化され、2010年9月に現行のフレームワークの第1章及び第3章として導入された。フェーズDでは、ディスカッション・ペーパーと公開草案が公表されたが、最終化されることはなかった。両審議会は、フェーズBとCに関してかなり広範に議論をしてきたが、これまでに協議文書(consultation document)が公表されることはなかった。フェーズEからフェーズHは、ほとんど着手されることはなかった。


概念フレームワークに関するIASBの包括的なプロジェクト

2011年のアジェンダ・コンサルテーションにおいて、多くの参加者が、IASBに対して、概念フレームワーク・プロジェクトの再開と最終化を要請した。その結果IASBは、2012年9月に概念フレームワーク・プロジェクトを再びアジェンダに公式に追加したが、以前のプロジェクトとの関連で、2つの大きな変更を導入することを決定した。

  • 新プロジェクトは、もはやFASBとの共同プロジェクトではなく、IASB単独のプロジェクトとなる。これは、IASBが、現在のコンバージェンス・プロジェクトはFASBと共同で最終化し、これ以外のプロジェクトに関しては、FASBに世界の他の基準設定主体と比べて、これ以上の特権を与えないことを決定したためである。
  • 新プロジェクトは、(以前のプロジェクトに比べ)大掛かりなものではない。新たなプロジェクトは、フレームワークの大幅な改訂を目指すものではないが、今までにカバーされていないトピック(例えば、表示及び開示)、又は対処することが必要である明らかな欠点を浮き彫りにすることに焦点を当てている。以前のプロジェクトとは対照的に、これらの領域は単独で取扱われていない。つまりこのディスカッション・ペーパーは、フレームワーク・プロジェクトのすべての側面をカバーするものである。

ディスカッション・ペーパーの公表は、新たなプロジェクトの第1フェーズの終了を示している。審議会は、ディスカッション・ペーパーに対するコメントレターを検討した後、2014年の第3四半期に公開草案を公表し、2015年9月までに新たな概念フレームワークを最終化する予定である。

 

主要な提案の概要

内容:

ディスカッション・ペーパーは約240ページに及ぶものであり、9つの章に分かれている。また、8つの付録が付属している。ディスカッション・ペーパー本体の前には、ディスカッション・ペーパーの範囲、目的、主要な内容を記述する約10ページのエグゼクティブ・サマリーがある。ディスカッション・ペーパー自体は、以下のように構成されている。

 

<章:トピック>

1章:はじめに

2章:財務諸表の構成要素

3章:資産と負債の定義を支えるための追加的なガイダンス

4章:認識及び認識の中止

5章:資本の定義、負債と資本性金融商品の区別

6章:測定

7章:表示及び開示

8章:包括利益計算書の表示―純損益及びその他の包括利益

9章:その他の論点

付録A:現行の概念フレームワークの第1章及び第3章の本文

付録B:報告企業

付録C:負債と資本性金融商品の区別

付録D:厳格な義務アプローチ(strict obligation approach)の異なるクラス(class)の金融商品への影響

付録E:企業自身の株式に関するオプショ及び先渡取引から生じる権利及び義務

付録F:自身の株式及び非支配持分に関する売建プット・オプション

付録G:改訂後概念フレームワークのトピックの概要

付録H:回答者への質問の要約

 

各章で取扱われている主要な論点は以下の通りである。

セクション1(はじめに) : 最初の章では、背景情報を提供している。また、概念フレームワークの目的(purpose)とIASBの基準書等のヒエラルキー内での概念フレームワークの位置付け(status)について記述している。ディスカッション・ペーパーは、概念フレームワークの主要な目的は、IFRSの開発と改訂の際にIASBを支援(たとえ、それがIASB以外の当事者に有用であったとしても)することにあり、また概念フレームワークは、特定のIFRSに優先するものではないと説明している。IASBが、フレームワークと整合しない新たな基準書等又は基準書等の改訂の公表を決定した場合には、IASBは当該事実を強調表示し、(フレームワークからの)離脱の理由を説明する。

セクション2(構成要素) : 本章の核は、IASBが必要であると考えている、「資産」及び「負債」の定義の明確化である。フレームワークは、(資産及び負債の定義に関して)経済的便益の期待インフロー又はアウトフローに言及することはなくなり、基礎となる資源及び義務に直接言及することになる。「経済的資源(economic resource)」とは、「経済的便益を生み出す能力のある権利又は価値のその他の源泉」と定義される。さらに、「蓋然性(probability)」の概念は、定義から削除されることになる。資産及び負債に加えて、本セクションでは収益及び費用、現金受取、現金支払、資本への拠出、資本の分配及び資本のクラス(class)間での移転についても定義している。

セクション3(追加的なガイダンス) : 本章では、前章で説明した資産及び負債の定義に関する追加的なガイダンスが含まれる。この追加的なガイダンスは、過去において適用上の問題を引き起こした領域における定義の有用性をテストすることを主要な目的としている(例えば、何が推定的義務(constructive obligation)を構成するか、経済的強制(economic compulsion)が役割を果たすかどうかの問題等)。大部分の注意は、負債に関連して「現在の義務(present obligation)」の意味の検討に向けられている。3つの異なる見解が提示されており、コメント提出者はコメントを求められている。

セクション4(認識/認識の中止) : 本章では、資産及び負債の認識に関する要求事項を議論している。資産もしくは負債の認識が、目的適合性のない又はコストを正当化するのに十分な目的適合性がないと考えられる、もしくは当該項目のどの測定も十分に忠実な表現とならないのでない限り、一般的に全ての資産及び資産は認識されるべきである。これらの(例外的な)ケースでは、IASBは一般的に完全性の要求から離脱することが許容される。フレームワークには初めて、認識の中止の要求事項も含んでいる。IASBは、認識規準を満たさなくなった場合に、項目の認識の中止がなされるべきであると提案した。

セクション5(資本) : 第5章は、引き続き残余持分として定義されている資本に費やしている。しかしながら、IASBは定義の精緻化を提案している。新しくまたむしろ革新的なのは、希薄化効果を示すために各報告期間の末日に資本の請求権の異なるクラスの測定を更新する要求事項の導入の提案である。最後に、本章は企業が資本性金融商品を発行していなかった場合に、最劣後の金融商品を資本として処理すべきかの問題を扱っている。

セクション6(測定) : この章では、IASBは測定をより詳細に検討し、測定の異なるカテゴリーの目的及び適切な測定がどのように識別されるかを記載している。IASBは、貸借対照表の全ての項目に1つの測定方法を使用することは適切ではないと考えている。全ての測定方法は、貸借対照表において目的合理性のある情報をもたらすべきであり、また包括利益計算書における適切な測定方法の選択においては、当該目的を優先するべきであると議論されている。

セクション7(表示及び開示) : 本章は、現行のフレームワークに対応するセクションがない。それゆえ、主要な財務諸表及び財務諸表の注記の目的、及びそれらの関係についての、より長い説明が含まれる。本章では、IASBは重要性及び将来的な情報も扱っている。

セクション8(包括利益計算書) : 第8章は、主に純損益とその他の包括利益との区別を扱っている。IASBは、純損益とその他の包括利益を維持し、これらを合計(又は小計)とすることを提案する。資産及び負債の再測定に関連しない限り、原則として全ての収益及び費用は純損益に示される。再測定は、通常その他包括利益に表示され、一般的にリサイクリングが許容される。純損益の定義は概念フレームワークに含まれない。

セクション9(その他の論点) : 最終章は、さまざまな全く異なる論点を集めたものである。IASBは、改訂される章の目的及び質的特性を基本的に変更しないこと、財務報告におけるビジネスモデルの使用を考慮すること、会計単位は基準レベルで取り扱うこと、(資産及び負債の測定の際に、負債の識別の際及び開示を行う際に)会計における継続企業の前提の影響を考慮すること、さらに資本維持の記述及び議論を現行のフレームワークから大きく変更せず引き継ぐ(IASBはハイパーインフレーションのプロジェクトを着手する際に、資本維持の概念を再検討するかもしれない)、ことを提案している。


IASBは、関係者の文書化の作業及び提起された質問への回答のために、6ヶ月の延長されている期間を認めている。従って、コメントレターは2014年1月14日までに提出しなければならない。


IASBプレス・リリース (IASBのWebサイト)
ディスカッション・ペーパーDP/2013/1「財務報告に関する概念フレームワークの見直し」 (IASBのWebサイト)
DPについてのIASBのWebプレゼンテーションに関する情報 (IAS Plus)
概念フレームワーク・プロジェクトに関するプロジェクト・ページ (IAS Plus)

<2013.07.18> IASBは、IFRS第8号の適用後レビューを完了

国際会計基準審議会(IASB)は、「適用後レビュー:IFRS第8号 事業セグメント」を完了した。IFRS第8号の適用後レビューは、IASBがデュー・プロセスの一環で実施した、初めての適用後レビューだった。このレビューによって、IFRS第8号はその目的を達成していると結論づけられた。

IFRS第8号の適用後レビューの主要な結果は、以下の通りである。

  • 経営者および投資家は、「経営者の観点」を利用することにより、より効果的にコミュニケーションした。
  • IFRS第8号の導入による増加コストは低い。
  • FASBのガイダンスとのコンバージェンスは、成功している。
  • 作成者は、本基準はうまく機能しているのことに概ね合意しており、本基準は会計コミュニティ(監査人、会計事務所、基準設定主体及び規制機関)によって支持されている。
  • 多くの人が、顧客が帰属する国別の収益の報告を要求していることは有用であると考えた。

 

さらに、IFRS第8号に対する投資家コミュニティの見解は様々であった。ある投資家は、経営者がその事業をどのように見ているかについての情報は、有用な情報であると考えている。一方で、他の投資家は、経営者の意図により、「その企業の本当の経営構造を分かりにくくしたり(多くの場合、商売上の繊細さに関する懸念の結果として)、または個別のセグメント内で不採算活動を隠すことができる」と感じている。

米国会計基準とのコンバージェンスの達成を確実にするため、適用後レビューで発見した論点について、FASBと議論する予定である。


 》プレス・リリース (IASBのWebサイト)
 》IFRS第8号「事業セグメント」のレビューに関する報告書兼フィードバック文書 (IASBのWebサイト)
 》IAS Plus プロジェクト・ページ IFRS第8号の適用後レビュー (IAS Plus)

 

<2013.06.27> IASB議長が開示に関する10項目のプランを発表する

アムステルダム(オランダ)で開催されたIFRS財団のカンファレンスで、国際会計基準審議会(IASB)議長のハンス・フーガーホースト氏は、世界中でのIFRSのアドプションの状況、IASBの現在の作業計画、財務情報の開示に関する変更の必要性について演説した。

 

グローバルな基準

グローバルな会計基準に関して、フーガーホースト氏は、IASBのWebサイトに最近掲載された主要20カ国・地域(G20)のすべての法域とその他46の法域における国際財務報告基準(IFRSs)及び中小企業向け国際財務報告基準(IFRS for SMEs)のアドプションの状況について詳細にまとめた、66の「法域別のプロフィール」の一覧について指摘した。同氏は、香港での「我々は目的地へ辿りついたのか?(Are we there yet ?)」と題するスピーチで既に導き出した結論の多くを再び述べた。同氏はまた、企業会計審議会(BAC)がその最終報告書で、IFRSsを今まで以上に使用していくことを提言した日本の最近の動向について前向きな姿勢であると述べた。

 

現在の作業計画

IASBの現在の作業計画について、フーガーホースト氏は、減損、保険会計及び概念フレームワークに関する同氏の考えを述べた。同氏は、2013年3月7日に公表された公開草案「金融商品:予想信用損失(ED2013/3)」を指摘した。同氏は、提案された新たなモデルが、基礎となる取引の経済実態を忠実に反映するものになると考えている。同氏はその一方で、米国財務会計基準審議会(FASB)が(IASBのアプローチとは)異なる内容の予想損失アプローチを開発したことを残念な(Unfortunate)ことと認めたが、コンバージェンスの達成、又は少なくともコンバージェンスにもっと近づくことは可能であるとの希望を表明した。

保険契約の会計に関して、同氏は、2013年6月20日に公表された公開草案「保険契約(ED/2013/7)」について言及した。現在、(保険)業界は、会計慣行を寄せ集めた状態(patchwork quilt)のもとで事業を行っている。そのうちのいくつかは、IFRSsの導入前に遡るものであり、IFRS第4号が暫定的な措置として導入されたときに実質的にまとめられ、引き継がれたものであった。フーガーホースト氏は、このような状態を「受け入れ難い(unacceptable)」と述べ、次のように結んだ。「幸いなことに、この受け入れ難い状況に終わりが見えてきました」。

最後に、フーガーホースト氏は概念フレームワーク・プロジェクトについても語った。概念フレームワーク・プロジェクトでは2013年7月にディスカッション・ペーパーの公表が予定されている。ディスカッション・ペーパーでは、IASBが概念フレームワークにおいて重要であり注意を要すると考えた領域を取扱う予定である。このプロジェクトは、すでにフェーズごとのプロジェクトではないので、ディスカッション・ペーパーにはすべての章が含まれる予定である。しかし、フーガーホースト氏は、このディスカッション・ペーパーが「すべての会計上の問題に確定的な回答を与えるものではない」と警告した。

 

財務情報の開示

フーガーホースト氏のスピーチの最後のトピックは開示に関するものであった。同氏は、アニュアル・レポートがコミュニケーションの手段ではなく、単なるコンプライアンスのための文書になってしまうリスクがあることを理由に、(開示に関する)「紋切型(boilerplate)を打ち破る」必要性について語った。IASBは自ら良い例を提供することを決定した。例えば、IFRS財団のアニュアル・レポートの2012年度版は、有用な情報の量を増加させ、読みやすさを改善したが、その分量は25%減少した。

しかし、2013年5月に公表された開示に関するフィードバック・ステートメントで既に発表されたように、IASBは、認識された開示に関する問題に対し、特定の方策を用いて対処する予定である。フーガーホースト氏は、財務報告での開示に具体的な改善をもたらすための10項目のプランについて述べた。

 

1.重要性の原則は、重要性のある項目を(開示に)含めるべきであることを意味するだけではなく、重要でない開示を除くことが望ましい場合があるということをIAS第1号で明確にする。

2.重要性の判断は、財務諸表全体に対して適用され、これには注記を含む。

3.ある基準書がある企業の財務諸表に関連するからといって、当該基準書が要求するあらゆる開示が自動的に重要な情報になるわけではないことを明確にする。

4.財務諸表の注記の順序を規定しているものと解釈されてきた文言をIAS第1号から削除する。

5.IAS第1号は、財務諸表のどこに会計方針を開示するかに関して、企業に柔軟性を与えていることを明確にする。

6.純債務(net debt)の調整表に関する要求事項を追加することを検討する。

7.重要性に関する全般的な適用指針又は教育マテリアルのいずれかの作成を検討する。

8.新たな基準書を作成する際に、開示要求について規範性を弱めた文言を使用するよう努める。

9.IAS第1号、IAS第7号及びIAS第8号をより抜本的にレビューする調査研究プロジェクトを開始し、最終的にはこれらの基準書を置き換え、本質的には新たな基準書を作成することを目的にする。

10.既存の基準書の開示要求を全般的に見直す。


フーガーホースト氏は、これらの方策は全体として、「紋切型の開示の口実をほとんど排除する」ものになるであろうと述べた。これらの方策は、作成者、監査人及び規制当局の考え方(mindset)について大いに必要とされている変革を刺激することに確実に役立つものになるであろう。

 

 》ハンス・フーガーホースト議長のスピーチ全文 (テキスト:IASBのWebサイト)

<2013.06.27> IASBがデリバティブの契約更改に関するIAS第39号の修正を公表

2013年6月27日、国際会計基準審議会(IASB)は、「デリバティブの契約更改及びヘッジ会計の継続(IAS第39号『金融商品:認識及び測定』の修正)」を公表した。本修正では、ヘッジ手段であるデリバティブが契約更改(novation)された場合、一定の規準を満たすならば、ヘッジ会計を中止する必要がなくなる。本修正は、2014年1月1日以後開始する事業年度より発効し、早期適用は許容される。

契約更改とは、1つ以上の清算機関(clearing counterparties)が当初の相手方と置き換わることにより、(清算機関が)当事者のそれぞれにとっての新たな相手方になることに、デリバティブの当初の当事者が合意する事象を意味する。修正されたガイダンスの便益を享受するためには、集中化された相手方(central counterparty:CCP)への契約更改は、法律又は規制により、又は法律又は規制の導入の結果として生じるものでなければならない。

IASBは、本修正に関する緊急の必要性に直面した。なぜなら、G20は、国際的に首尾一貫した公平な方法で店頭(OTC)デリバティブの透明性及び規制の監督を改善することを公約していたためである。そのため、今後はすべてのOTCデリバティブをCCPを通じて決済する必要がある。これには、欧州市場インフラ規制(EMIR)又は米国のドッド=フランク法(Dodd-Frank Act)の範囲にあるOTCデリバティブが含まれる。本修正の目的は、契約更改後にデリバティブの認識を中止することにより企業のヘッジ会計に与える影響を回避することにある。IASBは、特に、キャッシュ・フロー・ヘッジの有効部分が指定を維持することに十分ではない可能性、又は契約更改後のデリバティブをヘッジ手段として指定するのに十分ではない可能性について懸念していた。

IAS第39号への変更による便益を享受するためには、企業は以下のすべての規準を満たすことが必要となる。
 

  1. 集中化された相手方(CCP)への契約更改は、法律又は規制により、又は法律又は規制の導入の結果として生じるものでなければならない。これは、公開草案で提案されていた要求事項への大幅な変更である。なぜなら、契約更改は法律又は規制によって要求される必要がなくなったためである。契約更改は、既存の又は新たに導入された法律又は規制によって同等に発生する可能性がある。しかし、法律又は規制が導入されるという単なる可能性だけでは十分ではない。
  2. 契約更改を受けて、集中化された相手方が、(契約更改された)デリバティブの当初の当事者のそれぞれにとっての新たな相手方となる。これに関連して、CCPとの決済を実行するために(CCPの)相手方として行動している当事者を含めることも可能である。これにより、当事者がCCPに直接アクセスする手段を有していないために、契約を締結している先の清算会員又は清算機関が該当することも可能である。いくつかの法域では、契約更改は、CCPの清算会員のクライアントとの間で実行される(いわゆる、間接的な清算)。IASBは、このような契約更改も修正案の目的と首尾一貫していることを理由に、本修正の範囲に含まれるとすべきであるとするものとした。さらに、グループ企業内部の契約更改も、それらがCCPにアクセスする目的である場合には範囲に含まれる。契約更改がCCPとの間で直接的に実行されるものではない場合には、企業は、ヘッジ手段のそれぞれの当事者が清算を同一のCCPとの間で行うことを確実なものにしなければならない。
  3. ヘッジ手段への変更は、相手方の入替え(replacement)を実行するのに必要な変更に限定される。このような変更には、担保の要求の変更、債権債務残高を相殺する権利、(集中化された相手方から)課される料金が含まれる。しかし、デリバティブの満期、支払日又は契約上のキャッシュ・フローの変更あるいはそれらへの計算基礎への変更は含まれない。

 

IAS第39号の修正は、2014年1月1日以後開始する事業年度より発効する。早期適用は許容されるが、それに対応する開示が要求される。IAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」に従って、本修正は遡及適用される。

IAS第39号を修正することに加え、IASBは、今後公表されるIFRS第9号「金融商品」のヘッジ会計に関する第6章に同様の修正を行うことを決定した。この修正は、2013年の第3四半期中に公表の予定である。

 》プレス・リリース (IASBのWebサイト)
 》「デリバティブの契約更改及びヘッジ会計の継続(IAS第39号の修正)」 (IASBのWebサイト、有料購読者限定 ※購読に関してはIASBにお問い合わせください)
 》プロジェクト・ページ(IAS Plus)

<2013.06.26> IASBがIAS第16号およびIAS第41号の修正案に関する公開草案を公表

国際会計基準審議会(IASB)は、IAS第16号「有形固定資産」およびIAS第41号「農業」の修正案(IAS第16号の範囲内の果実生成型植物(bearer plants)を含む)についての公開草案(ED)を公表した。現在、IAS第41号では、農業活動に関連するすべての生物資産は、売却費用控除後の公正価値で測定することを要求している。本日公表された修正は、重要な生物学的変化が起こらない果実生成型植物を、有形固定資産と同様に会計処理できるように、IAS第16号の範囲に含むとしている。ED/2013/8「農業:果実生成型植物」のコメント期限は、2013年10月28日である。

 

背景

公正価値で会計処理される特定の生物資産に関して、利用者に提供される情報の目的適合性および有用性について、繰り返し懸念があがっていた。具体的には、アジア・オセアニア基準設定主体グループ(AOSSG)およびIASBの新興経済圏協議グループ(EEG)により作成された、「討議報告書(Issues Paper)」(2010年にマレーシア会計基準審議会(MASB)によって実施された調査を含む)によると、プランテーションを専門とするアナリスト・グループは、果実生成型の生物資産の公正価値情報(特に損益の公正価値変更の表示)が有用であるとはいえないことを明らかにした。また、IASBのアジェンダ協議に対する回答者も、果実生成型植物のプロジェクトは重要であると考えていた。

 

修正の動機

いったん成熟した後は、果実生成型植物は重要な生物学的変化は起こらないが、生産寿命にわたって作物を生み出すために使用され、その後通常は廃棄される。そのため、IAS第16号で会計処理が規定されている有形固定資産により類似しているという主張がある。

 

範囲

修正案の範囲は、「農産物の生産または供給のために使用され、1報告期間を超えて作物を生成することが見込まれ、生きた植物として売却または農産物として収穫することが意図されていない植物」として定義される果実生成型植物に限定される。作物の生成および生きた植物または農産物の売却の両方のために育てられた植物(例えば、果樹および材木として栽培された樹木)は、IAS第41号の範囲のままである。同様に、果実生成型植物の上で成長する作物は、引き続きIAS第41号に従って会計処理される。

 

果実生成型植物に対するIAS第16号の要求事項の適用

IASBは、果実生成型植物が生産に入る前に(すなわち、成熟して果実を生成する前に)、果実生成型植物を累積原価で測定することを提案している。果実生成型植物は、成熟後、原価モデルまたは再評価モデルのいずれかで会計処理される。

 

原価モデル

有形固定資産とは異なり、農業資産の生命変化は、老朽化した植物が絶え間なく取り替えられていくという、連続的なプロセスである。そのため、IASBは、会計単位およびこれらの集合について審議した。最終的に、IASBは、植物の集合に対する会計処理は、まとめて取得または建設された大量の設備に対する会計処理と全く変わらないため、修正することなく、IAS第16号の要求事項を適用できることを決定した。

 

また、IASBは、(a)果実生成型植物の成長フェーズ期間中の異常な損失/枯死の金額の評価方法、および(b) いつ果実生成型植物が、経営者が意図した方法で生産可能となるために必要な状態になるかを決定する方法について議論した。IASBは、上記(a)は、企業が事業活動の範囲内の使用のために、大量の壊れやすい機械の部品を組み立てる場合と類似しており、上記(b)は、初期導入期間を必要とする工場と類似していると結論付けた。その結果、IASBは、さらなるガイダンスがなくとも、現行IAS第16号の要求事項で十分であると結論付けた。

 同様の理由から、IASBは、IAS第16号の原価モデルに従った開示の要求事項は、修正なしで果実生成型植物に適用できると結論付けた。

 

再評価モデル

企業は、IAS第16号の要求事項に従って、成熟した果実生成型植物に対して、再評価モデルを選択することが認められている。再評価モデルは、公正価値測定モデルであり、生物資産に対する現行の測定の要求事項に類似しているため、修正することなく、IAS第16号における再評価の認識および測定の要求事項を果実生成型植物に適用できるとIASBは考えている。

 

経過措置と発効日

IAS第16号の修正案は、費用対効果の理由から、財務諸表に表示される最も早い比較対象期間の期首に、果実生成型植物に関する項目について、みなし原価としての公正価値の使用を認めている。有形固定資産と同様の方法で、果実生成型植物の会計処理をするための理由と整合して、IFRS第1号「国際財務報告基準の初度適用」で有形固定資産について提供されているみなし原価の免除規定は、果実生成型植物の項目にも利用可能である。

IASBは、再審議の完了時にのみ、発効日および完全移行についての詳細を決定する予定である。本修正は、緊急的会計論点に対処するため、IASBは、IAS第16号およびIAS第41号の修正について早期適用を可能にすることを提案している。

 

その他の見解

本提案は、果実生成型植物の公正価値変動および当該変動を見積もるために使用された基礎となる前提に関する情報を除外するという考えから、2名のIASB理事が本EDの公表に反対投票した。彼らは、IASBの提案は、IFRSの改善になっておらず、財務諸表の利用者のニーズに対して適切に対処していないという結論に達している。

 

コメント期限と次のステップ

ED/2013/8「農業:果実生成型植物」のコメント期限は、2013年10月28日である。

IASBは、本提案に関して受領するコメントを検討し、その後、IAS第16号およびIAS第41号の修正を進めるかどうかを決定する予定である。

 

 》プレス・リリース (IASBのWebサイト)
 》公開草案 (IASBのWebサイト)
 》プロジェクト・ページ (IAS Plus)

<2013.06.20> IASBが保険契約に関する再公開草案を公表

国際会計基準審議会(IASB)は、保険契約に関する再公開草案(以下、「再ED」という)を公表した。IASBは、再審議の完了時に発効日を決定する予定のため、再EDには発効日に関する提案は含まれていない。最終基準書はその公表から約3年後に発効するものと現在予想されている。再EDは、主要な5つの領域について、関係者からのコメントを募集している。再EDのコメント期限は2013年10月25日である。

 

背景

IASBは、2010年7月30日に公開草案 ED/2010/8を公表し、保険契約の認識、測定、表示および開示の要求事項を取扱う、すべての種類の保険契約に一貫して適用できる単一の基準書を作成することを目的としていた。

最初のEDも再EDも、その目的は保険契約から生じるキャッシュ・フローの性質、金額、時期および不確実性を報告するために保険者が適用すべき原則を確立することにある。両EDの適用範囲は、保険者が発行するすべての保険契約および保険者が保有するすべての再保険契約の他に、保険者が発行する裁量権のある有配当性を有する投資契約にも及んでいる。一方で、再EDには適用範囲に含まれない契約の一覧も含まれている。

再EDによれば、保険契約の測定のためにはビルディング・ブロック・アプローチが使用される。保険契約負債は、キャッシュ・フローの確率加重された見積りに、キャッシュ・フローの金額および時期に関する不確実性を測定するリスク調整負債を加え、契約における未稼得利益を表す、契約サービス・マージン負債を加えた合計として決定される。

 

コメント募集の対象となる具体的な領域

IASBおよびFASBは、公開草案ED/2010/8に関して受領したフィードバックに基づき、本提案の再審議を実施し、保険契約会計の以下の5つの主要な側面に焦点をあてて、再公開草案を開発してきた。

  1. 保険契約の未稼得利益の修正
  2. 企業が保有することを要求されている裏付資産(underlying items)のリターンとのリンクが特定されている契約の会計処理
  3. 保険契約収益および費用の表示
  4. 損益とその他の包括利益における利息費用の表示
  5. 移行時の完全遡及アプローチ

 

Ⅰ. 保険契約の未稼得収益の修正

契約サービス・マージンは、当初認識時に、次の合計と等しい反対側の金額として算定される。

 (a)当初認識時における保険契約に関する履行キャッシュ・フローの金額

 (b)当初認識時前に支払い(受領)したキャッシュ・フロー

契約サービス・マージンは、保険者の義務の履行に応じて、カバー期間にわたって、事後的に損益として解放(release)される。また、契約サービス・マージンは、将来のカバーに関連する将来予想キャッシュ・フローの変更についても、将来に向かって調整される。こうした変更の結果、契約サービス・マージンが増加することとなった場合、契約サービス・マージンの金額には上限は設けられていない。一方で、その変更によって契約サービス・マージンがマイナスとなる場合には、その契約は不利(onerous)となる。この場合、変更日時点における契約サービス・マージンの帳簿価額を超過する変更については、損益に即時認識しなければならない。

発生保険金の見積りの変更において、つまり、カバー期間がすでに満了している場合、および、リスク調整の変動に関して、保険者が、契約サービス・マージンを調整することは認められない。

 

Ⅱ. 企業が保有することを要求されている裏付資産(underlying items)のリターンとのリンクが特定されている契約の会計処理

契約上のキャッシュ・フローが、裏付資産のリターンにリンクする有配当契約(participating contracts)について、保険者は、負債の裏付資産が測定および表示されるのと同様の方法で、当該キャッシュ・フローを測定および表示することが要求される。

有配当契約における、可能性のある3つのキャッシュ・フローのパターンおよび関連する会計処理は、以下の通りである。

 

1.契約上のキャッシュ・フローが、裏付資産と直接的に変動する場合

 ◦資産の帳簿価額を参照して、当該キャッシュ・フローを測定および表示する。

 ◦契約サービス・マージンの調整は行わない。

2.契約上のキャッシュ・フローが、裏付資産と間接的に変動する場合

 ◦現在の割引率で割引いた、一般的なビルディング・ブロック・モデルを使用して、キャッシュ・フローを測定する。

 ◦契約サービス・マージンの調整は将来に向かって行われる。

 ◦関連する利息の変動は、常に損益認識する。 

3.契約上のキャッシュ・フローが、裏付資産によって変動しない場合

 ◦再EDで要求されている、一般的なビルディング・ブロック・モデルを使用して、キャッシュ・フローを測定する。


これら3つのすべてのキャッシュ・フローのパターンのシナリオにおいて、保険者は、リスク調整負債の変動を損益に認識することが要求される。

 

Ⅲ. 保険契約収益および費用の表示

保険者は、残存カバー期間にわたって、負債の減少割合に応じて、毎期、収益を認識することが要求されている。

保険者は、新たに収益の金額にたどり着くために、未決済の過去の保険金に関連するものから、将来のカバーに関連するキャッシュ・アウトフローを分ける必要がある。特定の期間に予想されるカバーに関連するキャッシュ・アウトフローの金額は、保険収益金額にたどり着くまで、上述のマージンの金額に追加される。実際のキャッシュ・アウトフロー、たとえば実際の給付金および費用は、保険費用として報告される。

これらの収益および費用の金額は、最終的にひとつに調整される必要がある。これらに保険事象に関係なく保険契約者に支払われるキャッシュ・フローが含まれている場合、そうした金額は預り金要素を表すため、保険収益および費用の表示科目から分解されなければならない。

 

Ⅳ. 損益とその他の包括利益における利息費用の表示

保険者は、保険契約の利息費用を2つの要素に分けることが要求されている。契約販売時に、市場に整合する過去の割引率を基礎とした要素は、損益に認識される一方、現在の市場金利から算定された利息費用は、その他の包括利益に表示される。

有配当契約については、ミラーリング・アプローチに従って決定される表示が、常に、OCIによる解決策に優先される。

 

Ⅴ.移行時の完全遡及アプローチ

保険者は、提案された基準書の要求事項を、過去から常に有効であったかのように適用することが要求される。

再公開草案は、いくつかの実務上の便宜を提供するとともに、簡素化が図られている。

  • 契約サービス・マージンを完全に修正再表示することが実務上不可能な場合には、保険者は、合理的に入手可能なすべての客観的な情報を使用して、契約サービス・マージンを見積ることが認められている。また、保険者は、事後的な判断を使用することが要求され、当初認識日と移行日との間に生じた見積キャッシュ・フローの変動のすべてを識別することは要求されない。
  • 出発点として、保険者は少なくとも過去3年間の観察可能な市場金利のイールド・カーブを調整することにより、ロックインされた割引率を遡及的に決定する必要がある。観察可能な市場利回りが存在しない場合には、最も近接する観察可能な市場イールド・カーブを使用して決定することができる。遡及期間における各期間のロックインされた割引後のイールド・カーブを決定するためには、同一の観察可能な市場の参照時点(reference point)を使用しなければならない。
  • 再公開草案は、開示に関する要求事項を減少させることも要求している。クレーム・ディベロップメントに関する情報は、通常は10年間分が要求されるが、保険者は、基準書を最初に適用する事業年度の末日の5年前より前に発生したクレーム・ディベロップメントに関するこれまで未公表の情報を開示する必要はない。また、保険者は、IAS第8号で要求されるような、影響を受ける財務諸表の各表示科目に関する修正額の開示を要求されない。

再EDは、移行時点における金融資産の再指定についても規定している。表示される最も古い期間の期首現在で、保険者は、金融資産を損益を通じて公正価値で測定するように指定することが許容されるが、要求はされない。それが認められるのは、そうすることによって会計上のミスマッチが解消または大幅に低減されることとなる場合である。保険者は、従前の指定につながった会計上のミスマッチが現在解消されている場合には、損益を通じて公正価値で測定するというこれまでの指定を取り消すことが必要となる。

 

発効日

IASBは、再審議が完了時に発効日を決定する予定のため、再EDには発効日に関する提案は含まれていない。現時点では、最終基準書はその公表から約3年後に発効するものと予想されている。

 

コメント期限

5つの特定の領域へのコメント期間は、2013年10月25日に終了する。

 

 》プレス・リリース (IASBのWebサイト)
 》再公開草案「保険契約(ED/2013/7)」 (IASBのWebサイト)
 》再公開草案に関するスナップ・ショット (IASBのWebサイト)
 》再公開草案に関するデロイトのIFRS Podcast (IAS Plus)
 》IASBの保険契約プロジェクトに関するプロジェクト・ページ (IAS Plus)

<2013.06.05> IFRS財団がIFRSsの適用に関する法域別のプロフィール・ページを開設

IFRS財団は、主要20カ国・地域(G20)のすべての法域とその他46の法域における、国際財務報告基準(IFRSs)及び中小企業向け国際財務報告基準(IFRS for SMEs)の適用状況について詳細にまとめた、66の「法域別のプロフィール」の一覧をWebサイトに掲載した。

このプロフィールは、世界中のIFRSの適用に関し、IFRS財団が2012年8月から12月にかけて実施した調査に対して、基準設定主体及びその他の関連団体が提供した回答が基になっており、これまでに66の法域からの回答があった。これらの法域は、高品質のグローバルな会計基準への移行を支持するコミットメントの有無、(国内企業及び国外企業の)IFRSの採用状況、エンドースメント・プロセス、翻訳状況に関する質問に回答している。本調査は、IFRS for SMEs の採用状況にまで調査対象を拡大している。

(各法域より)提供された情報に基づきIFRS財団がドラフトしたプロフィールは、コメントを求めるために、回答者(基準設定主体)、規制当局、国際的な監査事務所及びその他の関係者たちに回付された。デロイトは、IFRS財団によるこの意欲的なプロジェクトを支援できたことを誇りに思っている。このプロジェクトは、国際会計基準審議会(IASB)の前理事であり、かつ、よく知られたデロイトの世界各国のIFRSの使用に関するテーブル(最近、より詳細な内容のG20法域内のIFRSsの使用に関するテーブルにより補完された)を最初に作成した、IAS Plusの前ウエブマスターでもあるポール・パクター(Paul Pacter)氏により主導された。

IFRS財団は、プロフィールで提供された情報に基づき、世界中のIFRSの採用に関して以下の事項を観察している。

  1. グローバルな会計基準の単一のセットとしてのIFRSに関し、世界でほぼ共通した支持がある。66の法域の95%で、高品質のグローバルな会計基準の単一のセットを支持することに関する公のコミットメントがあり、すべての法域(スイスを除く)が、IFRSこそがその基準の単一のセットであるべきであると述べている。
  2. (法域別の)プロフィールの80%以上が、IFRSがすべての、又はほぼすべての公開企業に対して採用されていることを示している。
  3. IFRSを採用した法域は、基準書をほとんど修正していない(very few modification)ということを示している。修正部分は主に、限定的(limited)で、一時的(temporary)で、影響がない(little impact)部分と記述されている。

プロフィールの掲載と提供された情報に関するスピーチにおいて、IASB議長のハンス・フーガーホースト(Hans Hoogervorst)氏は、この結果に非常に自信を示しており、世界中のIFRSsの適用に関し、以下のように結論付けている。

「これは、今回初めて公表されたプロフィールにより提供される情報の一部にすぎないが、今後公表されるであろう残りのプロフィールがこれと大きく異なるものになるとは考えられない。」

同氏はまた、将来の採用国又はエンドースメント・プロセスを通じて新たな基準書等を採用する法域が、IASBが公表したIFRSsに変更を加える理由もほとんどない(little reason)とする希望的な見通しも示した。

「我々の関係者は、基準書の一部に反対する場合であっても、そのほとんどが基準書を変更したいという誘惑に耐える。地域的な修正(local adjustment)は、投資家から疑いの目で見られることになり、ほとんどの法域はIFRSを全面的に採用するであろう。また、我々の関係者の大部分は、地域により異なる適用(local adaptation)が広まるのであれば、グローバルな基準書を有しているという便益は損なわれることを認めている。」

しかし、フーガーホースト氏は、今後の課題についても検討している。同氏にとって最も明確なことは、日本、米国、中国などの大規模かつ重要性を有する経済圏のいくつかが、まだ(完全には)IFRSを採用していないという事実である。同氏はまた、「アドプションだけでは十分ではない」と述べ、基準書の適切で首尾一貫した適用が同じく重要であると述べた。

 

法域別のプロフィール・ページ (IASBのWebサイト)
プロフィールの掲載に関するプレス・リリース (IASBのWebサイト)
ハンス・フーガーホースト議長によるスピーチ(IASBのWebサイト)
法域別のIFRSsの使用 (IAS Plus)
法域別のIFRSsの使用-G20国内上場企業 (IAS Plus)

<2013.06.02> SECの代表者が、国際的な基準設定の重要性を強調

米国のカリフォルニア州パサディナ(Pasadena)で開催された米国証券取引委員会(SEC)と財務報告研究所の第32回年次会議で行われたスピーチにおいて、SEC主任会計士のポール・A・ビズウィック(Paul A.Bezwick)氏とSECコミッショナーのエリーゼ・B・ウォルター(Elisse B.Walter)氏が、米国が何故強力なIASBを必要とするか、及び高品質な財務報告について語った。

 

ポール・A・ビズウィック(Paul A. Bezwick)氏の演説

トピックのうち、ポール・A・ビズウィック氏が焦点をあてたのは、「米国が何故強力なIASBを必要とするか、及びそのために米国が実施している事項」及び「会計基準の導入の成功の定義」についてであった。

スピーチの中で、ビズウィック氏は、米国がIFRSに対して既得権(vested interest)を有しているのは、単にIFRSを使用して財務諸表を作成している企業に対して多額の投資が行われているということが理由であると主張した。同氏は、SECがIASBに対して信頼を寄せていることを強調した上で、他の大規模な法域の多くは何らかのエンドースメント・メカニズムを導入しているのに対し、SECは、継続的なエンドースメント・メカニズムや適合性テスト(suitability test)を一切実施することなく、(外国登録企業に関しては)IASBが公表したままの形でIFRSsを受け入れることを強調した。ビズウィック氏によれば、「これは、高品質な会計基準を作成する機関としてのIASBおよびIASBのガバナンスに寄せる信頼の大きさを表している」。

さらに、米国市場でIFRSsを使用して財務諸表を公表する企業に投資する投資家を保護するためにSECが行っている数多くの事項を示し、ビズウィック氏は、「これらは概して、グローバルな財務報告コミュ二ティへのネットワーク上のベネフィット(network benefits)であるともいえる」と主張した。

これらには、以下の事項が含まれる。

  • (例えば、IFRSモニタリング・ボードのメンバーであることを通じて)IASBの基準書が可能な限り最高品質の基準であることを確保することに資する
  • IASBの基準設定プロセスに意見を述べる
  • IASBの基準設定プロジェクトのすべての進展を理解し、必要に応じてフィードバックを提供する
  • IASBのワーキング・グループに参加する
  • IFRSsが首尾一貫して適用されていることを確保することに資する

 

ビズウィック氏はまた、米国が、(FASBを通じて)IASBが新たに設置した会計基準アドバイザリー・フォーラム(ASAF)のメンバーであるという事実も指摘した。

ビズウィック氏は、FASBとIASBのコンバージェンス及び共同プロジェクトに話題を変え、会計基準の適用の成功も、コンバージェンスの最重要部分(paramount part)であるということを強調した。

「私は、基準書が、登録企業及びその監査人の間で、投資家のベネフィットのために首尾一貫して適用されたときにその適用が成功したと考える。判断が適用される限りにおいて、基準書は、投資家が分析においてこれらの判断を考慮できるよう、それらの判断を投資家に明瞭に開示させる結果を生じさせるべきである」。

これに関連して、ビズウィック氏は、基準書の導入を容易にするために、移行リソースグループ(transition resource group)を創設するというFASBの計画に期待すると話した。次期FASB議長のラッセル・G・ゴールデン(Russell・G・Golden)氏が当日の午後に説明したところによれば、このグループは、教育、修正、解釈に関連する問題について焦点を当てる予定であり、FASBとIASBのメンバーだけでなく、作成者、監査人、および投資家コミュニティからの代表者が参加する予定である。ビズウィック氏は、(共同プロジェクトにおける)基準書を成功裏に適用するために要求されるであろう努力の大きさを考慮すると、共同プロジェクトに関しては、長期の導入期間を準備することが有用と考えていると述べた。

 

エリーゼ・ウォルター(Elisse Walter)氏の演説

会議当日に行われた昼食会での基調演説において、エリーゼ・ウォルター氏もまた、FASBとIASBのコンバージェンス・プロジェクトについてコメントし、世界中の投資家に資する肯定的な進展(positive development)を望むと述べた。同氏は、コンバージェンスは、調和化された基準書(harmonised standards)を公表することで止まるのではないと述べ、IFRSsと米国に関する希望的な観測について語った。

「コンバージェンス・プロジェクトの終了が、米国とIFRSに関する物語の結末ではないことは明らかである。私は、引続き、グローバルな会計基準の単一のセットが作成される日を待ち望んでいる」。

同氏は、ポール・ビズウィック氏と同様、適用の成功こそがクリアすべき最初のハードルであると主張し、適用の成功をサポートするための4つの柱を示した。

  • あらゆるレベルのすべての関係者の教育
  • 会社が自社の財務報告システムの更新に充てるリソース
  • (例えば、想定されている適用グループを通じた)解釈上の論点の識別
  •  投資家の理解に焦点を当てること

 

ポール・A・ビズウィック(Paul A. Bezwick)氏のスピーチ全文 (SECのWebサイト)
エリーゼ・ウオルター(Elisse Walter)氏のスピーチ全文 (SECのWebサイト)

<2013.05.31> FASB次期議長のラッセル・G・ゴールデン氏が、FASBの優先課題について演説

5月30日に米国カリフォルニア州パサディナで開催された米国証券取引委員会(SEC)と財務報告研究所の第32回年次会議において、米国財務会計基準審議会(FASB)の次期議長のラッセル・G・ゴールデン(Russel Golden)氏が、FASBの現在及び今後の課題について自らの見解を示した。

ゴールデン氏は、FASBと国際会計基準審議会(IASB)のコンバージェンス・プロジェクトについてコメントし、このコンバージェンス・プロジェクトは、「非常に重要(critically important)」であり、最優先事項であるとコメントした。FASBの現在の計画では、(1)数ヶ月以内に、収益認識に関する基準書(2)2014年の早い時期に、金融商品に関する2つの基準書(「分類および測定」「減損」)(3)2014年に、リース及び保険に関する基準書を公表する予定である。ゴールデン氏は、これらの各基準書の公表後間もなく、基準書の導入を容易にするための「移行リソースグループ(transition resource group)」を創設する予定であることを説明した。このグループは、教育、修正、解釈に関連する問題について焦点を当てる予定であり、FASBとIASBのメンバーだけでなく、作成者、監査人、及び投資家コミュニティからの代表者が参加する予定である。

これに加えて、ゴールデン氏は、新設された会計基準アドバイザリー・フォーラム(ASAF)についても議論し、FASBがASAFのメンバーになることが、どのようにコンバージェンス・プロセスを前進させることに役立つかについて述べた。

FASBの今後のアジェンダ項目に関しゴールデン氏は、財務会計基準諮問委員会(FASAC)が、FASBが優先すべきプロジェクトについてステークホルダーからの情報を求めた調査の結果を公表したことについて言及した。可能性のあるプロジェクトとしては、開示フレームワーク、ヘッジ会計、年金会計、負債と資本が含まれる。さらにFASBは、非公開企業の財務諸表利用者のニーズに対応すべく、非公開企業委員会(Private Company Council)との連携を継続していく予定である。

最後にゴールデン氏は、FASB会計基準コーディフィケーションに関する利害関係者からのフィードバックに対応し、FASBが「コーディフィケーションの改善が可能な分野について分析を行う」ことを計画していると述べた。この分析は、コーディフィケーションの変更箇所の記載方法とその伝達方法、及び混乱が生じるセクションのうちのいくつかを書き換えることに焦点を当てる予定である(FASBは現在、「負債及び資本」のセクションを書き換えている)。


ラッセル・G・ゴールデン(Russel Golden)氏のスピーチ全文 (FASBのWebサイト)

<2013.05.29> IASBは「非金融資産に係る回収可能価額の開示」に関してIAS第36号を修正

国際会計基準審議会(IASB)は、IFRS第13号「公正価値測定」による結果的な修正として、減損した資産の回収可能価額の測定に関して、IAS第36号「資産の減損」の開示要求事項の一部を修正した。しかし、当該修正の1つが、本来意図されていたよりも開示要求が拡大する結果となる可能性があった。IASBは、「非金融資産に係る回収可能価額の開示(IAS第36号の修正)」の公表を通じて、これについて修正を行った。

2013年1月18日に、公開草案ED/2013/1「非金融資産に係る回収可能価額の開示(IAS第36号の修正案)」が公表された。本日公表された本修正は、当該公開草案の提案及びそれに対して受領したフィードバックの結果である。

IAS第36号に対する本修正の内容は、以下の通りである。

  • 企業全体の、のれんまたは耐用年数を確定できない無形資産の帳簿価額と比較して、ある資金生成単位(単位グループ)に配分された、のれんまたは耐用年数を確定できない無形資産の帳簿価額が重要な場合、各資金生成単位(単位グループ)の回収可能価額を開示するように求められていたが、その開示要求事項を削除している。
  • 当報告期間中に、減損損失の認識または戻入れをした個別資産(のれんを含む)または資金生成単位の回収可能価額の開示を要求している。
  • 当報告期間中に、減損損失の認識または戻入れをした、個別資産(のれんを含む)または資金生成単位の処分費用控除後の公正価値について、追加情報の開示を求めている。追加情報に含まれるのは、以下の情報である。

 ◦ 公正価値測定が区分される(IFRS第13号にもとづいた)公正価値ヒエラルキー

 ◦ 処分費用控除後の公正価値を測定するために使用された評価技法

 ◦ 公正価値ヒエラルキーの「レベル2」および「レベル3」に区分される公正価値測定の測定に使用された主要な仮定

  • 当報告期間中に、減損損失の認識または戻入れを行い、その回収可能価額が、現在価値技法を使用した処分費用控除後の公正価値に基づいている場合、使用した割引率の開示を求めている。(この修正は、2012年5月に公表された公開草案「年次改善(2010~2012年サイクル)」を発端とする。)

 

本修正による全般的な影響は、個別資産または資金生成単位の回収可能価額の開示が要求されるケースが減少すること、開示要求が明確化されていること、現在価値技法を使用して(処分費用控除後の公正価値にもとづいた)回収可能価額を算定する場合に、減損(または戻入れ)の算定に使用した割引率を開示することについて明白な要求を導入していることである。

2013年1月18日に公表された公開草案に対する関係者のコメントは、その修正案を全般的に支持するものであった。公開草案からの重要な変更点は、提案されていた設例の削除である。設例の有用性や混乱を引き起こす可能性について関係者が懸念を示したため、また、IFRS第13号に例示があることを踏まえて削除された。その他の関係者は、「売却費用控除後(costs to sell)」と「処分費用控除後(costs of disposal)」の2つの用語が使用されていて一貫性がないことをコメントしたが、これについては、年次改善として検討の可能性があるものとして、IFRS解釈指針委員会に委ねられた。

本修正は、2014年1月1日以後に開始する事業年度から遡及適用される。また、IFRS第13号を合わせて適用する場合、本修正の早期適用が認められる。

 

 》プレス・リリース (IASBのWebサイト)
 》「IAS第36号 非金融資産に係る回収可能価額の開示」プロジェクト・ページ (IAS Plus)

<2013.05.28> IASBが開示に関するフィードバック・ステートメントを公表

国際会計基準審議会(IASB)は、IASBが主催した財務情報の開示に関するフォーラムでの議論を要約し、提起された事項に対するIASBの回答をまとめたフィードバック・ステートメントを公表した。 IASBは、財務報告開示の質と量に関する継続的な懸念に対処するための財務諸表作成者、規制当局、会計専門家及びIASBによる共同行動(collective action)において、触媒(catalyst)として作用することを望んでいる。IASBの回答において、IASBが数多くの新たな取組み(initiatives)について検討することが示された。これには、IAS第1号「財務諸表の表示」の限定的な範囲の修正、重要性に関する教育マテリアルの開発、開示に関連するより広範な問題に対処するためにリサーチ・アジェンダの一部としてプロジェクトを検討することが含まれている。

開示に関するディスカッション・フォーラムは、2013年1月28日にロンドンで開催され、財務諸表作成者、監査人、規制当局、財務諸表利用者及び基準設定主体間の対話を促進することを目的とするものであった。フォーラムの主要な目的は、「開示に関する問題(disclosure problem)」とその原因についてより明確な状況を把握することにあり、約120人が参加した。参加者は主に英国からであったが、その他の欧州諸国、米国、アジア・オセアニア地域からも代表者が参加した。

フィードバック・ステートメントには、議論の概要、IASBの回答、開示に関して既に着手されている作業の概要、及びIASBが2012年12月に開始した開示に関する調査結果が含まれている。IASBは、ディスカッション・フォーラムにより、利用者、作成者、基準設定主体、監査人及び規制当局のすべてが開示に関して認識された問題に貢献すること、そしてこれらの各当事者が開示を改善することに貢献できることが明らかになったとしている。

フィードバック・ステートメントは、IASBが開示の改善において先導的な役割を果たすべく、短期的、中期的に検討することが要請されるであろういくつかのステップを記述している。これらは、重要性、既存の基準書が判断の行使を妨げているという認識、開示要求のより全般的な見直しに関連するものである。

この点に関して、IASBが検討することを予定する主な対応は以下のとおりである。

 

短期

IAS第1号の限定的な範囲の修正 - これは、2013年の下半期にIASBにより検討される予定であり、提案されている内容は以下のとおりである。

  • 過度に詳細な情報が有用な情報を不明瞭にすることを説明している、比較的最近公表された基準書と同様の説明を、IAS第1号に追加する(すなわち、重要性から「特定の企業の財務諸表利用者には関係のない企業特有の情報を除外する必要がある」理由)。
  • 重要性は財務諸表全体に対して適用され、重要性のない情報は、「主要財務諸表(primary financial statements)」で表示又は注記で開示する必要はないことを明確にする。
  • 特定の企業にとって、基準書で規定されているいくつかの開示は、別個の開示を正当化するほどには重要ではないことを明確にする。
  • 財務諸表作成者は、財務報告書の表示において、判断を行使しなければならないことを明確にする。
  • 財務諸表に「表示の正常な配列順序(normal order)」があるという認識をなくし、企業がより文脈に即した情報及び全体的な情報を提供することを容易にする。
  • 会計方針の表示方法に関する制限を軽減し、財務報告書において重要な会計方針をより目立たせることを可能にする。
  • 使用しなければならない正確な用語を規定するのではなく、IAS第1号の要求事項が財務諸表をどのように形成すべく設計されたものであるかを追加の説明を設例付きで加える。これには、EBIT(金利・税金控除前利益)やEBITDA(金利・税金・減価償却控除前利益)などの小計をIAS第1号で認識するべきかが含まれる。
  • 企業が純債務(net debt)に関する調整表を開示し、説明する要求事項を追加する。

重要性に関する教育マテリアル - IASBは、一般的な適用ガイダンス又は教育マテリアルのどちらかを作成することを目的に、重要性に関するプロジェクトを開始することを計画している。このプロジェクトでは、重要性が実務においてどのように適用され、追加的なガイダンスをIAS第1号に追加するべきであるかどうかを検討する予定である。このプロジェクトは2013年の後半に開始される予定である。

新たな公開草案における開示要求 – IASBは、規範的な用語の使用を減らし、明確な開示目的を有する一方で、基準書の監査可能性に影響を与える要求事項を回避した将来の公開草案をドラフトする予定である。IASBは、「この点に関しては、最近の基準書でかなりの進歩を遂げている」考えている。

 

中期

開示に関するリサーチ・プロジェクト – IASBは、IAS第1号IAS第7号及びIAS第8号を見直すリサーチ・プロジェクトを開始するよう要請されている。このプロジェクトは、これらの基準書をすべて置き換え、「本質的な(in essence)」開示フレームワークを策定することを目的としている。この作業は、IASBの財務諸表の表示プロジェクトに関する従前の作業(2010年に中断)を基礎にするものであり、本プロジェクトを概念フレームワークのプロジェクトの作業と並行して開発する方法について検討するものである。

既存の開示要求の見直し - すべての既存の基準書の体系的な見直しは、概念フレームワークの改訂及び開示に関するリサーチ・プロジェクトから生じる作業との関連で行われる可能性がある。概念フレームワーク・プロジェクトの一環として開示原則に関する作業を完了させることが優先されるものの、IASBは、一般的な開示要求の基準書レベルでの見直しを加速させる方法があるかどうかを検討する意向を示している(開発される開示関連の原則は、現行の開示要求に直接的な影響は及ぼすものではない)。見直しは今後2年間で実施されることが予定されている。

フィードバック・ステートメントは、アウトリーチ・イベントも追加で開発する意向を示しており、(XBRLなどの)テクノロジー、より小規模な上場企業に対する開示への影響、国別の報告及び統合報告ついて検討している。

 

プレス・リリース (IASBのWebサイト)
フィードバック・ステートメント (IASBのWebサイト)
開示フレームワーク・プロジェクトの開発を要約するプロジェクト・ページ (IAS Plus)
IAS第1号の限定的な範囲の修正及び重要性に関するプロジェクト・ページ (IAS Plus)

<2013.05.20> 賦課金の会計処理に関する新解釈指針

国際会計基準審議会(IASB)は、IFRIC第21号「賦課金」を公表した。IFRIC第21号は、政府によって課される賦課金に関する負債をいつ認識するかについて、IAS第37号「引当金、偶発負債および偶発資産」に従って会計処理される賦課金と、時期と金額が確実な賦課金の両方についてのガイダンスを提供する。

 

背景

本解釈指針の発端は国際財務報告基準解釈指針委員会(以下、「委員会」)への要請であり、それは、一定の環境下で、特定の日にその市場に参加している場合に課される賦課金について、負債を生じさせる事象を識別するためにIFRIC第6号「特定市場への参加から生じる負債-電気・電子機器廃棄物」を適用すべきかどうかの決定を要請するものである。

委員会に提供された具体例には、英国の銀行賦課金、米国において製薬業者が連邦政府に支払う手数料、ハンガリーの銀行賦課金およびフランスの鉄道税が含まれていた。本解釈指針の最終版は、市場の参加者に課される賦課金について焦点を絞るのではなく、むしろ賦課金の広い範囲をカバーしている。

解釈指針を開発する上で委員会が検討した主要論点には、負債をいつ認識するべきなのか、およびIAS第37号「引当金、偶発負債および偶発資産」における現在の債務の定義が含まれていた。

委員会は2012年5月に解釈指針案を公表し、2013年第1四半期に再審議を終了した。その後、IASBは、2013年4月のIASB会議で本解釈指針を承認した。

 

解釈指針の要求事項

IFRIC第21号は、負債を認識するための債務発生事象を、関連規制に従った賦課金の支払いを引き起こす活動であると識別している。また、本解釈指針は、「経済的強制」および継続企業の原則は、債務発生事象の発生を引き起こしたり示唆することがないことを明確にしている。

IFRIC第21号は、賦課金を支払う負債の認識について、以下のガイダンスを提供している。

  • 一定期間にわたって債務発生事象が発生する場合、負債は徐々に認識される。
  • 最低減の閾値(minimum threshold)の達成により債務が生じる場合、最低限の閾値を達成する時点で負債を認識する。


期中財務報告においても、同じ認識原則が適用される。

本解釈指針は、その適用に関するガイダンスとして、多数の設例を提供している。例えば、本解釈指針には、報告期間の末日に銀行業を営んでいることにより生じる賦課金についての設例が含まれている。本解釈指針の要求を適用すると、この設例における債務発生事象は、報告期間の最終日に銀行業を営んでいることであると考えられ、報告期間の最終日より前に当該賦課金に関する負債を認識することはできない。また、当該賦課金は、年次報告期間の末日を含む期間をカバーする期中報告でのみ認識される。

本解釈指針の要約の完全版および経緯については、DeloitteのWebサイト「IAS Plus IFRIC第21号「賦課金」の要約(英語)」をご参照下さい。

 

本解釈指針の最終化にあたっての変更点

委員会は、再審議の結果、解釈指針案DI/2012/1「特定の市場で事業を行う企業に対して公的機関が課す賦課金」での当初の提案から多数の変更を行った。その変更内容として、以下の事項があげられる。

  • ある市場への参加に対して課される賦課金にのみ焦点をあてるのではなく、すべての賦課金を含むように対象範囲を拡大した。
  • 最低限の閾値がある賦課金の会計処理方法について、新たなガイダンスを設けた。
  • 賦課金の支払いに関する負債が、資産と費用のどちらを生じさせるかを決定するガイダンスを削除した。
  • 排出量取引スキームを本解釈指針の範囲外とした(このトピックはIASBのプロジェクトの対象であるため)。

 

他の基準書等との相互関係および発効日

本解釈指針は、IFRIC第6号「特定市場への参加から生じる負債-電気・電子機器廃棄物」を置き換えるものではない。IFRIC第6号は引き続き有効であり、IFRIC第21号と整合している。委員会は、IFRIC第6号はその適用範囲内の負債の会計処理について有益な情報を提供していると確信している。

IFRIC第21号の発効日は、2014年1月1日以後開始する事業年度からである。最初の適用については、IAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更および誤謬」の要求事項に従う。すなわち、本要求事項は遡及適用される。

 

<さらなる情報>

 》IASBプレスリリース (IASBのWebサイト)
 》IFRIC第21号「賦課金」の要約 (IAS Plus)
 》本指針の論点に関するプロジェクトの情報 (IAS Plus)

<2013.05.16> IASBはリース会計に関する提案を発表

国際会計基準審議会(IASB)は、リースの認識および測定のアプローチを提案する再公開草案を公表した。リースの借手について、公開草案ED/2013/6「リース」(以下、「再ED」という)は、すべてのリースに対して負債および使用権資産を認識し、リースの分類に応じて純損益に影響が生じることを提案している。リースの貸手については、再EDは現行のリース会計と類似したモデルを提案しているが、収益の認識および残存資産の割引に関して一部微妙な差異がある。これらの提案は、12か月超のリース期間を有するリースに関してのみ適用される。なお、再EDのコメント期限は2013年9月13日である。

 

<背景>

リース会計、特に借手の会計処理は、リース契約における契約上のコミットメントを透明性があり財務諸表の利用者に有益な方法で認識しないことから、金融危機の際に批判を受けていた。その結果、リース会計は見直され、同時に借手と貸手の会計処理の対称性の達成を図るため貸手の会計処理についても評価された。

最初の公開草案であるED/2010/9「リース」(以下、「2010年版ED」という)は、2010年8月に公表された。これは、借手と貸手の財務諸表上でのリースの取扱いについての関係者の見解を収集する目的で2009年3月に公表されたディスカッション・ペーパーから構築された。2010年版EDは、すべての借手についてファイナンス・リース会計アプローチの適用を提案し、貸手モデルとの対称性を反映したアプローチを提案した。

2010年版EDに対するフィードバックで、いわゆる損益の「前倒し(front-loading)」の結果として、借手モデルの純損益に対する影響が有益な情報を反映していないことが示された。「前倒し」は、リース債務が返済されることによって利息費用が時間とともに減少すること、および、定額法による使用権の償却が組み合わさることによって生じていた。再EDには、特定のタイプのリースについて、損益の前倒しを軽減する提案が含まれている。

貸手の会計処理については、2010年版EDにおける対称性アプローチの見直しを行った結果、現行モデルが財務諸表の利用者の意思決定に有益な情報を反映しているというフィードバックが示された。

 

<主要な提案の要約>
 

目的:再EDは、借手と貸手がリースから生じたキャッシュ・フローの金額、時期および不確実性を報告するために適用しなければならない原則を定めている。

範囲:再EDは、無形資産、生物資産、採掘権およびIFRIC第12号「サービス委譲契約」の範囲に含まれるサービス委譲に関するリースには適用されない。IFRIC第4号「契約にリースが含まれているか否かの判断」は、例えばテイク・オア・ペイ契約などの、リースの法形式をとらないが資産の使用権を移転する契約の評価に関するガイダンスを含んでいる。再EDは、提案された基準にこのガイダンスを組み込んでいるが、実務上、このガイダンスを適用する際に、いくつかの変更をもたらす可能性がある規準に書き換えられている。

契約の構成要素の分離:貸手は、例えばメンテナンス契約が含まれているリースについて、契約を各構成要素に分けることが求められる。分離にあたっては、収益認識に関する公開草案であるED/2011/6「顧客との契約から生じる収益」で概説されている、履行義務に対する取引価格の配分の原則を用いる。

リース期間 :リース期間は、リースの解約不能期間であり、リースを延長する重要な経済的インセンティブがある場合の更新オプション期間を含む。経済的インセンティブの適用は、特にリースが戦略上の条件にある場合、判断を要する可能性がある。

リースの分類:企業は、リースの開始日にタイプAまたはタイプBのどちらかにリースを分類しなければならず、タイプAは、通常、原資産が不動産ではないものを意味し、一方でタイプBは原資産が不動産であるものを意味する。

しかし、以下のいずれかの場合には、不動産リース以外のリースをタイプBに分類する。

  • リース期間が、原資産の経済的耐用年数合計に比して重要でない期間である。
  • リース料の現在価値が、リースの開始日における原資産の公正価値に比して重要でない。

 

逆に、以下の場合には、不動産リースをタイプAに分類する。

  • リース期間が、原資産の経済的耐用年数の残存期間の大部分を占めている。
  • リース料の現在価値が、リース開始日における原資産の公正価値のほぼ全額である。


契約の変更 :契約の変更は、結果としてリース資産とリース債務の見直しとなる。古いリースと新しいリースにおける資産と負債の帳簿価格の差額は、直ちに純損益に認識される。

借手の会計処理 :リースの開始日において、借手は、貸手が借手に課している利子率、または当該利子率が利用可能でない場合には借手の追加借入利子率を使用して、リース料を割り引かなければならない。リース料は以下を含む。

  • 固定の支払額(貸手からのリース・インセンティブの債権控除後)
  • 変動リース料で、指数またはレートに依存するもの(リースの開始日時点の指数またはレートを使用して当初測定される)
  • 実質的に固定リースである変動リース料
  • 残価保証に基づき、借手による支払が予想される金額
  • 借手が購入オプションを行使する重要な経済的インセンティブを有する場合、当該購入オプションの行使価格
  • リース期間に借手がリースを解約するオプションを行使することが反映されている場合、リースを解約することに対するペナルティの支払額

 

借手は、リース料支払額の現在価値を負債として認識する。同時に、リース債務と同額に以下を加算し、使用権資産を認識する。

  • 貸手から受領するリース・インセンティブを控除した、リースの開始日時点または開始日前に貸手に支払われたリース料
  • 借手に発生した当初直接コスト

 

リースの開始日後、負債は、利息の振戻しによって増加し、貸手に支払われたリース料によって減少する。リース料の予想額に変更がある場合、リース債務は見直される。当該再測定が当期に関連する場合、調整額は直接純損益に反映させる。そうではない場合、調整によって使用権資産が負とならなければ、当該調整は使用権資産に認識される。使用権資産は減損の対象となる。

借手は、コストが他の資産の帳簿価格に含まれない限り、以下について純損益に認識する。

  • タイプAのリースについて、リース債務についての割引の振戻しを利息として、および使用権資産の償却額
  • タイプBのリースについて、リース料は、リース期間にわたって定額法で純損益に認識され、単一のリースコストとして純損益に反映される。単一のリースコストは、負債に係る利息の実際の振戻しに配分され、残りのリースコストは使用権資産の償却に配分される。しかし、各期間のリースコストは、リース債務に係る割引の、各期間の振戻しの金額を下回ってはならない。
  • リース料の支払義務が発生する期間において、リース債務に含まれない変動リース料

再EDは、利用者が財務諸表において所有資産およびリース資産の財務上の影響を区別できるような開示を提案している。

貸手の会計処理 :再EDにおける貸手のモデルは、現行のリース会計に類似している。

タイプAのリースについて:

  • 借手について概説したとおり、貸手は、貸手が借手に課している利子率を使用してリース料を割引き、当該金額をリース債権として認識する。
  • 残存資産を、無保証の残存部分の現在価値と、リース債権に含まれない変動リース料および残存資産に関連する利得の配分の総額として認識する。
  • 資産のリースされた部分に関する利得を、直ちに純損益に認識する。
  • リース期間にわたって、リース債権および残存資産に係る利息の振戻しを純損益に認識する。

予測されるリース料の見直しは、信用リスクの影響を除いて、直ちに純損益に認識される。一定の規準が満たされた場合、リースの利率は、リース期間中に改定される可能性がある。リース債権および残存資産は、減損の対象となる。

タイプBからの収益は、現行の貸手のオペレーティング・リースに類似して、リース期間にわたって定額法または他の規則的な方法で純損益に認識される。リースされた資産は、認識の中止または組替は行わないが、自己所有の有形固定資産の原則を使用して償却される。

再EDは、利用者が財務諸表上でリースの財務上の影響を決定できるような開示を提案している。

発効日:IASBは、再審議の完了時に発効日を決定する。

本プロジェクトはコンバージェンス・プロジェクトの一つであるため、FASBは対応するEDを発行した。両提案のコメント期限は、2013年9月13日である。

 

<さらなる情報>

 》IASBプレスリリース (IASBのWebサイト)
 》公開草案ED/2013/6「リース」 (IASBのWebサイト)
 》EDを紹介するIASBの「スナップショット:リース」EDを紹介するIASBの「スナップショット:リース」 (IASBのWebサイト)
 》デロイトのIFRSポッドキャスト— 改訂されたリース会計案についてのインタビュー (IAS Plus)
 》IASBのリース・プロジェクトについてのIAS Plusのプロジェクト・ページ (IAS Plus)

<2013.05.02> モニタリング・ボードが既存メンバーの見直しおよび新規メンバーの選定の手続きとタイム・テーブルを公表

2013年5月2日、IFRS財団のモニタリング・ボードは、2013年4月11日にロンドンで開催した会議の成果を公表した。本会議で、モニタリング・ボードは、2013年3月に公表したメンバー要件に照らした既存メンバーの評価および新規メンバーの選定に関する手続きとタイム・テーブルを決定した。

2012年2月にモニタリング・ボードが公表した「IFRS財団のガバナンス改革に関する最終報告書」は、モニタリング・ボードのメンバーの拡大およびメンバー要件に照らしたメンバーの定期的な見直しの開始を含む、ガバナンス構造に対する多くの改善事項を識別した。

2013年3月1日に公表されたメンバー要件は、以下の通りである。

  • 当該国は、IFRSの適用に向けて進むこと、および、単一で高品質の国際的な会計基準が国際的に受け入れられることを推進することについて明確にコミットしている。当該国は、当該国の関連市場で資金調達する企業の連結財務諸表についてIFRSの適用を強制または許容している。
  • 適用されるIFRSは、国際会計基準審議会(IASB)が開発したIFRSと本質的に同列のものである。
  • 当該国は、国際的な文脈における、資金調達のための主要な市場であると考えられうる。
  • 当該国は、IFRSの策定に対し、継続的に資金拠出を行っている。
  • 当該国は、強固な執行の仕組みを整備し、実施している。
  • 関連する国・地域の基準設定主体が、IFRSの開発に積極的に貢献している。

2013年4月11日開催の会議で、モニタリング・ボードは、新規メンバーの選定および既存メンバーの評価に関する以下の3つの手順について合意した。

 

新規メンバー候補の選定(交代制メンバーを除く)

1. モニタリング・ボードは、新規メンバー候補の一般公募を実施する。

2. モニタリング・ボードは、モニタリング・ボードのメンバー要件に従って、新規メンバーの選定を完了する。

 

 (証券監督者国際機構(IOSCO)との協議で選定される)新規交代制メンバーの選定

1. モニタリング・ボードは、IOSCOとの協議の上で選定手続を決定する。IOSCOに対して、候補者の推薦を要請する。

2. モニタリング・ボードは、モニタリング・ボードのメンバー要件に従って、交代制メンバーの選定を完了する。

 

既存メンバーの評価プロセス

1. モニタリング・ボードの全ての既存メンバーは、モニタリング・ボードのメンバー要件に従って評価される。

既存メンバーの評価および新規メンバーの選定を同時に実施するという本手続のタイム・テーブルは、かなり不明瞭であるが、モニタリング・ボードは2013年中にプロセスを完了することを見込んでいる。

 

IFRS財団モニタリング・ボードとIFRS財団評議員会によるガバナンス改革及び戦略見直しの報告書の公表について (金融庁のWebサイト)

<2013.04.25> IASBは公開草案「規制繰延勘定」を公表

国際会計基準審議会(IASB)は、公開草案ED/2013/5「規制繰延勘定」(以下、「ED」という)を公表した。本暫定基準案は、従前の会計原則に従って現在「規制資産」および「規制負債」を認識している企業に対して、IFRS適用後も、長期の料金規制事業プロジェクトが完了するまで、料金規制の結果の認識を継続することを認めることを意図している。

本暫定基準案はIFRSの初度適用時にのみ適用可能であり、企業がIFRS第1号「国際財務報告基準の初度適用」を適用する際に同時に適用しなければならない。従前からIFRSを適用している企業は、本暫定基準案を適用することができない。本提案が承認された場合、本暫定基準を適用するには、特定の適格規準を満たさなければならない。具体的には、規制機関(すなわち料金規制当局)が、企業が提供する財またはサービスの対価として企業が顧客に請求できる価格を規制していること、および、規制されている財またはサービスを提供するための企業の許容原価を回収できるような価格設定が規制によってなされていることである。

 

<本暫定基準案の主要原則>

暫定基準は、:

1.IFRSの初度適用企業が、「規制繰延勘定残高」の認識、測定および減損について現地法域で認められる従前の会計原則の会計方針を引き続き使用することを認める(ただし強制はしない)。

2.企業に、財政状態計算書に「規制繰延勘定残高」を別個の表示科目として表示すること、純損益およびその他の包括利益計算書に「規制繰延勘定残高」の変動額を別個の表示科目として表示することを要求する。

3.「規制繰延勘定残高」の認識を生じさせる料金規制の内容および関連するリスクを明確に識別する特定の開示を要求する。

 

<本暫定基準案によって取り扱われている主要な特徴>

用語

  • 本暫定基準案は、一般的に使用されている「規制資産」および「規制負債」という表現を、それぞれ「規制繰延勘定借方残高」および「規制繰延勘定貸方残高」という用語に置き換えている。長期の料金規制事業プロジェクトは、「規制残高」が資産および負債の概念上の定義を満たしているかという論点に取り組むことを意図しており、「規制残高」がIFRSにおける資産および負債であるかどうかの結論が明確になっていないため、本暫定基準案では当該残高を「借方残高」または「貸方残高」と表現している。

 

他の基準の適用

•本暫定基準案は、最初に、有形固定資産、法人所得税、従業員給付など財政状態計算書で認識されている各資産および各負債がその他のIFRS基準の要求に従うように、全ての他のIFRS基準を適用することを要求する。「規制繰延勘定」は、他の基準に従って認識された資産および負債の金額に加算されて認識された増加額を表している。

• 本暫定基準案には、IAS第12号「法人所得税」IAS第36号「資産の減損」およびIFRS第5号「売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業」などの他の基準を、どのように「規制繰延残高」に適用しなければならないかについてのいくつかの具体的なガイダンスが含まれている。

 

表示

  •  企業は、「規制残高」の前に資産(負債)合計を表す小計を表示し、資産(負債)合計の後に「規制繰延勘定借方残高(貸方残高)」を表示することを要求される。要約すれば、資産は以下の様式で財政状態計算書に表示され、負債についても同様の表示が求められる。

 

流動資産             XXX

固定資産             XXX

規制繰延借方残高加算前資産合計  XXX

規制繰延借方残高         XXX

資産合計             XXX

 

  • 同様に、純損益およびその他の包括利益計算書についても、「規制繰延残高」の変動額を区別して表示するように要求する。したがって、純損益およびその他の包括利益計算書において、全ての「規制繰延残高」の変動額の純額を表す残高表示の前に、純損益の小計を表示しなければならない。
  • IAS第33号「1株当たり利益」で「基本的1株当たり利益」および「希薄化後1株当たり利益」の表示が求められているが、それに加えて、「規制繰延残高」の変動額の純額を除いた「1株当たり利益」(「基本的1株当たり利益」および「希薄化後1株当たり利益」の両方)の追加の測定値を表示しなければならない。両方の測定値(「規制繰延残高」の変動額を含む金額と除いた金額)を、同等の目立ち方で表示しなければならない。

 

開示
  • 本暫定基準案は、具体的な料金規制形態の内容および関連するリスクと、当該料金規制が企業の財政状態、業績およびキャッシュ・フローに及ぼす影響について、財務諸表の利用者が評価できるようにするための具体的な開示要求を含んでいる。当該開示に含まれる事項は以下の通りである。

1.個別で重要性がある(および集計すると重要性がある)規制繰延勘定に関する、カテゴリー別の期首と期末の帳簿価額についての具体的な調整表

2.規制当局に認められている、各規制繰延残高に適用される貨幣の時間価値を反映するための収益率または割引率

3.各「規制繰延勘定借方残高」の帳簿価額を回収または償却するまでの、もしくは、各「規制繰延勘定貸方残高」を戻し入れるまでの予測残存期間

 

その他の事項

  • 本暫定基準案は、IFRSの適用において暫定基準案のガイダンスを適用することに適格であり、かつ適用することを選択する企業に対して、「規制繰延残高」の認識と測定に関する会計方針の変更についてのガイダンスを提供している。
  • 本EDはIFRS第1号の必然的な修正を識別している。

 

<さらなる情報>

本EDのコメント期限は2013年9月4日である。

 

IASB プレスリリース (IASBのWebサイト)
ED/2013/5「規制繰延勘定」 (IASBのWebサイト)
EDサマリー (IASBスナップショット)
料金規制事業プロジェクト (IAS Plus)

<2013.04.23> FASB次期議長にラッセル・G・ゴールデン氏を指名

米国財務会計財団(FAF)は、財務会計基準審議会(FASB)次期議長にラッセル・G・ゴールデン氏(Russell G. Golden)が指名されたことを公表した。2013年7月1日に、FASB現議長のレスリー・F・サイドマン氏(Leslie F. Seidman)の後任として就任する予定である。

ゴールデン氏の議長としての最初の任期は2017年6月30日までであるが、2期目としてさらに3年間の任期を継続することが可能である。

ゴールデン氏は、Deloitte & Touche LLPのパートナーを務めた後、2004年にFASBのシニア・テクニカル・アドバイザーに就任した。2007年7月には、FASBのテクニカル・アプリケーション・アンド・インプリメンテーション・アクティビティ(Technical application and implementation activities)のディレクターに任命された。2008年から2010年9月までは、FASBのテクニカル・ディレクターを務め、FASBの発生問題専門委員会(EITF)の議長も務めた。2010年9月以降は、FASBのボードメンバーである。

 

ニュース・リリース (FAFのWebサイト)

<2013.04.20> 20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議がコンバージェンスを継続要請

2013年4月18日から19日にかけてワシントンで開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議はコミュニケを公表し、国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)による共同プロジェクトの最終化の要請を再確認した。

参加者は、世界経済の展望や国際金融アーキテクチャーの改革に関連した取り組みといった伝統的なG20アジェンダと共に、金融規制のアジェンダに関する進捗について議論した。コミュニケの最終版は、コンバージェンスを要請する以下の通例の文章を含んでいる。

「我々は、IASB及びFASBに対し、質の高い単一の基準を達成するための主要な未決着のプロジェクトに関する作業を2013年末までに最終化することの要請を再確認する。」

金融安定理事会(FSB)は、会議前の参加者へのレターに続き、会議に進捗報告を提出した。進捗報告に関して、FSBは、以下の会議メモをプレス・リリースしている。

「(参加者は)、OTCの規制改革の実施に係る進捗に留意するとともに、これらの改革のための残された法規制上の枠組みを完成させることにコミットしている。」

この改革の実施の直接的な結果には、IASBが2013年2月に公表した、公開草案ED/2013/2「デリバティブの契約更改とヘッジ会計の継続」を含む。公開草案は、店頭(OTC)デリバティブに関するG20の改革合意を実施する法域により導入される法律又は規制に従い、ヘッジ手段が清算機関に契約更改される状況においてヘッジ会計の継続を認めるようにIAS第39号及び近く公表予定のIFRS第9号のヘッジ会計の章の変更を提案するものである。欧州においては、「OTCデリバティブ、清算機関、及び取引情報蓄積機関に関する欧州の規制(「欧州市場インフラ規制-EMIR」とも呼ばれている)」に対応するものである。

G20財務相・中央銀行総裁会議に関して以下の資料が入手可能である。

 

 》コミュニケの最終版 (G20のWebサイト)
 》プレス・リリース (FSBのWebサイト)
 》進捗報告 (FSBのWebサイト)
 》会議前に送付された参加者へのレター (FSBのWebサイト)

<2013.04.16> IIRCが統合報告の「コンサルテーション・ドラフト」を公表

IIRCは、国際統合報告フレームワークの提案に関するコンサルテーション・ドラフトを公表した。ドラフトフレームワークは、組織が長期に価値を創造する方法を組織が簡潔に伝達できる新しい報告モデルの基礎を作成することを目指している。

ドラフトフレームワークは、ディスカッション・ペーパーを通じたコンサルテーション(及びプロトタイプ・フレームワークに対するフィードバック)に対してIIRCが受け取ったインプット、IIRCのパイロット・プログラムにおける今日までの発見事項及びその他のアウトリーチ活動の結果を反映している。

本コンサルテーション・ドラフトは、IIRCのWebサイトで入手可能である。英語以外に、アラビア語、中国語、フランス語、イタリア語、日本語、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語の許可された翻訳が入手可能となる。

コンサルテーション・ドラフトは、2013年7月15日まで3ヶ月間コメントを受け付けている。IIRCは、所定の書式によりIIRCのウェブサイトからコメントを受け取る事を望んでいるが、他の方法での回答も受け付けている。

IIRCは、最終化されたフレームワークの初版を2013年末までに公表することを望んでいる。「統合報告」の採用は、法律、規制及びその他の進展に依拠するが、個々の組織は、フレームワークを自発的に採用する事を選択できる可能性がある。

 

IIRCのコンサルテーション・ドラフト (IIRCのWebサイト)

<2013.04.10> IASB議長が短期的なボラティリティーと長期投資について演説する

最近、国際会計基準審議会(IASB)のハンス・フーガーホースト(Hans Hoogervorst)議長は、「会計と長期投資-『バイ・アンド・ホールド(Buy and hold)※』は『バイ・アンド・ホープ(buy and hope)』を意味しない」と題するスピーチを行った。このスピーチの中で、フーガーホースト氏は、会計と投資との間の関係について注目し、長期的投資家にとっても、自らの現在の立ち位置を把握できる(短期的な)情報が必要であることを指摘した。短期的情報は、長期的な目標を達成することに役立つ。

フーガーホースト氏は、持続可能な発展には有害と思われる短期的な視点が、金融市場を支配しているようにみえると概説することでスピーチを始め、以前より、会計基準を、長期的視点を有する投資家にとってより有用なものにすることができるのではないかという提案がなされていることを指摘した。

フーガーホースト氏は、(経営者の)説明責任(accountability)に関して短く概説した後、IFRSsが長期的な視点を持つことをサポートすることができるかどうか、及びその方法に関する質問に移った。同氏は、「公正価値の過度の使用」が金融危機を悪化させたという批判に反論し、公正価値会計こそが「システム内へ注入された有害な金融商品(poisonous instrument)に関するよりタイムリーな情報」を提供したことを指摘した。フーガーホースト氏は、同様の理由から、IASBが、人工的な方法でボラティリティを低減させる将来の保険会計に関する公開草案の提案を却下したと述べた。IASB議長によれば、長期的な目標を掲げていることを理由に現在の進展から目をそらすことは、「buy and hold」を、「buy and hope」へ転換させることを意味する。

フーガーホースト氏は、「長期的投資家でさえも、短期的変動を無視することはできない。たとえそれが、短期がどれほどの期間になるのかわからないということだけを理由にするにしても。」とコメントした。長期的目標を達成するためには、短期的修正を繰り返す必要がある。そして、短期的修正が必要かどうかを判断するためには、毎日評価(evaluate)することが必要となる。

「よって、長期的情報だけを気にかけていると話す人々や、市場動向には悩まされたくないと思っている人々には注意しなくてはいけない。長期的視点を有する企業も、市場の短期的な変動に耐えることができなければならない。」

フーガーホースト氏は、IFRSsがどのように長期的な視点を持つことをサポートできるかという質問に答えるに際し、IASBは、短期的リスクがそこに存在しないかのように偽ることによっては、長期的な視点を持たせることに貢献することはできないと述べて発言を結んだ。一方で同氏は、IFRSsは短期と長期の双方に対して最大限の透明性を提供し、長期的投資家が要求する情報を常に提供すると述べた。

※バイ・アンド・ホールド:長期保有を行うことを前提とした投資手法

 

ハンス・フーガーホースト議長のスピーチ全文 (IASBのWebサイト)

<2013.03.29> FASBが金融商品の信用損失モデルに関する提案のコメント期限を延長

米国財務会計基準審議会(FASB)は、銀行、金融機関及び他の公開企業及び非公開企業が保有する貸付金及びその他の金融資産の予想信用損失に関する財務報告を改善するための提案のコメント期限を延長した。新たなコメント期限は、2013年5月31日までである。

FASBは、2012年12月20日に会計基準アップデート(ASU)案「金融商品-信用損失」を公表した。ASU案は、金融資産の減損の会計処理に現在予想信用損失(current expected credit loss :CECL)モデルを導入している。CECLモデル案は、信用損失のよりタイムリーな認識を要求することを目的としており、信用リスクに関する透明性も高める内容となっている。CECLモデルは、認識前に損失が発生していることを一般的に要求する米国会計基準(US GAAP)における複数の既存の減損モデルを置き換えるものである。

2013年3月7日、国際会計基準審議会(IASB)は、長い間待ち望まれていた、金融資産の減損に関する新たな会計モデルの提案を公表した。この公開草案(ED)において、IASBは、信用損失が発生した場合にだけ信用損失を認識するモデルを提案していない。より正確に言えば、企業は、報告日時点で回収が予想されない契約上のキャッシュ・フローに関する現在の見積りに基づき、金融資産及び信用が供与されるコミットメントについて予想信用損失を認識することになる。

IASBの提案とFASBのアプローチの主要な相違は、FASBは、当初認識以降に信用状況が悪化した金融商品とそうでない金融商品を区別しないということである。その代わりに、FASBは、すべての金融商品に関して、減損引当金を決定する際の単一の測定モデルを要求している。当初認識時点において、企業は残存期間(lifetime)の予想信用損失の現在価値に等しい減損引当金を認識することになる。

関係者は、IASBのEDとFASBの提案を同時並行で検討できる期間を持てるよう、FASBに対してコメント期限を延長するよう要請していた。今週はじめに、FASBのスタッフは、関係者がFASBの提案を理解するための一助となるよう、「頻繁に寄せられる質問(frequently asked questions)」に対する回答文書を公表した。

 

 》FASBのプレス・リリース (FASBのWebサイト)
 》ASU案「金融商品‐信用損失」に頻繁に寄せられる質問に回答するFASBのスタッフ文書 (FASBのWebサイト)

<2013.03.28> IASBが、料金規制に関する「情報提供の要請」を公表

国際会計基準審議会(IASB)は、ディスカッション・ペーパーの開発範囲の一部に含めるべき料金規制スキームのハイレベルな概要を識別するため、ステークホルダーからのコメントを求める「情報提供の要請(Request for Information:RFI)」を公表した。

料金規制プロジェクトは、当初、2008年12月にIASBのテクニカル・アジェンダに追加され、2009年7月22日に公開草案が公表された。公開草案に寄せられたコメントは、多様な見解を表明するものであった。これまで(料金規制に関して)合意に達したことはなく、本プロジェクトは2010年9月に中断されていた。

IASBは、「アジェンダ・コンサルテーション2011」への対応の一環として、本プロジェクトを再開した。RFIは、本プロジェクトを再開するにあたり、IASBが行う初期のステップである。RFIは、他のリサーチ結果とともに、ディスカッション・ペーパーの開発に使用される。このディスカッション・ペーパーの目的は、「料金規制の影響に関するどのような情報がIFRS財務諸表の利用者にとって最も有用で、これらの影響を会計処理するために、IASBが特定のガイダンスを開発するべきかどうかを識別する」ことにある。

 

「情報提供の要請」に記載された質問の概要

質問1‐どのような種類の財又はサービスが、ディスカッション・ペーパーで検討することを記述する料金規制の対象となるか?

質問2‐料金規制の目的、及び当該目的が料金規制当局(rate regulator)、料金規制事業者(rate-regulated entity)及び顧客(customer)との間の相互作用に及ぼす影響

質問3‐規制によって創設される権利又は義務の種類

質問4‐質問3に対するコメントで識別された権利又は義務に関して、料金規制事業者がどのように当該権利を執行し、又は、料金規制当局がどのように料金規制事業者の債務の決済を執行するのか?

質問 5‐(該当するものがある場合)許容されたコストの過少または過大回収(料金の見積金額と実際金額との差額)について、料金規制がどのように当該回収又は払戻しを保証しているか?これらのメカニズムは、当該金額を目標とされた期限内に回収又は払戻しすることにおいて有効であるか?

コメント期限は、2013年5月30日までである。

 

料金規制に関する情報要請 (IASBのWebサイト)

<2013.03.25> IASBが、IAS第19号の限定的な修正案を公表

国際会計基準審議会(IASB)は、公開草案ED/2013/4「確定給付制度:従業員拠出(IAS第19号の修正案)」を公表した。本修正案は、従業員拠出(employee contribution)が勤務(service)に関連している場合に、確定給付制度(defined benefit plan)の正式な規約に示された従業員給付の会計処理を明確にすることを目的にしている。コメント期間は、2013年7月25日までである。

このEDの公表につながったIASBの限定的な範囲のプロジェクトは、IFRS解釈指針委員会に提出されたIAS第19号「従業員給付」の第93項の明確化を求める要請から生じたものであった。本項は、確定給付制度の正式な規約に定められた従業員拠出の会計処理を規定するものである。論点は、勤務に関連する従業員拠出は、いかなる場合においても、IAS第19号第70項に従って負の給付(negative benefit)として勤務期間(periods of service)に帰属させるべきかどうかという点であった。

IASBは、2013年2月の会議で本論点について議論し、拠出が行われる期間と同じ期間に提供された従業員の勤務にのみ関連する従業員又は第三者からの拠出は、第70項に従って拠出を勤務期間に帰属させるのではなく、勤務費用の減額として取扱い、拠出が行われた期間と同一の期間に会計処理できるという結論に達した。

勤務費用の減額として処理できる拠出の例として、EDは、拠出が従業員給与の一定割合(fixed percentage)に固定されており、従業員給与に対する割合が、従業員の事業主に対する勤続年数に左右されない拠出を例に挙げている。

IASBはまた、第93項に、拠出が支払われるべき期間と同一の期間の勤務費用の減額として認識されない従業員拠出からの負の給付は、正味の給付(net benefit)の整合的な帰属を確実なものとするために、第70項に従ってグロスの給付を勤務期間に整合的に帰属させることを規定することを決定した。

最終化された場合、当該修正は遡及的に適用されるが、(発効日の)正確な日付については今後決定される予定である。コメントは、2013年7月25日までにIASBに提出しなければならない。

 

 》IASBのプレス・リリース (IASBのWebサイト)
 》公開草案ED/2013/4「確定給付制度:従業員拠出(IAS第19号の修正案)」 (IASBのWebサイト)
 》プロジェクト・ページ (IAS Plus)

<2013.03.18> IASB議長が、インドネシアにIFRS完全適用を促す

国際会計基準審議会(IASB)議長のハンス・フーガーホースト氏は、最近、インドネシア会計士協会(Ikatan Akuntan Indonesia, IAI)が企画した「IFRS dynamics 2013 and Beyond:インドネシアへの影響」に関する国際セミナーで演説を行った。同氏は、現在緩やかなコンバージェンス・プロセスをとっているインドネシアに対して、国際財務報告基準(IFRSs)を完全に採用するよう促した。

IFRSの採用に関するインドネシアのアプローチは、自国の会計基準(インドネシア財務会計基準、IFAS)を維持しつつ、できる限り多くのIFRSと徐々にコンバージェンスしていくというものである。2012年以降、インドネシアで適用されている基準書は、2009年1月1日時点で発効していたIFRSsを基礎としている。しかし、現在のところ、IFRSをフル・アドプションする計画はない(したがって、このためのタイムテーブルも作成されていない)。

フーガーホースト氏はスピーチの中で、同氏が考える、インドネシアがIFRSをフル・アドプションした場合のベネフィットについて説明した。同氏は、ヨーロッパがIFRSの採用によってどのように恩恵を受けてきたのかを説明し、インドネシアに対し、新興経済国(特にインドネシアのような急速な発展過程にある経済国)がIFRSの使用により得ることができるメリットをイメージするよう勧めた。また同氏は次のように加えた。

「多くの新興国にとって、IFRSを採用することは、熱意(ambition)を表す重要なメッセージ(つまり、適用可能な最高品質の財務報告基準に準拠するという国際的なコミットメント)になっている。」

しかし、フーガーホースト氏は、各法域(jurisdictions)は、IFRSsを完全に採用するべきであり、部分的に(halfway)採用するべきではないと警告した。

「IFRSというブランドを使用することによる完全なベネフィットは、IFRSをフル・アドプションした場合にのみ享受できることを理解することが重要である。外国人投資家にとっては、小さな相違と大きな相違を識別することは非常に困難である。ある法域が、IFRSを完全に採用していると明言することができない場合、投資家は、その相違が実際よりもはるかに大きいものであると考える可能性がある。もし、IFRSsの95%を採用するために尽力したならば、残りの5%についても同様に尽力していただきたい。そうでないと、IFRSを採用したという成果の国際的な認知を完全に獲得することなく、移行(transition)に伴う痛みをすべて背負うことになる。」

移行に伴う困難や問題への懸念については、フーガーホースト氏は、IASBによる支援体制を提示し、東京にあるIASBのアジア・オセアニア・オフィスや新興経済グループ(Emerging Economies Group)を挙げた。同氏はまた、IASBとアジア・オセアニア基準設定主体グループ(AOSSG)との密接な協力関係についても言及し、そのような協力関係が、今後はIFRS財団が世界中の基準設定主体とIASBの連携を深めるために設置した会計基準アドバイザリー・フォーラム(ASAF)で示されていく可能性が高いことについて説明した。フーガーホースト氏は、これらすべての取組みが、インドネシアが財務報告に積極的に参加するための素晴らしい機会を提供していることを示し、「あなた方には、将来のグローバルな財務報告の形成を支援する素晴らしいチャンスがある」としてこのスピーチを結んだ。


ハンス・フーガーホースト議長のスピーチ全文 (IASBのWebサイト)

<2013.03.07> IASBが新たな減損モデルを提案

国際会計基準審議会(IASB)は、金融資産の減損に関する新たな会計モデルについて、長らく待たれていた提案を公表した。本公開草案(ED)においてIASBが提案しているモデルでは、信用損失はもはや発生時に認識されるのではなく、企業は、金融資産及び信用を供与するコミットメントに係る予想信用損失を、契約上のキャッシュ・フローの予想される不足額に係る報告日における現在の見積りに基づいて認識することとなる。コメント期限は2013年7月5日である。

 

背景

公開草案ED/2013/3「金融商品:予想信用損失」は、金融資産の減損に関する改訂されたアプローチを含むものである。2009年以来、IASBは減損認識の新たなアプローチを開発してきた。グローバルな金融危機の中にあって、IASBは、その要求事項(複雑で首尾一貫していないと受け止められた)を変更し、よりタイムリーに新たな信用損失を認識するようにすべきとのプレッシャーを受けた。IAS第39号「金融商品:認識と測定」における現在の一連のルールの下では、金融商品が減損し、減損損失が認識されるのは、損失事象が発生し、その損失事象が将来キャッシュ・フローに信頼性をもって見積り可能な影響を有している場合である(いわゆる発生損失モデル)。

2009年11月、IASBは、金融商品の実効金利を調整することを通じて予想信用損失を測定しようとする最初の提案を公表した(ED/2009/12「償却原価及び減損」)。本アプローチは、金融資産の予想信用損失は、通常、賦課される金利の価格設定に織り込まれるという事実に基づいていた。したがって、予想信用損失は理念的には金融資産の利回りに反映されるべきであり、他方、信用損失の予想の変化は資産の価格設定に織り込まれていないため、発生時に認識されるべきである。この当初のアプローチは概念的には合理的と認められたものの、個々の金融商品に係る信用の変化を追いかけるために必要な追跡が行われることがほとんどないという理由から、実務上不可能であるとみなされた。

2011年1月、IASBと米国財務会計基準審議会(FASB)は、金利の認識を減損の認識から分離(ディカップリング)することを提案する補足文書を公表した(ED/2011/1「補足文書」)。金融商品は「グッドブック」と「バッドブック」に区分され、そのうち「グッドブック」は報告日現在で損失が生じていない金融資産からなるとされた。それ以外の金融商品は「バッドブック」に区分される。「バッドブック」の金融資産については、金融商品の残りの存続期間に予想される信用損失と同額の引当金が認識され(これは、かつて発生損失モデルの下で金融商品について行われていたことと大きくは違わない)、他方、「グッドブック」に区分された資産については、引当額は、存続期間に予想される信用損失の期間比例配分額とされた。もし企業が予見可能な将来についてより高い金額を予想した場合には、期間比例額に代えてその高い金額を計上することとされた。

2011年以来、IASBとFASBは本アプローチを微調整するために作業してきた。本アプローチは、なおも現在の提案の基礎となっている。両審議会が特に関心を有していたのは、(1) 「グッドブック」の資産について認識されるべき金額は何か、及び(2) 信用が著しく悪化又は改善した場合に、資産は「グッドブック」と「バッドブック」の間をいつどのように移動するのか、という2つの疑問である。FASBは2012年7月に、それまで共同で開発してきたアプローチをもはや続けないこと、代わりに独自の減損モデルを公表することを決定したが、IASBはこの作業を続行した。

最終化された場合、今回EDにおいて公表された提案は、IFRS第9号「金融商品」の独立したセクションとして統合されることになる。

 

主要な提案の要約

目的:この要求事項の範囲に含まれるすべての金融商品について、予想信用損失を認識することが目的である。予想信用損失は、契約上のキャッシュ・フローの予想される不足額と定義される。企業は、過去の事象、現在の状況、及び合理的で裏付け可能な予測を考慮して、予想信用損失を見積もらなくてはならない。

範囲:以下の金融商品が、提案されている要求事項の範囲に含まれる。

  • 償却原価で測定されるすべての金融資産
  • 2012年12月に公表された新提案においてその他の包括利益を通じて公正価値で測定されるすべての負債性金融商品
  • すべての売掛債権及びリース債権
  • 信用リスクにさらされている他の金融商品。例えばローン・コミットメント及び金融保証契約(純損益を通じて公正価値で測定するものを除く)

減損-金額:これらの金融商品について認識される減損の金額は、当初認識以後に信用が著しく悪化したかどうかによって異なる。3つの段階が区別される。

  • 段階1:信用の質が当初認識以後に著しく悪化していない金融商品
  • 段階2:信用の質が当初認識以後に著しく悪化した金融商品
  • 段階3:報告日現在で減損の客観的証拠がある金融商品

段階1の金融商品については、今後12か月の間に予想されるキャッシュの不足額の現在価値が認識される(12か月の予想信用損失)。これに対し、段階2又は段階3に分類される金融商品については、残りの存続期間にわたるキャッシュの不足額の現在価値が減損として認識される(全期間の予想信用損失)。

減損-認識:金融資産については、企業は損失引当金(a loss allowance)を認識する。他方、信用を供与するコミットメントについては、予想信用損失を認識するために引当金(a provision)を設定する。

利息:段階1及び段階2の金融商品については、利息収益は金融商品の帳簿価額の総額に基づいて計算される。他方、段階3の金融商品については、利息収益は純額ベースで(すなわち、金融商品の帳簿価額から予想信用損失を控除した後で)認識される。

売掛債権及びリース債権についての簡素化されたアプローチ:企業は、会計方針の選択として、2分類モデルを適用することに代えて、常に債権の残りの存続期間にわたるキャッシュの予想不足額の現在価値として減損を測定することができる。

新しい開示:提案されたアプローチには、新しい開示要求が含まれている。例えば、調整表、予想信用損失の測定に使用したインプットと仮定の説明、金融商品の信用リスクの悪化及び改善の影響に関する情報などである。

発効日:IASBは、再審議が終了してから発効日を決定する。

 

FASBの提案との比較

2012年12月に、FASBは、現在予想信用損失(CECL: Current Expected Credit Losses)に係るモデルの提案を公表した。上述したIASBの提案とFASBのアプローチの重要な違いは、FASBは、当初認識以後に悪化した金融商品と悪化していない金融商品を区別しない点である。FASBは、その代わり、すべての金融商品について、減損引当金を算定するに際して単一の測定モデルを要求している。当初認識時に、企業は、残存期間の予想信用損失の現在価値と等しい費用を認識する。

IASBの提案に対するコメント期限は、7月5日である。FASBのEDのコメント期間は4月30日に先に終了する。

 

 》IASBプレス・リリース (IASBのWebサイト)
 》公開草案ED/2013/3「金融商品:予想信用損失」(IASBのWebサイト)
 》EDを紹介するIASBの「スナップショット」 (IASBのWebサイト)
 》IASBの金融商品プロジェクトのフェーズⅡについてのIAS Plusのプロジェクト・ページ (IAS Plus)
 

<2013.03.01> モニタリング・ボードが最終的なメンバー要件、既存のメンバーの見直し及び新規メンバーの選定プロセスを公表

2013年3月1日、IFRS財団のモニタリング・ボードは、モニタリング・ボードのメンバー要件の評価アプローチの最終化に達したことを公表した。当該要件は、新規メンバーの選出および3年毎に行われる既存メンバーの定期的な見直しに使用される。同時に、モニタリング・ボードは、現在モニタリング・ボードの暫定議長を務める河野正道氏を議長として選出した。

モニタリング・ボードは、2012年2月に「IFRS財団のガバナンス改革に関する最終報告書」を公表した。本報告書は、モニタリング・ボードのメンバーの拡大および未だ開発されていなかったメンバー要件に照らしたメンバーの定期的な見直しの開始を含む、ガバナンス構造に対する多くの改善事項を明らかにした。2013年2月6日に行われたモニタリング・ボードの会合で、本要件および評価プロセスが最終化された。

メンバー要件の主な焦点は、以下の定量的および定性的追加要素を含む、IFRSの使用に関する要件である。

  • 当該国は、IFRSの適用に向けて進むこと、および、単一で高品質の国際的な会計基準が国際的に受け入れられることを推進することについて明確にコミットしている。当該国は、当該国の関連市場で資金調達する企業の連結財務諸表についてIFRSの適用を強制または許容している。
  • 適用されるIFRSは、国際会計基準審議会(IASB)が開発したIFRSと本質的に同列のものである。
  • 当該国は、国際的な文脈における、資金調達のための主要な市場であると考えられうる。
  • 当該国は、IFRSの策定に対し、継続的に資金拠出を行っている。
  • 当該国は、強固な執行の仕組みを整備し、実施している。
  • 関連する国・地域の基準設定主体が、IFRSの開発に積極的に貢献している。

 

これらの要件は、新規メンバーの選定の際に適用される。本プロセスは、2013年から開始される。候補が一部の要件を満たしていないものの、当該要件を充足するというコミットメントを明確に示している場合には、メンバーとして再度応募することが可能である。

さらに、既存メンバーの定期的な見直しは、2013年に開始し3年毎に行う。モニタリング・ボードの継続メンバーの適格性は、全ての要件の完全な適合に向けて、時間をかけて進んでいるかを十分に考慮しつつ、要件に沿って評価する。既存のメンバーが、要件を完全にまたは著しく満たしていないことが判明した場合、当該メンバーの議決権を停止することができる。最悪の場合、当該メンバーの資格を取り消すことができる。

現在、モニタリング・ボードのメンバーには、米国証券取引委員会(SEC)が含まれている。米国では国内企業に対するIFRSの適用が認められていないが、米国市場で資金調達する企業(外国登録企業)の連結財務諸表についてはIFRSの適用を認められており、米国市場は、資金調達をするための重要な市場である。また、米国は、EUと日本に次いで3番目に多額の資金拠出をIFRS財団に対して行っており、SECの執行は強固であり、米国の基準設定主体であるFASBは高品質のIFRSの開発に貢献することをコミットし続けている。このことをもって、SECが完全にメンバー要件を充足していると言えるかどうかについての決定は、他のモニタリング・ボードのメンバーに委ねられており、既存メンバーの定期的な見直し期間に行われる必要があるであろう。

 

金融庁>国際会計基準(IFRS)財団モニタリング・ボードによるメンバー要件の評価アプローチの最終化及び議長選出の公表について 

<2013.02.28> IASB がG20の 店頭取引(OTC)イニシアティブに対応したヘッジ会計の緊急修正を提案

国際会計基準審議会(IASB)は、公開草案ED/2013/2「デリバティブの更改とヘッジ会計の継続」を公表した。本公開草案は、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で合意された、店頭(OTC)デリバティブに関する改正を実施する法域によって導入される法令または規制を受けて、ヘッジ手段の相手方が清算機関へと更改される場合のヘッジ会計の継続を認めるよう、IAS第39号および公表予定のIFRS第9号のヘッジ会計の章の変更を提案している。現在、多くの法域が当該法令の施行を検討しているため、IASBは緊急修正を提案している。本EDのコメント期間は、30日である。

 

背景

本プロジェクトは、IFRS解釈指針委員会(委員会)に対して、特定の種類の店頭デリバティブを集中清算することを導入する、店頭デリバティブ、清算機関、および取引情報蓄積機関に関するヨーロッパの規制(いわゆる欧州市場インフラ規則-EMIR)に関する要請があったことを受けて、発足した。

IFRS解釈指針委員会への当該要請をもたらしているヨーロッパでの規則の制定は、グローバル金融危機に対応して、標準化された店頭デリバティブ契約に対する集中清算を新たに要求することを導入する、G20からのコミットメントを受けて行われているものである。具体的には、2009年9月、G20リーダー間で以下の合意が行われた。

「遅くとも2012年末までに、標準化されたすべての店頭デリバティブ契約は、適切な場合には、取引所または電子取引のプラットフォームを通じて取引され、清算機関を通じて清算されるべきである。店頭デリバティブ契約は、取引情報蓄積機関に報告されるべきである。清算機関を通じて決済がなされない契約は、より高い所要自己資本賦課の対象とされるべきである。我々は、FSBとその関連メンバーに対して、実施状況およびデリバティブ市場の透明性を改善し、システミック・リスクを緩和し、市場の濫用から守るために十分かどうかにつき、定期的に評価することを要請する。」

IFRS解釈指針委員会への最初の要請は、EMIRに準拠して店頭デリバティブの相手方を集中清算機関(CCP)に更改した場合のヘッジ会計への影響を懸念するものであった。特に、IFRS解釈指針委員会は、当該状況下での店頭デリバティブの更改がヘッジ会計の中止をもたらすかどうかを検討し、ヘッジ会計を継続できる救済措置を提供するような限定的な範囲の修正を提案した。

IASBは、2013年1月の会議において当該論点を検討し、基準の修正なしでは当該状況下での既存の店頭デリバティブの更改が認識の中止およびヘッジ会計の中止をもたらすことを決定し、本プロジェクトをアクティブ・アジェンダに追加することとした。

 

修正案の概要

公開草案ED/2013/2は、以下の全ての(要約された)要件を満たしている場合、ヘッジ手段についての更改を、将来に向かってヘッジ会計の中止をもたらす失効や終結と考えるべきではないことを提案している。

  • 更改が、法令または規制により要求されている。
  • 更改の結果、清算機関が、各当事者に対する更改されたデリバティブの新たな相手方になる。
  • 更改されたデリバティブの契約条件の変更が、当該更改されたデリバティブの契約条件に影響させることが必要なもののみに限定されている。

このように、本修正は、G20の店頭デリバティブに関する改良によってもたらされた特定の事実パターンのみに焦点を合わせている。IASBの見解は、こうした状況下において、更改前から存在するヘッジ関係を継続中のヘッジ関係として会計報告することで、財務諸表の利用者により有益な情報を提供するというものである。しかし、本修正の対象範囲は限定されており、本修正は、契約の両当事者が合意の上で任意に更改したデリバティブ(例えば、法令制定に向けての変更が間近に迫っていることを知って、予防策として企業が更改に合意した場合)に対しては、「ヘッジ会計の継続」を認めていない。この対応は、ドッド・フランク法にEMIR規制に対する類似の要求が含まれている米国会計基準とは異なっている。米国では、SECは、たとえ当該法令の発効日前に相手方の変更が行われたとしても、ヘッジしているデリバティブが清算機関に更改された場合、ヘッジ関係は継続されるという見解である。

公表予定のIFRS第9号「金融商品」のヘッジ会計の章は、更改が行われた場合にはヘッジ会計の中止を求めているため、本公開草案は、IAS第39号「金融商品(認識と測定)」に追加して当該修正をIFRS第9号に組み込むことを提案している。

 多くの法域がG20のOTC取引の改良を導入する法令化の最終化段階に入っているため、当該修正案は迅速に進められており、本公開草案のコメント期間は30日と短くなっている。コメント期限は2013年4月2日までである。

 

 》IASBのプレス・リリース (IASBのWebサイト)
 》ED/2013/2 「デリバティブの更改とヘッジ会計の継続」 (IASBのWebサイト)
 》本修正に関するプロジェクトのページ(IAS Plus)

<2013.02.19> IFRS財団評議員会が、IFRS財団定款の改訂版を公表

IFRS財団の評議員会は、IFRS財団定款の改訂版を公表した。本定款の改訂版は、国際会計基準審議会(IASB)の議長とIFRS財団の最高執行責任者(CEO)の役割の分離に関して定款の内容を変更するものとなっている。

本変更は、IASBの議長がIFRS財団のCEOを務めることはもはやできないことを規定したモニタリング・ボードのガバナンス・レビュー(2010年‐2011年)の結論に沿ったものである。代わりに、この職責は(IFRS財団の)エグゼクティブ・ディレクターの新しい役割に含められることになった。IFRS財団は既に、2012年のYael Almog氏のIFRS財団エグゼクティブ・ディレクターへの任命時に本変更を導入している。

定款の変更は、2013年1月23日にIFRS財団評議員会により承認され、即時に発効した。

 

 》IASBのプレス・リリース (IASBのWebサイト)
 》IFRS財団定款の改訂版 (IASBのWebサイト)

<2013.02.18> FASBが金融商品の分類及び測定に関する会計基準アップデート(ASU)案を公表

2013年2月14日、米国財務会計基準審議会(FASB)は会計基準アップデート(ASU)案「金融資産と金融負債の認識及び測定」を公表した。このASU案は、2012年11月に国際会計基準審議会(IASB)が公表したIFRS第9号(2010年)への限定的な修正案に関する公開草案に相当するものである。

2012年1月、FASBはIASBとともに、金融商品の分類及び測定に関する双方のアプローチの主要な側面をコンバージェンスするための再審議を開始した。米国会計基準(US GAAP)と国際財務報告基準(IFRSs)との間には重要な相違が残っているものの、ASU案は、金融商品の分類及び測定に関する2つのモデルをこれまで以上にコンバージェンスする結果をもたらす。ASU案のより詳細な情報、及びFASBのASU案とIASBの公開草案(ED/2012/4)どおりに改訂されるとした場合のIFRS第9号(2010年)との間の主要な類似点と相違点の概要は、デロイトが最近公表した「Heads Up」から入手可能である。

ASU案のコメント期間は、2013年5月15日までである。

 

プレス・リリース及びASU案 (FASBのWebサイト)

<2013.02.18> IFRS財団評議員会がデュー・プロセス・ハンドブック改訂版を公表

IFRS財団の評議員会は、IFRS財団デュー・プロセス・ハンドブックの改訂版を公表した。このハンドブックは、国際会計基準審議会(IASB)とIFRS解釈指針委員会が、国際財務報告基準(IFRS)や解釈指針を開発又は改訂する際に従うべきステップについて記述している。

ハンドブックの更新版には、モニタリング・ボードのガバナンス・レビュー及び評議員会の戦略レビューで提言された、デュー・プロセスの強化が織り込まれている。また、IFRS解釈指針委員会の効率性と有効性に関する評議員会によるレビューによる提言を織り込んでいる。

ハンドブックの更新版は、現行の要求事項を大幅に書き換えるものであり、新たなポリシー・レベルの目的を数多く導入し、現行実務を正式化する内容となっている。

ハンドブックの更新版の内容は、以下のとおりである。

  • IASBとIFRS解釈指針委員会のデュー・プロセスの要求事項を単一の文書に統合する。
  • 評議員会のデュー・プロセス監督委員会(DPOC)の責任と活動について説明する。
  • IFRSに関して生じそうな影響を評価する手続きについてのより広範な議論を含む。
  • 潜在的な基準レベルのプロジェクトを識別する開発基礎(development base)を構成する新たなリサーチ・プログラムについて記述する。
  • IASB及び解釈指針委員会が狭い範囲の問題に対処する際に従う実務を説明する。
  • IASBがどのように適用後レビューを実施し完了する予定であるかを記述する。
  • 現在、IASBが基準設定活動の一環として規則的に実施している広範なアウトリーチ活動のプログラムに関連したデュー・プロセスの要求事項の検討を含める。

ハンドブックの改訂案は、一般からのコメントを募集するために、2012年5月に公表された。ハンドブック案に織り込まれた提案の大部分は、一般からの支持を受けた。しかし、受け取ったコメント・レターに基づきいくつかの点が変更された。変更点のうちのいくつかは、ハンドブックの内容を明確化するものであり(例えば、拒否通知(rejection notice)の地位)、いくつかは調整であり(例えば、IASBと解釈指針委員会の定足数)、又、いくつかは漏れ(例えば、デュー・プロセス監督委員会の目的が含められた)と考えられた。

最も大きな変更は、IASBの提案の再公開について、最低60日間のコメント期間を設定することができるという提案に関する変更である。この変更案は、求められる支持を得ることがなく、最低のコメント期間は90日に変更された。最近の動向によってもハンドブックの追加的な変更が必要とされ、デュー・プロセス・ハンドブックには、例えば、会計基準諮問フォーラム(ASAF)の設立についても記述されている。

 

 》プレス・リリース (IASBのWebサイト)
 》デュー・プロセス・ハンドブック:フィードバック・ステートメント (IASBのWebサイト)
 》デュー・プロセス・ハンドブック:改訂版 (IASBのWebサイト)

<2013.02.17> 20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が、コンバージェンスの遅延について懸念を表明

2013年2月15日から16日にかけてモスクワ(ロシア)で開催された20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議はコミュニケを公表し、会計基準のコンバージェンスの遅延について「懸念(concern)」を表明するとともに、公的セクター(public sector)の報告について改善を求めている。

コミュニケは、以下のように述べている。

「我々は、これまでの会計基準のコンバージェンスの遅れへの懸念に留意し、国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)に対して、高品質な単一の基準を達成するための主要な未了のプロジェクトに関する作業を2013年末までに最終化するよう要請する。」

本会議では、(IASBとFASBの)双方の基準書をコンバージェンスするための残りのプロジェクトの状況とスケジュールについて、IASBとFASBから報告書が提出された。この報告書は、2012年11月に開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議からの要請について回答したものであり、この時の要請もコンバージェンスの遅れについて懸念を表明するもので、特に金融商品について焦点を当てたものであった。

IASB‐FASBの報告書は、金融安定理事会(FSB)によって会議に提出された。「金融規制改革の進展(Progress of Financial Regulatory Reforms)」と題するFSB議長のレターの中で発表された、本報告書に添付のFSBのサマリーと分析結果は次のとおりである。

「両審議会は、貸付金の減損と保険契約という2つの主要な未了の論点を進展させることを予定している。貸付金の減損について2013年中に審議を完了させることを予定しており、また、保険契約について、双方の審議会は、公開の協議を本年中に開催することを予定している。これらの2つの未了の論点のうち、引当金(provisioning)に関する新たな将来予測的な予想損失アプローチ(expected loss approach)のコンバージェンスの必要性はエンドユーザー及び金融安定の観点から最も差し迫った懸念事項であるといえる。我々は、これまでのコンバージェンスの遅れへの懸念に留意している。我々は、G20が、IASBとFASBに対して、減損に関する共通のアプローチへコンバージェンスするためのロードマップ、及び高品質な基準書の単一のセットというG20の目標を達成するためのロードマップを2013年末までに作成するよう提言する。」

コミュニケはまた、その他数多くのトピックについても取扱っており、その多くはグローバルな金融危機への対応に関連したものである。この目的を達成するために、コミュニケは、金融の安定において公的セクターの報告が担う重要な役割について認識している。

「公的セクターのバランスシートを強化するという我々の目標を追求するため、公的債務の持続可能性に対するリスクをより良く評価するための作業が必要である。これは、特に、国ごとの状況を考慮に入れ、公的セクターの報告の透明性と比較可能性を検討し、金融セクターの脆弱性(vulnerabilities)に起因する公的債務への波及効果をモニターすることを含む。」

 

 》G20財務相・中央銀行総裁会議のコミュニケ (G20のWebサイト)
 》FSB議長のレター「金融規制改革の進展」 (FSBのWebサイト)
 》IASBとFASBのコンバージェンス・レポート (FSBのWebサイト)

<2013.02.07> IASBとIIRCが統合報告フレームワーク開発に関する覚書を発表

国際会計基準審議会(IASB)と国際統合報告委員会(IIRC)は、IIRCの統合報告フレームワークの開発に関して、双方の組織が協力関係を強化する内容の覚書(MoU)を発表した。

覚書の目的は、2つの組織が共通の利益を有している領域において、協力、調整及び提携するための基礎を築くことにあり、特に以下の領域をあげることができる。

  • 統一性(coherence)、首尾一貫性(consistency)及び比較可能性(comparability)を高める方法により企業報告 のフレームワーク、基準書及び要求事項のグローバルな調和と明瞭性を向上させる取組みで、企業報告実務の効率性と有効性の改善につながる領域
  • 各組織の報告フレームワーク、ガイドライン及び基準書の開発
  • 関連する透明性(related transparency)と、両組織間での関連情報及び重要な情報の共有


2012年10月、IIRCは、国際会計士連盟(IFAC)との間で同様のMoUを締結した。

IIRCは、国際統合報告フレームワークに関するコンサルテーション・ドラフトを2013年4月16日に公表する予定である。本ドラフトの最終版は、2013年12月に公表される予定である。

 

 》プレス・リリース (IASBのWebサイト)
 》IASBとIIRC間の統合フレームワーク開発に関する覚書 (IASBのWebサイト)

<2013.02.02> IASB及びFASBによるリースの共同プロジェクトの進展

2013年1月30日の合同会議において、IASB及び米国財務会計基準審議会(FASB)は、契約上のリース構成要素の分類に関連する3つの論点について暫定的に同意した。

最初に、両審議会は、借手が契約上別個に識別可能な資産の使用から生じる便益を獲得できる場合には、企業は、契約上のリース要素を別個に分析しなければならないことを暫定的に決定した。例えば、リース契約が製造設備と移動可能な機械との双方を含んでいる場合には、当該契約は、2つの別個のリース要素として検討されることになる。契約をその構成要素に分解すべきかどうかを決定するにあたり、企業は、当該資産の使用が企業にとって容易に利用可能な他の資産に依存するかどうか、また当該資産の使用が契約のもとで識別可能な他の資産と相互に関連するかどうかを検討する。

次に、両審議会は、リース要素の分類が、リース要素の主要な資産(primary asset)を基礎としなければならないことを暫定的に合意した。審議会におけるアジェンダ・ペーパーによれば、「『主要な資産』は、借手がその使用権に対して契約した大部分を占める資産(predominant asset)であり、リース構成要素の全体の一部を形成する他の資産をリースする主な目的は、借手が主要な資産の使用から生じる便益を獲得することを促進することかもしれない」としている。例えば、リース契約が、タービンと、タービンの耐用年数に直接関係する建物の双方を含んでいる場合には、リース要素の全体が分類の目的上「不動産以外のもの」と考えられることになる。

最後に、両審議会は、不動産リースの土地と建物の要素を、分類の目的上別個に評価することを要求しないことを決定した。リースの分類の決定において、建物の経済的耐用年数が不動産の経済的耐用年数と考えられることになる。

審議会は、2013年第1四半期にリースに関する再公開草案を公表することを予定している。

 

リース・プロジェクト (IAS PlusのWebサイト)

<2013.02.01> 国際財務報告基準財団が、教育イニシアティブの講師用マテリアルを公表

国際財務報告基準財団(IFRS Foundation)は、教育イニシアティブの、包括的なフレームワークをベースとしたIFRS講師用マテリアル(teaching materials)の最初のパートを公表した。ダウンロード無料の講師用マテリアルは、講師がより効果的に国際財務報告基準(IFRS)を教えることを支援することを意図している。

本マテリアルは、IFRSを教える講師をサポートするために開発され、学習者の、IFRS及び中小企業向け国際財務報告基準(IFRS for SME)を適用する場合に必要な見積りと判断を行うための能力を徐々に高める手助けとなる。本マテリアルは、学習プロセスにおいて、異なるレベルの学習者に合わせ3つのステージで提供される。

  • ステージ1 ― 学習者の最初の財務報告コース
  • ステージ2 ― CA又はCPAとしての資格を取得する途中の財務報告コース
  • ステージ3 ― CA又はCPAとしての資格を取得する直前のコース

ステージ3は、経済現象(取引、状況及び事象)を会計処理するときに必要となる、見積り及びその他の判断を行うことを学習者に要求するため、ステージ3のレッスンに関する講師用ガイドが将来の学習者に配布されないことが重要である。ステージ3を補足する補助教材(teaching notes)は、教育イニシアティブのスタッフへの申請を通じてのみ入手できる。

2013年1月30日に公表されたマテリアルは、非金融商品を対象とし、特に有形固定資産に焦点を置く。教育スタッフは、現在、次の論点(負債、企業結合及び連結)に関する同様のマテリアルについて作業しており、他の論点が続く予定である。次のマテリアルは、2013年の下半期にIASBのWebサイトに掲載されることが暫定的に予定されている。

 

講師用マテリアル (IASBのWebサイト)
IFRS講師用セッション (IASBのWebサイト)

<2013.02.01> 「マクロの公正価値ヘッジ会計」についての範囲の例外に関する追加的なアウトリーチ

IASBは、2013年1月30日に行われた議論において、企業が「マクロの公正価値ヘッジ会計」に関する範囲の例外を使用する場合にどの要求事項を適用するかに関する、IFRS第9号のヘッジ会計の章のレビュー・ドラフトの文案の維持の適否についてのスタッフの質問に対する決定を、延期することを決定した。

スタッフは、2012年9月に公表された本レビュー・ドラフトにより、「マクロの公正価値ヘッジ会計」に関する範囲の例外を使用する企業が、IAS第39号の81A項、89A項及びAG114項からAG132項だけでなく、IAS第39号のすべての(適用できる)ヘッジ会計の要求事項を適用することは明らかであると主張した。

議論において、一部の審議会メンバーは本基準書は明確であると考えるが、一方で、その他の審議会メンバーは、現在の実務が何らかのマクロ・ヘッジとなっている場合には、マクロ・ヘッジ会計のプロジェクトが最終化するまで、企業が現在の実務を延長することを容認すべきであると考えていることが明らかとなった。審議会は、現在の実務を全体的な既得権とはしないことを最終的に決定したが、さらなる限定されたアウトリーチが実施される予定である。

欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)は、レビュー・ドラフトに関するフィールド・テストを実施し、IAS第39号のもとでの既存のマクロ・ヘッジ会計との関係に関する追加的な協議を開始している。

 

金融商品(包括的なプロジェクト) (IAS PlusのWebサイト)
金融商品(一般的なヘッジ会計) (IAS PlusのWebサイト)
金融商品(マクロ・ヘッジ会計) (IAS PlusのWebサイト)

<2013.01.28> ハンス・フーガーホーストIASB議長は、財務報告の整合性について言及

ハンス・フーガーホーストIASB議長は、財務報告基準の整合性の探求について、ロンドンのカス・ビジネス・スクールでスピーチを行った。スピーチにおいて、フーガーホースト議長は、IASBがIFRSのより整合的な適用を促進するための一助となる5つの方法について、概要を述べた。

フーガーホースト議長は、はじめに、欧州のIFRSのアドプションについて議論した。以前は、国家、競合企業及び業界間で財務諸表の比較がほとんど不可能であった。現在、IFRSの適用において、国家間で相違があるとしても、フーガーホースト議長は、「グローバルな基準が均一に適用されていなくとも、多数の多様性のある各国の会計基準が等しく不均一に適用されるよりも、より高いグローバルでの比較可能性を提供していることが真実である」と述べた。

フーガーホースト議長はまた、基準書の統一された適用を管理することはIASBの第一義的な職務ではなく、むしろ、これは、規制当局と監査人の職務であることを指摘した。しかし、彼はまた、IASBは実際にIFRSの整合的な適用に貢献することができることも認めた。彼は、IASBが先導している次の5つの領域について概要を述べた。

  • 国際的に整合的なベースにより、適用し、監査及び執行することが可能となる、原則ベースでの基準の開発。フーガーホースト氏は、EFRAG及びAOSSGといった組織とのより密接な協力、並びに新しい基準を「ロード・テスト(road testing)」する際に、提案中の会計基準アドバイザリー・フォーラム(ASAF)が有する重要な役割について言及した。
  • 発効後2年経過した主要な基準書及び解釈指針の、導入後レビューの完了(特に、IFRS第8号及びIFRS第3号の導入後レビュー)。
  • IFRS解釈指針委員会(IFRS IC)の対象範囲と責任の拡張。これにより、実務上の相違点を回避し、より迅速かつ効果的に対処するために必要とする手段を、IFRS ICに提供することになる。
  • 教育文書の開発の増強(12月に公表されたIFRS第13号「公正価値測定」に関する最初の文書に続き、IFRS第11号「共同支配の取決め」に関する教育文書の公表が予定されている)。
  • 国際的及び地域的なレベルでの証券監督当局との協力の拡大(「場合によっては、何らかの形態の覚書(MoU)やその他の正式な合意書を通じること」を含む)。

 

Full speech (IASBのWebサイト)

<2013.01.21> IASBは、減損の開示に対する軽微な修正を提案

国際会計基準審議会(IASB)は、公開草案 ED/2013/1「非金融資産に関する回収可能価額の開示(IAS第36号の修正案)」を公表した。本公開草案は、資産の回収可能価額を開示する要求事項の適用を限定し、資産が減損している場合に関する開示を明確にすることを提案している。

 

回収可能価額の開示の限定化

回収可能価額の開示への提案された変更の発端は、IFRS第13号「公正価値測定」により行われたIAS第36号「資産の減損」の必然的な改訂によるものである。

この必然的改訂により、のれん又は耐用年数を確定できない無形資産の全体の帳簿価額の重要な部分が配分された、各資金生成単位の回収可能価額を開示する要求事項が(134項に)導入された。したがって、そのような資金生成単位の回収可能価額を開示する要求事項は、当期にその資金生成単位に関して、減損損失が認識されたかどうかに関わらず適用される。

本修正案は、全ての資金生成単位に対するこの要求事項を削除し、代わりに、減損損失が報告期間に認識された場合にのみ、算定された回収可能価額を開示することを要求する。これは当該要求事項を、IAS第36号130項に移動し、減損損失が認識された場合に適用することで達成される。

 

資産が減損している場合における開示の明確化

上述したように、回収可能価額を開示する要求事項の130項への移動に加えて、本公開草案は、資産が減損し、回収可能価額が資産の処分費用控除後の公正価値を基礎に算定される場合に要求される開示を修正し、明確にすることを提案している。

本修正案は、IFRS第13号の開示要求からの既存の免除を維持しているが、次の情報の規定を要求する。

  • 使用された評価技法、及びその評価技法の変更
  • 資産の公正価値測定が算定された「公正価値ヒエラルキー」のレベル(IFRS第13号による)
  • 公正価値ヒエラルキーのレベル2及び3の項目について、公正価値測定で使用された主要な仮定。これには、現在価値技法が使用された場合に用いられた割引率を含むという明示的な要求事項を含む。

割引率の開示についての明示的な要求事項は、年次改善(2010年-2012年サイクル)により公表された公開草案 ED/2012/1「IFRSの年次改善」において、IASBから既に提案されている。この要求事項案は既に公開されているため、IASBは、この論点に関するコメントを募集していないが、本公開草案で提案されているように、一体化した修正を支持し、年次改善による修正として進める予定はない。

上記の開示に対する変更案は、資産が減損し、回収可能価額が使用価値を基礎に算定された場合に要求されるこれらの開示に一致する。これは、当初、2008年の「IFRS年次改善」の公表による年次改善(2006年-2008年サイクル)で始まった、使用価値と処分費用控除後の公正価値に関する開示の一致を完成させるものである。

修正案は、遡及的に適用する。

公開草案 ED/2013/1のコメント期間は、2013年3月19日までである。

 

 》公開草案 ED/2013/1「非金融資産に関する回収可能額の開示」 (IASBのWebサイト)
 》プレス・リリース (IASBのWebサイト)

<2012.12.31> 米国財務会計財団は、単一のセットのグローバル会計基準への書面によるコミットメントに対して警鐘をならす

米国財務会計財団(FAF)は、コメント募集「会計基準アドバイザリー・フォーラムの設置の提案」に対して、IFRS財団にコメント・レターを提出した。コメント・レターでは、FAFは、単一のセットのグローバル会計基準への書面によるコミットメントが、提案された新たな諮問機関から一部の主要なプレイヤーを含む多くの法域を除外することになると警鐘をならしている。

FAFは、提案された会計基準アドバイザリー・フォーラム(ASAF)が、テクニカルの知識を共有し、会計基準設定主体間の協力を強化するよい機会を提供すると考えている。コメント・レターはまた、新たなフォーラムが、IASBのアジェンダとなっていない潜在的なアジェンダ項目、提案及び調査に関する意見交換のための価値のあるプラットフォームを提供することにより、さらにコンバージェンスを促進するかもしれないことを提言する。

しかし、ASAFがその目的を達成するためには、FAFは、既にIFRSを採用しているかどうかにかかわらず、フォーラムに世界の主要な資本市場を代表する法域を含める必要があることを主張する。単一のセットのグローバル会計基準へのコミットメントに署名することをメンバーに要求することは、とりわけ、依然としてIFRSsのアドプションを決定していない米国を除外することになる。

「全面的かつ修正なしでの、IASBが作成した単一のセットの基準書に対する書面によるコミットメントを要求することは、基準設定主体がIFRSのアドプション又はエンドースメントを行う最終的な権限を有していない法域、IFRSをアドプションしているが修正されている法域、及び、米国を含む、IFRSのアドプション又はエンドースメントに関して決定が行われていない法域を含む、多くの法域をメンバーから除外することになる。ASAFの全般的なゴールが、そのような国々による将来の潜在的な使用のために、IFRSの情報を提供する及びIFRSを改善することである場合には、我々は、ASAFのプロセスへの最も広範な参加の可能性を許容するようなコミットメントの変更を勧める。」

FAFは、引き続き「価値のある目的(worthy objective)」として単一のセットの基準書を理解するが、予見可能な将来のためには、「比較可能性が高い(highly comparative)」基準書を目指すことがより実用的であると考えている。

 

 》コメント・レター (FAFのWebサイト)

<2012.12.20> FASBがすべての金融資産を対象とする減損モデルを提案

2012年12月20日、米国財務会計基準審議会(FASB)は、会計基準アップデート(ASU: Accounting Standards Update)案「金融商品‐信用損失」を公表した。このASU案は、金融資産の減損に関する会計処理に現在予想信用損失(current expected credit loss :CECL)モデルを導入している。この提案されているCECLモデルは、信用損失のよりタイムリーな認識を要求することを目的としており、信用リスクに関する透明性をより高める内容となっている。CECLモデルは、認識前に損失が発生していることを一般的に要求する米国会計基準(US GAAP)における複数の既存の減損モデルを置き換えるものである。

ASU案は、資産の形態(すなわち、貸付金か債券か)にかかわらず、償却原価またはその他の包括利益を通じて公正価値(FV‐OCI)で測定される金融資産に関する唯一の減損テストを導入している。このモデル案では、報告企業は、報告期間の末日における当該資産の予想信用損失の現在の見積り(すなわち、企業が回収することを予想していないすべての契約上のキャッシュ・フロー)に等しい減損引当金を認識することになる。

FASBの減損モデル案は、(限定された状況において実務上の簡便法を認めているものの)償却原価又はFV‐OCIで測定されたすべての金融資産に適用される。したがって、本モデル案は、売掛債権、リース債権及び純利益を通じて公正価値(FV-NI)で測定されないローン・コミットメントに適用される。

ASU案に対するコメント期限は2013年4月30日である。

 

IFRSとの比較

ASU案におけるアプローチは、FASBがコメントを求めるために公開した第3のモデルである。このモデルと第1のモデルは、FASBの文書だけに含まれていたモデルであり、第2のモデルは、2011年1月にIASB(国際会計基準審議会)と共同で公表していた補足文書におけるモデルであった。 2012年6月まで、FASBとIASBは共同で、金融資産に関する「3バケット」減損モデルの審議を継続した。しかし、(FASBの)関係者が共同モデルを理解し、運用可能なものとし、監査を行うには困難である可能性があるとの重大な懸念を表明し、FASBは代替的な減損モデルを開発することを決定した。IASBは、(IASBの)関係者から(FASBと)同様のフィードバックを受けることはなかったため、(FASBと)共同で開発したモデル(第2のモデル)の審議を継続することを暫定的に決定した。しかし、両審議会は、各々の提案に対するコメントを受領後に、共同で再審議を行うことを約束している。IASBは、減損に関する公開草案を2013年第1四半期に公表する予定である。

次の表は、FASBのモデル案とIASBの現在の考え方との間の主要な類似点及び相違点のいくつかをハイライトしている。

項目
FASBのASU案
IASBの暫定決定
範囲

ASU案は、以下に適用

 •償却原価法又はFV‐OCIで測定されている金融資産

 •売掛債権、リース債権

 •FV‐NIで測定されていないローン・コミットメント

FASBと同じ

認識の閾値

閾値はなし。減損は(発生した信用損失ではなく)予想される信用損失に基づく。

ただし、FV‐OCIで測定される金融資産については、以下の場合には減損引当金の計上を要求しない。

 •公正価値が帳簿価額以上であり、かつ、

 •予想信用損失が重要でないとみなされる。

閾値はなし。減損は(発生した信用損失ではなく)予想される信用損失に基づく。

 

IASBは、FV-OCIで測定される金融資産についての例外を提供していない。

測定

現在予想信用損失(企業が回収できないと予想する全ての契約上のキャッシュ・フロー)

第1のカテゴリー:12か月の予想損失

第2のカテゴリー:残存期間の予想信用損失

カテゴリー間の移転規準

CECLモデルには該当なし。測定目的は1つのみ。

残存期間の予想信用損失への移転は、当初認識時から信用の質に重要な悪化があった場合に生じる。その際、資産の契約条件及び元々の信用の質を考慮する。

比較的信用の質の高い資産については、残存全期間の予想信用損失を認識するのは、そうした資産の信用の質が「投資グレード」より下になった場合となる。

 

移転の規準がもはや満たされなくなった場合、12か月の予想損失に戻る。

減損引当金の表示

評価性引当金(資産の控除項目)

FASBと同じ

購入した信用減損金融資産(PCI金融資産)

CECLモデルに従う。減損引当金は、現在予想信用損失を示す。受取利息は、購入価額+当初認識時の引当額から契約キャッシュ・フローに増価させることにより認識する。

購入した信用減損金融資産の減損引当金は、つねに残存期間の信用損失の変化(取得時の元々の予想からの変化)により認識される。受取利息は、(契約上のキャッシュ・フローではなく)当初予想されたキャッシュ・フローに基づき認識する。

利息非計上

「企業が実質的に全ての元本又は実質的に全ての利息を受け取る可能性が高くなくなったとき」に、企業は、金融資産を利息非計上のステータスとしなければならない。

現行IFRSには利息非計上の原則はなく、IASBが提案するアプローチはそうした原則を導入しない。しかしながら、(信用の質が)悪化して信用が毀損(減損)してしまった資産については、受取利息は、資産の帳簿価額の純額に基づいて認識する。

直接減額(ライトオフ)

「企業が将来の回収を(最終的に)合理的に見込めないとき」に、企業は金融資産の帳簿価額を直接減額する。

FASBと同じ。




 》FASBのASU案に関するニュース・リリース (FASBのWebサイト)
 》ASU案に関するニュースレター (IAS Plus)

<2012.12.20> IFRS財団が、公正価値測定に関する教育マテリアルを公表

国際財務会計基準審議会(IASB)の教育イニシアティブの一環として、IFRS財団のスタッフは、評価専門家グループの支援を受けて、IFRS第13号に付属する教育マテリアルの第1章となる「IFRS第9号『金融商品』の範囲内の相場価格のない資本性金融商品の公正価値の測定」と題するマテリアルを公表した。

この71ページにわたる章は、相場価格のない資本性金融商品の公正価値測定を取扱っている。本章は、相場価格のない資本性金融商品の公正価値を測定するために一般的に使用されるマーケット・アプローチとインカム・アプローチの範囲内にある一連の評価技法と、修正純資産法(adjusted net assets method)を提示している。本章は、特定の評価技法の使用を規定するものではなく、その代わりに、専門的な判断の行使と測定に関するすべての事実と状況を考慮することを推奨している。

本章は、IFRS第13号をサポートするために提供される一連の教育マテリアルの第1章となるものである。これらの章は、IFRS第13号に示されている公正価値測定の目的との整合性を確保し、資産、負債及び企業自身の資本性金融商品を公正価値で測定するための高レベルでの思考プロセスを記述するために開発されている。追加の章は、各章が最終化され次第、公表される予定である。

 

第1章「IFRS第9号『金融商品』の範囲内の相場価格のない資本性金融商品の公正価値の測定 (IASBのWebサイト)
公正価値測定に関する教育マテリアルのページ (IASBのWebサイト)

<2012.12.18> 国際会計基準審議会(IASB)が、アジェンダ協議を終了し、フィードバック・ステートメントを公表

2010年2月、国際会計基準審議会(IASB)の監督機関であるIFRS財団の評議員会は、既存及び将来のアジェンダに関して年に1度、評議員会とIFRS諮問会議(IFRS Advisory Council)と協議することに加え、IASBの将来のテクニカル・アジェンダに関して3年ごとの公開協議を実施する決定を含む、IFRS財団のガバナンス体制の強化を発表した。 2011年6月20日、IASBは、今後の作業計画に関して、初めて公開のアジェンダ協議を行うことを正式に発表し、2011年7月26日に「意見募集(A Request for Views)」を公表した。本日、IASBは、将来の優先事項を詳細に計画したフィードバック・ステートメントを公表し、協議を終了した。

IASBは、将来のアジェンダ(の策定)に向けた戦略的アプローチに反映するべきである(とIASBが考える)5つの重要な側面を識別して、アジェンダ協議に着手した。
 

•多様化したIFRS共同体

•複雑化した市場環境

•適用を要する数々の変更

•基準書の品質と目的適合性を立証する必要性

•適用と採用に関する実務が不統一となるリスク


2011年7月の「アジェンダ協議2011‐意見募集」の公表とアジェンダを公開したことは、世間一般の注意を引き付け、243通ものコメント・レターを受領する結果となった。受け取った回答から浮上した5つの大きなテーマは以下のとおりである。
 

•第1に、回答者は、財務報告がほとんど絶え間なく変更された10年間の後は、比較的平穏な期間となるべきであることを要望した。

•第2に、基準設定のための首尾一貫し、かつ実務的な基礎となる概念フレームワークに関する作業をIASBが優先させることに、ほぼ全員一致の支持があった。

•第3に、IASBは、IFRSの新規採用国のニーズに対応する、いくつかの対象を絞った改善を行うよう要望を受けた。

•第4に、IASBは、基準の適用と維持管理にもっと注意を払うよう要望を受けた。

•最後に、IASBは、新基準を開発する方法を改善するよう要望を受けた。これは、より厳密なコストと便益の分析及び問題定義を基準設定プロセスのより早期の段階で実施することにより行うものである。

その結果、IASBの将来のテクニカル・プログラムは、1)(IFRSの)適用及び維持(適用後レビューを含む)、2)概念フレームワーク及び3)少数の主要なIFRSプロジェクト、の3つの領域に焦点を当てる。後者には、現行の4つの主要プロジェクト(金融商品リース収益認識及び保険)と、3つの新規又は改訂プロジェクト(農業(特に、果実生成型の生物資産)料金規制事業及び 個別財務諸表(持分法の使用))が含まれる。

アジェンダの発表と同時に、IASBは基準書開発のためのプロセスの改訂も発表した。現在の通常のプロセスである1)提案→2)アジェンダの決定→3)ディスカッション・ペーパー→4)公開草案→5)基準書→6)適用後レビューというプロセスにリサーチ・フェーズが追加される。その結果、プロセスはリサーチから開始されることになり、(アジェンダ決定より前のプロセスとして)その後にディスカッション・ペーパー、提案が続くことになる。これは、新たなIFRSを開発するプロジェクトは、リサーチがディスカッション・ペーパーに含められ、一般のコメントを募集するために公開された後だけに検討されることを意味する。すべてのリサーチが、基準書レベルのプロジェクトにつながるわけではない。

本フィードバック・ステートメントは、リサーチ・フェーズに関する以下の論点を識別している。

 

排出権取引スキーム

共通支配下の企業結合

割引率

持分法会計

無形資産(採掘活動及び研究開発活動を含む)

資本の特徴を有する金融商品

外貨換算

非金融負債 (IAS第37号の改訂)

超インフレ経済下における財務報告


さらに、このフィードバック・ステートメントは、IASBが、その性質や複雑性からディスカッション・ペーパー又はリサーチ文書を3年以内に公表することを計画していないが、他の基準設定主体に対して調査の代行を要請している項目を対象とする3つの「長期(long term)」トピックを識別しており、これには法人所得税退職後給付及び株式に基づく報酬が含まれる。

最後に、IASBは、IASBが作業をしなければならないことを認識している「その他の活動(other activities)」も指摘している。IASBは、シャリフ法準拠(Shariah-compliant)の取引及び金融商品とIFRSとの間の関係を評価し、主に公開の教育セッションを通じてIASBへの教育を支援するための諮問グループを設置している。IASBはまた、IFRSの適用企業が既存の開示要求の範囲内でどのように開示を改善し、簡素化できるかを検討する機会を模索するための短期的なイニシアチブにも取り組んでいる。

サステナビリティ報告(Sustainability reporting)は、フィードバック・ステートメント又はIASBの将来のアジェンダにおいて考慮されていない。IASBは、このトピックに対処できる他の基準設定主体が存在することを確信しており、その結果、IASBは会計及び財務報告だけに焦点を当てることが可能となる。

IASBはまた、会計基準の設定に関与する各国の会計基準設定主体と地域団体とのネットワークを開発することに今まで以上に尽力することも指摘した。
 

フィードバック・ステートメントに含められたプロジェクトの概要
基準書レベルのプロジェクト

MoUプロジェクト及びFASBとの共同プロジェクト

金融商品

リース

収益認識

保険

新規のプロジェクト

IAS第41号‐果実生成型の生物資産

料金規制事業

IAS第27号-個別財務諸表における持分法

その他

優先プロジェクト

概念フレームワーク

 

その他の活動

イスラム法 (シャリア法準拠)の取引及び金融商品

開示

 

リサーチ・プロジェクト

優先プロジェクト

排出権スキーム取引

共通支配下の企業結合

割引率

持分法会計

無形資産(採掘活動及び研究開発活動を含む)

資本の特徴を有する金融商品

外貨換算

非金融負債(IAS第37号の改訂)

超インフレ経済下における財務報告

 

長期プロジェクト

法人所得税

退職後給付

株式に基づく報酬



プレス・リリース (IASBのWebサイト)

 》フィードバック・ステートメント (IASBのWebサイト)
 

<2012.12.13> 国際会計基準審議会(IASB)が、持分法会計における未実現利益の消去時点に関する明確化を提案

国際会計基準審議会(IASB)は、公開草案(ED)2012/6「投資者とその関連会社又は共同支配企業との間の資産の売却又は拠出(IFRS第10号及びIAS第28号の修正案)」を公表した。このEDは、投資者とその関連会社との間の取引に係る未実現損益をいつ全額認識すべきかに関して明確化を提案するものである。EDは、事業(business)を含む取引に関しては未実現損益を全額認識することを要求しており、資産の売却の場合には(未実現損益の)部分的な消去を要求している。

本EDは、IFRS第10号「連結財務諸表」とIAS第28号(2011年)「関連会社及び共同支配企業に対する投資」の双方に対する修正を提案している。IAS第27号「連結及び個別財務諸表」及びIAS第28号「関連会社に対する投資」に対する修正は提案されていない。これは、これらの基準書が2013年1月1日(すなわち、本EDで提案されている修正が最終化される前)に廃止されることが理由である。

この限定的な範囲の修正案で取扱われる事項は、当初、SIC第13号「共同支配企業-共同支配投資企業による非貨幣性資産の拠出」及びIAS第28号(2011年)(SIC第13号の要求事項は、当該基準書に取り込まれた)で使用される「非貨幣性資産(non-monetary asset)」の意味の明確化を求めるIFRS解釈指針委員会への要請から生じたものであった。

本論点に関する委員会の検討は、その後、共同支配企業への資産拠出時に未実現利益の消去を要求するSIC第13号の要求事項と、子会社の支配喪失時に利得又は損失を全額認識することを要求するIFRS第10号又はIAS第27号(2008年)の要求事項との間の明らかな矛盾にまで範囲が拡大された。

修正案の開発において、委員会とIASBは、IFRS第3号「企業結合」の要求事項の開発時に検討された概念的な根拠(conceptual basis)に焦点を当てた。IFRS第3号の概念的な根拠は、支配の獲得又は喪失を、再測定及び利得又は損失の認識のトリガーとなる重要な経済的事象(significant economic event)と考えている。

IFRS第3号の要求事項は事業(business)を含む取引について開発されたため、本EDにおける修正案は、投資者とその関連会社との間の取引に関して、資産の売却又は拠出が「事業(business)」を構成する場合にのみ利得又は損失を全額認識することを要求している。

事業を含む取引において利得又は損失を全額認識する要求事項は、事業を移転する取引の法的形態(例えば、資産及び負債グループの売却、子会社に対する投資の売却及び購入、又はその他の方法を通じて)にかかわらず適用されることになる。IFRS第10号における「リンクされた取引(linked transaction)」に関する現行のガイダンスも、これらの種類の取引にまで拡張して適用されることは明白である。

本修正案に付属する「結論の根拠」においては、投資者と関連会社との間のすべての売却又は拠出について、「概念上の観点からすれば最も堅牢な『選択肢(alternative)』」として利得及び損失を全額認識すべきかどうかについて検討がなされたことが記述されている。

しかし、上述の(利得又は損失の)全額認識に関する提案の背後に存在している前提は、事業の存在と企業結合プロジェクトにおけるIASBの検討事項に紐づけられるものであり、(投資者と関連会社との間のすべての売却又は拠出取引について利得又は損失を全額認識するかどうかという)この提案は複数の分野に横断的な論点を含んでいるため、限定的な範囲の修正としては範囲が広すぎると考えられた。これらの論点には、持分法に関する概念的な基礎(すなわち、持分法を「一行連結」と考えるのか、もしくは「測定の基礎」と考えるか)が含まれる可能性がある。

その結果、本EDは、事業を構成しない資産の売却又は拠出に関して、部分的な利得を認識する現行の要求事項を維持し、明確にしている。

 

(本修正が)提案どおりに最終化された場合、本修正は、影響を受ける取引の個別的(discrete)かつ非経常的(non-recurring)な性質及び費用対効果を根拠に、将来に向かってのみ適用される。

 

本EDのコメント期限は、2013年4月23日である。

 

 》IASBのプレス・リリース(IASBのWebサイト)

<2012.12.13> 国際会計基準審議会(IASB)が、IFRS第11号に関する限定的な範囲の修正案を公表

国際会計基準審議会(IASB)は、国際財務報告基準(IFRS)に対する一連の範囲の狭い修正案のうち最新のものとなる公開草案(ED)2012/7 「共同支配事業に対する持分の取得(IFRS第11号の修正案)」を公表した。このEDは、共同支配事業者(joint operator)が、事業(business)に該当する共同支配事業(joint operation)に対する持分の取得を、IFRS第3号「企業結合」及び他の関連する基準書を適用して会計処理することを明確にするためにIFRS第11号「共同支配の取決め(Joint Arrangement)」を修正することを提案している。

現在、IFRS第11号及び2013年1月1日よりIFRS第11号によって置き換えられるIAS第31号「ジョイント・ベンチャーに対する持分」は、共同支配事業の活動が事業を構成する場合に、共同支配事業者がどのように共同支配事業に対する持分の取得を会計処理するかに関して特定のガイダンスを提供していない。

その結果、実務において多様性(diversity)が生じており、当該取引を企業結合あるいは資産グループの取得のいずれかとして考えるかにより会計上の結果が左右されている。この2つのアプローチの処理の相違には、のれん及び繰延税金資産の認識又は非認識、及び取得関連コストの資産化又は費用化が含まれている。

この論点は当初、IFRS解釈指針委員会により検討されたものであり、本委員会は、IFRS第11号の修正案の公表を決定する以前に、IFRS第3号の年次改善又は適用ガイダンスの開発の提案を検討していた。

本修正は、事業に該当する共同支配事業に対する持分の取得にIFRS第3号及び他の関連する基準書を適用することを明確にする。その結果、このような取得は、共同支配事業に対する共同支配事業者の持分の範囲内で、IFRS第3号における取得法(acquisition method)を使用して会計処理されることになり、以下のような結果を生じる。
 

  • 識別可能なほとんどの資産及び負債を公正価値で測定する
  • (負債性証券又は持分証券の発行コスト以外の)取得関連コストを費用化する
  • 繰延税金を認識する
  • のれん又は割安購入益(bargain purchase gain)を認識する


本修正は、既存の共同支配事業に対する持分の取得に適用されるほか、共同支配事業の形成が事業の形成と同時に起こる場合を除き、形成時の共同支配事業に対する持分の取得に関しても適用される。取得者が既に持分を保有している共同支配事業に対する追加的な持分の取得に関する特定のガイダンスは提供されていない。

本EDはまた、IFRS第1号の付録Cの「企業結合に関する免除」の範囲を拡張し明確にするIFRS第1号「国際財務報告基準の初度適用」に対する必然的な修正も提案している。その結果、企業結合に関する免除には、共同支配事業の活動が事業を構成する場合の共同支配事業に対する持分の過去の取得も含まれることになる。

(本修正が提案どおりに最終化された場合には)本修正は、後知恵(hindsight)の使用を回避するために将来に向かってのみ適用されることになる。

EDのコメント期限は2013年4月23日である。

 

 》IASBのプレス・リリース (IASBのWebサイト)

<2012.12.13> アジア・オセアニア基準設定主体グループ(AOSSG)が第4回AOSSG会議の声明を公表

アジア・オセアニア基準設定主体グループ(AOSSG)は、2012年11月28日と29日にネパールのカトマンズで開催された会議の声明を公表した。(本会議の)ハイライトには、ネパールが基準設定能力を構築することに役立つであろう「発展途上国のためのIFRSセンター・オブ・エクセレンス(IFRS Centre of Excellence for a Developing Country:IFRS COEDC)」をネパールに設置する計画、IASBの「果実生成型の生物資産(bearer biological asset)」に関するプロジェクトの迅速な最終化の必要性及びイスラム金融に関する会計上の論点に関する議論が含まれている。

参加した基準設定主体は、オーストラリア、ブルネイ、中国、香港、インド、インドネシア、イラク、日本、韓国、マカオ、マレーシア、ネパール、ニュージーランド、パキスタン、サウジアラビア、シンガポール、スリランカ、タイ、ベトナムであった。IASBからは、IASB議長のハンス・フーガーホースト(Hans Hoogervorst)氏、IASB理事の張為国(Wei-guo Zhang)氏及びプラブハカル・カラバチェルラ(Prabhakar Kalavacherla)氏、IASBの国際活動ディレクター兼IFRS解釈指針委員会議長のウェイン・アプトン(Wayne Upton)氏、及びIASBのスタッフが出席した。

IFRS COEDCの計画は、ネパールの基準設定能力の構築を支援することを目的に設計されており、AOSSGメンバーの全員一致により支持された。予定されていた最初のステップは合意され、9つの法域が、IFRS COEDCの設立を容易にする、オーストラリアが議長を務めるワーキング・グループを結成することで合意した(ネパールには現在、IFRSの古いバージョンをベースにした基準書があり、IASBにより公表されたそれ以降のバージョンのIFRSと首尾一貫させるための更新過程にある)。

本会議におけるその他の進展としては以下のものが含まれる。

 

  • AOSSGは、「果実生成型生物資産」に関してIAS第41号「農業」を改訂するIASBのプロジェクトを歓迎し、その審議においてIASBを支援する意向を強調した。また、AOSSGは、「IASBが、限定された範囲のプロジェクトをできるだけ早く最終化することへの希望」を表明した。
  • AOSSGは、最近のIASBの暫定的な決定と、それらがイスラム金融取引に及ぼす影響について議論した。これにはイスラム金融取引において一般的に使用されている販売ベースの資金調達への影響が含まれている。また、IASBスタッフが、イスラム金融に関する諮問グループの計画についてAOSSGメンバーに概要を説明し、歓迎された。
  • IASBが提案している会計基準アドバイザリー・フォーラム(ASAF)への強力なサポートの表明
  • IASBの保険契約収益認識金融商品リース、IFRS第8号「事業セグメント」の導入後レビュー中小企業向けIFRS(IFRS for SMEs)の再検討に関するプロジェクトから生じる論点に関する議論
  • AOSSGのプロトコルに関する提案の承認とシリア公認会計士協会をAOSSGメンバーに加えるための承認

 

第5回のAOSSG年次会議は2013年末に開催予定である。

 

AOSSG会議からの声明 (AOSSGのWebサイト)

<2012.12.12> イングランド・ウェールズ勅許会計士協会(ICAEW)が、IFRSの将来に関するレポートを公表

イングランド・ウェールズ勅許会計士協会(ICAEW)は、国際会計基準審議会(IASB)に対して、米国財務会計基準審議会(FASB)とのコンバージェンス・プロジェクトを終了させ、既に国際財務報告基準(IFRS)を採用した法域(jurisdictions)に再び関心を向けることを要請する内容のレポート「IFRSの将来」を公表した。

28ページにわたるレポートの内容は、グローバルな基準書のセットのベネフィットを説明し、(IASBとFASBのMoU)プロジェクトの開始から10年経過した現在のIFRSの状況を評価するものとなっている。このレポートは、IASBとFASBとの間の正式なコンバージェンス・プロジェクトを数年以内ではなく、数ヶ月以内に終了することをも要請している。

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コンバージェンスは既にその目的を果たし、(IASBとFASBの)双方にコンバージェンスを継続させようとする意思はほとんどない。現行のプロジェクトに関しては、IASBは短期的に達成可能で、成果物(基準書)の品質を損なうことのないコンバージェンスされた解決策(converged solution)だけを追求するべきである。我々は、両審議会が、なんとかこの苦難を切り抜けて、妥協した内容の基準書を公表するぐらいならば、両審議会が今からそれぞれ別の道へと進み、独自の異なる基準書(可能な場合には整合させる)を公表する、あるいは単に何もしない方がはるかに良いと考える。

ICAEWは、米国が引き続き、モニタリング・ボード、IFRS財団の評議員やIASBの理事に代表を送ることを確保しながら、IASBがFASBと協働し続けるべきであると考えるが、IASBは、質の高い解決策の適時の開発や、既にIFRSを採用している他の多くの法域のために「緊急に必要とされる(urgently needed)」国際的な基準書の改善に先んじて、米国と合意に達することを優先させるべきではないと考えている。

おそらく今こそ、IASBは、IFRSをある程度正式に採用しながらも必ずしも自分たちの声に耳を傾けられているわけではないと感じている100を超える法域からの要求や、(特に中国などの)自国の基準書をIFRSに近づけた国々に対して、完全なIFRSによる報告(full IFRS reporting)に向けた最終的なステップを取るよう促すための取組みに対し、真正面から焦点を絞るべき時である。

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ICAEWレポートは、IASBとIFRSが将来成功するための多くの提言も提示しており、これには以下のものが含まれる。

 

  • G20に対し、(1)IFRSを採用するかもしくは自国の基準書を可能な限り厳密にIFRSと整合させること、(2)すべての上場企業が資本市場においてIFRSを任意的に使用することを可能にすること、(3)IFRS財団に対する資金提供に関してバランスのとれた負担を引き受けることを要請する。
  • 広範囲に受け入れられ、世界の多種多様で進化し続けるビジネスモデルと経済システムに対処可能な基準書を公表するために、特化したリサーチ体制と効果的なフィードバック・メカニズムを確立する。
  •  基準書を適用するための戦略開発―(基準書の)適用が首尾一貫していることを確実にするために、世界中の規制当局に対してより緊密に連携するよう要請する。

 

『IFRSの将来(The future of IFRS)』 (ICAEWのWebサイト)

<2012.12.04> 米国財務会計基準審議会(FASB)と国際会計基準審議会(IASB)の両議長が、グローバルな会計基準について議論

米国証券取引委員会(SEC)及び公開会社会計監督委員会(PCAOB)の現在の動向に関する2012年度の米国公認会計士協会(AICPA)の全国会議において、米国財務会計基準審議会(FASB)議長のレスリー・サイドマン(Leslie Seidman)氏と国際会計基準審議会(IASB)議長のハンス・フーガーホースト(Hans Hoogervorst)氏が、グローバルな会計基準や米国及び世界における国際財務報告基準(IFRS)の将来について議論した。

サイドマン議長が最初に演説し、同氏は、演説の内容が個人的見解を要約するものであり、FASB又は米国財務会計財団(FAF)の公式見解ではないことを明確にした。同氏は、米国のステークホルダーに特有のニーズについて議論し、(四半期報告などで要求される)短期間での報告及び厳格に規制された市場(heavily regulated marketplace)のためには、明確で一義的な(clear and unambiguous)基準書が必要であると述べた。サイドマン議長は「長期的に考えると、広範な原則(principles)だけでは、我々のシステムが機能するとは思わない」と述べた。

コンバージェンスのトピックに関して、FASB議長は「(例えば、単一のセットのような)100%の比較可能性という目標は、世界最大規模の資本市場の一部においては、非常に合理的な理由により、短期間で達成可能なものではない」と述べた。同氏は、FASBとIASBがMoUプロジェクトを完了すべきであり、その後両審議会は、会計基準を改善しIFRSと米国会計基準(US GAAP)及び他のグローバルな会計基準をより比較可能なものとするために他の基準設定主体との議論を継続するべきであることを提案している。サイドマン氏は、IASBとFASBが過去に行ったような「現在ほど正式なものではないコンバージェンスへのアプローチ(less formal approach)」を提唱し、「たとえ(IASBとFASBとの間の)関係が変化するとしても、それは、我々がコンバージェンスが終了し、多様性(divergence)が生じると考えているわけではない」と述べた。

ハンス・フーガーホースト氏はスピーチにおいて率直に意見を述べ、IFRSは長年、グローバルな強い影響を与え続けてきており、IFRSの成功は、米国のコンバージェンスに左右されないと述べた。同氏は、IASBと世界が米国のIFRSに関する明確なサインを期待しており、基準書間の「より大きな比較可能性(greater comparability)」だけを追い求める米国の現在のポジションは十分ではないと述べた。同氏(及び世界)は、現時点までにはSECが(IFRSへの)移行に関する決定を下しているだろうと予想していた。フーガーホースト氏は、将来における、米国のIFRSに対する影響力は「我々の基準書(IFRS)に対するコミットメントの程度」に見合ったものになるであろうことを明確にした。同氏は、米国におけるIFRSへの移行は成功するであろうと結論づけたIFRS財団のスタッフによる分析結果についても議論した。

 

ハンス・フーガーホーストIASB議長によるスピーチのテキスト (IASBのWebサイト)

<2012.12.04> 国際会計基準審議会(IASB)が、減価償却及び償却方法を明確化する公開草案を公表

国際会計基準審議会(IASB)は公開草案(ED)2012/5「減価償却及び償却の許容される方法の明確化(IAS第16号及びIAS第38号の修正案)」を公表した。本提案は、有形固定資産及び無形資産の減価償却又は償却の計算方法に関する追加的なガイダンスを提供しており、収益ベース(revenue-based)の(減価償却又は償却)方法の使用を排除している。

本修正案は、概ね同等の概念である「減価償却(depreciation)」と「償却(amortisation)」の解釈を明確にするために、IAS第16号「有形固定資産」及びIAS第38号「無形資産」に追加的なパラグラフを導入する。

IAS第16号及びIAS第38号は、資産の将来の経済的便益(future economic benefits)が消費されると予想されるパターンを反映する減価償却又は償却方法を要求している。この要求事項を満たすには種々の方法を使用することができ、企業は、資産に内在する将来の経済的便益の予想消費パターンを最もよく反映する方法を選択する必要がある。一般的な方法としては、定額法、定率法及び生産高比例法が含まれる。

本修正案は、IAS第16号及びIAS第38号の要求事項を満たすためには、収益ベースの減価償却及び償却方法を使用することはできないことを明確にしている。これは、これらの方法が、資産が一部を構成している事業(business)の運営から生じる経済的便益の「創出(generation)」パターンを反映するものであり、資産の予想される将来の経済的便益の「消費(consumption)」パターンを反映するものではないためである。

本修正案の背後には、収益を2つの要素(数量及び価格)の相互作用(interaction)と考える前提(premise)がある。数量(単位)とは異なり、価格は一般的に原資産(underlying assets)の消費に直接的に紐付けづけられるものではないが、その代わりに、企業が生み出す財及びサービスを取り巻く市場のダイナミクス(dynamics)を反映している。

この問題に関するIASBのこれまでの議論には、収益ベースの減価償却又は償却方法が、2つの特定の業界において使用されることがあることを示すリサーチ結果の検討が含まれていた。この2つの業界とは、サービス委譲契約(この業界が、IFRS解釈指針委員会に対して、最初にこの問題の明確化を要請した)とメディア業界(フィルム及び類似の権利を減価償却する際、収益を視聴者数の「代理変数(surrogate)」として利用する場合がある)である。

この公開草案の修正案は、当初、年次改善(2011-2013年サイクル)の公開草案(2012年11月20日に公表済)に含めることが提案されていた。IASBは、本修正案が年次改善の規準を満たさない可能性があるとするデュー・プロセス監視委員会が指摘した懸念に基づき、2012年10月のIASB会議で、本提案を別個に独立させて公開することを決定した。

本公開草案のコメント期間は120日間で、コメント期限は2013年4月2日である。

 

IASBプレス・リリース (IASBのWebサイト)

<2012.11.28> IASBが、IFRS第9号の限定的な修正に関する提案を公表

国際会計基準審議会(IASB)は、公開草案ED/2012/4「分類と測定:IFRS第9号の限定的な修正(IFRS第9号(2010年)の改訂案)」を公表した。提案されている変更は、特定の金融資産について「その他の包括利益(OCI)を通じて公正価値で測定するカテゴリー」を導入するものである。

提案されているIFRS第9号「金融商品」への限定的な範囲の修正は、以下を意図している。

 

  • 関係者から提起された特定の適用上の問題への対応
  • 金融資産の分類及び測定モデルとIASBの保険契約プロジェクトとの相互作用への考慮
  • 米国財務会計基準審議会(FASB)における金融商品の暫定的な分類及び測定モデルとの主要な差異を減らすこと

 

提案されている新たな「その他の包括利益(OCI)を通じて公正価値で測定するカテゴリー」は、次の2つの条件を満たす一定の金融資産を含むものである。

 

  • 当該資産の契約上のキャッシュ・フローが元本及び元本残高に対する利息の支払いのみであり、かつ
  • 当該資産は保有又は売却のいずれかのみを目的とした事業モデルで使用されるものではない

 

さらに、新設されたパラグラフは、新たな測定カテゴリー上の金融資産の利得又は損失が、減損損失及び為替差損益を除き、その他の包括利益に認識されることを明確にする。以前にOCIに認識されたすべての利得及び損失は、処分時に、当該報告期間の純損益にリサイクルされることになる。

本EDの適用指針は、元本及び元本残高に対する利息の支払いのみである契約上のキャッシュ・フローを有する金融資産の例示、及び、企業の事業モデルが契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の双方のために資産を管理することである場合の例示を含んでいる。

本改訂の提案は、たとえ重要な差異が残るとしても、IAS第39号「金融商品:分類と測定」における現行の要求事項に戻るものである。

新たなカテゴリーの使用は強制されることになる。

本公開草案はまた、IFRS第9号の完全版(分類と測定、減損及び一般的なヘッジ会計の章を含む)のみが、強制発効日前に早期適用できることを提案している。ただし、IFRS第9号の完全版の公表後、企業は、IFRS第9号(2010年)に含まれる「自己信用」にかかる規定のみを早期適用する選択が容認されることになる。これは、本基準書のいずれのバージョンが早期適用できるかに関する現行の選択がなくなることを意味する。

本公開草案のコメント期間は2013年3月28日までである。

 

IASBプレス・リリース及びED (IASBのWebサイト)

<2012.11.22> IASBが持分法会計の限定的な改訂に関する提案を公表

国際会計基準審議会(IASB)は、投資者が、関連会社又は共同投資企業の純損益又はその他の包括利益には認識されていない純資産の変動(「純資産のその他の変動」)に係る投資者の持分をどのように会計処理するかに関する指針を含めるため、IAS第28号への限定的な範囲の改訂を提案する公開草案ED/2012/3「持分法:純資産のその他の変動に係る持分」を公表した。

純資産のその他の資産の変動を投資者がどのように会計処理しなければならないかに関する論点は、2007年に行われたIAS第28号「関連会社に対する投資」への結果的修正(当該基準書から以前にあった明確な指針を削除した)から生じている。本論点は、当初はIFRS解釈指針委員会により検討されており、解釈指針委員会は、IASBに対してIAS第28号(2011年)「関連会社及び共同投資企業に対する投資」の限定的な範囲の改訂を行うことを提案した。IAS第28号(2011年)は、コアとなる持分法の要求事項をIAS第28号の従前の版から持ち越し、2013年1月1日に発効するが、このことは、従前の版の置換えに先立って当該論点を修正できないことを意味する。

ED/2012/3の提案は、投資者が、投資先の純損益又はその他の包括利益に認識されないか、若しくは受け取った分配ではない、投資先の純資産の変動に係る投資者の持分を、投資者自身の資本に認識することを要求する。

純資産のその他の変動の結果となりうる関連会社又は共同投資企業の取引の例は、以下を含む。

 

  • 投資者以外の当事者に対する追加的な株式資本の発行
  • 投資者以外の株式保有者からの資本性金融商品の買戻し
  • 他の株式保有者に対する投資先自身の資本性金融商品のプット・オプションの売り
  • 投資先の子会社に対する非支配持分の購入又は売却
  • 持分決済型の株式に基づく報酬取引

 

資本に認識される金額を算定する際に、純資産のその他の変動を生じさせる取引に起因する投資者の所有持分に対する変動(例えば、他の株式保有者に対する関連会社による株式の発行に伴う所有持分の減少)も(該当する場合には)反映するかもしれない。

提案されているアプローチは、2007年の改訂前のIAS第28号の要求事項を再び有効にするものであり、IASBが持分法の会計処理についてより広範な検討を行うまで、実務上の多様性に対処する短期的な解決策となる。

改訂の発効日は草案公開後に公表される。

本公開草案(ED)は、本改訂がその他のIFRSs(IAS第1号及びIFRS第10号)の概念に不整合であり、重要な概念上の混乱をもたらすであろうと考えるIASBメンバーの1人の代替的な見解を含んでいる。このIASBメンバーは、この短期的な解決策は財務報告を改善することはなく、代わりに連結財務諸表の基礎的な概念を損なうことになると考えている。

本EDのコメント期間は120日であり、期限は2013年3月22日である。

<2012.11.20> IASBは年次改善(2011年-2013年サイクル)から生じる提案を公表

国際会計基準審議会(IASB)は、公開草案ED/2012/2「IFRSsの年次改善(2011年―2013年サイクル)」を公表した(IFRSsへの軽微な修正及び編集に関する直近の提案を含む)。

IASBの年次改善プロジェクトは、IFRSsの改訂に関する修正を効率的に対処するために、合理的なプロセスを提供する。本プロセスの第一義的な目的は、指針及び文言の明確化、又は比較的重要でない意図していなかった結果・不整合・見落としに対する修正を行うため既存のIFRSsを改訂することにより、IFRSsの質を高めることである。改訂は、必要性はあるが緊急性はない場合に、年次改善プロセスを通して行われる。

本公開草案は、次の基準書の改訂を提案する。

 

基準書
提案されている修正

IFRS第1号「国際財務報告基準の初度適用」 (「結論の根拠」に対する変更のみ)

「有効なIFRSs(effective IFRSs)の意味」

企業は、自身の最初のIFRS財務諸表において、既存の現在有効なIFRSsの適用と、まだ強制適用されていない新たな又は改訂されたIFRSsの早期適用(新たな又は改訂されたIFRSの早期適用の容認を前提とする)とのいずれかの選択肢を有している。企業は、これらの最初のIFRS財務諸表の対象となる報告期間に通じて、同じバージョンのIFRSsを適用することが要求される。

IFRS第3号「企業結合」

共同支配企業(joint ventures)に対する例外措置の範囲

以下を明確にする。

 

 •IFRS第3号は、IFRS第11号「共同支配の取決め」で定義されるすべての種類の共同支配企業の設立に関する会計処理をその範囲から除外する。

 •IFRS第3号2項(a)の範囲の例外措置は、共同支配企業又は共同支配事業のそれ自身の財務諸表にのみ適用する。

 

IFRS第13号「公正価値測定

52項の範囲(ポートフォリオの例外措置(Portfolio exception))

IFRS第13号52項で定義されるポートフォリオの例外措置の範囲は、IAS第32号「金融商品:表示」に定義される金融資産又は金融負債の定義を満たすかどうかにかかわらず、IAS第39号「金融商品:分類と測定」又はIFRS第9号「金融商品」の範囲内で会計処理されるすべての契約を含んでいることを明確にする。

IAS第40号「投資不動産」

不動産を、投資不動産と自己所有不動産のいずれかに分類する際のIFRS第3号及びIAS第40号の相関関係の明確化

IFRS第3号及びIAS第40号は相互に排他的なものではないことを明確にする。特定の取引がIFRS第3号で定義される「企業結合」とIAS第40号で定義される「投資不動産」の双方の定義を満たすかどうかを決定する場合、互いに独立している双方の基準書を別個に適用することが要求される。

 

本改訂の発効日は、2014年1月1日以後開始する年次期間と提案されている。早期適用は容認される。

IASBが2012年10月の会議で決定したように、収益ベースの減価償却及び償却に関連するIAS第16号「有形固定資産」及びIAS第38号「無形資産」の提案は別個に公表するため、本提案はこれらに関する提案を含んでいない。

本提案は、公開草案が2012年5月に公表された年次改善(2010年-2012年サイクル)(2013年第2四半期に改訂の最終化が予定される)の提案に続くものである。

本公開草案は90日のコメント期間を設ける(コメント締切日は2013年2月18日)。

 

IASBのプレス・リリース (IASBのWebサイト)
年次改善プロジェクト(2011年-2013年サイクル)に関するページ (IASBのWebサイト)

<2012.11.15> IFRS財団が、アジア・オセアニア地域オフィスを開設

IFRS財団(IFRS Foundation)は、アジア・オセアニア地域とのリエゾンを拡張するため、IASBの最初の地域オフィスである東京オフィスを正式に開設した。オフィスの開設は、真の国際会計基準主体になるというIFRS財団のコミットメントを反映するものであり、より大きな地域のアウトリーチ及びIASBの基準設定活動への参画を支援することを意図している。

IFRS財団は、IFRS財団と当該地域のステークホルダーとの間で直接コンタクトする機会を拡大するために、2011年2月に東京オフィスの設立を発表した。オフィス・ディレクターは2012年9月に指名された。

IFRS財団の評議会の議長であるミッシェル・プラダ氏(Michel Prada)が冒頭の挨拶で以下のとおり指摘したように、アジア・オセアニア地域に最初の国際オフィスを創設する多くの理由があった。

「アジア・オセアニア地域は、いくつかの世界で最大の資本市場及び最も急速に成長する経済の拠点である」。そして、「地域全体にわたりIFRSに対する多くの支援がある」。しかし、多様な地域でもあるため、地域拠点(local presence)を開設することにより、「基準設定プロセスの一環として、当該地域における意見が聞かれ、検討されることが確実となることを期待する」。

プラダ氏はまた、当該オフィスが、問題を議論しコンバージェンス・プロセスの経験の共有、IFRSの開発への参画、単一のセットで高品質なグローバル会計基準への貢献の目的で、当該地域の各国基準設定主体のプラットフォームであるアジア・オセアニア基準設定主体グループ(AOSSG)との「橋渡し役」となることを指摘した。プラダ氏は、AOSSGの作業を称賛し、IASBが設立を準備している新しい会計基準諮問フォーラム(Accounting Standard Advisory Forum:ASAF)のメンバーとなることを望んでいると表明した。

 

プラダ氏及びハンス・フーガーホーストIASB議長による開会の言葉の記録及びアジア・オセアニア地域オフィスに関するより詳細な情報(英語版、中国語版、ヒンズー語版、日本語版及び韓国語版)へのリンク  (IASBのWebサイト)

<2012.11.07> IASB議長が、リース・プロジェクト、米国のコンバージェンス及び今後の方向性について演説する

国際会計基準審議会(IASB)議長のハンス・フーガーホースト氏は、この数日にわたり広範な問題について議論した。取り上げられた主要なテーマには、提案に反対するロビー活動が行われているリースなどIASBのいくつかのプロジェクトにおける課題、米国の状況を含むIFRSのグローバルでの採用、基準設定に関する説明責任の取決め、及び将来の優先事項(のれんに関する会計処理の再検討の可能性を含む)が含まれる。

IASBは、2012年11月6日にフーガーホースト氏がロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(London School of Economics)で行った公開講演会の議事録を公表した。「会計の調和化とグローバル経済への影響(Accounting Harmonisation and Global Economic Consequences)」と題するスピーチは、多くのトピックを取扱うものであった。これらのトピックの多くは、前日5日に開催された欧州議会・経済通貨委員会(ECON)の会合での議論と同一のものであり、フーガーホースト氏は委員会のメンバーとの意見交換のために本会合に参加した。

 

【リース】

フーガーホースト氏は本講演において、特に、リース・プロジェクトが直面する課題に焦点を当て、同氏は、「リース契約には、資金調達(financing)の要素が多分に含まれているにもかかわらず、リース契約の大半(vast majority)は貸借対照表に計上されていない」と述べた。同氏は続けて「企業は、オフ・バランスシート・ファイナンシング(off balance sheet financing)を好む傾向ある。なぜなら(負債の計上を伴わず資金調達を行う)オフ・バランスシート・ファイナンシングは、企業の本当のレバレッジの程度を覆い隠すことができるためである。この目的のためにリースを広範囲に使用している者の多くは、(リース・プロジェクトの提案に)満足していない」と述べた。そして、現在行われているいくつかのロビー活動について説明した。このロビー活動には、「リースの貸借対照表へのオンバランスは、米国だけで19万の雇用喪失をもたらすであろう」とする米国での主張(claim)が含まれている。

フーガーホースト氏は、このようなロビー活動は驚くべきことではないと述べ、リースに関する今日の論争と、IFRS第2号「株式に基づく報酬」におけるストック・オプションの費用化やIAS第19号「従業員給付」における年金会計に関する会計処理の変更などといった過去のプロジェクトと比較し、IASBが直面した「苦戦(uphill battle)」について説明した。同氏は、「IASBがロビー活動によりコースから外れることなく、十分な資金力と組織力を有するロビー活動に対抗できるようにする」ことを確実なものとするために、IASBはどのような援助であっても必要としていると結論づけた。

この講演は、フーガーホースト氏が、ECON委員会のメンバーに対して行ったコメントを繰り返したものであり、同氏は本委員会の会合で、リース業界が「今後公表予定のリースに関する基準書を回避」したいがために歩み寄ってくる危険性についてメンバーに警告するとともに、ECON委員会のメンバーがリースに関する提案に共感を示してくれることを期待した。

 

【IFRSのグローバルな採用】

フーガーホースト氏は本講演で、IFRSが「今日の金融市場のグローバルに相互に接続された特性」に対し、いかに重要な反応を示してきたかを説明し、「これまでのG20のコミュニケがIASBの作業をサポートしてきたこと、及びグローバルな会計基準に向けた迅速な移行が要求される」ことを強調した。同氏は、「多くの国がIFRSを採用している中、IFRSがグローバルな基準となる勢いは止めることはできない」とする自らの見解について説明し、ECON委員会のメンバーに対しても述べた「IFRSの使用は、臨界量に達しており(reached critical mass)」、「もはやIFRSの使用を止めることはできないと思う」とのコメントを繰り返した。

フーガーホースト氏は、米国がIFRSを採用するかどうか及び採用するとした場合のその方法に関する具体的な問題に話題を移し、同氏はこの講演の中で、「早急に進展がみられることが重要」であり、2013年の(米国のIFRSに関する)ニュースに期待していると述べた。同氏は、ECON委員会に対するより率直なコメントの中で、カナダとメキシコのIFRSの採用と、「IFRSを採用した国々の間で未だに躊躇している国」について議論した。同氏はその後、それはまるで「ゴドーを待ちながら(waiting for Godot)」のようであるとコメントし、米国の決定が未だなされないのは「非常に残念である」と述べたが、同氏は、「大統領選挙が終われば、米国のIFRSへの関心(stake)が戻ってくる」と期待している。さらに、「米国の決定の不在は、IASBの作業を失速させる理由とはならない」と述べた。

 

【説明責任】

フーガーホースト氏は、ECON委員会の会合において、IFRS財団が関係者に対し今まで以上に受容的であり、迅速に対応するためにいかに努力してきたかについて議論した。同氏は、その後「私は、IASBのように透明性のある環境で働いたことは未だかつてない」とコメントした。

テクニカル・レベルでは、IASBとFASBとの間の2者間の取決めが実質的に終了しつつあり、今後は、提案されている会計基準諮問フォーラム(ASAF)を通じた新たな多国間の取決めに置き換えられることになる。フーガーホースト氏は、IASBとFASBのコンバージェンスが期待通りに終了しなかったことや、2つの別々の審議会が存在するために合意に達することが難しかったことを残念に思いながらも、米国がIFRSを採用することを確約していた場合には、金融商品の減損や相殺といった「コンバージェンスが達成されなかった」主要な領域の結果は異なるものになっていたかもしれないと考えている。

フーガーホースト氏は、IASBの独立性の状態と基準設定の重要性に関する委員会からの質問に答え、IASB内で具体化されている公益(public interest)への「真の貢献(true devotion)」、モニタリング・ボードなどのイニシアチブのもと実行されるガバナンスの改善、IFRS採用国の多くが使用する承認(endorsement)のメカニズムについて言及した。同氏は、「1つの基準書を完成させるのに5年から10年かかる」可能性のあるIASBの広範囲にわたるデュー・プロセスについても繰り返し述べ、「関係者の発言内容に注意深く耳を傾ける」必要性を確認し、ASAFがこのプロセスで担うことになる重要な役割について強調した。

 

【今後の方向性】

講演会と委員会の会合との双方で、フーガーホースト氏はIASBのワークプランの将来の方向性について説明し、再開された概念フレームワーク・プロジェクトなどのプロジェクトに焦点を当て、「平穏な期間(period of calm)」を維持しつつも、特定の関係者の懸念に対処していくと述べた。

委員会の会合においても、IASBの金融商品の減損に関するプロジェクトについて大いに議論され、これには予想損失モデル(expected loss model)の適切性や、「予想されない損失(unexpected loss)」モデルがなぜ不適切であるのかという質問が含まれていた。

フーガーホースト氏は、資源産業(resources industry)のための「国別報告(country –by-country reporting)」 に関する委員会からの質問に答え、関係者がこの論点をアジェンダ・コンサルテーション・プロセスにおける優先課題として取り上げておらず、また、この問題は規則(regulation)で対処した方が良い問題であると述べた。

フーガーホースト氏は、委員会の会合中に何度かのれんの会計処理を再検討するべきかどうかという疑問を提起した。同氏は、リースが貸借対照表上に「十分にオンバランスされていない(not enough)」状況と対比すると、のれんが「あまりにも多くオンバランスされている(too much on the balance sheet)」可能性があり、特に銀行及び健全性報告との関連で、個人的に気にかかる事項であると述べた。フーガーホースト氏は、のれんの即時の減損や「恣意的な(arbitrary)」償却を求めはしないが、「基準書が十分に厳格なものであるかどうか疑問に思っている」と言及した。

 

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスでのフーガーホースト氏の公開講演のトランスクリプト (IASBのWebサイト)
本講演に関するIASBのプレス・リリース (IASBのWebサイト)
欧州議会・経済通貨委員会 (欧州議会のWebサイト、本会合の映像記録有り)

<2012.11.01> IFRS財団が、会計基準諮問フォーラムの設立に関する提案を公表

IFRS財団は、会計基準諮問フォーラム(Accounting Standards Advisory Forum:ASAF)の設立に関する提案を、一般からのコメントを求めるために公表した。ASAFは、基準設定コミュニティからのテクニカルなアドバイスやフィードバックをIASBに提供するために、(2012年2月に公表された)IFRS財団評議員会の戦略レビュー(Trustees' strategy review)により提言されたものであった。

ASAFの役割は、基準設定のワークフローのデュー・プロセスに組み込まれる各国や各地域の問題に関して、国際会計基準審議会(IASB)と基準設定コミュニティからのステークホルダーから構成されるASAF間でのより効率的で正式な対話を実現することにある。

コメント募集期限は、2012年12月17日である。

 

 》IASBのプレス・リリース (IASBのWebサイト)
 》コメントの受付:会計基準諮問フォーラムの設立に関する提案 (IASBのWebサイト)

<2012.10.31> IASBが投資企業に関する基準書を公表

国際会計基準審議会(IASB)は、特定の投資ファンドなど「投資企業(investment entities)」の定義を満たす企業に対し、IFRS第10号「連結財務諸表」における子会社の連結からの免除を提供する「投資企業」(IFRS第10号、IFRS第12号及びIAS第27号の改訂)を公表した。その代わりに、このような企業は、特定の子会社への投資をIFRS第9号「金融商品」又はIAS第39号「金融商品:認識及び測定」に従って損益を通じて公正価値で測定することになる。

本改訂は、投資企業を、以下を満たす企業であると定義している。

 

  • 投資者に投資管理サービスを提供する目的で、単一又は複数の投資者から資金を得る。
  • 自らの事業目的が、もっぱら資本増価、投資収益又はその双方からリターンを得るために資金を投資することであると投資者に確約している。
  • ほとんどすべての投資の業績の測定及び評価を公正価値に基づいて行っている。

 

企業が投資企業に該当するかどうかを評価する際、企業は、目的及びデザイン(purpose and design)を含むすべての事実及び状況について検討することが要求される。本改訂は、投資企業が有するべき以下の典型的な特徴を提供している。

 

  • 複数の投資
  • 複数の投資者
  • 企業又は当該企業が含まれるグループ内の他のメンバー企業と関連のない投資者
  • 通常、資本又は類似の持分(例えば、パートナーシップ持分)の形式をとる、投資企業の純資産に対する比例的な割合が帰属する所有持分

 

企業がこれらの典型的な特徴の1つ以上を満たさない場合、企業は自らの活動がどのように投資企業の特徴と継続的に整合するかを証明(justify)し、開示することが要求される。また、投資先の日々の管理への関与に対する影響、第三者への投資関連サービスの提供、企業の性質、金融負債の測定及び管理方法といった、企業が投資企業に該当するかどうかを決定する際の詳細項目に関する追加的なガイダンスも提供されている。

投資企業の定義を満たす可能性のある企業の種類としては、プライベート・エクイティ企業、ベンチャー・キャピタル企業、年金基金、ソブリン・ウエルス・ファンド(sovereign wealth funds)及びその他の投資ファンドが含まれる。

企業が投資企業の定義を満たす場合には、子会社を連結することは認められず、当該子会社への投資を損益を通じて公正価値で測定することが要求される。しかし、子会社が投資企業の投資活動に関連するサービスを提供している場合には、当該子会社を引き続き連結することが要求される。

本改訂には、以下の内容も含まれている。

 

  • IFRS第12号「他の企業への関与の開示」及びIAS第27号「個別財務諸表」に、投資企業に関する新たな開示の要求事項を導入している。
  • 投資企業に対して、IFRS第3号「企業結合」からの範囲免除を提供している(これは、投資企業は子会社の取得に関して、企業結合会計を適用する必要がないことを意味する)。
  • 多くの基準書への必然的修正が含まれている。

 

本改訂は、関連会社又は共同支配企業への投資に関する新たな会計上の要求事項を導入していない。IAS第28号「関連会社及び共同支配企業に対する投資」は、既に、ベンチャーキャピタル企業、ミューチュアル・ファンド、ユニット・トラスト及び類似の企業(投資連動保険ファンドを含む)が、関連会社及び共同支配企業への投資を、IFRS第9号又はIAS第39号に従って損益を通じて公正価値で測定する選択肢を認めており、IASBは、投資企業がこれらの要求事項を適用するであろうと予想している。

新たな要求事項は、2014年1月1日以後開始する事業年度から修正遡及ベースで適用され、これは2013年1月1日以後開始する事業年度から適用されるIFRS第10号(の強制適用日)の1年後となる。本改訂は早期適用することが可能であり、したがって、企業はIFRS第10号を初度適用するときから本改訂を適用することを選択できる。その結果、投資企業は、IFRS第10号を適用する初年度だけ子会社を連結する必要性を回避できる。

 

 》プレス・リリース (IASBのWebサイト)

<2012.10.23> IFRS財団評議員会が、SECのIFRSに関する最終スタッフ報告書のIFRS財団スタッフによる分析結果を公表

IFRS財団評議員会は、本日、米国証券取引委員会(SEC)の国際財務報告基準(IFRSs)に関する最終スタッフ報告書のIFRS財団スタッフによる分析結果を公表した。評議員会は、SECスタッフ報告書が公表された直後、IFRS財団スタッフに対して、国際会計基準審議会(IASB)と国際的なコミュニティの双方のベネフィットのためにSECスタッフ報告書の分析を行うよう要請していた。

本日公表された文書は、2012年7月13日に公表されたSEC最終スタッフ報告書「米国の発行企業の財務報告制度へのIFRSsの組込みに関する検討のためのワークプラン」に含まれる観察事項に対するIFRS財団スタッフによる評価を要約するものである。

評議員会は、特に以下のことを(IFRS財団スタッフに対して)要請した。

 

  • 分析のベネフィットが、IASBと国際的なコミュニティの双方に対して最大化されるよう、IFRS財団のスタッフは、米国の研究結果を国際的な状況の中で評価しなければならない。
  • (IFRS財団の)スタッフは、他の信頼できる情報源を利用しなければならない。これには、学術的な研究だけではなく、既にIFRSへの移行を完了している他の法域からの関連文書や経験が含まれなければならない。
  • (IFRS財団の)スタッフは、SECのスタッフ報告書と他の調査研究の双方に基づき、IFRS財団とIASBの活動をより強化する機会を識別しなければならない。

 

IFRS財団のスタッフは、SEC報告書の多くのポイントが正確であることを認識し、(SECスタッフからの)コメントを歓迎する一方で、SECスタッフの発見事項を補足する、場合によっては相反する追加的なポイントを述べている。

これらのポイントとして、以下のものがある。

資金調達:少なくとも69の法域がIFRS財団の作業に財政支援を行っており、SEC報告書で述べられている「30に満たない国々」が財政支援を行っているのではない。さらに、IFRS財団のスタッフは、米国によるIFRS財団の運営予算への貢献が、米国にとって非常に都合良く計算されているように見受けられ、下方修正すべきであることを指摘している。結局のところ、SEC報告書で述べられている米国の公的な資金援助の不足は、直接的にも又は間接的にも米国当局だけが解決し得るものであり、IFRS財団に責任を転嫁するべきものではない。

網羅性: IFRS財団のスタッフは、業種別のガイダンスはIASBがそれぞれの(特定の業種についての)ガイダンスを十分に評価し、IFRSにおける空白部分(void)に対処できる能力を持つまで米国会計基準(US GAAP)から削除すべきではないとするSECスタッフの考えに対し、IASBは、業種固有のガイダンスを開発するのではなく、業種を越えて取引及び活動を会計処理する財務報告の要求事項を常に提唱してきたことを指摘した。また、(IFRS財団のスタッフは)SECが、2008年に回避可能な複雑性を軽減するために業種別のガイダンスを削除すべきことを提言したポーゼン・レポート(Pozen Report:米国SECの財務報告改善に関する諮問委員会(CIFiR)の最終報告書)の調査結果を公表していることも指摘した。

各国の基準設定主体:IFRS財団のスタッフは、 IASBは各国の基準設定主体との関わりを拡大し、正式化するべきであるとするSECスタッフの提言に対し、IASBが、IFRS財団評議員会の戦略レビュー報告書(IFRSF Trustees’ Strategy Review Report)で構想されている各国の基準設定主体及び他の地域団体(regional bodies)から構成される会計基準フォーラム(Accounting Standards Forum)を創設するための準備作業を開始したことを指摘した。

アドプション、エンドースメント及び移行に関する問題:IFRS財団のスタッフは、SECスタッフ報告書に含まれる米国会計基準(US GAAP)へのIFRSの組込みに関する様々な問題に対し、IFRSを採用する多くの法域が、IFRSの採用と同時に様々な問題に対処し、IFRSの採用に際し克服できない障害はないことが個々の法域により示されていること、及び国際的なコミュニティのIFRSsへの移行に関する経験がSECに対して活用できる重要な情報源を提供するであろうことを指摘した。

IFRS財団スタッフ報告書は、SECスタッフ報告書に示された発見事項に関して上記のコメントを行っているが、(SECスタッフ報告書の)他の発見事項の多くに関しては同意しており、IFRS財団の作業の継続的な成功を確実なものとするために、SECスタッフが行った貢献を歓迎するものとなっている。

この分析を行うにあたり、IFRS財団のスタッフは、SECスタッフ報告書がIFRSに関する既存の大量の研究と情報に対して貴重な貢献を行ったと結論づけた。SECスタッフ報告書は、米国の財務報告制度へIFRSを組み込むかどうか、もし組み込むとした場合にはその組込方法に関する米国の議論についての情報を提供するだけでなく、IFRS財団の自らの戦略、ガバナンス及び活動の評価に対する重要な貢献をしている。

 

 》プレス・リリース (IASBのWebサイト)
 》IFRS財団スタッフによるSECスタッフ報告書の分析 (IASBのWebサイト)

<2012.10.19> IFRS財団が、IFRS第13号をサポートする教育文書のドラフトを公表

IFRS財団のスタッフは、国際会計基準審議会(IASB)の教育イニシアティブ(Education Initiative)の一環として、評価専門家グループ(valuation expert group)の支援を受けて、IFRS第13号をサポートする教育文書を開発している。この教育文書の第1章となる、「IFRS第9号『金融商品』の範囲にある相場価格のない資本性金融商品の公正価値測定(Measuring the fair value of unquoted equity instruments within the scope of IFRS 9 Financial Instruments)」と題するドラフトがこのたび入手可能となった。

スタッフは、本ドラフトに関するコメント募集を行っておらず、ドラフトは、2012年11月末まで入手可能である。この文書の最終版は、2012年12月に公表予定である。

 

 》IASBのプレス・リリース (IASBのWebサイト)
 》第1章「IFRS第9号『金融商品』の範囲にある相場価格のない資本性金融商品に関する公正価値測定」に関するドラフト (IASBのWebサイト)

<2012.10.12> 米国証券取引委員会(SEC)コミッショナーが、米国のIFRSの組込みについて議論

米国証券取引委員会(SEC)コミッショナーのエリーゼ・B・ウォルター(Elisse B. Walter)氏は、アメリカ法曹協会国際セクション(American Bar Association International Section )における最近のスピーチの中で、米国は「最終的には(eventually)」IFRSをアドプションすることになるであろうが、その時期については不確実であるとした自らの考えについて言及した。

多くのトピックを取扱った広範囲にわたるスピーチにおいて、ウォルター氏は、SECのミッションの範囲にある、グローバルでの規則(regulations)の統一におけるSECの役割について議論し、個人的な見解を述べた。同氏は、「いくつかの領域において、(規則の)調整のための取組みは、おそらく他国の規制機関(counterpart)が望むよりも多くの時間がかかるであろう」と述べた。

特に、国際財務報告基準(IFRS)に関連して、ウォルター氏は以下のように述べた。

「SECの主任会計士局(Office of the Chief Accountant)のスタッフは、IFRSのワーク・プランに関する最終報告書を公表した。この報告書は、委員会が検討すべき多数の事項を提供した。私は、ますますグローバル化する資本市場において、投資家の利益に貢献するためには、コンバージェンスされた基準書が重要であるとの考えに変わりはないが、我々は、そのコンバージェンスされた基準書が、米国の投資家に十分に貢献するものであると確信できるそのときまでは、IFRSを組み込むことはできない。」

ウォルター氏はより広範なテーマについても言及し、以下のように述べた。

「それ(米国にIFRSを組み込むこと)が、米国の投資家と米国市場にとって正しい行動でないならば、委員会は、国際的な整合性という目的のためだけに、(統一が必要とされる)領域において措置を講ずることはできない。」

しかし、ウォルター氏は、以下のように自身の見解を付け加えた。

「多くの場合、米国市場にとっての最善の利益と、グローバル市場にとっての最善の利益は相互に排他的なものではない。」

ウォルター氏は、店頭デリバティブ、スワップに関する規制、単一の取引主体識別子(legal entity identifier、LEI)に関する提案、自動売買(automated trading)及び相互関連性を有する市場における金融システムのモニタリングなど、他のグローバルな規制問題についても議論した。

 

エリーゼ・B・ウォルター氏のスピーチ全文 (SECのWebサイト)

<2012.09.28> 国際会計基準審議会(IASB)が、保険の会計処理案の限定的な再公表を決定

国際会計基準審議会(IASB)は、保険契約の会計処理に関する提案を、限定的な質問とともに再公表することを発表した *1。(保険契約に関する)プロジェクトの審議は未だ完了していないが、IASBは、提案の再公表が市場における不確実性を減少することに貢献すると考えている。

提案を再公開する決定に際し、審議会は、これまでにプロジェクトに費やされた時間の長さ(保険契約に関する包括的なプロジェクトは2001年にIASBのアジェンダに追加された)や、最終基準書を早期に公表することの重要性を含む、数多くの要素について検討した。再公表が必要であるとの考えと、(保険契約)全体を対象とする再公開草案を公表することでほぼゼロから議論を再開することがないようにしたい(その結果、基準書の最終化が遅延することのないようにしたい)との希望のバランスを取った結果、IASBは、質問を以下の論点に限定することを決定した。

 

  • 有配当契約(participating contracts)の処理
  • 包括利益計算書における保険料(premiums)の表示
  • 保険契約における未稼得利益(unearned profit)の処理
  • 保険契約負債(insurance contract liability)を測定するために使用された割引率の変更による影響の、その他の包括利益(other comprehensive income)での表示
  • 経過措置に対するアプローチ

 

再公開草案の公表日程は未だ発表されていない。

 

プレス・リリース(IASBのWebサイト)

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*1(訳注)なお、再公開草案には基準案の全文が含まれる予定である。

<2012.09.18> IASB議長が慎重性の概念について議論

2012年9月18日、国際会計基準審議会(IASB)の議長のハンス・フーガーホースト(Hans Hoogervorst)氏が、ブリュッセル(ベルギー)の欧州会計士連盟(FEE)カンファレンス「将来の企業報告」で演説を行った。「慎重性の概念-その生死(The Concept of Prudence: dead or alive?)」と題する同氏のスピーチでは、財務報告における判断(judgment)の使用と、概念フレームワークから「慎重性の概念」が削除されて以降、(引続き注意を行使する(exercising caution)ことは必要だが)客観性(objectivity)の増加がどのように会計基準を改善したのかについて述べた。

フーガーホースト氏は、スピーチの冒頭で、企業報告(corporate reporting)の将来について論じ、同氏は、持続可能性(sustainability),環境(environment)、社会問題(social issues)及び財務報告(financial reporting)が相互に依存するトピックである統合報告(integrated reporting)に注目している。同氏は、IASBの概念フレームワークの改訂に関する次のフェーズで解決すべき財務報告の論点についても言及した。

フーガーホースト氏は続けて、財務報告は精密科学(exact science)からは程遠く、判断に大きく依存するものであると述べた。同氏は、概念フレームワークの以前のバージョンにおける「慎重性(prudence)」(信頼性「reliability」の1特性であり、現在は忠実な表現「faithful presentation」と呼ばれている)の定義を取り上げた。

フレームワークでは、「慎重性は、不確実性の状況下で要求される見積りにあたって必要とされる判断の行使に際して、資産または収益の過大表示及び負債または費用の過小表示とならないように、ある程度の用心深さ(caution)を要求するものである」と述べていた。

フーガーホースト氏は、この定義に関してはまったく問題は見当たらないが、過度の保守主義(conservatism)の使用について警告し、次の2つの問題について言及した。
 

  • 景気回復時には、収益は人為的に悪化させられ、投資家は良い投資機会を見逃す可能性がある。
  • 景気低迷時においては、企業の利益を人為的に増加させるために、秘密積立金(hidden reserves)が使用される可能性がある。収益は過大表示され、企業業績の悪化が隠蔽される。

 

同氏は、米国会計基準(US GAAP)が慎重性の定義を持ち合わせていなかったために、FASBとのコンバージェンスに関する審議が始まった時にこの慎重性の概念が削除されたと述べた。IASBも、また、「疑わしき時は、注意深く(if in doubt, be cautious)」の考え方はIASBの基準書に深く根付いており、慎重性の概念を削除することで財務報告の中立性(neutrality)が強調されると考えた。

フーガーホースト氏は、慎重性について留意しても、IFRSsには更なる改善の余地が残っていると述べた。同氏はいくつかの特定の論点について言及したが、これらの問題には簡単な解決方法がないことを認めた。同氏は、IASBの基準書に十分な注意(sufficient caution)を組み込むために、IASBが取り組んでいるいくつかの方法についても論じた。

フーガーホースト氏は、IASBの基準書は、可能な限り中立な(neutral)情報をもたらすものでなければならないとする同氏の見解に再び言及して、このスピーチを締めくくった。同氏は、注意の行使はIASBの基準書の多くに見出すことができ、新たな基準書開発においても重要な論点であり続けることに言及した。同氏は、慎重性の概念は「死んでおらず、まだ生き続けており、非常に活発である」と述べてこのスピーチを結んだ。

 

ハンス・フーガーホースト氏のスピーチ全文 (IASBのWebサイト)

<2012.09.13> IFRS財団が、アジア・オセアニア地域リエゾン・オフィスの初代オフィス・ディレクターに有限責任監査法人トーマツの竹村光広を任命

IFRS財団の評議員会は、アジア・オセアニア地域リエゾン・オフィスの初代オフィス・ディレクターを任命したことを発表した。

IFRS財団は、2011年2月に、IFRS財団とアジア・オセアニア地域のステークホルダーとの間で直接コンタクトする機会を拡大するために、東京オフィスを設立することを発表していた。

初代のオフィス・ディレクターとなる竹村光広は、リエゾン・オフィスのすべての業務の責任を負う。リエゾン・オフィスには、国際会計基準審議会(IASB)の研究活動や実態調査活動を支援するアジア・オセアニア地域の研究拠点となることが期待されている。竹村光広は、アジア・オセアニア地域のステークホルダーの最初のコンタクト先となり、当地域からの提案をIASBの基準設定活動へ伝達する役割を担う予定である。

竹村光広は、現在、税理士法人トーマツのパートナーでロンドン事務所に駐在しており、10月からは、有限責任監査法人トーマツのパートナーに就任予定。これまでにIASBの客員研究員と企業会計基準委員会(ASBJ)の専門研究員を歴任した。アジア・オセアニア地域のリエゾン・オフィスは、今年10月に開設予定である。

 

 》IFRS財団のプレス・リリース (IASBのWebサイト)

<2012.09.07> 国際会計基準審議会(IASB)が、一般的なヘッジ会計に関するスタッフ・ドラフトを公表

国際会計基準審議会(IASB)は、IFRS第9号「金融商品」の一般的なヘッジ会計に関するセクションのスタッフ・ドラフトをWebサイト上に公表した。このスタッフ・ドラフトは、2010年12月に公表された公開草案「ヘッジ会計」(ED2010/13)における提案と、IASBが本公開草案の再審議中に行った暫定的な決定に基づくものである。

本日公表されたスタッフ・ドラフトは、IASBの再審議の結果である。正式なデュー・プロセス文書ではないスタッフ・ドラフトの目的は、IASBの見解を説明する一方で、関係者が本文書に慣れ親しむことができるようにすることにある。

最終化の際には、本提案は、IFRS第9号「金融商品」の一部となり、ヘッジ会計のセクションを構成することになる。また本提案は、以下に記述するように、金利リスクのポートフォリオ・ヘッジ会計のセクションを除き、IAS第39号「金融商品:認識および測定」における対応する要求事項と置き換わる。

マクロ・ヘッジ会計の関連トピックは、スタッフ・ドラフトの一部を構成しない。 IASBは、マクロ・ヘッジ会計に関する別個のディスカッション・ペーパーを公表することを決定している(2012年の第3または第4四半期に公表予定)。したがって、IAS第39号の金利リスクのポートフォリオ公正価値ヘッジ会計に関する現行の要求事項は、引続き適用されることになる。

変更される主要な領域は以下のとおりである。

 

  • ヘッジ会計モデルとリスク管理のより一層の整合
  • ヘッジ対象の適格性の拡大
  • ヘッジ手段の適格性の拡大
  • 特定の信用リスクをヘッジする際の取消可能な公正価値オプション
  • 適格性および有効性に関する新たな要求事項
  • ヘッジ関係のバランス再調整に関する新たな概念
  • ヘッジ関係の中止に関する新たなルール
  • 開示の拡大

 

ヘッジ会計に関するセクションの発効予定日は、2015年1月1日以後開始する事業年度からであり、早期適用は認められる。本要求事項は、将来に向かって適用される(いくつかの「グランドファザリング」による処理が認められる)が、適用開始日現在で既に認識が中止されている項目には適用されない。

IASBのWebサイトより、以下の文書が入手可能である。
 

 

ロバート・ブルース氏のコラム-リスクのより良い理解に向けて (Towards a better understanding of risk) (IAS Plus)
デロイトのIFRSポッドキャスト-一般的なヘッジ会計に関するIASBの基準案 (IAS Plus)

<2012.07.19> 国際会計基準審議会(IASB)が、IFRS第8号「事業セグメント」の導入後レビューにおける公開協議フェーズを開始

国際会計基準審議会(IASB)は、IFRS第8号「事業セグメント」の導入後レビュー(post- implementation review:PIR)プロセスにおける公開協議フェーズを開始した。公開協議フェーズの一部として、IASBは、IFRS第8号の導入の影響に関する「情報の募集(Request for Information:RFI)」を公表し、コメントを募集している。

このレビューの目的は、「IFRS第8号が意図したとおりに機能しているかどうかに関するフィードバック、及びIFRS第8号の導入に係る課題とコストに関するより多くの実務上の情報」を収集することにある。RFIに加えて、IASBはIFRS第8号の導入の影響に関するより多くのフィードバックを収集するために、アウトリーチ活動を国際的に行う予定である。

IFRS第8号の基準は、評議員会が2007年にPIRを導入した以降、IASBが主要な基準についてPIRを実施する最初の例となる。

RFIに関するコメント提出期限は、2012年11月16日である。

 

 》IASBのプレス・リリース (IASBのWebサイト)
 》IFRS第8号「事業セグメント」の導入後レビューに関する「情報の募集」 (IASBのWebサイト)

<2012.07.17> SEC公表のIFRSに関するスタッフ・レポート-その要約と諸団体の反応

デロイトは、米国証券取引委員会(SEC)のファイナル・スタッフ・レポート「米国の発行企業の財務報告制度への国際財務報告基準(IFRS)の組込みに関する検討のためのワーク・プラン」の要約を、スタッフ・レポートに対する諸団体の反応の概要とともに掲載する。

 

デロイトの要約

2012年7月13日、SECは、ファイナル・スタッフ・レポート「米国の発行企業の財務報告制度へのIFRSの組込みに関する検討のためのワーク・プラン」を公表した。このレポートは、2010年2月にSECが開始したワーク・プランに関して、SECがスタッフに実行を指示した作業の集大成に位置づけられるものである。ワーク・プランの目的は、米国の財務報告制度へ国際財務報告基準(IFRS)を組込むかどうか、組込むとした場合の時期及びその方法についてのSECの決定に関連する特定の領域及び要素を検討することであった。SECのスタッフはこの数年間、ワーク・プランに従って、進捗状況、観察事項及び調査結果に関する洞察を提供するいくつかのレポートを公表してきた。ファイナル・スタッフ・レポートはこれまでに公表された観察事項及び調査結果のすべてを要約し、これらを単一の文書にまとめるものである。

スタッフは分析を完了するにあたり、以下の重要なテーマを識別した。

  • IFRSsの開発 – 世界的にみれば、IFRSsは高品質な基準であると一般的に認識されている。米国会計基準(US GAAP)とIFRSsの双方には十分に開発されていない領域が含まれているが、米国の関係者はIFRSsの「欠落(gap)」はUS GAAPより大きいものであることを認識している(例えば、採掘産業、保険、料金規制産業)。米国財務会計基準審議会(FASB)と国際会計基準審議会(IASB)の進行中のコンバージェンス・プロジェクトに関連する進展が見られている。
  • 解釈プロセス – IFRS解釈指針委員会は、IFRSsの適用における実務上の多様性を縮小させるために、適用上の問題に適時に対処すべく今まで以上の機能拡大を図るべきである。委員会のプロセスに対して行われた最近の変更は、この懸念に対処するものであるかもしれないが、この変更が効果的なものであるかどうかは依然明確ではない。
  • IASBの各国基準設定主体の利用 - IASBは、各国の報告及び規制に関するフレームワークを理解する必要があり、これまで以上に各国の基準設定主体に依拠することを検討すべきである(例えば、各国の基準設定主体が専門知識を有する分野、アウトリーチ活動、実務上の多様性の識別及び導入後レビューの支援)。IASBは、将来のアジェンダを見据えて、各国の基準設定主体との連携を正式化する計画を開発している過程にある。
  •  グローバルな適用及び施行 – SECのスタッフが分析した財務諸表は概ねIFRSsに準拠しているように見受けられたが、世界的にみればIFRSsの適用において多様性が存在している。様々な法域における監督機関は、IFRSsの首尾一貫した適用と施行を促進するために協働する必要がある。
  • IASBのガバナンス – IFRS財団のガバナンス構造は、「IASBへの監督を行うと同時に、IASBの独立性を認識し支持することを合理的に両立させているように思える。米国の資本市場を考慮し、保護するメカニズムが必要となるであろう(例えば、FASBに米国におけるIFRSsの承認権を与える)。
  • 資金調達の現状 – IFRS財団の資金調達メカニズムの開発には進展がみられたが、スタッフは既存の資金調達源(資金提供を行う大手会計事務所への依存を含む)に関して懸念を表明した。現在、資金提供は30に満たない国の「企業、非営利企業、政府」より受けている。IFRS財団は、予算における米国負担分の十分な資金調達をできずにいる。
  • 投資家の理解 – 投資家は、会計上の問題に関して「均一(uniform)」な知識を持合わせているわけではない。SECの最終的な決定がどのようなものになろうと、スタッフは投資家の関与と教育を向上させる方法についてさらに探求していくことを計画している。

 

我々が最も関心があるかもしれないことは、ファイナル・スタッフ・レポートに書かれている内容ではなく、むしろ書かれていない内容である。ファイナル・スタッフ・レポートには、スタッフの提案(recommendation)は含まれておらず、委員会のIFRSに関する次のステップがどのようなものになる可能性があるかという印象を与えるものでもない。ファイナル・スタッフ・レポートは、このレポートがSECの承認を受けたものではなく、必ずしも委員会の見解を反映するものではないこと、及びレポートの公表が「委員会が、IFRSを米国の発行企業の財務報告制度へ組込むべきかどうか、また、組込むとした場合の導入方法に関する方針を決定したことを暗示するものではない(または暗示すると解釈してはならない)」と述べている。ワーク・プランも「IFRSへの移行が一般的には米国の証券市場、とりわけ米国の投資家の最大の利益(best interests)に合致するものであるかどうかという根本的な問題に回答しようとするものではなかった」。

ワーク・プランは完了したが、ファイナル・スタッフ・レポートは「委員会が、米国の発行企業の財務報告制度へのIFRSの組込みに関するいかなる決定を行う前に、この根本的な問題の追加的な分析と検討が必要である」ことを認識している。ワーク・プランの完了は、米国にとって重要なステップであるが、多くの問題が未回答のままである。

 

SECスタッフ・レポートに対する諸団体の反応

米国公認会計士協会(AICPA)はSECのスタッフ・レポートを称賛したが、「世界の資本市場には国境がなくなっており、委員に対し、スタッフ・レポートの検討において便宜的な措置も検討するよう要請していく」との声明を発表した。AICPAの会長兼最高経営責任者(CEO)のバリー・C・メランコン(Barry C. Melancon )氏も「我々は、米国の公開企業がIFRSを採用する選択肢が認められるよう委員に要請していく」と述べた。

財務管理者協会(FEI)もスタッフ・レポートを称賛したが、グローバルな会計基準への移行を達成するには、「さまざまな道が存在する可能性がある」と述べた。FEIの反応も、IASBとFASBのコンバージェンス・プロセスの完了が最も重要であり、「人為的に設定された期限(artificial deadlines)」に従うべきではないとするこれまでの見解を改めて表明するものでもあった。その結果FEIは、「我々は、SECの委員が、時間をかけて行うであろう十分な情報に基づいた意思決定を行うために、アウトリーチと研究を満足に行ったと思えるまで、SECはUS GAAPへのIFRSの組込みに関する決定を行うことを強制されていると感じる必要はないと考える」と主張した。

英国の財務報告評議会(UK Financial Reporting Council)の最高経営責任者であるスティ-ブン・ハドリ(Stephen Haddril)氏は、「(IFRSへの)移行がいまだ明確に提案されていないのは、非常に残念なことである。これを高品質でグローバルな基準開発の継続に影響を及ぼさないようにすることが肝要である」と述べた

IFRS財団評議員会とIASB議長の反応の要約については、2012年7月15日のIAS Plus記事をご参照ください。

<2012.07.15> IFRS財団評議員会がSEC公表のIFRSに関するスタッフ・レポートに対する声明を発表

IFRS財団の評議員会は、米国証券取引委員会(SEC)のスタッフにより開発されたワーク・プランの最終要素を表すスタッフ・レポートの公表に関する声明を発表した。この声明は、スタッフ・レポートがSECへのアクション・プランの提案(recommendation)を伴うものでなかったことについて「遺憾の意(regret)」を表明している。

この声明(IASBのウェブサイト)おいて、評議員会の議長であるミッシェル・プラダ(Michel Prada)氏は以下のように言及した。

「米国と国際的なステークホルダー双方の利益のためにも、評議員会は、米国のグローバルな会計基準に対するコミットメントに関して不確実性が継続している状態をSECが解消することを望んでいる。」

プラダ氏は、IFRSへの移行により米国の関係者が直面する可能性のある課題を認識しつつも、これらの課題は「他の法域が、IFRSsへの移行を完了するに際し成功裏に克服した課題でもある」ことに言及した。

SECのスタッフ・レポートは、IASBのガバナンスと活動に関する多くの問題について言及しており、例えば以下のものを取上げている。

  • IFRSが開発されていないいくつかの領域の存在(例えば、採掘産業、保険、料金規制産業の会計)
  • 適時に問題に対処するためのIFRS解釈指針委員会の機能拡大
  • 国際会計基準審議会(IASB)の各国基準設定主体に対するより多くの依拠の検討
  • (適用の)多様性を縮小させるIFRSのグローバルな適用の改善
  • IASBに資金提供を行う大手会計事務所への継続的な依存

 

SECのスタッフ・レポートは、IFRS財団が最近、これらの領域の多くで改革を行ったことを認識している。評議員会の声明での中で、プラダ氏は以下のように述べている。

「評議員会は、このレポートを慎重かつ詳細に検討し、必要に応じて追加的な措置を講じる予定である。我々の当初の評価では、(スタッフ・レポートの)調査結果の多くは、今年の初めに完了したモニタリング・ボードと評議員会によるそれぞれのガバナンス及び戦略レビューの結論と概ね首尾一貫するものであり、2012年の作業計画ですでに対処されているものである。」

この声明には、IASBのハンス・フーガーホースト(Hans Hoogervorst)議長のコメントも含まれている。その内容は最近行われたフーガーホースト氏のスピーチと首尾一貫するものであり、同氏は、すでに世界的に明白な事実となっている広範囲にわたるIFRSの採用、G20のグローバルな会計基準に対する要請、および「コンバージェンスの時代が終わりつつある」ことによるIASBの今後の新たなアジェンダについて言及している。


 》IFRS財団評議員会の声明 (IASBのWebサイト)

<2012.07.13> 米国証券取引委員会(SEC)が、IFRSに関するワーク・プランについてのスタッフ・レポートを公表

米国証券取引委員会(SEC)は、ファイナル・スタッフ・レポート「米国の発行企業の財務報告制度への国際財務報告基準(IFRS)の組込みに関する検討のためのワーク・プラン」を公表した。このレポートは、SECのスタッフがSECのワーク・プランの対象となる領域に対して行った観察と分析を要約するものである。

ファイナル・スタッフ・レポートは、米国の発行企業の財務報告制度へのIFRSの組込みに関する潜在的な影響について記述している。

2010年2月の指示にもとづき、SECのスタッフは「米国の発行企業の現在の財務報告制度からIFRSを組込んだシステムへと移行するべきかどうか、また移行するとした場合の時期及びその方法についての委員会の決定に関連する特定の領域及び要素を検討するための」ワーク・プランを開発した。

 

SECのプレス・リリース(SECのWebサイト)
「米国の発行企業の財務報告制度への国際財務報告基準(IFRS)の組込みに関する検討のためのワークプラン」 (SECのWebサイト、PDFファイル・6.14MB)

<2012.07.03> IASB議長が、コンバージェンス、IASBの将来のアジェンダ及びIASBの連携について演説する

2012年7月3日、国際会計基準審議会(IASB)のハンス・フーガーホースト議長が、ブエノスアイレス(アルゼンチン)のアルゼンチン会計士協会 (FACPCE)でスピーチを行った。このスピーチで、同氏は3つの重要なポイントとして、1)コンバージェンス、2)IASBの将来のアジェンダ及びその新興市場との関連、3)IASBと規制当局及び基準設定主体との連携についてコメントした。

スペイン語で行われたスピーチにおいて、フーガーホースト氏は、グローバルな会計基準に対する南米の強い支持と、国際財務報告基準(IFRS)を採用した南米の大規模な経済圏の数について言及した。

 

コンバージェンス

フーガーホースト氏は、リース, 金融商品, 収益認識及び保険プロジェクトの最新の状況について説明を行った。同氏はIASBと米国財務会計基準審議会(FASB)がこれらのプロジェクトを「相当前進」させ、「コンバージェンスという名のトンネルの先に明かりが見えた」ことを示す一方で、双方の基準間に残る相違についても説明を行った。同氏は、リース、金融商品及び収益認識の公開草案が2012年の下半期に公表予定であり、2013年に最終基準化される予定であるとコメントした。

 

IASBの将来のアジェンダ

フーガーホースト氏は、関係者からの「静寂な期間(period of calm)」を望む要請について言及し、IASBは今後、通常においては、変更が必要で関係者の支持がある最も重要な分野だけに焦点を当てる予定であることをコメントした。これらの分野には、改訂概念フレームワークの最終化、過度の開示に対処する開示フレームワークの開発、及びその他の包括利益(OCI)の概念的な分析の必要性が含まれていた。さらに、農業、共通支配下の企業結合及び持分法会計に関するそれほど大がかりではないプロジェクトの検討も予想されている。IASBの進行中の作業プログラムではない他のトピックは、「リサーチ・フェーズ」で取扱われる予定で、リサーチ・フェーズでは、他の基準設定主体がプロジェクトに関する予備的情報の収集のためにIASBと協力する。当該トピックがIASBの作業プログラムとなった場合には、本フェーズにおけるプロジェクトの議論を加速させる予定である。

 

IASBと規制当局及び基準設定主体との連携

フーガーホースト氏は、世界的にIFRSの使用が増加するにつれ、世界の他の地域の見解を考慮することが重要になってくるとコメントした。IASBは、各国及び地域の基準設定主体と連携するための正式な体制の開発過程にあり、これにはラテンアメリカ基準設定主体グループ(GLASS)が含まれる。さらに、フーガーホースト氏は、IASBと証券規制当局との間のより構造的で緊密な連携に、相互の便益を見出している。

<2012.06.28> IASBがIFRS第10号「連結財務諸表」の経過措置ガイダンスを改訂

国際会計基準審議会(IASB)は、「連結財務諸表、共同支配の取決め、他の企業への関与の開示:経過措置ガイダンス」(IFRS第10号、IFRS第11号及びIFRS第12号の改訂)を公表した。これらの改訂は、IFRS第10号「連結財務諸表」の経過規定が当初意図していたよりも多くの負担を生むという懸念を軽減することに役立つものとなるであろう。IAS第8号28項(f)で要求される、財務諸表の表示項目ごとに関する情報は、直前の期間に限定される。

これらの改訂は、「修正後比較情報の提供の要求事項を直前の比較期間だけに限定する」ことにより、IFRS第10号IFRS第11号「共同支配の取決め」及びIFRS第12号「他の企業への関与の開示」に追加的な移行時の救済を提供することを目的とするものである。また、IFRS第11号及びIFRS第12号が改訂され、直前期よりも前の期間に係る比較情報の提供の要求事項が削除された。

これらの改訂の発効日は2013年1月1日以後開始する年次期間であり、IFRS第10号、IFRS第11号及びIFRS第12号の発効日と一致する。

 

プレス・リリース (IASBのWebサイト)

<2012.06.27> IFRS財団評議員会議長のIFRS財団カンファレンス(フランクフルト)での発言

IFRS財団評議員会のミッシェル・プラダ(Michel Prada)議長は、フランクフルトで開催されたIFRS財団カンファレンスで演説し、国際的な基準設定について過去、現在および将来を語った。

ミッシェル・プラダ氏は、スピーチを、基準設定の軌跡の概要から始めた。同氏は、国際会計基準(IASs)の国際的な成功を、規制市場における上場会社の連結会計のために、2005年からIASsを採用するとした欧州の2002年の決定にまで遡った。「この決定は一夜にして、国際会計基準審議会(IASB)を、興味深いがいささか不可解な会計シンクタンクという存在から、欧州の会計基準設定主体へと変貌させた。」。そして、プラダ氏はグローバルな会計基準の需要の増加について多くの例と共に説明し続けた。その例の中でも特に、「単一で高品質なグローバルな会計基準に対する差迫った必要性」を示すことになった世界的な財政危機を取上げた。

現状に関してプラダ氏は、世界中の多くの国が国際財務報告基準(IFRSs)の使用を要求または容認しており、G20加盟国がIFRSsを受入れており、グローバル・フォーチュン500社のほぼ半数がIFRSsを使用している非常に肯定的な状況について説明した。また、同氏は、中国と日本を訪問した際の非常に励みとなる経験についても言及した。

しかし、 プラダ氏は、IASBは現在のところ国際的な基準設定主体ではあるがグローバルな基準設定主体ではないと主張した。同氏はスピーチの終盤、基準設定の将来像について語り、同氏によれば、モニタリング・ボードと評議員会により行われたレビューは、IFRSの更なる成功のための以下の3つの主要改善領域を示している。
 

  • 各国及び地域の主体と協力した基準設定は、IASBの作業の有効性を向上させるであろう。これはグローバルな視点を基準設定プロセスへより良く統合することにもなり、新たな基準書が承認されないリスクを減少させる可能性がある。
  • 部分的には証券監督者国際機構(IOSCO)および他の国際団体との協力を通じて、今まで以上に基準の導入に強い焦点を当てることは、基準が全世界的に首尾一貫した基礎により承認され施行されることを確実なものとするであろう
  • IASBのデュー・プロセスの強化は、基準設定プロセスに対する信頼を強化し、基準の堅牢性を改善するであろう。

 

プラダ氏は、国際的な基準設定は過去に大きな進歩を遂げ、これは現在も継続しており、上述した目標が達成されるならば、将来においてもさらなる進歩を遂げる十分な可能性があることを示してこの演説を終えた。

 

ミッシェル・プラダIFRS財団評議員会議長のスピーチ全文 (IASBのWebサイト)

<2012.06.21> SECが主任会計士ジェームス・L・クローカー氏の退任を発表

米国証券取引委員会(SEC)は、主任会計士ジェームス・L・クローカー氏(James L. Kroeker )が、民間部門への参加のために7月にSECを退任する予定であるとウエブサイト上で発表した。

クローカー氏は、副主任会計士として2007年にSECに加わり、2009年1月から主任会計士代行を務めてきた。同氏は、米国会計基準(US GAAP)と国際財務報告基準(IFRSs)とのコンバージェンスの検討についてSECにおける主導的な役割を果たしてきた。

米国におけるIFRSのアドプションの可能性に関する決定は、国際的に待ち望まれており、この決定がどのような内容となる可能性があるのか、何を伴うものであるのか、またはいつなされる可能性があるのかといった兆候は非常に注目を集めている。米国におけるIFRSへの移行の可能性についての特徴を描写するために「コンドースメント(condorsement)」という用語をもはや使用することはないとした2012年2月のIFRS諮問会議の会合におけるクローカー氏の発言は、(米国のIFRSの適用に関する)前向きなメッセージとして受取られていた。ワークプランに基づく最終レポートの公表までを「数ヶ月(few months)」とした同会議でのクローカー氏の発言は、その後、5月末に行われたSECコミッショナーのエリーゼ・B・ウォルター(Elisse B. Walter)氏のスピーチにおいて、「数週間以内(matter of weeks)」へと更新された。しかし、2012年6月のIFRS諮問会議の会合で、SECスタッフのジュリー・エルハルト(Julie Erhardt)氏は、このレポートは、コミッショナーの実態把握の要請に応えるだけのものであり、SECの活動の方向性についての提案を含まないと明言した(IASBのウエブサイト上の音声記録を参照)。

クローカー氏のSECからの退任が、SECのIFRSsについての活動に影響を及ぼすかどうかについては現時点では不明である。これは、同氏の後任を誰が務めるかという点にも確実に左右される。これまでのところ、SECは後継候補に関する発表をしていない。

 

SECのジェームズ・L・クローカー(James L. Kroeker )主任会計士の退任に関する発表 (SECのウエブサイト)

<2012.06.20> IASB議長が「会計の不明確な世界」と題して演説する

2012年6月20日、国際会計基準審議会(IASB)のハンス・フーガーホースト(Hans Hoogervorst)議長が、アムステルダムで開催された国際会計教育研究学会(IAAER)のカンファレンスで演説を行った。「会計の不明確な世界(The imprecise world of accounting)」と題する同氏のスピーチの内容は、会計を過度の期待から防御し、さらには、会計が何に貢献できIASBの将来の作業の焦点がどこにあてられるかをも示すものであった。

フーガーホースト氏は、スピーチの冒頭で、会計が精密科学(exact science)のように取扱われてはならないと述べた。すなわち、会計が「単純なもの(bean-counting)」とみなされることが多いという事実、及び同氏の前任者であるデイヴィッド・トゥイーディ卿(Sir David Tweedie)が述べたような、会計により「資本主義を公正に保つ」ことができ、透明性を通じて金融危機のような危機を防ぐことが可能であるという期待が、会計を過度のプレッシャーに晒していると述べた。

しかし、フーガーホースト氏が指摘したように、会計は、判断や意思決定が必要な事項で満ちている。このスピーチで、同氏は、測定技法、ビジネスモデル及び無形資産をその例としてあげた。同氏は、その他の包括利益(OCI)の問題について詳細に議論し( 「OCIは、未実現利得または損失を記録することに有用であると漠然と考えられているが、その目的と意味についての明確な定義が欠如している。」)、どのような利得又は損失が、(これらの利得または損失がまだ実現していなくても)貸借対照表に 「計上」されているかという点に関して、OCIには非常に重要な情報が含まれているとして、IASBがOCIの問題に対処する必要性を認めた。同氏は、今後の概念フレームワークの改訂において、OCIおよび純利益の全面的な見直しを約束した。

会計が精密科学ではないという理由について言及したあと、フーガーホースト氏は、会計によって何を達成することができるかという問題にテーマを変えた。同氏は、グローバル・スタンダードとしてのIFRSsは、既に透明性と国際的な比較可能性に大いに貢献していることを強調した。同氏は、民間部門の会計と、公的部門の「アナーキーな状態(anarchy)」にある会計を比較することによりこの点を説明した。フーガーホースト氏は、会計基準は常に改善する余地があることについて疑いの余地はないが、この改善は、会計が対処できるものと対処できないものとを考慮した合理的な方針に従ったものでなければならないことを強調した。同氏は、基準を改善する試みは、以下の3つによる必要があると考えている。
 

  • 原則(Principles)
  • 実用主義(Pragmatism)
  • 粘り強さ(Persistence)

 

見せかけの正確性を反映するようなルールを回避する原則、すべての問題に明確な回答がつねに存在するわけではないことを受容する実用主義、及び特別な利害関係の形でIASBが絶えず直面している圧力に対する粘り強さの3つである。

 

ハンス・フーガーホースト氏のスピーチ全文 (IASBのWebサイト)

<2012.06.13> IASBとFASBがリースの会計処理について合意

本日、国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)は、国際財務報告基準(IFRSs)と米国会計基準(US GAAP)とのリース会計に関するガイダンスを変更する共同プロジェクトの一環として、リース費用の会計処理方法について合意に達した。合意されたアプローチのもとでは、期間が一年を超えるリースが貸借対照表に含められることになる。

本日のIASBとFASBの合同会議で、両審議会は、リース契約を、1)2010年に公表された公開草案「リース」で提案されたものと同様の方法と、2)リース費用を定額で認識する結果となる方法でそれぞれ会計処理する提案について合意した。

両審議会が到達したいかなる結論も暫定的なものである。両審議会は、2012年の第4四半期に共同の再公開草案を公表する予定である。

 

IASBのプレス・リリース (IASBのWebサイト)
リース・プロジェクトのサマリー (IAS Plus)

<2012.06.04> IASB議長が金融安定化と金融安定化に貢献する会計規則について演説

2012年6月4日、国際会計基準審議会(IASB)議長のハンス・フーガーホースト(Hans Hoogervorst )氏が、フランクフルトで開催された中央銀行のための会計、財務報告およびコーポレート・ガバナンスに関する第3回欧州中央銀行(ECB)カンファレンスで演説を行った。このスピーチで同氏は、金融安定化と、どのような会計規則であればこの金融安定化という目的(特に減損についての透明性)に貢献できるかという問題に焦点をあてた。

演説の冒頭で、フーガーホースト氏は、基準設定の主たる目標がどうあるべきかという議論において、透明性と金融安定化がしばしば相反するものとして考えられていたことを指摘した。フーガーホースト氏は、このように考えるのは本質的に誤りで非生産的であるとし、透明性こそ会計規則が金融安定化に貢献できるものであると述べた。

IASB議長は、基準設定主体が行うことができないことについて明確であった。基準設定主体は単独では安定性を確保することはできず、また安定していない時に安定しているかのようにみせることはできない(また、みせることはない)ということである。しかし、基準設定主体は、健全性に関する監督当局と中央銀行に対し、彼らにとって利用可能な監督手段と反応させることで、透明性の向上に貢献することはできる。

フーガーホースト氏は、金融危機と現在のユーロ危機に関連して、過去にも現在においても特に重要である透明性の3つの側面について言及した。


望ましくないオフバランス金融を防止するための、連結に関する要求事項の厳格化- 

これは特に米国における問題であったが、金融危機の間、米国会計基準(US GAAP)において連結および開示に関する改善された要求事項が導入された。フーガーホースト氏はこれを、基準設定主体の透明性の向上への価値ある貢献として引用し、「我々はこの問題が、もはや過去の問題になることを願っている」と述べた。

 

ビジネスモデルおよび市場における固有のボラティリティを表示するための、公正価値会計の慎重な使用- 

金融危機の間、公正価値会計は人為的なボラティリティにつながるとして、公正価値会計を放棄せよとする要求がよく見受けられた。しかしフーガーホースト氏は、金融セクターは多くのボラティリティが内在する業界であり、公正価値会計は透明性を損なうものでも向上させるものでもないことを指摘した。同時に、基準設定主体は、いくつかの金融商品に関して、償却原価の方が短期の市場変動に比べてより関連性のある情報を提供すると考えられることを十分に認識している。そのため、IASBは、IFRS第9号の混合測定モデルを継続することを決定した。フーガーホースト氏は、IFRS第9号の限定的な見直しにおける最近の進展、および一定の負債性金融商品に関してその他の包括利益(OCI)を通じて公正価値で測定するカテゴリーを再設定する決定についても手短に触れた。

 

信頼性かつ信用性がある償却原価測定に関して、十分機能する減損モデルの提供–

発生損失(incurred loss)に基づく現在の減損モデルもまた、金融危機およびユーロ危機の間、批判にさらされてきた。フーガーホースト氏は、このモデルも、評価減を開始するためのトリガーは豊富ではあったものの様々な理由から無視されていたため決して積極的に適用されることがなかったが、発生損失モデルもおそらく部分的には正当化できるものであることを認めた。IASBと米国財務会計基準審議会(FASB)は、発生損失ではなく予想損失(expected loss)に基づくモデルを開発しており、フーガーホースト氏は、この予想損失モデルは大幅な改善であり、透明性の向上に大きく貢献すると考えている(減損に関する再公開草案は、2012年の第4四半期に公表されることが予定されている)。しかし、フーガーホースト氏は、この新たなモデルの限界についても指摘した。

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「以前にも申し上げたことがあるとおり、予想損失モデルは、ある程度判断に左右されるものである。現在の危機より前において、多くの銀行とその監督機関がリスクを完全に予測することができなかったことは明白である。(中略)将来の銀行が、現在の銀行に比べてリスクをより良く予測できるという保証はどこにもない。そのため、好況時に増大するリスクのすべてが適時に認識される可能性は低いといえる。予想損失モデルでさえ、景気の低迷が始まった時にのみ多くの損失が明るみになるであろう。

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ハンス・フーガーホースト氏のスピーチ全文 (IASBのWebサイト)

<2012.05.31> IFRS解釈指針委員会が賦課金およびプット・オプションに関する指針案を公表

2012年5月31日、IFRS解釈指針委員会は、一般のコメントを募集するため、(1)特定市場で事業を行う企業に公的機関により課せられる賦課金(Levies)、および(2)非支配持分の株式保有者により保有される、子会社の株式に対する親会社による売建プットオプションの会計処理に関する指針を公表した。

 

賦課金

本委員会は、企業が、その財務諸表において法人所得税以外の賦課金の支払いをどのように会計処理するか(特に、賦課金を支払う負債がいつ認識されるべきか)を検討した。指針案DI/2012/1「特定市場で事業を行う企業に公的機関により課せられる賦課金」は、「賦課金を支払う負債を生じさせる債務発生事象は、法律により識別された賦課金の支払いを引き起こす活動である」ことを明確にするものである。

賦課金の提案に対するコメント期限は、2012年9月5日である。

 

プット・オプション

本委員会は、親会社が現金または他の金融資産と交換にその子会社の株式を購入する義務がある場合に設定される金融負債を測定する方法を検討した。当該親会社は、連結財務諸表上の金融負債をオプションの行使価格の現在価値で認識しなければならない。

指針案DI/2012/2「非支配持分に対する売建プット・オプション」は、その金融負債の測定におけるすべての変動が、IAS第39号「金融商品:認識と測定」およびIFRS第9号「金融資産」に従って純損益に認識されなければならないことを明確にするものである。

プット・オプションに対する提案のコメント期限は、2012年10月1日である。

 

IASBのプレスリリース (IASBのWebサイト)

<2012.05.29> SECがIFRSの組込みに関するレポートを数週間以内に公表の予定

米国証券取引委員会(SEC)コミッショナーのエリゼ・B・ウォルター(Elisse B. Walter)氏は、最近のスピーチにおいて、「SECスタッフはワークプランに基づいた最終レポートを数週間以内に公表する予定であり」、その後SECが、米国における国際財務報告基準(IFRS)のアドプションの可能性の問題に関して「次のステップ(next step)を検討する」と表明した。

この個人的な見解は、2012年5月22日に開催された米国財務会計財団(FAF)の2012年度年次評議会の夕食会において表明されたものであるが、「次のステップ」の正確な内容についてより詳細に語られることはなかった。

しかし、ウォルター氏は「米国財務会計基準審議会(FASB)と国際会計基準審議会(IASB)が、今後も主要なコンバージェンス・プロジェクトを継続して十分に進めていくことが重要」であり、「堅牢なIFRSの解釈プロセスと、厳格で調整のとれたIFRSの適用と施行」が必要不可欠であるとコメントした。

同氏は、グローバルな基準設定プロセスへの米国の関与についてさらにコメントし、以下のように言及した。

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 誰もが米国がIFRSを組込むかどうか、またいつ組込むかについて問いかけている。我々もまた、米国がグローバルな会計基準の開発にどのように参画し続けるかを問いかけていかなければならない。

 その点に関する私の見解は、IFRSの組込に関する決定には、米国の立場を適切に検討するIASBの堅牢なデュー・プロセスを経て公表された、新たに公表されるIFRS基準の承認の決定について、FASBを関与させるべきというものである。

 FASBは、IASBの基準設定プロセスにおける米国の利益を代表する最良の立場にある。したがって、私は、FASBがプロセス全体を通じて重要な役割を担っていくことが重要であると信じている。

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SECコミッショナー:エリゼ・B・ウォルター氏のスピーチ全文 (SECのWebサイト)

<2012.05.17> IASBが年次改善プロジェクト(2009年-2011年サイクル)を終了

国際会計基準審議会(IASB)は、年次改善プロジェクトの2009年-2011年サイクルで取扱った論点に対応し、国際財務報告基準(IFRSs)の修正をまとめたものである「年次改善(2009年-2011年サイクル)」を公表した。

「年次改善(2009年-2011年サイクル)」は、以下の基準に対する修正を提供するものである。

 

 

プレス・リリース (IASBのWebサイト)
年次改善プロジェクト(2009年-2011年サイクル)に関するページ (IAS Plus)

<2012.05.03> IASBが年次改善プロジェクトによる修正案を公表

国際会計基準審議会 (IASB)は、年次改善プロジェクトによる11の国際財務報告基準(IFRSs)の修正を提案する公開草案(ED)を公表した。

IASBは、年次改善プロジェクトを、その他の主要なプロジェクトの一部に含まれないIFRSsに対する、必要ではあるが緊急性を要しない修正を行うために使用している。

本EDは、以下の修正を提案するものである。

 

国際財務報告基準
修正の対象

IFRS第2号 株式報酬

「権利確定条件」の定義の明確化

IFRS第3号 企業結合

IFRS第9号への必然的な修正案)

企業結合における条件付対価の会計処理

IFRS第8号 事業セグメント

事業セグメントの集約

報告セグメント資産の合計額と企業の資産との調整表

IFRS第13号 公正価値測定

短期の債権債務

IAS第1号 財務諸表の表示

負債の流動/非流動分類

IAS第7号 キャッシュ・フロー計算書

支払利息の資産化額

IAS第12号 法人所得税

未実現損失に関する繰延税金資産の認識

IAS第16号 有形固定資産および

IAS第38号 無形資産

再評価モデル—減価償却累計額の比例的修正再表示

IAS第24号 関連当事者についての開示

経営幹部

IAS第36号 資産の減損

使用価値及び処分費用控除後の公正価値に関する開示の調和

 

本EDは、(2015年1月1日以後開始する年次期間に適用することが提案されている)IFRS第3号の修正及びIFRS第9号への必然的な修正案を除き、これらすべての修正を、2014年1月1日以後開始する年次期間に適用することを提案している。企業は、すべての修正案を早期適用することが認められる。本公開草案に関するコメント期限は、2012年9月5日である。

 

IASBのプレス・リリース (IASBのWebサイト)

<2012.04.04> IASB議長がIASBの将来のアジェンダについて議論

2012年4月4日、国際会計基準審議会(IASB)議長のハンス・フーガーホースト(Hans Hoogervorst)氏が、ソウル(韓国)の韓国会計基準委員会(KASB)/韓国会計基準院(Korea Accounting Institute )のセミナーで演説を行った。このスピーチで、同氏はIASBのアジェンダ・コンサルテーションに焦点を当てた。

フーガーホースト氏は、米国財務会計基準審議会(FASB)とのコンバージェンス作業の大部分が完了したと述べた。現在、4つのコンバージェンス・プロジェクト(リース収益認識金融商品及び保険)が残っている。議長は、残りのコンバージェンス・プロジェクトの完了を促進することに役立つであろう米国の国際財務報告基準(IFRS)のアドプションについて、米国証券取引委員会(SEC)が時宜を得た決定を下してくれることを期待している。

会合や公開円卓会議での議論その他を通じて受取ったフィードバックに最も多かったものの1つは、(新たな基準を採用しない)安定期間を望むものであった。フーガーホースト氏は、IASBの将来の作業プログラムは、確定が必要な事項のみを確定することに焦点をあてるとし、それらは(1)概念フレームワークの改訂の完了、(2)開示要求事項の適切性の確保、(3)その他の包括利益の取扱いの決定、及び(4)より小規模なプロジェクトへの取組み(例えば、農業、共通支配下の企業結合、超インフレーション及び料金規制産業)を含むと述べた。

議長は、IASBが作業プログラムに対して新たなリサーチ・フェーズを導入したことをコメントした。このリサーチ・フェーズは、プロジェクトがIASBの作業プログラムとして検討される前に、IASB内部と他の基準設定グループから予備的な見解を収集することを目的とするものである。さらに、フーガーホースト氏は、以下のように述べた。

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我々の一連の作業にリサーチ・フェーズを導入し、IASBが設定した範囲内で他の会計基準設定主体からの見解を入手することは、KASBのような他の組織と我々との関係を正式なものとし、強化したいという我々の願望を表す素晴らしい例となる。

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ハンス・フーガーホースト氏のスピーチ全文 (IASBのWebサイト)

<2012.03.13> IASBが政府からの借入金に関するIFRS第1号の改訂を公表

国際会計基準審議会(IASB)は、「政府からの借入金(IFRS第1号の改訂)」を公表した。この改訂は、IFRS初度適用企業が、IFRSへの移行時において、市場金利より低利の政府からの借入金をどのように会計処理すべきかについて取扱っている。また、この改訂は、国際財務報告基準(IFRS)の遡及適用に対する例外を追加するものでもあり、IAS第20号に本要求事項が導入された2008年において、既にIFRS財務諸表を作成していた企業に対して付与された免除規定と同一の免除規定を初度適用企業に対しても提供するものである。企業は、これらの改訂を2013年1月1日以後開始する事業年度に適用することが要求される。早期適用は認められる。

 

IASBのプレス・リリース (IASBのWebサイト)
IFRS第1号の改訂に関するプロジェクト・ページ (IAS Plus)

<2012.03.07> IASB議長がIASBの将来のアジェンダ及び戦略について議論

2012年3月7日、国際会計基準審議会(IASB)議長のハンス・フーヘルフォルスト(Hans Hoogervorst)氏が、メキシコシティ(メキシコ)のメキシコ財務報告基準審議会 (CINIF)で演説を行った。このスピーチで、同氏はIASBのアジェンダ・コンサルテーション及びIFRS財団評議員会の戦略レビューに焦点を当てた。

フーヘルフォルスト氏は、米国財務会計基準審議会(FASB)とのコンバージェンス作業の大部分が完了したことで、IASBは「比較的白紙の状態にある」とし、それがここ数ヶ月間のIASBのアジェンダに関するフィードバックの要求に至っていると述べた。受領したフィードバックに最も多かったものの1つは、(新たな基準を適用しない)安定期間を望むものであった。フーヘルフォルスト氏は、IASBの将来の作業プログラムは、確定が必要な事項のみを確定することに焦点をあてるとし、それらは(1)概念フレームワークの改訂の完了、(2)開示要求事項の適切性の確保、(3)その他の包括利益の取扱いの決定、及び(4)それほど大がかりではないプロジェクトの作業の検討(例えば、農業、共通支配下の企業結合、超インフレーション及び料金規制産業など)を含むと述べた。

さらに、同氏は、最近完了したIFRS財団評議員会の戦略レビューや同組織のビジョンについても論じた。評議員会の報告書の結論を踏まえ、フーヘルフォルスト氏は以下のように述べた。

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しかし、私が思うに、IASBに対する最も重要な提言は、IASBと基準設定主体、規制当局、及び会計専門家との関係の強化及び正式化の必要性についてであった。

国際財務報告基準(IFRS)の開発は、各国及び各地域の基準設定主体との緊密な協力関係を要する。ひとたび基準が公表されると、その基準は世界中の法域で使用のために承認を受ける。証券規制当局は基準の使用を執行し、監査人は基準への準拠性を証明する。

我々は今まで、このサプライチェーン内の他の参加者との非公式な対話を通じて大きな業績を達成してきた。しかし、今こそ、従来の緩やかな提携から、強化され、より正式化された関係に基づく、よりいっそう統合されたサプライチェーンへと移行する時期である。

統合されたサプライチェーンとは、成果物の品質をよりよく保証できることを意味する。

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ロバート・ブルース氏のコラム (IAS Plus)

<2012.01.27> IASBとFASBが金融商品に関する分類及び測定モデルの相違の縮小を目指すことで合意

本日の国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)の合同会議において、両審議会は、各々の金融商品に関する分類及び測定モデルにおける相違を縮小する方策を見出すために協働することで合意した。

IASBは、この議論をIFRS第9号「金融商品」の限定的な範囲での変更に取り組むプロジェクトの一環として検討する一方で、FASBにおいてこの議論は、金融商品に関する会計基準更新(ASU)案の現在行われている再審議を方向付けるものである。

 

 》デロイトによる分類及び測定セッションの傍聴記録 (IAS Plus)

<2011.12.20> IASBがIFRS第10号「連結財務諸表」の改訂案を公表

国際会計基準審議会(IASB)は、公開草案「移行に関するガイダンス(IFRS第10号の改訂案)」(ED/2011/7)をパブリック・コメントのために公表した。本改訂案は、遡及適用の明確化によるIFRS第10号の移行に関するガイダンスに対処するものである。本公開草案に対するコメント期限は、2012年3月21日である。

 

IASBのプレス・リリース (IASBのWebサイト)
連結プロジェクトのページ (IAS Plus)

<2011.12.16> IASBがIFRS第9号「金融商品」の強制発効日を延期する

国際会計基準審議会(IASB)は、IFRS第9号「金融商品」(2009年)及びIFRS第9号(2010年)双方の強制発効日を、2015年1月1日以後開始する年次期間に延期する内容の改訂を公表した。改訂前において、IFRS第9号の強制発効日は、2013年1月1日以後開始する年次期間からであった。早期適用は引き続き認められる。

比較表示される財務諸表の遡及適用を要求する代わりに、企業は、企業の(IFRS第9号の)適用日に基づいて、IAS第39号からIFRS第9号への移行に関する修正後の開示を提供することが、(過去の期間に対する遡及適用を企業が選択した場合であっても)容認又は要求される。
 

  • 2012 年1 月1 日より前に開始する年次期間からIFRS 第9 号を適用する企業は、過去の期間への遡及適用は必要なく、(適用開始日時点の)修正後の開示の提供も要求されない。
  • 2012年1月1日から2012年12月31日までの間に開始する年次期間からIFRS第9号を適用する企業は、過去の期間への遡及適用か、修正後の開示の提供かの選択が可能である。
  • 2013年1月1日以後開始する年次期間からIFRS第9号を適用する企業は、過去の期間への遡及適用は要求されないが、修正後の開示の提供が要求される。

 

修正後の開示で要求される情報の大部分は、IAS第8号及びIFRS第7号における現行の開示と首尾一貫したものである。しかし、本改訂は、通常、事業モデルの変更を理由として要求されるIFRS第7号(IFRS第9号(2009年)により改訂)における分類変更の開示も、IAS第39号からIFRS第9号の移行時に要求する。IFRS第9号を最初に適用する際に要求される分類変更の開示及びその他の開示により、IAS第39号及びIFRS第9号に準拠した測定区分と、財務諸表中の個々の表示項目又は金融商品の種類との間の調整が可能になることが見込まれている。

IASBは、金融商品プロジェクトの残りのフェーズの予定完了時期が遅れていることを理由として、IFRS第9号の強制発効日を延期している。審議会は、企業が、金融商品プロジェクトのすべてのフェーズを同時に適用できるようにすることを意図している。また、審議会は、現在開発中の保険契約に関する基準の発効日も検討した。さらに、2011年11月の会議において、IASBは、IFRS第9号の可能性のある適用上の問題に対処するため、IFRS第9号を再検討し、IFRS第9号と保険プロジェクトに関する暫定的合意事項との相互関係を検討することを暫定的に決定した。さらに、IASBは、米国財務会計基準審議会(FASB)の金融商品の分類及び測定に関するモデルについても検討する予定である。

 

IFRS第9号延期プロジェクトのサマリー (IAS plus)
IFRS第9号のサマリー (IAS plus)

<2011.12.16> IASBがIAS第32号の相殺に関する要求を改訂

国際会計基準審議会(IASB)は、相殺の要求の適用について明確化するIAS第32号「金融商品:表示」の改訂を公表した。このIASBと米国財務会計基準審議会(FASB)の共同プロジェクトは、金融商品の相殺に関するそれぞれの会計基準の相違に対処することを目的としていた。しかし、FASBは、現在の米国会計基準(US GAAP)のガイダンスを維持することを決定した。それゆえ、両審議会は、財務諸表利用者が、IFRSとUS GAAPの下で、金融商品のエクスポージャーをより容易に比較することが可能となるコンバージェンスされた開示要求の開発に共同で焦点をあてることを決定した。さらに、IASBは、IASB関係者へのアウトリーチによって、適用の多様性が識別されたことから、一部の定めを明確にするために、IAS第32号を改訂することを決定した。

IAS第32号の改訂プロジェクトは、4つの主要な領域に焦点をあてた。
 

  • 「法的に相殺する強制力のある権利を有している」の意味
  • 実現と決済の同時性の適用
  • 担保金額の相殺
  • 相殺の要求を適用する会計単位

 

IFRS第7号「金融商品:開示」の開示要求の改訂は、IAS第32号第42項に従って相殺される、企業が認識したすべての金融商品に関する情報を要求する。本改訂は、強制可能なマスター・ネッティング契約やこれと同様の契約の対象となる、企業が認識した金融商品に関する情報についても(それらがIAS第32号の下では相殺されない場合であっても)要求する。IASBは、これらの開示によって、財務諸表利用者が、企業が認識した金融資産及び金融負債に関連する相殺の権利を含むネッティング契約が、企業の財政状態に及ぼす影響又は潜在的な影響を評価することが可能となると考えている。

IAS第32号の改訂は、2014年1月1日以後開始する年次期間まで発効しない。しかし、新たな相殺に関する開示要求は、それより早い2013年1月1日以後開始する年次期間及び同年次期間中の各中間期間から発効する。本改訂は、すべての比較対象期間に遡及的に適用する必要がある。

 

IASBのプレス・リリース (IASBのWebサイト)
相殺プロジェクトのサマリー (IAS plus)

<2011.12.07> FASBとIASBの両議長がグローバルな会計基準について論ずる

米国証券取引委員会(SEC)と公開会社会計監視委員会(PCAOB)の最近の動向に関する、米国公認会計士協会(AICPA)の全国会議において、米国財務会計基準審議会(FASB)の議長であるレスリー・サイドマン(Leslie Seidman)氏と国際会計基準審議会(IASB)の議長であるハンス・フーヘルフォルスト(Hans Hoogervorst)氏が、グローバルな会計基準及びSECによる国際財務報告基準(IFRS)の将来のエンドースメントの可能性について論じた。

サイドマン氏が最初に講演し、「将来の会計基準の基盤となるIFRSへの強力な支持だけでなく、識別されている移行のリスクを緩和するための建設的な提案を提供すること」を表明する、SECに対する米国財務会計財団(FAF)のコメント・レターのポイントを要約した。コンバージェンスのトピックに関して、サイドマン氏は、「互いにコンバージェンスするモデルは、長い目でみれば最適なモデルではない」とする、豪州で開催された最近のIFRSカンファレンスにおけるフーヘルフォルスト氏のコメントに同調した。

米国がIFRSのアドプションに向けて採用する可能性のあるアプローチをより詳細に、また、FASBの継続的な役割を論ずるにあたって、サイドマン氏は以下のようにコメントした。

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我々は、米国における重要な問題に対処する、機敏で、対応能力が優れた機関を必要としている。他の国が同様の問題を抱えている場合、IASB及びIFRS解釈指針委員会に対して、この問題を取り上げ、当該プロセスに参加するよう説得していただきたい。もし、彼らが対応しない場合、我々が米国の問題に対処し、その後に、IASBは、広範に使用可能な基準を検討することができるであろう。

ここで考慮すべき点がいくつかある。現在、IASBは、グローバルなアジェンダ・コンサルテーションの過程にあり、それは、世界の多くの地域が長い間待ち望んでいたものである。我々は、IASBが、それら地域的な懸念に対処するためのプロジェクトをアジェンダに追加するよう望む。第二に、多くの関係者が、新たな基準に移行することができるような平穏な期間と、IASBが今度数年間概念フレームワークに焦点を当てることを要求している。しかし、私は、まだ米国の会計士として平穏な期間を経験しておらず、我々の迅速な対応が要求される緊急の問題が出現し続けることを予想している。これをセーフティーネットと考えることもできるが、我々の文化における非常に重要な問題である。

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フーヘルフォルスト氏は、同氏のスピーチの中で、IFRSのエンドースメントは世界のほとんどの地域で採用されているが、米国においては、「最初の『エンドースメント・プロセス』の完了についての明確なスケジュールが示されなければならない」ことを言及した。同氏は、また、IASBのデュー・プロセスへの各国基準設定主体の参加を取り上げ、「各国基準設定主体と会計基準に係る地域の機関を参加させるには、より制度的な取決めが必要となる」と述べた。

フーヘルフォルスト氏は、米国の会社がIFRSを採用する「オプション」が認められる可能性についても論じ、一定の会社は以前から、「高品質な基準の単一のセット、およびその目的を適える最も効果的な手段であるIFRS」を要求していたと述べた。フーヘルフォルスト氏は、続けて以下のように述べた。

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これらの会社は、彼らの国際的な財務報告の連結と統合という側面における先駆けであった。私は、米国の限られた会社に、米国での連結財務報告に関してIFRSを使用するオプションを与えることは、IFRSをテストする良い機会を与えるものと考える。

米国市場に2つの会計原則(GAAP)が存在することについての避けられない懸念があることは私も承知している。しかし、これらの企業の主要な競合他社がIFRSを使用している場合、比較可能性は実際には高まるであろう。主要な競合他社が、既にSECのレビューを受けている外国登録企業(foreign private issuer)である場合は、比較可能性をさらに確保することができるものと思う。

グローバルな観点からみると、IFRSを限定的かつ早期に使用するというオプションは、IFRSに対する米国のコミットメントについての明確なメッセージを提供するものとなるであろう。

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レスリー・サイドマン氏のスピーチのテキスト (FASBのWebサイト)

<2011.12.05> SECがIFRSの組込みに関する決定の延期を発表

米国証券取引委員会(SEC)は、最近の米国公認会計士協会(AICPA)全国会議における、SECと公開会社会計監視委員会(PCAOB)の現在の動向に関するSEC主任会計士ジェームス・クローカー(James L. Kroeker)氏のスピーチの講演録を公表した。このスピーチの中で、クローカー氏は、SECスタッフにより公表予定の、米国の発行企業への国際財務報告基準(IFRS)の組込みに関する最終レポートの公表時期について話した。SECは、2011年のできるだけ早い時期に決定を行うことを望んでいたが、最終レポートは「さらに数ヶ月」遅れるであろう。同氏のスピーチの公表されたテキストの抜粋を以下に再掲する。

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我々は、我々の以前の進捗文書において示された高品質の報告と整合した、ワークプランに関する最終の包括的なレポートの完成を依然として確約している。その点において、スタッフは、最終レポートの作成にはさらに数ヶ月を必要としている。同時に、スタッフは、委員会の検討のためのアプローチの開発の過程にある。我々のアジェンダが多数あることを考慮すると、私は、皆様に正確なスケジュールを伝えることはできない。私が申し上げられることは、我々は、非常に慎重にかつ深く検討を重ねており、それは、投資家及び資本市場にとって最大限の便益を生み出すという理念に導かれているということである。

また、特に5月に公表された、可能性のある組込みアプローチを検討したスタッフ・ペーパーに寄せられた意見を検討し考慮すると、私はIFRSの組込みの将来の見通しについて自信を持っているということを申し上げられる。

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<2011.11.25> IASB議長のIFRS財団カンファレンス(メルボルン)での発言

2011年11月24日、国際会計基準審議会(IASB)議長のハンス・フーヘルフォルスト(Hans Hoogervorst)氏が、豪州のメルボルンで開催されたIFRS財団カンファレンスで演説を行った。スピーチの中で、同氏は、アジア・パシフィック地域での国際財務報告基準(IFRS)のアドプション、金融商品プロジェクトの現在の状況、会計基準のグローバルなアドプションの進展を含む広汎なトピックについて論じた。

フーヘルフォルスト氏は、豪州等の2005年からIFRSを採用した国々から始まったアジア・オセアニア地域のIFRSのアドプションや、アジア・オセアニア基準設定主体グループ(AOSSG)の設立について言及した。

金融商品プロジェクトに関して、フーヘルフォルスト氏は、現在の状況を率直に評価し、本プロジェクトは「困難なプロジェクト」であり、IASBと米国財務会計基準審議会(FASB)が、(資産と負債の)相殺に関して「最終的に異なる立場となった」ことを残念に思う一方で、ヘッジ会計減損などの領域の順調な進捗についても言及した。また、同氏は、IASBがIFRS第9号「金融商品」を部分的に再検討するとした最近の決定についても論じ、「IASBは、限定的にIFRS第9号を修正していくことにより、保険及びコンバージェンスの双方の論点を、相当進捗させることができるとする結論に次第に至った」と述べた。

フーヘルフォルスト氏は、最後に、中国、日本、インド、米国の「主要4ヶ国(Big four)」について論じ、各国におけるIFRSのアドプションの課題に関する評価を提供することによりスピーチをしめくくった。フーヘルフォルスト氏は、米国証券取引委員会(SEC)が最近公表したワークプランに関するレポートに対して、以下のように発言した。

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 SECのスタッフは、米国のIFRSのアドプションに関連する問題の十分かつ包括的な評価をもうすぐ完了させる。直近のペーパーは、IFRSを使用して報告を行う企業により基準がどの程度適切に適用されているか、及びIFRSと米国会計基準(US GAAP)との間の残された相違について分析している。

1つ目のペーパーは、分析の対象とされた財務諸表は概ねIFRSに準拠していると結論づけたが、会計方針の開示の欠如や個々の基準書の適用方法を主な理由とした、首尾一貫していない部分があったと結論付けている。実際に、これは規制当局の審査において共通の指摘事項である。

ウォールストリート・ジャーナル紙は、本調査による指摘事項は、SECが以前行ったUS GAAPを使用するフォーチュン500社についての調査結果と同様であると述べた。首尾一貫しない適用の問題は、企業がIFRSを使用していても、US GAAPを使用していても存在する。

2つ目のペーパーは、IFRSとUS GAAPとの間の相違を分析するものであるが、特段驚くべき内容は含まれていない。本ペーパーは、IFRSとUS GAAPを整合させるために両審議会が行った多大なる進捗について認識している。しかし、本ペーパーは、かなりの数の相違が、特に細部において依然として残っていることを示している。これらの相違の多くは非常に重要なものでははない。しかし、コンバージェンスのプロセスを通じてこれらの相違を解消していくには、非常に長い時間がかかる可能性がある。

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フーヘルフォルスト氏は、IFRSとUS GAAPの改善において、IASBとFASBのコンバージェンス・プロセスは極めて有益であったとも述べた。しかし、同氏は、「コンバージェンスが、つねに最も高品質な成果をもたらすわけではない。コンバージェンスは、これまではその目的を果たしてきたが、今は新たに前進すべき時である。」と述べた。

 

ハンス・フーヘルフォルスト氏のスピーチ全文 (IASBのWebサイト)

<2011.11.17> SECが米国財務報告制度へのIFRSの組込みに関する2つのスタッフ・ペーパーを追加公表

米国証券取引委員会(SEC)のスタッフは、米国の発行企業の財務報告制度への国際財務報告基準(IFRS)の組込みを検討するSECの作業計画の一環として、2つのスタッフ・ペーパーを追加公表した。

 

実務におけるIFRSの分析

1つ目のペーパーである「実務におけるIFRSの分析(An analysis of IFRS in Practice)」は、IFRSに準拠して財務諸表を作成する、36業界における183社の直近の年次連結財務諸表の分析に基づく、実務におけるIFRSの適用に関するスタッフの見解を示すものである。企業は、フォーチュン・グローバル500(収益上位500社)から選定され、そのすべてがIFRS準拠の財務諸表を英語で作成していた。当該183社は、22の国に本拠を置き、その大部分(約80%)は欧州連合(EU)に本拠を置くが、中国や豪州に本拠を置く企業もそれぞれ5社以上あった。

本スタッフ・ペーパーは、リサーチについて以下のように要約している。

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スタッフは、企業の財務諸表が、概ねIFRSの要求に準拠しているように見受けられるとした。しかし、この見解は、スタッフの分析から生じた以下の2つのテーマに照らして検討する必要がある。
 

  • 第一に、主題とした領域において、サンプルとした財務諸表の透明性及び明瞭性を向上させる余地があった。例えば、一部の企業は、特定の領域において、その領域に関連する会計方針の開示を提供していなかった。また、多くの企業が、会計方針の開示において、投資者の財務諸表の理解に資する十分に詳細な又は明瞭な開示を提供していなかった(これには、財務諸表で認識した金額に最も重要な影響を及ぼすと企業が判断した領域を含む)。さらに、いくつかのケースでは、開示により(又は開示の欠如により)、企業の会計処理がIFRSに準拠したものであるかどうか疑問を生じさせているケースもあった。
  • 第二に、IFRSの適用における多様性は、国や業種間の財務諸表の比較可能性に課題を提示した。この多様性は、様々な要因から生じうるものである。一部のケースでは、IFRSにおいて認められた明示的な選択肢、又は特定の領域のIFRSのガイダンスの欠如のいずれかを原因として、多様性が基準書それ自体から生じていると思われるものがあった。その他のケースでは、IFRSに準拠していないことから多様性が生じていた。自国のガイダンスおよび従来の実務を今後も使用し続けていくことは、国内での比較可能性を向上させるかもしれないが、グローバル・レベルでの比較可能性は損なう可能性がある。

 

IFRSと米国会計基準(US GAAP)の比較

2つ目のペーパーである「US GAAPとIFRSの比較(A Comparison of U.S. GAAP and IFRS)」は、IFRSがガイダンスを提供していない、又は、IFRSがUS GAAPより少ないガイダンスを提供する分野を一覧化することにより、「米国内の報告制度のためのIFRSの十分な開発と適用」についての評価を提供するものである。スタッフは、US GAAPの会計上の要求を調査し、適宜、同等の又は対応するIFRSの要求と比較した。スタッフは、米国財務会計基準審議会(FASB)と国際会計基準審議会(IASB)の覚書(MoU)プロジェクト、又はFASBとIASBが協働することで合意したその他の領域等、現在進行中の基準設定に関する共同作業の対象となっているUS GAAP及びそれと同等のIFRSは本調査の対象としなかった。

2つ目のスタッフ・ペーパーは、「スタッフが、US GAAPの方がIFRSに比して、より詳細で具体的な要求を含んでいることを全般的に指摘した」こと、及びUS GAAPとIFRSとの間の以下の根本的な相違について記述している。
 

  • IFRSは、様々な業界の取引を会計処理するための広範な原則を含んでおり、具体的なガイダンスや一般的な原則からの例外を限定している。
  • 根本的な相違は、FASBとIASBの概念フレームワークとの間に存在し、これには、(概念フレームワークの)権限の水準の相違、資産及び負債の定義と認識についての相違が含まれる。

 

さらに、スタッフ・ペーパーは、US GAAPとIFRSの要求の広汎な比較を提供しており、注目すべき相違について強調している。本レポートは、「これらの相違が、(個々に又は集合的に)IFRSの品質に及ぼす可能性のある影響についての分析はレポートには含めていない」としている。

 

》SECのスタッフ・ペーパー 『An analysis of IFRS in Practice 』 (SEC Webサイト)
》SECのスタッフ・ペーパー『A Comparison of U.S. GAAP and IFRS 』 (SEC Webサイト)

<2011.11.16> FAFがコンドースメント・アプローチに関するコメント・レターをSECに提出

米国財務会計基準審議会(FASB)の監督機関である米国財務会計財団(FAF)の評議員会は、米国証券取引委員会(SEC)が、2011年5月に公表した、国際財務報告基準(IFRS)の米国会計基準(US GAAP)への可能性のある組込み(いわゆる「コンドースメント・アプローチ」)に関するスタッフ・ペーパーに対するコメント・レターをSECに提出した。

FAFの評議員会は、米国内の様々なステークホルダーから提起された懸念に対処する一方で、「コンドースメント」フレームワークの概念を包含するIFRSの組込みアプローチを提言している。提出されたコメント・レターには、以下のように記述されている。

FAFが提言するアプローチは、単一の一組のグローバルな会計基準の追求が価値ある目標である一方で、予見可能な将来に向けたより実務的なゴールは、共通の国際基準を基礎とする最も発展した資本市場において、非常に類似している(しかし必ずしも同一である必要はない)財務報告基準に到達することであるとする信念を前提としている。

FAFの評議員の、コンドースメント・アプローチを「精緻化」するための多くの提言には以下が含まれる。
 

  • 国際会計基準の設定への米国の積極的な関与及び支持
    これには、FASB(及び他の基準設定主体)がIASBに対し、「議決権を有しないオブザーバーの権利」を有すること、IASBとFASBの定期的会議の開催、FASBが米国内におけるIASBのデュー・プロセス、アウトリーチ活動及びその他の活動に責任を持つことなどが含まれる。
  • 評価規準
    FASBは、IASBの会計基準のUS GAAPへの可能性あるエンドースメントに関する規準を開発し、これには、投資家の優位性、独立性のある会計基準の設定、デュー・プロセス及び便益がコストを超過することといった側面が含まれる。
  • FASBの役割
    FASBは、IASBのテクニカル・アジェンダに関するトピックについて、独自のプロジェクトには取り組まないことに合意するが、自らのテクニカル・アジェンダを設定する権限は維持する。現在のコンバージェンス・プロジェクトの完了後は、FASBは、US GAAPとIFRSとの間の残りの主要な相違を検討し、IFRSの要求のUS GAAPへの可能性ある組込みに関する十分なデュー・プロセスを実施する。

 

本コメント・レターは、IASBの財源や、アプローチのさらなる定期的レビュー等、その他のトピックについても触れている。

 

FAFのSECへのコメント・レター全文 (FAFのWebサイト)

<2011.11.14> 国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)が、収益認識に関する再公開草案を公表

本日、国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)は、国際財務報告基準(IFRS)と米国会計基準(US GAAP)の収益認識基準をコンバージェンスする改訂公開草案「顧客との契約から生じる収益」をパブリック・コメントのために公表した。本公開草案は、(1)単一の収益認識基準の作成による財務報告の改善(2)収益を認識するための原則の明確化(3)様々な取引、業界、及び資本市場に適用可能な首尾一貫した原則の作成を目的とする。

2010年に公表された公開草案のコア原則は、大部分が変更されていない。しかし、両審議会は、多くの分野で、その提案を明確化かつ簡素化している。

 

  • 契約における別個の履行義務の識別のための原則の改訂
  • 履行義務が時間の経過とともに充足される場合、つまり、収益が時間の経過とともに認識される場合を決定するための規準の追加
  • 取引価格の測定の簡素化
  • 製品保証に関する会計処理を、既存の要求とより整合させる
  • 不利テストの範囲の限定
  • •本提案の遡及適用に対する実務上の簡便法の追加
  • •中間財務報告で要求される開示の特定

 

再公開草案に対するコメント期限は、2012年3月13日である。

 

IASBプレス・リリース (IASBのWebサイト)
再公開草案「ED/2010/6「顧客との契約から生じる収益」の改訂」 (IASBのWebサイト)

<2011.11.09> 国際会計基準審議会(IASB)が、G20提言の実施状況を公表する

国際会計基準審議会(IASB)は、2011年11月3日から4日にかけて、フランスのカンヌで開催された20カ国・地域(G20)首脳会議の提言に対する最新の実施状況について公表した。この対応に関する文書の中で、IASBは、次の分野における進展について詳述している。
 

  • オフバランスシート・ファイナンスに関するレビューを完了
  • 公正価値測定の要求の改良を完了
  • 金融商品会計の改良の第1段階を完了
  • 米国財務会計基準審議会(FASB)との覚書(MoU)に記載されたプロジェクトの大部分を完了
  • アウトリーチ活動及びステークホルダーとのエンゲージメント活動の大幅な強化

 

G20提言の最新の実施状況 (IASBのWebサイト)
カンヌG20首脳会議に関する以前の記事 (IAS plus)

<2011.10.27> IASB議長が、IFRSカンファレンスラテンアメリカ・カリブ海諸国で演説する

2011年10月27日、国際会計基準審議会(IASB)議長のハンス・フーヘルフォルスト(Hans Hoogervorst)氏が、ブラジルのサンパウロで開催されたIFRSカンファレンス:ラテンアメリカ・カリブ海諸国で演説した。このスピーチの中で、同氏は、グローバルな会計基準の展望、ラテンアメリカにおける国際財務報告基準(IFRS)のアドプション、及びIASBのアジェンダと優先課題について議論した。

グローバルな会計基準の展望に関して、フーヘルフォルスト議長は、グローバルな会計基準は、グローバルな金融市場における投資家を保護するために必要であると述べた。同氏は、IFRSが現在多くの国々で使用することが要求又は容認されているが、米国、日本、インド及び中国といった、幾つかの重要な国や法域で、未だにIFRSが採用されていないと述べた。しかしこの問題は、これらの国や法域がIFRSに「移行するか否か」ということではなく、「いつの時点で」そして「どのように」IFRSに移行するかという問題であるとしている。

次に、フーヘルフォルスト氏は、ラテンアメリカのIFRSのアドプションに関して、IFRSを完全にアドプションすることが適切であるとし、ブラジルは「アドプションする際の模範的な例」であるとした。IFRSを完全に受け入れることにより、「ブラジルの企業は、アジア、欧州、及び米国を含むアメリカ市場において資本調達が可能となる。十分に認識されていない財務報告の要求に伴うリスク・プレミアムは除去され、その結果、資本コストが削減され、より多くの国内投資を呼び込むことができる」と述べた。

最後に、フーヘルフォルスト氏は、将来のアジェンダ及び来年の4つの緊急優先課題について議論した。まず一つ目として、米国財務会計基準審議会(FASB)との、残りのコンバージェンス・プロジェクトを完了させる必要がある。同氏は、数ヶ月後に、リース及び収益認識の再公開草案が公表予定であり、共に2012年中に完了する予定であると述べている。さらに、(IASBとFASBの)両審議会は、金融商品及び保険契約について、共同のアプローチで取り組んでいると述べた。二つ目に、IASBのコンバージェンス後のアジェンダの開発、とりわけ、IASBへのフィードバックを求めることを目的とするアジェンダ・コンサルテーション・プロセスについて言及した。IASBの3つ目の優先課題として、未だIFRSを適用していない国や法域に対してIFRSを採用するように働きかける。最後に、IASBは、これからもIASBの取組みにより影響を受ける者と協働するつもりであり、「IASBがグローバルな投資家のために開発している基準(すなわちIFRS)に対して、当事者としての意識と敬意を表すことができるようにするつもりである」と述べている。

<2011.10.25> FASB議長のレスリー・サイドマン氏が、NASBAで演説する

2011年10月24日、米国財務会計基準審議会(FASB)議長のレスリー・サイドマン(Leslie Seidman)氏が、全米州政府会計評議会協会(NASBA)のスピーチで、次の3つのテーマに関する個人的見解を示した。そのテーマとは、1)国際会計基準審議会(IASB)とFASBのコンバージェンスの状況、2)国際財務報告基準(IFRS)の導入と「コンドースメント」、及び3)非公開企業のための基準設定に関する現在のスタンスについてである。

コンバージェンス・プロジェクトに関して、サイドマン議長は、企業結合、株式報酬、非貨幣性の交換、公正価値測定及び包括利益に関するコンバージェンスされた基準書における、FASBとIASBの進展についてコメントした。同氏は、残りの優先課題(収益認識、リース及び金融商品)が、覚書(MoU)の下で解決されると述べた。同氏は、収益認識とリースの公開草案が、それぞれ品質管理目的のために「再公開」されることに言及し、結果的に計画が先延ばしになると述べている。金融商品について、「減損は、金融危機への対応として、我々が取り組まなければならない最も重要な論点である。我々は、可能性が高い発生損失(incurred loss)ではなく、予想損失(expected loss)に基づくアプローチを開発しており、これによりタイムリーな損失認識に対する障壁が軽減される」と述べている。

さらに、サイドマン議長は、米国にIFRSを導入する問題について言及している。 「FASBは、高品質で、比較可能なグローバルな会計基準を開発するという目標を支持してきた」と同氏は述べている。同氏は、基準設定主体が比較可能なグローバルな基準の開発に取り組む際に、認識すべき3つの重要な事項について次のように概説した。1)米国は、一組の高品質な会計基準を有している、2)米国の投資家、財務諸表作成者、監査人、財務諸表利用者及びその他の利害関係者は、基準設定プロセスにおいて、力強く、明確で効果的な発言権を得たいと考えている、3)国際的な会計基準への移行は、米国会計基準を維持又は改良するものでなくてはならない。

さらにサイドマン氏は、「コンドースメント」に関する米国証券取引委員会(SEC)のスタッフ・ペーパーについてもコメントし、次の4つの肯定的な側面について言及した。同氏は、「コンドースメント」について、1)グローバルな会計基準の開発に関する米国の支持、2)「米国会計基準(U.S. GAAP)」の名称を維持する現実的なアプローチ、3)新たな基準を作成する際の米国による一定レベルの関与、及び4)U.S. GAAPとIFRSとの間で残る差異に取り組むための段階的なアプローチ、のそれぞれを示すものであるとしている。

最後に、サイドマン氏は、非公開企業の基準設定の問題に対する進展についてコメントした。同氏は、非公開企業のために、U.S. GAAPに対する特定の例外と修正を識別、提案、審議及び公式に投票する役割を果たす新たな「非公開企業審議会(Private Company Council)」を創設するという、提案された非公開企業に関する計画が、非公開企業の問題を取り扱うFASBの取組みを補完するものになると考えている。財務会計財団(FAF)の監督下で、非公開企業のための別個の基準設定審議会を創設することは、非公開企業のための基準設定に関する有識者の会議(ブルー・リボン・パネル)が今年初めに行った提案の1つであった。

 

レスリー・サイドマン氏のスピーチ全文 (FASBのWebサイト)

<2011.10.20> 国際会計基準審議会(IASB)、IFRS第1号の改訂を提案

国際会計基準審議会(IASB)は、公開草案「政府借入金-IFRS第1号の提案された改訂」を、パブリック・コメント募集のために公表した。提案された改訂は、初度適用企業が国際財務報告基準(IFRS)に移行する際に、市場金利よりも低利の政府からの借入金をどのように会計処理するかについて取り扱っている。

2008年に行われたIAS第20号「政府補助金の会計処理及び政府援助の開示」の改訂により、企業は、市場金利よりも低利の政府からの借入金を、当初認識時に公正価値で測定することが要求される。IFRS第1号「国際財務報告基準の初度適用」の提案された改訂では、初度適用企業は、IFRS移行日以降に行った借入について、IAS第20号の当該要求を将来に向かって適用するように要求している。しかし、企業が政府からの借入に関する要求適用のために必要な情報を、当該借入を当初会計処理した時点の過去の取引の結果として入手した場合には、当該借入についてIAS第20号の要求を遡及的に適用することも選択できる。

提案された改訂は、IAS第20号の改訂の適用に関連する既存のIFRS財務諸表作成者への要求を反映している。公開草案のコメント期限は、2012年1月5日である。

 

<2011.10.19> IASB、露天掘りの表土除去コストに係る新しい解釈指針を公表

国際会計基準審議会(IASB)は、IFRIC解釈指針第20号「露天掘りの生産段階における剥土コスト」を公表した。本解釈指針は、生産段階における剥土コストが資産として認識される時点および当該資産の当初認識ならびに事後測定の方法を含む、露天掘りにおける表土除去に関連する剥土コストの会計処理要求を明確にしている。

IFRIC第20号の主な要求は以下の通りである。
 

  • 鉱床への改善されたアクセスを提供する剥土活動コストは、特定の規準を満たす場合に、非流動資産の「剥土活動資産」として認識される。これは、企業が剥土コストを即時に費用化できないこと、また鉱山の耐用年数にわたって生じる予想コストの合計額に基づく標準原価アプローチ(「剥土率」アプローチとも称される)を採用できないことを意味している。
  • 通常の、継続中の事業における剥土活動は、IAS第2号「棚卸資産」に従って会計処理される。
  • 剥土活動資産および生産された棚卸資産に係るコストが区分して識別可能でない場合は、生産段階における剥土コストは、関連する生産指標に基づく配賦の基礎を用いることによって、生産された棚卸資産と剥土活動資産とに配分される。
  • 剥土活動資産は、既存資産に対する追加または増加として会計処理され、それらがその一部を構成することになる既存資産の性質に従って、有形固定資産または無形資産として分類される。
  • 剥土活動資産は、当初は取得原価で測定され、その後減価償却累計額(または償却累計額)および減損損失を控除した額で計上される。
  • 剥土活動資産は、剥土活動の結果としてよりアクセス可能となる識別された鉱体コンポーネントの予想耐用年数にわたって、規則的な方法で減価償却または償却される。より適切な他の指標がない限り、生産指標の単位が用いられる。

 

企業は、資産がどのように償却されるかを決定するため、資産化されたコストがどの鉱体または鉱体コンポーネントに関連するかの識別を慎重に検討する必要がある。

IFRIC第20号は、2013年1月1日以後開始する事業年度から適用され、早期適用が認められる

 

<2011.10.05> IASB議長が、AICPAIFRS財団カンファレンスで演説する

米国公認会計士協会(AICPA)とIFRS財団のカンファレンスにおける最近の演説で、国際会計基準審議会(IASB)議長のハンス・フーヘルフォルスト氏(Hans Hoogervorst)が、一組のグローバルな会計基準の重要性、及び米国証券取引委員会(SEC)が米国における国際財務報告基準(IFRS)の使用を近い将来決定することについて議論した。

フーヘルフォルスト氏は、IFRSの組込みに関する考え得るSECの決定に焦点を当てた。未だ正式にIFRSにコミットしていない米国やその他の国への懸念についても、以下のように述べた。

IFRSと米国会計基準(US GAAP)を改善し平仄を合わせるための10年間に及ぶ共同作業は、両基準が改善され互いにより近づいていることを意味している。それぞれの基準は、主要な資本市場で使用されている。それぞれの基準は、相対的な長所と短所を持ち合わせている。これらの違いについて否定しないが、ある一組の基準が他の基準より明らかに優れているという議論には納得できない。

より説得力のあるIFRSへの批判として、基準の一貫性のない適用が、国際的な比較をより困難なものにしているということがある。しかし、単一の言語がなければ、財務報告における国際的な一貫性は決して現実のものとならないだろう。米国にとって大きな安心材料とすべきは、米国がIFRSを採用する場合、SECは依然としてその実施を完全にコントロールできるということである。

比較的長い移行期間が設けられることは、とりわけより小規模な上場企業にとって合理的といえる。IFRSの早期適用を認める選択肢も、すでにIFRSの実質的な純便益を見出している企業にとっては道理に適ったものといえる。

 

AICPAとIFRS財団の会議でのスピーチに関するロバート・ブルース氏のコラム (IAS plus)

<2011.08.25> 国際会計基準審議会(IASB)が、公開草案 「投資会社」を公表

国際会計基準審議会(IASB)は、公開草案「投資会社」(ED/2011/4)を公表し、IFRS第10号「連結財務諸表」の連結に関する会計処理の要求の適用除外となる種類の企業として、投資会社を定義することを提案した。

本提案は、IFRS第10号の公表に関する協議プロセスから生じたものであり、多くのコメント提出者が、国際財務報告基準(IFRS)が投資会社が支配する企業の連結を引き続き要求する場合の、投資会社の財務諸表の有用性について疑問を呈した。

要約すれば、本公開草案は、以下のことを提案している。
 

  • 「投資会社」として適格である企業に関する規準 (下記参照)
  • 投資会社は、被支配企業に対する投資を、IFRS第9号「金融商品」に従って、損益を通じて公正価値で測定する(投資会社自身の投資活動のみに関連するサービスを提供する被投資会社、および投資に関するデフォルトの結果として担保を支配する投資会社には除外規定が適用される)。
  • 投資活動の性質および財務上の影響を、財務諸表利用者が評価することを可能とするための追加的な開示
  • 投資会社の親会社には、親会社自身が投資会社として適格である場合を除き、子会社により適用された公正価値会計を維持することを認めない。すなわち、親会社は、グループ内のすべての会社を連結する。
  • IAS第28号 「関連会社およびジョイント・ベンチャーに対する投資」の、関連会社およびジョイント・ベンチャーに対する投資についてIFRS第9号に準拠して損益を通じて公正価値で測定することの要求の改訂(「ベンチャー・キャピタル企業、ミューチュアル・ファンド、ユニット・トラストまたは類似の企業」の概念を、「投資会社」に置き換える)
  • 投資会社のガイダンスを早期適用する企業は、IFRS第10号IFRS第11号「ジョイント・アレンジメント」、 IFRS第12号 「他の企業に対する持分の開示」およびIAS第28号(2011年改訂)のすべての点も適用することが要求される。

 

提案された「投資会社」の規準

本公開草案(ED/2011/4)のもとでは、投資会社とは、以下のすべての規準を満たす企業である。
 

  • 投資活動の性質:企業の唯一の実質的な活動が、資本増価、(配当や利息などの)投資利益、またはその両方に関する複数の投資を行うことである。
  • 事業目的:企業が、投資する者に対して、企業の目的が資本増価、(配当や利息などの)投資収益またはその両方を稼得するための投資であるということを明確に約束している。
  • 単位所有持分(Unit ownership):企業に対する所有持分は、株式またはパートナーシップ持分などの投資単位に表象され、純資産に対する比例的な持分が配分される。
  • 資金のプール.:企業に投資する者の資金が、専門的な投資管理から便益を得られるようにプールされている。企業に投資する者は、(親会社がある場合には)親会社とは関連なく、総計で当該企業に対する重要な所有持分を有している。
  • 公正価値測定:企業の実質的にすべての投資が、公正価値を基礎として管理され、かつ業績評価されている。
  • 開示:企業は、投資活動についての財務情報を投資する者に提供する。企業は、法的な企業形態をとりうるが、必ずしも法的な企業形態を伴う必要はない。

 

IASBは、現行の米国会計基準(US GAAP)の改善およびこれらの種類の企業に関する会計処理のコンバージェンスを達成する目的のもと、米国財務会計基準審議会(FASB)と共同で本プロジェクトについて取り組んでいる。FASBは、まもなく 同等の提案を公表する予定である。

本公開草案に関するコメントは、2012年1月5日が提出期限である。

 

<2011.07.28> ウエイン・アプトン氏、IFRS解釈指針委員会の議長に就任

国際会計基準審議会(IASB)の監督機関であるIFRS財団の評議員会は、ウエイン・アプトン(Wayne Upton)氏が、ロバート・ガーネット(Robert Garnett)氏からIFRS解釈指針委員会の議長を引き継ぐことを発表した。

この任命は直ちに発効し、アプトン氏は2011年9月の会議で最初に議長を務めることになる。

ウエイン・アプトン氏は、IASBの国際活動担当ディレクターである。国際財務報告基準(IFRS)の国際的な導入と解釈は、しばしばコインの裏表に例えられることがあり、評議員会は、ウエイン・アプトン氏の任命が、世界中で一貫性のあるIFRSの適用という目的に役立つことになると考えている。

 

IASBのプレス・リリース (IASBのWebサイト)

<2011.07.21> IASBとFASBが、リース会計の提案の再公開を公表

国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)は、共通のリース基準書に関する改訂された提案を再公開する意向を発表した。

この決定を発表したプレス・リリースにおいて、IASBとFASBは、両審議会がすべての審議を完了したわけではないものの、今日までの決定は、公開草案で公表されたそれとは大きく異なるものであり、改訂された提案の再公開は当然であると述べた。本再公開は、2010年8月の当初の提案(公開草案)の公表以降に両審議会が行ってきた改訂について、利害関係者がコメントする機会を提供するように設計されている。

2011年6月30日付けの更新作業計画表で、IASBは、リース・プロジェクトの次のステップが、IFRS最終基準書のレビュー・ドラフト又は提案の再公開であることを示していた。両審議会が、収益認識の提案を再公開することを既に決定したことを踏まえると、リースの提案の再公開は全く予想外というものではない。

両審議会は、コメント期間の検討を含め、審議を2011年の第3四半期中に完了し、その後まもなく改訂された公開草案を公表する予定である。

 

IASBのプレス・リリース (IASBのWebサイト)
リース・プロジェクトの経緯 (IAS plus)

<2011.06.30> SEC、IFRS採用を支持するも、一部の発行企業にIFRS「オプト・アウト(非適用の選択肢)」を認める可能性

米国証券取引委員会 (SEC)のコミッショナーであるキャサリン・ケイシー氏(Kathleen L. Casey)が、最近のスピーチで、米国における国際財務報告基準(IFRS)の採用を支持した。

2011年6月29日に開催された、米国コロラドにおけるSociety of Corporate Secretaries and Governance Professionals第65回年次会議の基調演説で、ケイシー氏はIFRSを採用するベネフィットについて強調した。この演説で扱われたトピックとして、拡大するグローバルな資本市場における単一の高品質でグローバルな会計基準のベネフィットや、より多くの米国企業がIFRSに準拠して財務報告を行う企業に投資することのインパクト、IFRSの開発への米国の影響力、および利害関係者から提起されたコストや他の懸案事項などがあった。

 さらにケイシー氏は、おそらく永続的な、発行企業による(IFRSからの)オプト・アウト(非適用の選択肢)の可能性についても議論した。抜粋は以下の通り。

 

「私は、米国が、米国発行企業によるIFRSに基づく財務報告を提供しなければならないことは認識している一方で、一定の発行企業に対して、引続き米国会計基準(U.S. GAAP)で報告する選択肢を与えることができ、またそうすべきであると信じている。

 2008年11月に『ロードマップ』を最初に公表して以来、小規模な報告企業および国際的な事業やそのような意思を持たない他の企業から表明された懸案のひとつとして、IFRSへの移行は大きな負担であり、同等のベネフィットが得られることなくコスト負荷になるというものである。これらの懸案は理解可能なものであり、個人的な見解として、これらの発行企業に対して、(永続的でなければ)少なくとも当初、IFRSを適用しないことを認めることは道理にかなっている。選択肢を提供することで、IFRSのベネフィットが維持され、IFRSの開発および保護に係る米国の継続的な影響力が確保され、また小規模の米国発行企業に対する不必要なコストが回避される。

 一部のコメンテーターの中は、「2つのGAAP」に繋がるとして、選択肢を与えることに反対している。それに対する私の回答は、我々は既に「2つのGAAP」の世界にいるということである。SECは既に、外国の発行企業に対しIFRS準拠の財務報告を認めている。さらに、我々の資本市場のグローバルな性質を考慮すると、投資家、公認会計士、および他の市場参加者は、U.S. GAAPとIFRSの両方を既に知っている必要がある」。

 

スピーチの全文 (SECのwebサイト)

<2011.06.22> 国際会計基準審議会(IASB)が、年次改善プロジェクトで改訂の提案を公表

国際会計基準審議会(IASB)は、年次改善プロジェクトにおける、5つの国際財務報告基準(IFRS)に対する提案された改訂の公開草案(ED)を、IASBのウエブサイトに公表した。

IASBは、他の主要なプロジェクトの一部に含まれない、IFRSに対する、必要ではあるが緊急性を要しない改訂を行うために、年次改善プロジェクトを使用している。EDは、すべての改訂が2013年1月1日以後開始する事業年度より発効することを提案しているが、企業はこれらを早期適用することも認められる。

 

IFRS
改訂内容

IFRS第1号

「国際財務報告基準の初度適用」

  • IFRS第1号の再適用
  • 資産化の開始日がIFRS移行日より前である適格資産に関連する借入費用

IAS第1号

「財務諸表の表示」

  • 比較情報に関する要求の明確化
  • 更新された概念フレームワークとの一貫性

IAS第16号

「有形固定資産」

保守器具の分類

IAS第32号

「金融商品・表示」

資本性金融商品の保有者に対する分配及び資本取引の取引費用に係る法人所得税上の取扱い

IAS第34号

「中間財務報告」

中間財務報告及び総資産に関するセグメント情報

 

EDは、IASB Webサイトの「提案に対するコメント」のページから閲覧可能である。IASBは、2011年10月21日まで、EDに関するコメントを募集している。

 

IASBのプレス・リリース (IASBのWebサイト)

<2011.06.16> IASBが包括利益の表示及び従業員給付に関する2つの新しい基準書を公表

国際会計基準審議会(IASB)は、作業計画達成における主要な施策である2つの基準書を改訂し、包括利益の表示及び従業員給付の会計に関する新たな要求を導入した。

本改訂は当初、より広範なプロジェクトの下で、より詳細な目的を有していた。その他の包括利益(OCI)の表示の変更は、主要な財務諸表の表示方法の大幅な見直しを約束した業績報告に関するより広範なプロジェクトからスピン・アウトしたものである。OCIの公開草案(ED)は、当初その中で、OCIを単一の財務諸表で表示することを強制する提案を行っていたが、関係者のコメントにより、当該変更は最終改訂に含めるにはあまりにも議論が分かれることが明らかになった。代わりに、IAS第1号「財務諸表の表示」の改訂では、企業の選択による「1計算書もしくは2計算書」アプローチを維持し、OCIの表示方法のみを改訂する。すなわち、リサイクルされる可能性がある要素(例えば、キャッシュ・フロー・ヘッジ、外貨換算)と、リサイクルされない要素(例えば、IFRS第9号に基づくOCIを通じた公正価値測定項目)について、それぞれの小計を要求する。さらに、米国財務会計基準審議会(FASB)は、会計基準更新(ASU) 2011-05 (PDFファイル・361KB)を発行し、対応するガイダンスを公表した。両審議会の新たなガイダンスは、本質的にOCIの表示に関する要求をコンバージェンスするものであるが、(1)包括利益にどの項目が含まれるか、及び(2)再分類の要求について、米国会計基準(U.S. GAAP)と国際財務報告基準(IFRS)の間には依然として差異が残っている。

従業員給付の改訂は、より実質的なものと言えるが、より初期の段階におけるコンバージェンス・プログラムに全体のプロジェクトが含まれていた際にIASBがその達成を望んでいたもののうち、実用的な一つであると考えられる。従業員給付に関する会計、とりわけ年金及びその他の退職後給付は、これまで長いこと複雑かつ難解な領域であり、年金会計を全面的に見直す当初の計画は、他の競合する優先プロジェクトを考慮した時に延期せざるを得ず、結果的に、IASBが単独で、IAS第19号「従業員給付」の現行要求における特定の領域の改善を行うことになった。改訂前のIAS第19号は、利得及び損失を繰り延べる結果となるいわゆる「回廊」アプローチを含め、年金及び類似の項目に関する数理計算上の差異の会計処理方法の選択肢を認めていた。公開草案(ED)は、「回廊」アプローチの使用を削除し、代わりに、すべての再測定の影響をOCIで認識(残りは損益認識)することを強制する提案を行った。実際には、すべての長期従業員給付(例えば、特定の長期勤続休暇のスキーム)に対し、これらの要求を拡大することを提案した。最終改訂では、年金(及び類似の項目)に関してのみOCI表示の変更を行うが、その他のすべての長期従業員給付についても、認識された金額の変動は全額損益に反映されるものの、同様の方法で測定することが要求される。

さらにIAS第19号で変更されたのは、解雇給付に対する取扱いであり、とりわけ企業が解雇給付に関する負債を認識するタイミングである。最終改訂は、(個々の従業員に通知することを要求する)U.S. GAAPと同等の要求を逐語的に採用することはせず、場合によっては、認識のタイムフレームは延長される可能性がある。

最後に、その他の様々なIAS第19号の改訂は、特定の領域に影響を及ぼす可能性がある。例えば、年次報告期間の末日後12ヶ月以内に完全に清算されない従業員給付は、「短期給付」ではなく「その他の長期給付」とみなされ、財政状態計算書上では流動項目として表示されるが、改訂に従い異なる方法で測定されることになる。

 

 

改訂の概要

IAS第1号 「財務諸表の表示」の改訂

 

  •  損益及びOCIをともに表示することを要求する2007年のIAS第1号の改訂を維持する。すなわち、公開草案で提案されたように単一のつながった計算書を要求するのではなく、単一の「損益及びその他の包括利益計算書」、又は分離した「損益計算書」と「その他の包括利益計算書」のどちらかで表示する。
  •  OCIで表示される項目を、事後的に損益に再分類され得るものであるかどうかに基づいて区分することを企業に要求する(すなわち、再分類される可能性があるものと、再分類されないもの)。
  •  税引前で表示される項目に関連する法人所得税は、OCI項目の2つの区分についてそれぞれ別個に表示されなければならない(ただし、OCI項目を、税引前又は税引後で表示する選択肢は変更しない)。

 

IAS第19号 「従業員給付」 の改訂

 

  •  確定給付費用の即時認識、確定給付費用の構成要素への分解、再測定のOCIにおける認識、制度変更、縮小及び清算を含む、確定給付負債(資産)の純額の変動の認識の要求
  •  確定給付制度に関する拡充された開示の導入
  •  勤務と引換えに提供された給付と、雇用の終了と引換えに提供された給付の区別、及び解雇給付の認識及び測定の影響を含む、解雇給付の会計処理の修正
  •  従業員給付の分類、死亡率、税金及び管理費用、リスク・シェアリング及び条件付の指数の特徴の現在の見積りを含むその他の論点を含むその他の論点の明確化
  •  IFRS解釈指針委員会に対して提出されたその他の論点の取込み
  •  2013年1月1日以後開始する事業年度について修正された遡及ベースで適用可能(早期適用が認められる) 

 

IAS 第1号の改訂に関するIASBプレス・リリース (IASB Webサイト)
IAS第19号の改訂に関するIASBプレス・リリース (IASBWebサイト)
IAS Plus「財務諸表の表示」のプロジェクト・サマリー
IAS Plus「従業員給付」のプロジェクト・サマリー
IAS Plus「解雇給付」のプロジェクト・サマリー

<2011.06.15> IASBとFASB、収益認識の公開草案を再公開する予定

国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)は、収益認識の公開草案を再公開することを決定した。両審議会は、意見募集手続の規準によれば、(公開草案の)再公開は必要ないことで合意したものの、(a)数多くの変更がなされていること、及び(b)収益は、包括利益計算書におけるトップライン項目であり、その他すべてのものが収益から展開されることから、再公開を支持した。また、両審議会は、スタッフ・ペーパーの公表では、同様の関心を集められないことを懸念した。本文書は、テクニカルな変更点に関するいくつかの質問(主に、アジェンダ・ペーパー4Cの第17項からの質問)が含まれるのみの予定である。

この他にも、本文書は、審議会の決定に関する明瞭性と一貫性についての質問を提起する予定である。本文書のコメント期間は120日である。これまでのところ、反対意見は示されていない。

 

IASBのプレスリリース (IASBのWebサイト)

<2011.06.06> IFRS解釈指針委員会に新たなメンバーが任命される

国際会計基準審議会(IASB)の監督機関である、IFRS財団の評議員会は、IFRS解釈指針委員会のメンバーの任命及び再任を発表した。

委員会の新たなメンバーは、以下のとおりである。

 

  • シャーロット・ピサリドー(Charlotte Pissaridou)氏 : ゴールドマン・サックス・インターナショナル(英国)、マネージング・ディレクター、欧州・中東・アフリカ会計方針責任者 (任期は3年で、ジーン・ルイス・レブラン(Jean-Louis Lebrun)氏の後任)
  • 湯浅 一生氏 : 富士通株式会社 財務経理本部IFRS推進室室長(任期は1年で、2011年7月1日からIASBの理事に任命されている鶯地隆継氏の後任)

 

また、委員会の5名のメンバーは、2011年6月末で任期が終了し、さらに3年の任期で再任された。この5名は、ジョアンナ・ペリー(Joanna Perry)氏、ルカ・センシオーニ(Luca Cencioni)氏、ジーン・パレ(Jean Paré)氏、マーガレット・スミス(Margaret Smyth)氏、スコット・ターブ(Scott Taub)氏である。

 

IFRS財団の発表 (IASBのWebサイト)

<2011.05.27> SECスタッフ・ペーパーが、米国のIFRS採用に「コンドースメント」アプローチを検討

米国証券取引委員会(SEC)のスタッフにより公表されたペーパーは、米国における国際財務報告基準(IFRS)の採用(アドプション)について、一つの可能性あるアプローチを概観している。

スタッフ・ペーパーは、2010年12月にワシントンD.Cで開催された米国公認会計士協会(AICPA)の全米会議で、ポール・ベスウィック氏(SECの次席アカウンタント)により提案された、いわゆる「コンドースメント(condorsement)」アプローチについて検討している(IAS Plusの過去の記事を参照)。

スタッフ・ペーパーは、「コンバージェンス(convergence)」と「エンドースメント(endorsement)」との相違に言及しながら、様々な国や地域で使用されるIFRS採用へのアプローチについて議論している。本ペーパーでは、「コンドースメント」アプローチは、実質上、他の国や地域におけるIFRS導入アプローチと共通の特徴を持つエンドースメント・アプローチであると結論付けている。しかし、移行期間の間に、米国のUS基準設定主体(FASB)を保持しながら、IFRSと米国会計基準(U.S. GAAP)との既存の差異に対処するために、コンバージェンス・アプローチの側面が使用される。このコンバージェンス・アプローチは、一定の定められた期間(例えば、5年から7年)にわたってIFRSを U.S. GAAPに取り込むことにより、移行プロセスを容易にするものである。

スタッフ・ペーパーからの抜粋は、以下の通りである。

 

概観

(移行)期間の終わりにおける目標は、U.S. GAAPに準拠する米国の発行企業体が、国際会計基準審議会(IASB)により公表されるIFRSにも準拠していると表明できる状況になるべきということである。フレームワークを通じてIFRSを導入する目的は、単一の高品質でグローバルに認められた会計基準を有するという目標を達成することであり、一方で、米国の発行企業体の財務報告システムにIFRSを導入するために必要とされるコストと工数を共に最小化し得る実務的な方法でそれを行うことである。それはまた、米国における会計基準を設定する国内の基準設定主体の権限を保持することにより、米国が他の国や地域と平仄を合わせることになる。

 

米国におけるFASBの役割

新しいIFRSの改訂をU.S. GAAPに取り込むことに加えて、FASBはまた、現在も進行中のU.S. GAAPに取り込まれたIFRSの解釈又は適用に関する経験に基づき、米国利害関係者の利益のために補足的又は解釈的なガイダンスが必要であると判断する場合に、国内の基準設定主体としてその権限を行使する。フレームワークの下で、FASBはまず最初に、権威あるガイダンスにおける潜在的な差異をIASBに報告し、かつ実務上の問題に対処するための解決策をIASBに提案することにより、この状況に対処すべきであるが、最終的には、FASBは、受入れ可能な解決に至っていない、又は米国の資本市場のニーズと合致するタイムフレームで問題が対処されていないと結論付けることができる。

 

したがって、FASBは、以下の1つ又はそれ以上の方法で、その権限を行使することができる。

 

  • IFRSに整合する方法で米国の状況に対処するために、IFRSで特定される開示要求に、さらに(FASBの)開示要求を追加する。
  • 米国実務への更なる合致を達成するために、特定の問題について、IFRSにより認められる2つ又はそれ以上の代替的な会計処理のうち、いずれが米国発行企業体により採用されるべきであるかを規定する。
  • IFRSが特に取り扱っていない問題について、IFRSと両立可能な要求を設定する。とりわけ、FASBは、(IFRSに)準拠するための必要な改訂を行いながら、U.S. GAAPに既に存在するそのような要求を継続して保持していく決定を行うことができる。

 

仮にFASBがこの権限を行使する場合、米国の「特色(flavor)」のあるIFRSとなる可能性がある。しかし、FASBがIFRSを修正することを検討するような米国特有の状況は、SECが、FASBにより公表された基準を改訂又は追加するためにその権限を行使する状況に類似しているべきである。したがって、修正は稀であり、通常は回避できると思われる。

SECは、米国の発行企業体の財務報告システムにIFRSを導入すべきかどうか、また導入するとすればどのような方法でするのかについて、まだ決定をしていない。スタッフ・ペーパーは、SECがIFRSを導入することを決定した、又は「コンドースメント」アプローチがより好ましい、あるいは唯一の可能なアプローチであると提言することを意図したものではないとしている。スタッフ・ペーパーはまた、米国の発行企業体によるIFRSの早期適用に関するオプションの可能な仕組み及び影響について、並びにスタッフ・ペーパーで検討されたアプローチ他において、それがどのように機能するかについて、SECのスタッフが引き続き検討していくと述べている。

SECは、スタッフ・ペーパーに対するコメントを2011年7月31日まで募集している。

 

SECのスタッフ・ペーパー (SEC Webサイト)

<2011.05.12> IASBが、連結、ジョイント・ベンチャー及び開示に関する最終基準を公表

本日、国際会計基準審議会(IASB)は、連結、ジョイント・アレンジメントとの関与、及び他の企業との関与の開示に関する会計処理を取り扱っている、新しい及び改訂された基準(「5つのパッケージ」基準)を公表した。

5つの基準はそれぞれ、発効日を2013年1月1日以後開始する事業年度とし、「5つのパッケージ」のうち他の各基準も早期適用する場合に限って、早期適用が認められる。しかし、企業は、理論的にはIFRS第12号の規定を早期適用することなく(したがって、他の4つの基準も早期適用することなく)、IFRS第12号の開示要求を当該企業の財務諸表に取り入れることが認められる。

 

「5つのパッケージ」基準
IFRS第10号-連結財務諸表 (IAS Plusのサマリー

IFRS第10号は、被投資企業の性質にかかわらず(すなわち、ある企業が投資企業の議決権を通して支配されているのか、あるいは特別目的事業体において一般的に見られるように他の契約上の取決めを通して支配されているのかにかかわらず)、支配に基づく単一の連結モデルをすべての企業に導入することにより、IAS第27号「連結及び個別財務諸表」及びSIC第12号「連結-特別目的事業体」における連結ガイダンスを置き換える。

IFRS第10号では、支配は、投資企業が、(1)被投資企業に対するパワーを有しているかどうか、(2)被投資企業との関与から生じるリターンの変動に晒されている又は権利を有しているかどうか、及び(3)リターンの金額に影響を与えるような被投資企業に対するパワーを行使する能力を有しているかどうかに基づく。

 

IFRS第11号 ジョイント・アレンジメント (IAS Plusのサマリー

IFRS第11号は、ジョイント・アレンジメントに対する新しい会計要求を導入し、IAS第31号「ジョイント・ベンチャーに対する持分」を置き換える。共同支配企業の会計処理に関し、比例連結を適用する選択肢は削除される。さらに、IFRS第11号は、共同支配の資産を削除し、ジョイント・オペレーションとジョイント・ベンチャーを区別するのみとしている。ジョイント・オペレーションとは、共同支配する当事者が、資産に対する権利及び負債に対する義務を有する場合のジョイント・アレンジメントである。ジョイント・ベンチャーとは、共同支配する当事者が、純資産に対する権利を有する場合のジョイント・アレンジメントである。

 

IFRS第12号 他の企業に対する持分の開示 (IAS Plusのサマリー

IFRS第12号は、企業が関与する連結企業及び非連結企業に関する開示の拡充を要求する。IFRS第12号の目的は、財務諸表利用者が、支配の基準、連結された資産と負債にかかる制限、非連結のストラクチャード・エンティティとの関与から生じるリスク・エクスポージャー、及び連結企業の活動に対する非支配持分株主の関与について評価できるように、情報を要求することである。

 

IAS第27号 個別財務諸表 (2011) (IAS Plusのサマリー

個別財務諸表に関する要求は、変更されることなく、改訂されたIAS第27号に含まれる。IAS第27号の他の部分は、IFRS第10号により置き換わる。

 

IAS第28号 関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する投資 (2011) (IAS Plusのサマリー

IAS第28号は、IFRS第10号、IFRS第11号、及びIFRS第12号の発行に基づくそれらに沿った変更が改訂される。

 

これらの基準は、eIFRS有料契約者に利用可能である (IASBのWebサイト)。

 

IASBプレス・リリース (IASBのWebサイト)
》IAS Plusのサマリー

 o IFRS第10号 連結財務諸表

 o IFRS第11号 ジョイント・アレンジメント

 o IFRS第12号 他の企業との関与の開示

 o IAS第27号 個別財務諸表 (2011)

 o IAS第28号 関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する投資 (2011)

新たに公表された基準に関するIAS PlusのPodcasts

<2011.05.12> IASBが、公正価値測定に関する最終基準を公表

国際会計基準審議会(IASB)は、現行のIFRS会計基準書における公正価値測定に関するガイダンスを、単一の基準に置き換える、IFRS第13号「公正価値測定」を公表した。

本基準は、コンバージェンスされた公正価値フレームワークを開発するための、IASBと米国財務会計基準審議会(FASB)の共同の取組みの成果である。FASBもまた、これに対応する改訂を、自身の公正価値ガイダンスである会計基準コーディフィケーション(ASC)820において公表した。IFRS第13号は、公正価値を定義し、公正価値の決定方法に関するガイダンスを提供し、公正価値測定に関する開示を要求している。しかし、IFRS第13号は、どの項目が公正価値で測定又は開示されるべきかに関する要求を変更していない。

IFRS第13号は、2013年1月1日以後開始する事業年度に発効し、早期適用が認められる。

IFRS第13号は、eIFRS有料契約者に利用可能である(IASBのWebサイト)。

 

<2011.05.03> FASB、買戻契約の財務報告を改善するASUを公表する

2011年4月29日に、米国財務会計基準審議会(FASB)は、会計基準更新(ASU) 2011-03「譲渡及びサービス業務(Topic 860)-買戻契約に関する実質的支配の再検討」を公表した。このASU は、金融資産を満期前に買戻し又は償還する権利と義務を譲渡人に付与する買戻契約(レポ取引)及びその他の契約に関する会計処理を改善することを意図している。

グローバルな経済危機の中で、資本市場参加者は、レポ取引が売却又は担保付き借入のいずれで会計処理されるべきかを決定する際に、譲渡人の能力規準を評価する必要性と有用性について疑問を投げかけた。それは、国際会計基準においても検討されていない(IAS第39号「金融商品-認識及び測定」 は、ほとんどのケースにおいて、これら金融商品の認識の中止を禁止している)。FASB は、企業が契約上の権利に従って実行する能力、又は契約上の義務を充足する能力の保証は、企業が実質的支配を有しているか(又は有していないか)どうかを決定する要素とすべきでないと結論付けた。本ASUの改訂により、譲渡人の能力規準は、実質的支配の評価から削除される。さらに、本ASUの改訂により、当該規準に関する適用ガイダンスも削除される。

 

会計基準更新(ASU)2011-03 「譲渡及びサービス業務(Topic 860)-買戻契約に関する実質的支配の再検討」 (FASBのWebサイト)
Heads Up 『FASBが買戻契約における実質的支配のガイダンスを改訂する』 (PDFファイル・95KB)

<2011.04.21> IASBとFASBが、コンバージェンス・プログラムに関する進捗レポートを公表

国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)は、国際財務報告基準(IFRS)と米国会計基準(U.S.GAAP)の改善及びそれらのコンバージェンスに関する進捗レポートを公表した。この進捗レポートでは、両審議会が以下を行ったことを述べている。

 

  • 5つのプロジェクトの完了 - IAS Plusの前回の記事で述べられているように、IASBは、連結、ジョイント・ベンチャー及び開示に関する新しい基準を公表する予定である。
  • 残る3つのMoUプロジェクト及び保険会計の優先 - 両審議会は、金融商品、リース、収益認識及び保険に関するプロジェクトについて、かなりの進捗をみた。
  • コンバージェンス・プロジェクトに関する計画表の延長 - 現在、コンバージェンス・プロジェクトは、2011年の下半期に完了が予定されている。

 

IASBのプレス・リリース (IASBのWebサイト)

<2011.04.14> IASBとFASBの両議長が、コンバージェンスの日程を延長する

国際会計基準審議会(IASB)の議長であるディビッド・トゥイーディー卿と米国財務会計基準審議会(FASB)の議長であるレスリー・サイドマン氏は、最近のポッドキャストにおいて、コンバージェンス・プロジェクトの成果と残りのプロジェクト完了の日程変更について議論している。

IASBとFASBは、収益認識リース金融商品 および保険契約に関するコンバージェンス・プロジェクト完了の日程を延長する予定である。

サイドマン議長は、この遅れの原因は、受け取った膨大な量の建設的なフィードバックによるものであり、すべての問題の作業を完了するためには、さらなる時間を要すと説明している。

以下は、その抜粋である。

 

「我々の結論が、持続可能かどうかをチェックすることができるように、我々は計画表を更に2、3ヶ月延長することを決定した。我々は、G20のターゲットについても承知しており、ここ2、3年、何度もそれを意識させられている。我々は、2011年末までに、このコンバージェンス・プログラムを完了できるようにするつもりである。6月というターゲットは、我々がそこに行くための一助にはなった。しかし同時に、結論をチェックするために、そして最高品質の基準であることを確認するために、我々にもう少しの時間が必要なことは明らかである。」

 

IASBとFASBは、コンバージェンスに関する最新の進捗レポートをまもなく公表する予定であり、IASBとFASBのWebサイトにそれぞれ掲載される予定である。

<2011.03.28> IASBの金融商品会計改善プロジェクトに関する出版物を発行

デロイトのIFRSグローバル・オフィスは、「ピースとピースをつなぎ合わせる-金融商品会計を改善するための国際会計基準審議会(IASB)プロジェクト及び他の関連するプロジェクトに関するアップデート」 (PDFファイル・182KB・英語)を発行した。

この出版物は、金融商品会計を改訂するIASBのプロジェクト及び金融商品会計に重要な影響を及ぼすと思われる他のプロジェクトのより詳細な見解を提供している。

<2011.03.10> IASBの議長が、米国のコミットメントについて言及する

国際会計基準審議会(IASB)の議長であるディビッド・トゥイーディー卿は、米国商工会議所のスピーチで、将来の財務報告に関する展望についてコメントした。

これには、「米国を含む、世界中の上場企業にとっての財務報告の共通基盤としての国際財務報告基準(IFRS)」も含まれる。

彼はまた、米国がIFRSのアドプションに向けて引続き取り組む必要性について言及し、次のように述べている。

 

「我々は皆、米国によるIFRSの受入なくしては、グローバルなシステムは存在しないことを知っています。これは、私が過去10年以上にわたり全力を注いできた目標です。

私が今日主張したいのは、IASBにより公表されるIFRSの導入及び使用のために、米国が今年こそ、明確で、確定した実行可能なタイムテーブルについて確約する、その差し迫った必要性についてです。」

 

ディビッド・トゥイーディー卿のスピーチ全文 (IASBのWebサイト)

<2011.02.25> IASBの理事に、鶯地隆継氏が任命される

IFRS財団の評議員会は、2011年7月1日から当初5年間の任期で、鶯地隆継氏を国際会計基準審議会(IASB)の理事に任命することを発表した。任期は、さらに3年間更新可能である。

鶯地氏は、現在、住友商事株式会社のフィナンシャル・リソーシズグループ長補佐を務めている。彼はまた、IFRS解釈指針委員会(IFRIC)のメンバーや、IFRSの早期適用を目的として設立された日本経団連(日本経済団体連合会)のIFRS導入準備タスクフォースの事務局長、及び企業会計基準委員会(ASBJ)のアドバイザーも務めている。鶯地氏はIASB理事の就任に伴い、これらの職務は退任する。

IASBの議長に指名されているハンス・ホーヘルフォルスト氏や、IASBの副議長に指名されているイアン・マッキントッシュ氏もまた、2011年7月1日に当初の任期を開始する。さらに評議員会は、第2期目の5年間の任期を務めることになるフィリップ・ダンジョウ氏の再任を承認した。

<2011.02.14> ASBJとFASBによる、コンバージェンスに関する会合

日本の企業会計基準委員会(ASBJ)及び米国財務会計基準審議会(FASB)の代表者は、2011年2月7日と8日に、米国コネティカット州ノーウォークで会合をした。

この会合は、会計基準のグローバルなコンバージェンスを共に追及するために両審議会の話合いを進めるべく設定された、ASBJとFASB間の一連の協議の一番最近のものである。

IFRSの使用に関連する決定が、米国では2011年中に、また日本では2012年頃に行われる予定であるが、ASBJとFASBは、それぞれの国際会計基準審議会(IASB)とのコンバージェンス・プロジェクトの最近の進捗状況を互いに更新し、多岐にわたるIASBプロジェクトに関し意見交換を行った。

 

FASBのプレス・リリース (FASBWebサイト)

<2011.02.10> FASB、ヘッジ会計に関するディスカッション・ペーパーを公表

米国財務会計基準審議会(FASB)は、ヘッジ活動に関する財務報告の要求をどのように改善し、簡素化及びコンバージェンスするかに関する意見を募集するために、ディスカッション・ペーパーを公表した。

ヘッジ会計に関する差異が、国際財務報告基準(IFRS)と米国会計基準(U.S. GAAP)の間に存在している。

ED/2010/13 「ヘッジ会計」でIASBによって提案されている改訂は、FASBの現行及び提案されているヘッジ会計のガイダンス(提案された会計基準更新書(ASU)「金融商品の会計処理及びデリバティブ商品とヘッジ活動の会計処理に対する改訂-金融商品(Topic825)並びにデリバティブ及びヘッジ(Topic815)」に概説されている)と比較した場合、より多くの差異を生じさせることになる。

 FASBのディスカッション・ペーパーは、IASBの提案がデリバティブとヘッジ活動に関連することから、当該提案がU.S. GAAPに何らかの変更を加えるためのより良い出発点となるかどうかを利害関係者に問うている。

 

FASBのプレス・リリース (FASBのWebサイト)
『Heads Up』ニュースレター:FASBの当初の提案 (PDFファイル・216KB)
IAS Plus「IASBによるヘッジ会計プロジェクト」の概要

<2011.02.10> IASBのリエゾン・オフィスを東京に開設

国際会計基準審議会(IASB)の監督機関であるIFRS財団は、アジア・オセアニア地域における強化されたリエゾンとして、東京にオフィスを開設する計画を発表した。IASBのテクニカル・スタッフは引続きロンドンに拠点を置くが、東京オフィスの設置により、IFRS財団とアジア・オセアニア地域の利害関係者間で直接コンタクトする機会が拡大されることになる。

IFRS財団評議員会の副議長の一人である藤沼亜紀氏は、多くの国でIFRSに向けて動いている地域において、リエゾン・オフィスを設置する重要性について強調した。

「この重要な発表は、国際基準に対する地域の強いコミットメントと、IASBの意思決定プロセスにおいてアジア・オセアニア地域の利害関係者の意見が十分に考慮される必要性を反映している。IFRSのアドプションは、アジア・オセアニア地域で広範囲に及んでいる。」

 

次期IASB議長であるハンス・ホーヘルフォルスト氏もまた、昨日ブリュッセルでスピーチを行い、IASBのアウトリーチ活動を強化する必要性について強調した。

 「世界中の参加者の意見がIASBに届き、また彼らの意見が十分にIASBによって考慮されることが確保されるよう、現在のアウトリーチの取組みを今後も構築して行く必要がある。日本のリージョナル・オフィスの開設は、その方向に向けた重要なステップである。」

 

IFRS財団のプレス・リリース (PDFファイル・35KB)

<2011.01.31> IASBが、減損に関する公開草案の補足文書を公表

31日、国際会計基準審議会(IASB)と、米国財務会計基準審議会(FASB)は、 2009年11月(に公表された)IASBの公開草案「金融商品:償却原価及び減損」の補足文書となる、金融資産の減損に関する共同提案を、パブリック・コメント募集のために公表した。IASBの当初の公開草案に対する応答者の多くは、提案された減損アプローチに賛成はしていたが、特にオープン・ポートフォリオの局面において、実務上適用することが非常に困難であると考えていた。

 

「金融商品:減損」(本補足文書)は、IAS第39号及び米国会計基準(US GAAP)における発生損失減損モデルを、予想損失減損モデルに置き換えることを提案しており、この提案には正常資産に対する予想損失を「good book(グッドブック)」に、不良資産に対する予想損失を「bad book(バッドブック)」に認識する別個のアプローチが含まれる。

「グッドブック」の予想信用損失は、ポートフォリオにおける資産の加重平均された経過年数及び予測生涯年数に基づく期間比例アプローチにしたがって認識されるが、少なくとも予測可能な将来(報告日より12ヶ月を下回らない期間)に発生すると見込まれる信用損失を含む最低限の貸倒引当金を設定しなければならない。

資産が「グッドブック」から「バッドブック」へ振り替えられる場合、本提案は、予想信用損失を即時に認識することを要求している。

 

本補足文書には、特別に範囲、表示及び開示を取り扱った金融資産の減損に関する別個の提案を含む、「IASB限定 付録Z 表示及び開示」が包まれている。

これらの提案は、今回IASBだけで協議されたものである。FASBは本補足文書における提案に関連する表示及び開示の要求について、別個に協議する可能性がある。

公開草案は、IASBのIAS第39号「金融商品:認識及び測定」を置き換える全体的なプロジェクトの一部を構成し、これらの提案が確定された場合は、IFRS第9号「金融商品」に取り込まれる予定である。

この補足文書のコメント期間は60日間であり、コメント期限は2011年4月1日である。

 

IASBプレス・リリース (PDFファイル・42KB)
IASBスナップショット:公開草案「金融商品:償却原価及び減損」の補足文書 (PDFファイル・79KB)
IASB減損プロジェクトの経緯 (IAS plus)
ロバート・ブルース氏の本プロジェクトに関するコラム

<2011.01.28> IASBが、相殺に関する公開草案を公表

国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)は、財政状態計算書における金融資産と金融負債の相殺に関する共同提案を、パブリック・コメント募集のために公表した。本公開草案「ED/2011/1金融資産と金融負債の相殺」は、企業が金融資産と金融負債を相殺する権利を有しており、企業が純額決済又は同時決済する意図を有する時に、相殺を要求することを提案している。

 

本公開草案における主要な提案の詳細
  • 本提案において、企業は、相殺に関する強制力のある無条件の権利を有しており、資産と負債を純額で決済又は資産と負債を同時に決済する意図がある場合に、かつその場合にのみ、認識した資産と負債を相殺(すなわち、財政状態計算書において単一の純額で表示)することが要求される(相殺規準)。
  • 本提案は、相殺の権利が二者間の契約又は複数者間(すなわち三者以上)の契約から生じるものであろうと、相殺規準が適用されることを明確にしている。また本提案は、相殺の権利は、(相手方の債務不履行や破産を含む)すべての状況において、法的に強制力のあるものであり、権利行使能力は将来の事象を条件としているものであってはならないことも明確にしている。
  • 本提案は、それらの契約が財政状態に及ぼす影響を、財務諸表利用者が理解できるようにするために、企業に相殺及び(担保契約などの)関連する契約についての情報を開示することを要求している。

 

提案された要求により、IAS第32号「金融商品:表示」における相殺に関する要求は廃止される。本提案は現在、IAS第32号に含まれる要求と概ね同等であるが、相殺の権利は現在強制力があるということのみではないことを明確にすることにより、IFRSの相殺規準を修正している。

さらに本提案は、相殺の対象となる資産と負債及び関連する契約について改善された情報を要求することにより、開示を強化している。

 

この公開草案のコメント期間は90日間であり、コメント期限は2011年4月28日である。

 

IASBのプレスリリース (PDFファイル・53KB)
IASBスナップショット:金融資産と金融負債の相殺 (PDFファイル・90KB)
IASBの相殺プロジェクトの経緯 (IAS plus)

<2011.01.26> FASBが、公正価値に関する提案内容を変更

米国財務会計基準審議会(FASB)は、企業が保有するすべての金融商品を公正価値で報告することを企業に要求する以前の計画を緩和した。

25日、FASBは、金融資産を管理する企業の事業戦略が、貸付又は顧客の資金調達活動を通じた契約上のキャッシュ・フローを回収する目的で管理する金融資産を、償却原価で会計処理することを認めることを暫定的に決定した。銀行ローンを含むほとんどの種類の金融商品を公正価値で会計処理することを要求した当初案からの変更によって、ある資産は公正価値で、またそれ以外を償却原価で測定する、国際会計基準審議会(IASB)によって採用された混合測定アプローチに、FASBがより近づくことになる。

 

金融商品の会計処理に関するFASBの決定定事項のサマリー (FASBのWebサイト)
IAS Plusの金融商品のプロジェクトページ

<2011.01.14> 米国財務会計基準審議会(FASB)の理事に2名を追加任命

14日、米国財務会計財団(FAF)は、Daryl E.Buck氏(バック氏)と R. Harold Schroeder氏(シュローダー氏)を、米国財務会計基準審議会(FASB)の理事に任命したと発表した。

2010年8月にFASBが発表した追加の2名の枠に、バック氏とシュローダー氏が就任し、これでFASBの理事が5名から7名に増員されることになる。

バック氏は現在、オクラホマ州にあるリーザー・ホールディング社の上席副社長兼最高財務責任者である。同氏は、FASBの諮問機関である非上場企業財務報告委員会のメンバーや、非上場企業の基準設定に関する「ブルー・リボン」パネルのメンバーでもあった。

シュローダー氏は現在、コネチカット州グリニッジにあるカールソン・キャピタルLPのパートナーである。同氏のキャリアは多様な投資家や財務報告のバックグラウンドをもたらした。同氏はまた、FASBの緊急問題専門委員会(EITF)のメンバーも務めた。

 

FASBのプレスリリース (FASBのWebサイト)

<2010.12.23> FASB議長にレスリー・サイドマン氏が任命される

23日、米国財務会計財団(FAF)の評議員会は、即時発効にて、レスリー・F・サイドマン氏を米国財務会計基準審議会(FASB)の議長に指名した。サイドマン氏は、2010年9月30日にロバート・H・ハーズ氏が退任して以降、議長代行を務めてきた。

プレスリリースはこちら (FAF Webサイト)

プレス・リリースは、更にFAFの評議員会が、FASBの残り二人の理事の候補者を評価するプロセスにあり、2011年の早い時期に発表する予定であることも言及した。

<2010.12.13> 岐路に立たされる国際財務報告基準(IFRS)

国際会計基準審議会(IASB)は、IFRS財団評議員であるハービー・ゴールドシュミット氏(Harvey Goldschmid)による、財務役員国際組織(FEI)会議での「規制改革及び岐路に立たされるIFRS」と題する基調講演を、IASBのWebサイトに掲載した。

この講演においてゴールドシュミット氏は、仮に米国証券取引委員会(SEC)が国際財務報告基準(IFRS)のアドプションに関して否定的な決定を下す場合に、起こり得る二つの基本的なシナリオについて述べている。

 

「一つ目のシナリオとして、IFRSを支持する国々の連携が崩れる可能性がある。IFRSと米国会計基準(U.S.GAAP)という二組の会計基準ではなく、2000年より以前の分裂した状態に逆戻りする可能性がある。多くの国の会計システムが存続するであろう。透明性や比較可能性、より高額な会計費用等の観点から、その代償は極めて大きくなるであろう。

二つ目のシナリオは、米国の観点からすれば、さらに悪いものである。IFRSを支持する(国々の)連携は存続しつづけ、米国は孤立することになるだろう。米国は、IFRSの開発及び監督に関する、現在のような重要で積極的役割をもはや果たさなくなるだろう。米国の積極的な参加なくしては、全体的な国際会計基準の質は悪化すると確信している。透明性及び投資家保護への関心が低い地域が世界には幾つかあることを、忘れないでほしい。」

<2010.12.09> 米国証券取引委員会(SEC)が、IFRS採用に混合モデルを検討

ポール・ベスウィック氏(米国証券取引委員会の次席アカウンタント)は、米国における国際財務報告基準(IFRS)の採用に関する可能なアプローチについて明らかにした。ワシントンD.Cで開催された米国公認会計士協会(AICPA)の全米会議のスピーチで、ベスウィック氏は個人的な見解を述べ、米国におけるIFRS採用に混合モデルを用いる可能性を参照するために、同氏は「コンドースメント(condorsement)」という新語を用いた。

以下は、公表されたスピーチの一部抜粋である。

 

「…私は、単一の一組の高品質な会計基準の目的について、そのコンセプトの支持者であるが、米国の資本市場がIFRSに移行すべきか、またどのように移行すべきかに関してまだ結論に達していない。

では米国にとっての合理的なアプローチとはどのようなものか?我々は2010年10月のアップデートで、多くの法域がコンバージェンス又はエンドースメントのいずれかのアプローチに従っていることをハイライトした。私個人の意見として、仮に米国がIFRSに移行するのであれば、両者の間のどこかが正しいアプローチになり得る。私はそれを「コンドースメント」アプローチと呼ぶことにする。

それではこのアプローチはどのようにワークするか?まず、米国会計基準(U.S. GAAP)は引き続き存在するだろう。国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)は、覚書(MOU)における主要なプロジェクトを完了する。FASBは通常の過程でいかなる主要な新規のプロジェクトを開始することはないだろう。むしろ、IASBのアジェンダにはない基準について、FASBが一定の期間にわたり現行のU.S. GAAPをIFRSにコンバージェンスすることに取組む場合、新しい一組の優先順位が設定されるであろう。

同時に、FASBがIASBによって発行された新しい基準をU.S. GAAPに取込むことを検討し、そのような基準を米国のコーディフィケーションに統合するようなプロセスを取るであろう。理想は、IASBによって発行された基準を、修正することなく取込むことである。しかしFASBが基準をエンドースまたは取込むことを検討するための規準が設定される必要がある。

いずれにせよ、私はあくまでアイデアを概説したに過ぎないことを再度述べておく。」

 

さらにベスウィック氏は、(IFRSのような)新しい会計フレームワークを採用するための「ビッグ・バン」アプローチにかかるコストや、様々なカテゴリーの企業への影響、そしてIASBとFASBが期限を遵守することよりも高品質な会計基準を創造することにフォーカスする必要性について議論した。

 

公表されたスピーチの全文はこちら (SECWebサイト)

<2010.12.09> 国際会計基準審議会(IASB)が、ヘッジ会計の公開草案を公表

国際会計基準審議会(IASB)は、パブリック・コメント募集のために、ヘッジ活動の会計に関する公開草案(ED)を公表した。公開草案は、企業が財務諸表に自社のリスク管理をよりよく反映させることを可能にし、ひいては、それらの活動が将来のキャッシュ・フローに与える影響を投資家が理解する一助となるように設計された要求を提案している。

提案されたモデルは、原則主義であり、企業が金融及び非金融のリスク・エクスポージャーをヘッジする際に、企業のリスク管理活動にヘッジ会計がより密接に平仄を合わせるようにデザインされている。

 

EDの提案の要約
  • リスク管理目的のために内部で創造された情報を利用することを意図するマネジメントの観点と、利得及び損失の認識時点というリスク管理の問題を取扱おうとする会計の観点を統合する新しいヘッジ会計モデル。
  • 項目のタイプ(金融又は非金融)ごとに何がヘッジできるかを決定するのではなく、リスクの構成要素が認識され、測定され得るのかにのみ注目する。
  • 企業がリスク管理目的のためにどのようにヘッジをデザインするのか、また必ずしもヘッジ会計を中止し、その後再開することなく、企業がどのようにヘッジ関係の修正を容認するのかを、ヘッジ会計の適格性の基礎とする。
  • 購入オプションの時間的価値プレミアムをヘッジのコストとして取扱い、それをその他の包括利益(OCI)に表示する。
  • ヘッジ会計の使用を、(リスク管理との関連性を改善させるために)ネット・ポジションに拡大する。
  • ヘッジされたリスクや、それらのリスクがどのように管理されるのか、またそれらのリスク・ヘッジが主要な財務諸表に与える影響について焦点を当てる、包括的な一組の新しい開示。

 

EDは、IASBによるIAS第39号「金融商品-認識及び測定」を置換える全体的なプロジェクトの一部を構成し、(EDの)提案が確定した時点で、それらはIFRS第9号「金融商品」に組込まれる。EDには、IASBが引続き議論するポートフォリオ・マクロ・ヘッジ会計の検討は含まれない。

ED「ED/2010/13 ヘッジ会計」は、2011年3月9日までコメントを募集している。IASBは、(EDの)提案を2011年の上半期中に最終基準化し、公表する予定である。

 

IASBプレス・リリース (IAS Plus)
IASB スナップ・ショット「ヘッジ会計」 (IASBのWebサイト)
「IASBによるヘッジ会計プロジェクト」(IAS Plus)

<2010.12.08> IASBが、「経営者による説明」に関するIFRS実務ステートメントを発行

国際会計基準審議会(IASB)が、IFRSに準拠して作成された財務諸表に付随する説明的な報告を記述するための、一般的な拘束力のないフレームワークである、国際財務報告基準(IFRS)実務ステートメント(Practice Statement)「経営者による説明」を発行した。

 

経営者による説明は、財務諸表に付随するが財務諸表の枠外で記述される説明的な報告であり、企業の財政状態、財政状態の変化、経営成績、および重要なライン項目の変動の原因に関する経営者の説明が記述される。多くの企業は経営者による説明を、財務諸表を補足および補完する、資本市場とのコミュニケーションを図る重要な要素として捉えている。

実務ステートメント はIFRSではない。したがって、IFRSを適用する企業は、その法域において特に要求されない限り、実務ステートメントに準拠する必要はない。さらに、もし財務諸表がIFRSに準拠しているのであれば、実務ステートメントに準拠していないことは、IFRSに準拠することに反するものではない。

企業は、2010年12月8日以降に表示される経営者による説明に、この実務ステートメントを適用することができる。

 

関連情報

IASBのプレスリリース (PDFファイル・34KB)
IASBのプロジェクト概要およびフィードバック・ステートメント (PDFファイル・66KB)
IAS Plus「IASBの経営者による説明プロジェクト」のページ

<2010.11.22> 金融商品会計に関するIASB Webサイトの特集について

国際会計基準審議会(IASB)のWebサイトの特集の中で、IASBの議長であるデイビッド・トゥイーディー卿は、金融商品会計を改革するIASBのプロジェクトのアップデートを提供し、これまで達成された事項や、IASBの今後の作業について述べている。

金融商品会計の改革は、IASBが実施しているプロジェクトの中で、最も重要かつ複雑なプロジェクトの一つである。デイビッド卿は、一般的なアプローチや、プロジェクトの3つのフェーズ、米国会計基準(US GAAP)とのコンバージェンス、及び発効日に関する詳細を述べている。同氏は以下のように結論付けている。

 

結局、IFRS第9号の開発は、21世紀の基準設定がどのように行われるべきかを示しており、当プロジェクトの遺産として残るのは、投資家や他の財務諸表利用者のためにより多くの有用な情報を提供する、高品質の原則ベースの基準である。

 

金融商品会計に関する特集 (IASB Webサイト)
IAS第39号を置換えるIASBのプロジェクトに関するIAS Plusサマリー

<2010.11.16> APECレポートで「会計基準の多様性」について議論

アジア太平洋経済協力会議(APEC)は、横浜のAPEC年次会議において外務および貿易担当大臣の承認を得た後に、「2010年経済政策報告書」(APEC経済委員会作成)を公表した。
APECは、オーストラリア、カナダ、中華人民共和国、日本および米国を含む、アジア太平洋地域の21の経済圏の政府間組織である。

「経済政策報告書」は、会計基準の国際的な調和を含む、様々なコーポレート・ガバナンス事項について議論している。この点に関し、報告書は、国際財務報告基準(IFRS)のベネフィットを認める一方で、会計基準の「多様性」の維持や選択を認める可能性について考慮している。

このスタンスは、会計基準のコンバージェンスをより強く支持するG20の方向性とはかなり異なったものである(IAS Plusの11月12日付の記事参照)。

以下は、報告書の抜粋である。

 

国際会計基準の調和

国際会計基準の調和は、ある規則性をもって加速したり失速する問題であるが、コーポレート・ガバナンスに関連したものである。IFRSは、APECの全域で受け入れられているわけではなく、他の会計基準との対比でIFRSのメリットについて議論が続いている。特に、一会計期間の利益にフォーカスするよりも、長期的、安定的な成長を促す上において、ある会計基準の方がより優れている可能性があるとする、コーポレート・ガバナンス上の懸念がある。

しかし、会計基準の調和には、著しいベネフィットも存在する。世界共通のプロフェッショナルなパフォーマンス基準に裏付けられた、世界共通の会計基準は、選択された基準が利益操作や平準化よりも長期的なパフォーマンスを奨励する限り、企業間比較を容易にし、より効率的な資本配分やグローバルな企業パフォーマンスを可能にする。

そのような標準化は、世界中の全ての競合他社との資本を巡る競争を強いることで、企業へのプレッシャーを増加させることとなる。しかし、選択された基準が、一定期間発見されないような不正を許容する場合、世界はグローバルな同時会計不正スキャンダルの危機にみまわれる可能性もある。過去10年の事象に鑑み、そのようなシナリオが考慮されるべきである。

したがって、会計基準の多様性を維持すること、あるいは、企業がどの経済地域や証券取引所で資本競争するかを選択するとともに、どの会計基準を使用するかの選択を認めることも重要であろう。

<2010.11.12> G20がグローバルな会計基準への支持を改めて表明

2010年11月11日と12日にソウルで開催されたサミット会議の後、G20 加盟国のリーダー達は、グローバル金融市場のインフラ強化のための手段として、単一の一組のグローバルな会計基準への支持を再確認する「声明文」を公表した。
この新たな声明文は、コンバージェンスの期限について、「2011年末まで」と参照している。

G20は、1990年代後半のアジア金融危機を受けて初めて組織された。2008年のグローバル金融危機の到来を契機に、G20は、危機をくい止め、その影響を軽減するためのグローバルな取組みをリードする主要な場となった。

以下は、ソウル・サミット後の声明文からの抜粋である。

 

38.我々は、単一の一組の改善された高品質なグローバル会計基準を達成することの重要性を改めて強調するとともに、国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)に対して、コンバージェンス・プロジェクトを2011年末までに完了するよう求めた。

我々はさらにIASBに対し、独立した会計基準設定プロセスの枠組みの中で、グローバル会計基準を設定するプロセスに、新興市場経済圏へのアウトリーチとその加盟を含む、利害関係者の関与をさらに改善するよう奨励した。

<2010.11.03> FASB、買戻契約の会計処理を改善するASUを提案

米国財務会計基準審議会(FASB)は、提案された会計基準更新(ASU)「譲渡およびサービシング(Topic 860):買戻契約に関する実質的な支配の再考」(FASB Webサイト)を公表した。

提案されたASUにおける改訂は、「実質的に合意された条件に基づき金融資産を買戻すまたは償還する譲渡人の能力に関連する規準を、たとえ譲受人が債務不履行に陥った場合においても、実質的な支配(effective control)の評価から削除する」。

最終化された場合、本提案は、譲渡された金融資産を実質的に合意された条件に基づき買戻すまたは償還する譲渡人の能力を考慮する要求を含んでいない国際財務報告基準(IFRSs)とのコンバージェンスを改善することとなる。

提案されたASUのコメント期限は、2011年1月15日である。

<2010.10.29> SEC、グローバル会計基準の作業計画に関する進捗レポートを公表

米国証券取引委員会(SEC)は、グローバルな会計基準に関する作業計画の最初の進捗レポート(PDFファイル・英語)を公表した。

作業計画の目的は、米国の発行企業体の現行の財務報告システムが国際財務報告基準(IFRSs)を取り込むシステムに移行すべきか否か、またいつどのように移行するかについて、2011年にSECが決定することに関連する特定の領域と要因を考慮することである。

SECは、引き続き2011年に、作業計画の状況について定期的に報告する予定である。

<2010.10.28> IASB、金融負債会計のIFRS第9号への追加を公表

国際会計基準審議会(IASB)は、金融負債の会計に関する要求を公表した。
これらの要求はIFRS第9号「金融商品」に追加され、IAS第39号を置換えるIASBプロジェクトの分類及び測定フェーズを完了させることになる。これらは金融資産の分類及び測定を規定した、IASBの2009年11月公表のIFRS第9号に追加されるものである。

新しい要求は、発行企業が自社の負債を公正価値で測定することを選択することから生じる、損益のボラティリティの問題を取扱う。これはしばしば「自己の信用力」の問題として参照される。

IASBは、自己の信用力の問題を取扱う要求のみに変更を限定し、ほんとんどの負債に対して、現行の償却原価測定を維持することを決定した。

新しい要求のもとでは、金融負債を公正価値測定することを選択する企業は、企業の自己の信用リスクの変動による公正価値の変動部分を、損益に含めるのではなく、その他の包括利益(OCI)に表示することになる。

 

IFRS第9号は、2013年1月1日以後に開始する年次期間の財務諸表に適用される。

企業は新しい要求を早期適用することが認められるが、その場合には、金融資産に関するIFRS第9号の要求も適用しなければならない。

 

IASBのプレス・リリース (PDFファイル・33KB)
IASBのフィードバック・ステートメント (PDFファイル・68KB)
IAS Plus IFRS第9号「金融商品」の要約 (IAS Plus Webサイト)
IAS Plus IASB のIAS第39号置換プロジェクト「金融資産の減損会計」の要約 (IAS Plus Webサイト)
IAS Plus IASBのIAS第39号置換プロジェクト「ヘッジ会計」の要約 (IAS Plus Webサイト)

<2010.10.25> IASBとFASB、3つのプロジェクトの検討を先送り

2010年10月の合同会議において、国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)は、報告企業(「概念フレームワーク」フェーズD)財務諸表の表示、および資本の特徴を有する金融商品(負債および資本) のプロジェクトについて、両審議会の作業計画全体のバックグラウンドに対する協議を行った。
両審議会は、3つのプロジェクトすべてについて、両審議会の現在の対応能力をより多く超える配慮が必要であるとの結論に至った。その結果、IASBとFASBの見解では、両審議会による作業計画の変更は未だ決定されていないものの、(プロジェクトの)先送りは不可避であるとされた。

特に、ドイツとニュージーランドの関係者から多くの注目を引いた、資本の特徴を有する金融商品のプロジェクトは、優先されなかったようである。したがって、最近示唆されたように、IAS第32号の目標とされる変更(例えば、プッタブル金融商品、転換社債、非支配持分等) や、資本に関する根本的な新しい分類原則の提案は、2011年6月までには行われない見込みである。

<2010.10.19> IASBとFASB、コンバージェンスされた会計基準の発効日に関する意見の募集を行う

国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)は、主として国際財務報告基準(IFRS)と米国会計基準(US GAAP)のコンバージェンスを改善及び達成する作業からの成果である新しい財務報告基準が、いつの時点で発効すべきかに関する意見を求める文書を公表した。

2011年に多くの主要なプロジェクトが完了する予定であるが、両審議会は、利害関係者への負担を軽減するために、発効日を順序付けるべきか、あるいはどのように順序付けるかに関する意見を募集している。どのように進めるかを決定するにあたり、IASBは、既にIFRSを使用している国・地域のニーズを、今後使用を予定している国・地域のニーズと併せ考慮する。コンサルテーションを通じたフィードバックは、利害関係者が変更のペースとコストをマネージする一助となる、それらの新しい基準の導入計画を、両審議会が共同で開発する際の情報となる。

意見募集のコメント期限は、2011年1月31日である。.

 

IASBプレス・リリース (PDFファイル・35KB)
FASBプレス・リリース (FASB Webサイト)
FASB ディスカッション・ペーパー「発効日及び経過措置」 (FASB Webサイト)

<2010.10.18> テクノロジー企業の収益認識

2010年6月に、国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)は、顧客との契約から生じる収益に関する公開草案(ED)を共同で公表した。
採用された場合、本提案により、IAS第11号「工事契約」およびIAS第18号「収益」ならびに関連する解釈指針は廃止される。 EDで提案されたコア原則は、商品やサービスと交換に受領することが予想される対価を反映した金額で、顧客への商品やサービスの移転を描写するように、企業が収益を認識することを要求している。

このEDがより重要な意味を持つのは、(現行の)二つの会計基準におけるアプローチが大きく異なることである。適用に係る一連の詳細なルールがある米国会計基準(US GAAP)と比較し、現行の国際財務報告基準(IFRS)は、相対的にガイダンスが少ない。

デロイト(英国)は、今回「テクノロジー企業の収益認識」を発行し、EDで提案されたアプローチが、IFRSおよびUS GAAPで報告するテクノロジー企業に共通するシナリオにおいて、どのように適用されるかを例示している。

EDのコメント期限は、2010年10月22日である。

<2010.10.14> FASB、保険契約に関する新たな会計基準更新(ASU)を公表

米国財務会計基準審議会(FASB)は、会計基準更新(ASU) No. 2010-26「金融サービス– 保険 (トピック944): 保険契約の取得又は更新に関連する費用の会計処理」 (FASB Webサイトへのリンク) を公表した。ASUは、 新規および更新契約の取得時に発生した費用のうち、どれを資産化すべきかについて明らかにしている。国際財務報告基準(IFRSs)では、契約取得費用の繰延の禁止または要求をしているガイダンスはない。

ASUは、FASBの緊急問題専門委員会(EITF)の9月の会議の結果を反映したものである。EITF会議の決議事項の更なる情報については、EITFスナップ・ショット(PDFファイル・129KB)に記載されている。

国際会計基準審議会(IASB)とFASBも現在、 保険契約に関するプロジェクトの作業を行っている。 IFRS最終基準書の発行は2011年の第2四半期に予定されている。

<2010.10.12> IFRS財団の評議員会、ディビッド・トゥイーディー卿の後任としてハンス・フーヘルフォルスト氏を議長に任命

国際会計基準審議会(IASB)の監督機関であるIFRS財団の評議員会は、ハンス・フーヘルフォルスト氏(Hans Hoogervorst)をIASBの議長に、イアン・マッキントッシュ氏(Ian Mackintosh)を副議長に任命した。
ハンス・フーヘルフォルスト氏は、2011年6月末のディビッド・トゥイーディー卿の退任を受け、IASBの議長を引き継ぐことになる。同氏は現在、オランダの証券および市場の監督機関であるオランダ金融市場当局(AFM)の議長、証券監督者国際機構(IOSCO)の専門委員会の議長、ならびにグローバルな金融危機への対応を会計基準設定主体に助言するために設立された上級幹部による独立機関である金融危機諮問団(FCAG)の共同議長を務める。同氏はIASBに参加するために、現在の役職を全て辞任する予定である。

オーストラリア証券投資委員会の会計主任であったイアン・マッキントッシ氏は、30年以上にわたる国内および国際的な会計基準設定の経験を有する。同氏は現在、イギリスの会計基準審議会の議長および、20を超える国や地域の会計基準設定団体が参加する会計基準設定主体のグループの議長を務める。

新しい議長のハンス・フーヘルフォルスト氏は、グローバルな国際財務報告基準(IFRS)のアドプションに向け、IASBが直面する課題に対する深い理解とそれを克服して進んでいく能力をIASBにもたらす。イアン・マッキントッシ氏の基準設定分野における多大な経験は、IASBがIFRSをグローバルな基準として確立しようとしていくうえで一助となるであろう。

IASBのプレス・リリース (PDFファイル・34KB・英語)で、ハンス・フーヘルフォルスト氏とイアン・マッキントッシ氏の経歴や、基準設定の独立性を保持することおよび投資家や他の利害関係者の利益のために行動することに対する両氏の強いコミットメントに関する声明を閲覧できる。

ハンス・フーヘルフォルスト氏の考え方に関する洞察やイアン・マッキントッシ氏とのインタビューはまた、新設したロバート・ブルースのコラムに掲載されている。

<2010.10.12> IFRS財団の評議員にダック・クー・チャン氏が任命される

国際会計基準審議会(IASB)の監督機関であるIFRS財団は、ダック・クー・チャン氏(Duck-Koo Chung)をIFRS財団の評議員として、2011年1月から最初3年間の任期で任命することを決定した。

ダック・クー・チャン氏は、韓国の産業資源省の前大臣である。同氏は、韓国大学や中国・北京の人民大学で国際ファイナンスの客員教授であり、さらに中国や日本ならびに韓国の国際ファイナンス専門家から構成される調査グループである北東アジア調査財団(NEAR)の設立メンバーでもある。

ジェフリー・ルーシー氏(オーストラリア)とペドロ・マラン氏(ブラジル)は、IFRS財団の評議員として再任された。詳細は、IASBのプレス・リリース (PDFファイル・35KB・英語)に掲載されている。

<2010.10.07> IASB、金融資産の譲渡取引に関する認識の中止の拡充された開示要求を最終化

国際会計基準審議会(IASB)は、オフ・バランスシート活動の包括的な見直しの一環として、IFRS第7号「金融商品-開示」の改訂を発行した。
この改訂は、財務諸表の利用者が、資産を譲渡した企業に残存しているかもしれないリスクの、可能性ある影響の理解を含め、金融資産の譲渡取引(例えば、証券化)をより良く理解するのに役立つこととなる。改訂はまた、報告期間の末日近くに不釣合な金額の譲渡取引が行われている場合の追加的な開示を要求している。
IASBは当初、現行のIAS第39号「金融商品-認識及び測定」における認識の中止モデルおよび関連するIFRS第7号の関連した開示要求を置換えることを提案していた。しかし、受領したフィードバックを考慮し、IASBは現行の認識の中止モデルを維持し、改善された開示要求を最終基準化することを決定した。

さらに改訂は、国際財務報告基準(IFRSs)と米国会計基準(US GAAP)の関連する開示要求につき全体として平仄を合わせている。

企業は、当改訂を、2011年7月1日以後に開始する年次期間に適用しなければならない。適用の初年度のおいて、比較情報の開示は要求されない。

 

IASBプレス・リリース (PDFファイル・36KB・英語)
IASBフィードバック報告書 (PDFファイル・68KB・英語)
 (IASBがコンサルテーションプロセスを通じて受領したフィードバックに対してどのように応答したかの概説)
IAS Plusの「金融商品の認識の中止」に関するプロジェクト・ページ

<2010.09.30> IASB、激しい超インフレーションに関するIFRS第1号の改訂を提案

国際会計基準審議会(IASB)は、IFRS第1号「国際財務報告基準の初度適用」の改訂を提案する、公開草案「激しい超インフレーション」をパブリック・コメント募集のために公表した。

改訂は、企業の機能通貨が激しい超インフレーションに陥ったために、その企業が国際財務報告基準(IFRS)に準拠することができなかった期間の後に、IFRSに準拠した財務諸表の表示をどのように再開すべきかに関するガイダンスを提案している。
提案された改訂によれば、 これまで激しい超インフレーションに直面していた企業は、資産と負債を公正価値で測定し、当該公正価値を、IFRS開始財政状態計算書におけるそれら資産および負債のみなし原価として使用することが容認される。

公開草案のコメント期限は、2010年11月30日である。

 

IASBの公開草案 (IASBのWebサイト)
IASBのプレスリリース (PDFファイル・31KB・英語)
IAS Plusのプロジェクト・ページ

<2010.09.28> IASBとFASB、概念フレームワークの第一ステージを完了

国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)は、国際財務報告基準(IFRSs)および米国会計基準(USGAAP)の改善された概念フレームワークの開発に向けた共同プロジェクトの第一フェーズが完了したと発表した。
この概念フレームワーク・プロジェクトの目的は、原則主義に基づき、基準内で整合性がとれ、国際的にコンバージェンスされた将来の会計基準のための健全な基盤を創出することである。
フレームワーク・プロジェクトの作業は、段階的に進められている。各章が最終化された時点で、1989年に公表された「財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク」における関連するパラグラフが置換えられる。

第1章「財務報告の目的」および第3章「有用な財務情報の質的特性」が公表された。第2章は、報告企業の概念について取扱う。審議会は、このトピックに関する公開草案を2010年3月に公表し、コメント期限は2010年7月16日に終了している。

IASBが上記のようにフレームワークの一部を改訂する一方で、FASBは「概念書第1号および第2号」を置換える「概念書第8号」を公表した。IASBの文書は、eIFRS購読者のみ利用可能である。FASBの文書にも、「一般目的の財務報告の目的および有用な財務情報の質的特性」の章が含まれており、これはFASBのWebサイトで無料で入手可能である。
 

IASBプレスリリース (PDFファイル・45KB・英語)
FASBの「概念書第8号」 (FASBのWebサイト)
財務フレームワーク・プロジェクトの概要 (IAS Plusのプロジェクト・ページ)
IASB Webキャストおよびフレームワーク・プロジェクト・フェーズAの完了に関するポッドキャストの情報 (IAS Plus Webサイト)

<2010.09.28> FASB、確定拠出年金制度に関する新たな会計基準更新(ASU)を公表

米国財務会計基準審議会(FASB)は、会計基準更新(ASU)No. 2010-25 「制度会計 – 確定拠出年金制度(トピック962): 確定拠出年金制度加入者への貸付金の報告」 (FASB Webサイトへのリンク) を公表した。

ASUは、確定拠出制度によって加入者への貸付金がどのように分類および測定されるべきか、ならびに国際財務報告基準(IFRS)(IAS第26号「退職給付制度の会計及び報告」)がこれらの規定とどのように比較されるかについて、明らかにしている。

今回のASU更新における改訂は、2010年12月15日より後に終了する事業年度に発効する。

ASUの更新は、FASBの緊急問題専門委員会(EITF)の9月の会議の結果を反映したものである。EITF会議の決議事項の詳細については、EITFスナップ・ショット (PDFファイル・129KB)に記載されている。

国際会計基準審議会(IASB)も現在、年金を含む退職後給付に関するプロジェクトの作業を行っている。2011年第1四半期に最終基準書の発行が予定されている。

<2010.09.22> 小売業におけるリース会計のニュースレター(日本語翻訳)

デロイトのIFRSグローバル・オフィスは、グローバルな業種別のニュースレター『小売業界の会計-リース会計に関する新しい見解の出現』を公表した。

このニュースレターは、最近公表された、リースの公開草案における主要な提案の多数を記述しており、これらの提案がどのように小売業に影響を与えるかに関する見解を提供している。

IFRSセンター・オブ・エクセレンス日本は、このニュースレターの日本語訳版を公表した。


ニュースレター 『小売業界の会計-リース会計に関する新しい見解の出現』

 ≫英語版 (PDFファイル・287KB)

(230KB, PDF)

<2010.09.20> FASB、保険契約に関するディスカッション・ペーパーを公表する

米国財務会計基準審議会(FASB)は、保険契約に関する財務報告の要求を改善、簡素化、コンバージェンスする方法について広範なインプットを求めるために、ディスカッション・ペーパー(DP)を公表した。
このDPは、FASBと国際会計基準審議会(IASB)との共同プロジェクトの一環である。
2010年7月にIASBは、すべての論点について両審議会が合意に至ることは不可能であることが明らかになった後に、Exposure Draft(ED)を単独で公表した。
提案された国際財務報告基準(IFRS)は、保険会社および非保険会社の双方で署名されるあらゆる保険契約に適用される。
今回公表されたFASBのDPは、IASBのEDに関するコメントを求める包括的な内容であり、利害関係者に対し、以下についてインプットを提供することを求めている。

 

  • IASBの提案は、米国会計基準(U.S. GAAP)を変更するコストを正当化するのに十分な改善となるか否か。
  • (新たに包括的なガイダンスを発行するのではなく)現行のU.S. GAAPに対しターゲットを設定して改善を行うことで、プロジェクト目標である改善、コンバージェンスおよび簡素化がより効果的に達成されるか否か。
  • FASBの予備的見解がIASBのEDと異なる、特定の重大な会計上の論点。

 

DPに関するコメント期限は、2010年12月15日である。

 

FASBのプレスリリース (FASBのWebサイト)
FASBのDP原文 (FASBのWebサイト・PDFファイル)
DPに関するFASBのポッドキャスト (FASBのWebサイト)
保険契約に関するIASBのEDのサマリー (IAS Plusのプロジェクト・ページ)
IASBのED原文 (IASBのWebサイト)

<2010.09.17> ゴールデン氏、FASB理事に任命される

米国財務会計財団(FAF)の評議員会は、Rusell G. Golden氏(ゴールデン氏)を、2010年10月1日付で米国財務会計基準審議会(FASB)の理事に任命することを発表した。
10月1日付で退任するハーズ議長の残りの任期を務めるために、ゴールデン氏の最初の任期は2012年6月30日までとなっている。
プレス・リリースは、FASBにおける残り2つの理事のポジションについて、以下のように述べている。

FAF評議員会が2010年8月24日に発表したように、米国財務会計基準審議会(FASB)は、再び7名の理事から構成されることになる。評議員会は、残り2名の理事の候補者の採用と評価、およびFASB議長として任命する候補者を評価するプロセスにある。以前発表されたように、FASB理事であるLeslie F. Seidman氏(シードマン氏)が、2010年10月1日付で議長代行に就任する。

 

FAFプレス・リリース (FAF Webサイト・英語)

<2010.09.15> IASB、IAS第37号の置換えプロジェクトの継続を決定する

国際会計基準審議会(IASB)は2010年9月15日の審議会で、大多数の賛成により、IAS第37号「引当金、偶発負債および偶発資産」を予想測定モデルと置換える国際財務報告基準(IFRS)の開発を継続すること、しかし一方で、信頼性と費用対効果の懸念を視野に測定要件の側面を再検討することを決定した。
このプロセスの一環として、IASBは、基準書提案においてリスク調整を要求することやリスク調整の測定方法にかかる更なるガイダンスの必要性について再検討する。
またIASBは、本提案を米国の訴訟に適用することの困難性とリスクに関する懸念に対応するための追加措置の必要性についても検討する。IASBは、現行の覚書(MoU)プロジェクトの最終基準化に向けたプレッシャーに晒されながら、受取ったコメントレターで識別された主要な論点の協議を継続し、2011年6月までに公開草案を発行することを望んでいる。

 

IAS Plus「負債-IAS第37号の改訂」のプロジェクト・ページには、プロジェクトに関するより多くの情報が掲載されている

<2010.09.13> IASBとASBJ、コンバージェンスについて協議する

2010年9月9日及び10日に、国際会計基準審議会(IASB)と企業会計基準委員会(ASBJ)が、第12回会合を開催し、日本の会計基準と国際財務報告基準(IFRS)とのコンバージェンスについて協議するとともに、日本における予定されたIFRSのアドプションに向けた準備作業について協議を行った。
IASBから公表されたプレスリリースは、以下のトピックにかかる両審議会の議論を要約している。

 

  • 金融商品(金融負債の分類と測定、減損、およびヘッジ会計)
  • 連結
  • リース
  • 収益認識

<2010.09.10> IASB、繰延税金の会計処理に関する改訂を提案する

国際会計基準審議会(IASB)は、公開草案「繰延税金-原資産の回収」をパブリック・コメント募集のために、公表した。
この提案は、IAS第12号「法人所得税」における一つの局面を改訂するものである。
IAS第12号の下では、繰延税金負債及び繰延税金資産の測定は、企業が資産の回収の予測を、資産の使用あるいは売却のいずれを通じて行うかに依存する。あるケースでは、回収が使用あるいは売却のどちらを通じて実現するのかを評価することが困難で主観的になることがある。そのような場合において実務的なアプローチを提供するために、提案された改訂は、企業が他の方法で回収されるという明確な証拠がない限り、資産はすべて売却を通じて回収されるという推定を導入している。
この推定は、投資不動産、有形固定資産または無形資産が、公正価値で再測定あるいは公正価値で再評価される際に適用される。
公開草案「ED/2010/11繰延税金-原資産の回収」のコメント期限は、2010年11月9日である。

 

IASBのプレスリリース (PDFファイル・36KB・英語)
IASBのWebサイトに掲載されているED
IAS Plusのプロジェクト・ページに、ED公表に至るまでの暫定合意のサマリーが掲載されている

<2010.09.08> 米国企業を対象としたIFRSニュースレター『IFRSインサイト』

デロイト(米国)は、『IFRSインサイト』ニュースレター2010年8月号(PDFファイル・600KB・英語)を発行した。
『IFRSインサイト』は、米国企業を対象とした国際財務報告基準(IFRS)に関するニュースレターである。この刊行物は以下の内容を含んでいる。

 

  • IFRSにかかる取組みをコーディネートするにあたり、プログラム・マネジメント・オフィス(PMO)を使用することの重要性を巡る議論
  • 移転価格の変更が保証されるか(あるいは将来的に保証されるか)否かについて、企業が検討する必要性
  • 収益認識に関する国際会計基準審議会(IASB)と米国会計基準審議会(FASB)の公開草案の概観
  • 石油及びガス会社に関する業界の特徴

 

IAS Plus(米国)のページに、がある。『IFRS Insights』全号への常設リンク

<2010.09.01> FASB、複数事業主制度に関する、提案された会計基準更新を公表する

米国財務会計基準審議会(FASB)は、提案された会計基準更新(ASU)-サブトピック715-80 報酬—退職給付制度—複数事業主制度- を公表した。
当該ASUは、以下を含む、事業主による追加の定量的、定性的開示を提案している。

 

  • 事業主が関与する制度の説明
  • 制度に対する事業主の契約上のコミットメント
  • 制度加入による事業主の将来キャッシュ・フローに対する予想される影響(制度脱退時の債務の潜在的影響を含む)

 

今回提案されたASUは、承認された場合、公開会社に対し、2010年12月15日より後に終了する事業年度において、拡充されたた開示を要求する。コメントの提出期限は2010年11月1日まで。

<2010.08.31> 評議員会、年次改善プロセスの規準について意見を求める

国際会計基準審議会(IASB)の監督機関であるIFRS財団は、IASBの年次改善プロセス規準の拡充の提案を、パブリック・コメント募集のために公表した。
年次改善プロセスは、グルーピングし一括して公表される、緊急性はないものの必要とされる国際財務報告規準(IFRS)の改訂のメカニズムを定めている。そのような改訂は、ガイダンスや文言を明確にしたり、または意図しない結果や、相反、見落としを取扱う、基準書の比較的軽微な改訂を行う。
IFRSの明確化または修正に関連する事項を、年次改善プロセスを用いて取扱うべきか否か判断するための提案された改訂規準が、以下に示されている。すべての規準が充足されなければならない。

 

(a)提案された改訂は、以下の一つまたは両方の特徴を有している。

(i)明確化-提案された改訂は、以下によりIFRSを改善する

  • 既存のIFRSの不明瞭な文言を明確化する
  • ガイダンスの欠如が懸念を生じさせている場合に、ガイダンスを提供する

明確化のための改訂は、該当するIFRSの既存の原則との整合性を維持している。それは新たな原則や既存の原則の変更を提案するものではない。

 

(ii)修正-提案された改訂は、以下によりIFRSを改善する

  • IFRSの現行の要求事項間のコンフリクトを解決し、現行の要求が適用されるべき明確な根拠を提供する
  • IFRSの現行の要求の見落としや比較的軽微な意図しない結果となる事項を取扱う

修正のための改訂は、新たな原則や既存の原則の変更を提案するものではないが、既存の原則の例外を作ることもある。

 

(b)提案された改訂は、的を絞った、明確に定義された目的を有す。すなわち、提案された変更の結果が十分に考慮され、識別されている。

 

(c)IASBは、論点について適時に結論に至る可能性が高い。適時に結論に至ることができない場合、論点の原因が年次改善で解決しうるものよりも根源的であることを示唆しているかもしれない。

 

(d)提案された改訂が、現在のまたは計画されているIASBのプロジェクトの議題であるIFRSを改訂する場合、プロジェクトよりも早期に改訂する喫緊の必要性がなくてはならない。

  • IFRS財団のコンサルテーション文書は、2010年11月30日までコメントが募集される。IASBのWebサイトを通じてアクセス可
  • 関連のプレスリリースはこちら (PDFファイル・35KB・英語)

<2010.08.31> FASB、2つの新たな会計基準更新を公表

米国財務会計基準審議会(FASB)は、2つの新たな会計基準更新(ASU)を公表した。

 

会計基準更新No. 2010-23 – 医療機関(トピック954):慈善医療の開示のための測定(FASBの発生問題専門委員会(EITF)のコンセンサス) (FASBWebサイトへ)

当該ASUは、IFRSが慈善医療の開示について特定のガイダンスを定めていないと述べている。この更新における改訂は、2010年12月15日より後に開始する事業年度において発効する。

会計基準更新No. 2010-24 – 医療機関(トピック954):保険金請求および関連する保険補償の表示(FASBの発生問題専門委員会(EITF)のコンセンサス) (FASBWebサイトへ)

当該ASUは、IFRSが更新に記載された状況における資産と負債の相殺を許容していないと述べている。この更新における改訂は、2010年12月15日より後に開始する事業年度、および当該年度の中間期間に発効する。

 

これらの会計基準更新は、FASBの発生問題専門委員会(EITF)の7月の会議を受けて作成された。

EITF スナップショット (PDFファイル・130KB・英語)

当該EITF会議での決定事項に関する更なる情報が記載されている。

<2010.08.26> IASB、IFRS第1号の改訂を提案する

国際会計基準審議会(IASB)は、本日、提案されたIFRS第1号「国際財務報告基準の初度適用」の改訂を、パブリック・コメント募集のために公表した。
提案は、「2004年1月1日」という固定された移行日の参照を、「IFRSsへの移行日」の参照に置換えることにより、IFRS第1号を改訂する。その結果、初めて国際財務報告基準(IFRSs)を採用する企業は、IFRSsへの 移行日前に起こった認識中止の取引を修正再表示する必要がなくなる。
加えて、初度適用企業は、IFRSs 移行日前に起こった取引について、金融商品の当初認識にかかる「デー・ワン(day 1)」の差異を再計算する必要もなくなる。
「結論の根拠」は以下のように述べている。

 

IFRS第1号「国際財務報告基準の初度適用」は、初度適用企業に対し、2004年1月1日以降に起こった過去の認識中止取引を修正再表示することを要求している。この要求は、2003年にIAS第39号「金融商品-認識及び測定」が改訂された結果としてIFRS第1号に含められ、当時、IFRSs を初めて適用しようとしていた企業を、既にIFRSsを適用していた企業と同じポジションに置くためのものであった。時の経過とともに、「2004年1月1日」という固定された移行日は、より遠いものとなり、その後IFRSsを採用する他の法域の財務報告にとってより関連性がなくなってきた。

 

公開草案「初度適用企業に対する固定された日の削除」のコメント期限は、2010年10月27日である。

 

IASBのプレス・リリース (PDFファイル・98KB・英語)
IAS Plusのプロジェクト・ページに、公開草案を公表するに至る議論のサマリーが掲載されている

<2010.08.20> IASB、公正価値測定に関する基準書のスタッフ・ドラフトを公表

国際会計基準審議会(IASB)は、IASBと米国財務会計基準審議会(FASB)による現在までの暫定合意事項が反映された、いずれ最終基準化される公正価値測定に関するスタッフ・ドラフトをIASBのWebサイトに公表した。

IASBの公正価値測定に関する最初の公開草案は2009年5月に公表され、2010年6月に公表された追加の限定的な範囲の公開草案を含め、その後多くの情報やフィードバックの要望につきフォローされてきた。

IASBはスタッフ・ドラフトに関するコメントを募集していないが、 FASBがほぼ同じ内容の提案された会計基準更新(Accounting Standards Update、”ASU”) 「U.S. GAAPとIFRSsにおける共通の公正価値測定及び開示要求に関する改訂」を公表したと述べている。

したがって関係者は、提案されたASUのコメント期限終了時(2010年9月7日)までにFASBにコメント・レターを提出することにより、提案に対しコメントをすることも可能である。

IASBとFASBは、2011年の早い時期に公表が予定されている共同の基準書を開発する上で、受領したコメントを共同で検討する予定である。

 

<2010.08.19> FASB、確定拠出年金制度に関する提案されたASUを公表する

米国財務会計基準審議会(FASB)は、提案された会計基準更新(ASU)「制度会計-確定拠出年金制度(Topic 962)-確定拠出年金制度による加入者への貸付金の報告(FASBの緊急問題専門委員会EITFのコンセンサス)」を公表した。

サマリーセクションでは、IAS第26号「退職給付制度の会計及び報告」との比較を提供している。

<2010.08.17> IASBとFASB、リース会計を改善する公開草案を公表する

国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB) は、本日、リース契約の財務報告を改善する共同の提案を、パブリック・コメントのために公表した。

本提案は、両審議会の覚書(MoU)に含まれる主要なプロジェクトの一つである。本提案が採用されれば、投資家にとって利用可能なリース契約の財務的影響に関する財務報告情報が大幅に改善されることになる。

現行の要求における会計処理は、リースの分類に依存している。国際財務報告基準(IFRS)あるいは米国会計基準(U.S. GAAP)のいずれにおいても、オペレーティング・リースとしての分類は、借手が財政状態計算書(貸借対照表)にいかなる資産または負債をも計上しない結果となる。これにより、多くの投資家は投資分析を目的とした借手のオペレーティング・リースの影響を見積るために、(開示やその他の利用可能な情報を用いて)財務諸表を調整しなければならない。

本提案は、借手および貸手のリース会計に一貫したアプローチ(すなわち「使用権」アプローチ)をもたらすことになる。他の変更点のなかでも本アプローチにより、リース契約から生じる支払のための負債および基礎となる資産を使用する権利が借手の財政状態計算書に含まれる結果となり、従って投資家および他の財務諸表利用者にとってより完全で有用な情報を提供できることになる。

ED/2010/9(本提案)のコメント期限は2010年12月15日である。

 

IASBプレス・リリース (PDFファイル・21KB・英語)

公開草案へのリンク (IASB Webサイト)

IAS Plusのリース・プロジェクト概要

 

両審議会の追加的なアウトリーチ活動の一環として、コンフィデンシャルなベースで、両審議会によって提案されたリース会計の規定について実地作業で議論しテストすることを希望する企業を募集している。この実地作業の目的は、提案された新しい基準の運用可能性および費用対効果を評価することである。

詳細は、IASBプレス・リリースを参照。

<2010.08.17> ASBJとFASBがグローバル・コンバージェンスを議論する会合を開催

企業会計基準委員会(ASBJ)と米国財務会計基準審議会(FASB)の代表は、会計基準のグローバル・コンバージェンスについて議論するために、2010年8月12日と13日に会合を開催した。
東京で開催された会議では、両審議会と国際会計基準審議会(IASB)とのコンバージェンス・プロジェクトに関する最新の進捗状況、および金融商品、収益認識ならびにリースに関するIASBのプロジェクトについて議論した。
ASBJ委員長の西川郁生氏は以下のようにコメントした。

我々は、一組の高品質のグローバルな会計基準に向けてIASBとの間でFASBが継続的に行っているコンバージェンス作業に敬意を表する。また、金融商品の会計処理に関するガイダンスを共通化するための、IASBとの差異を調整するFASBの努力も支持したい。

プレスリリース

<2010.08.09> 金融庁、IFRSの任意適用企業の範囲を拡大しIASBの改訂も承認

金融庁は、日本における国際財務報告基準(IFRS)の財務報告を拡充し、IFRSを任意適用した上場会社の有価証券報告書を提出する非上場子会社の連結財務諸表にもIFRSを任意適用できるとする提案を行った。
この提案は、2010年8月4日に公表され、提案に対するコメント期限は2010年9月3日である。
金融庁は、2010年上期に国際会計基準審議会(IASB)によって発行された、以下のIFRSsと関連する解釈指針の日本における使用も承認した。

 

  • 初度適用企業のIFRS第7号の比較情報開示の限定的な免除規定-IFRS第1号の改訂 (2010年1月)
  • IFRSの年次改善(2010年5月)(IFRIC第13号の改訂を含む)

 

IFRS財務報告の範囲を拡充する金融庁の提案 (金融庁Webサイト)
IFRSの承認に関する金融庁の発表 (金融庁Webサイト)
IAS Plusの デロイト日本のページ
IFRS第1号の改訂に関するIAS Plusのニュースレター (PDF ファイル・75KB)
IFRSの年次改善(2010年5月)に関するニュースレター (PDF ファイル・77KB)

<2010.08.05> IFRS保険会計に関するニュースレター

デロイト(英国)は2010年8月、『保険会計』ニュースレターを公表した。
この号は「新たな会計時代のスタート」と題され、IFRS第4号「保険契約」を大幅に改訂する、国際会計基準審議会(IASB)が7月30日に公表した公開草案の主な規定の詳細な分析を提供している。

 

「保険会計」ニュースレター 第17号 (PDFファイル・148KB)
IAS Plusの保険プロジェクトのページには、ニュースレター全号への常設リンクがある

<2010.07.31> IASB、資産と負債の相殺に関する財務諸表利用者の意見を求める

国際会計基準審議会(IASB)は、財務諸表の利用者に対して、金融資産と負債の相殺に関する質問書をリリースした。この調査は、財務諸表の利用者が金融商品の相殺にかかる調整を行うか否かおよびその方法に焦点を当てている。

このプロジェクトは、金融機関による財務報告に重要な差異が生じる結果となり得るデリバティブ契約およびその他の金融商品の貸借対照表上のネッティングに関する、国際財務報告基準(IFRS)と米国会計基準(USGAAP)間の差異について、利害関係者(バーゼル銀行監督委員会および金融安定理事会を含む)の懸念に対応して、6月のIASBと米国財務会計基準審議会(FASB)の会議のアジェンダに追加された。

この質問書は、財務諸表の利用者を対象とし、以下のような領域に関するフィードバックを求めている。

 

  • 金融資産と負債のポジションおよび特定のデリバティブについて、総額または純額表示のいずれが財務諸表分析に有用か
  • 財政状態計算書(貸借対照表)上に、総額または純額が表示されるべきかどうか
  • いつの時点で相殺(ネッティング)が認められるべきか(条件付または無条件の権利、異なる種類のリスク)

 

質問書の回答期限は2010年8月20日である。

 

IASB Webサイトの質問書のページ
IAS Plus「金融商品 - 貸借対照表上の相殺」のプロジェクト・ページには、プロジェクトに関するより多くの情報が掲載されている

<2010.07.30> IASBが「保険契約」に関する新しいIFRSの公開草案を公表する

国際会計基準審議会(IASB)は、保険契約に関する提案された国際財務報告基準(IFRS)の公開草案(ED)を、パブリック・コメント募集のために公表した。
公開草案(ED/2010/8)「保険契約」は、あらゆる法域のすべての保険業者が、あらゆる種類の契約に首尾一貫して適用可能な単一のIFRSを提案している。提案されたIFRSは、保険契約および再保険契約の保険業者に適用される。

主要な要求事項の要約は、以下のとおりである。

 

--------------------------------------------------------------------------------

範囲および認識

提案されたIFRSは、定義された全ての保険契約に適用される。保険契約は、以下のいずれか早い時点で認識される。

  • 保険業者が被保険事象について保険契約者に補償を提供するリスクを負うこととなる時点
  • 保険契約の締結時点

保険業者は、保険負債が消滅したときに、その認識を中止する。

 

測定

保険契約の測定は、以下を用いて、契約の現在の評価を表す「ビルディング・ブロック・アプローチ」に基づき行われる。

  • 保険業者が契約を履行するにつれて生じると予想される、将来キャッシュ・フローの、偏りのない確率加重平均値(期待値)
  • 貨幣の時間価値の影響
  • マージン

ビルディング・ブロックは、保険契約から生じる権利を、義務とは区別して測定するのではなく、権利と義務の組合せを測定するために用いられる。権利と義務の組合せは、純額ベースで表示される。

 

開示

EDは開示に関して、企業が以下に関する質的および量的な情報を開示すべきであると提案を行っている。

  • 財務諸表に認識される、保険契約から生じる金額
  • 保険契約から生じるリスクの性質と程度
     

--------------------------------------------------------------------------------

ED/2010/8 のコメント期限は、2010年11月30日である。

IASBプレスリリース (PDFファイル・36KB・英語)
公開草案の原文参照 (IASBウェブサイトへのリンク)
IAS Plusのプロジェクト・サマリーのページ

<2010.07.29> FASB、買戻契約(レポ取引)の会計処理に単独で取組む

米国財務会計基準審議会(FASB)議長は2010年7月28日の会議で、金融資産を満期前に買戻し又は償還する権利と義務を譲渡人に付与する買戻契約(レポ取引)またはその他の契約に関する会計処理を改善するために、限定的な範囲のプロジェクトをFASBのアジェンダに追加したと発表した。
これは国際会計基準審議会(IASB)との共同プロジェクトではないが、FASBは提案された改善事項が、国際財務報告基準(IFRS)とどのように類似もしくは異なっているかを検討する意向である。

IASBとFASBが2010年6月にコンバージェンスの作業計画を修正することを決定した際、IASBの認識の中止プロジェクトは現在の優先リストから除外され、2011年6月以降に再検討されることになった。
この作業計画の変更の前に、IASBは、レポ取引を売却取引として処理することを提案する、レポ取引の会計処理方法を変更することになる、ED/2009/3「認識の中止」を公表していた。

関係者は、これらの取引はほとんど世界中でファイナンスとみなされており、これらを売却取引として処理することは経済的実質を伴わない損益のボラティリティーを増加させるものであるとして、EDに記述される提案されたアプローチに対し圧倒的多数で反対した。
IASBとFASBは、プロジェクトを先送りする前に、この関係者のフィードバックを踏まえ、レポ取引の代替的な会計処理についても議論を行った。

 

2010年7月28日のFASB会議議事録の概要 (FASB Webサイト・英語)
IAS Plusの「認識の中止」プロジェクトのページ (レポ取引および一般的な認識の中止に関する議論の要約)

<2010.07.29> 『IFRS Insights』 ニュースレター、コンバージェンスとコンバージョンに関する更新情報

デロイト(米国)は、米国企業を対象とした国際財務報告基準(IFRS)に焦点を当てたニュースレター『IFRS Insights』を公表した。
本号は、以下を含むいくつかの主要な論点および進展について議論している。

 

  • 米国財務会計基準審議会(FASB)と国際会計基準審議会(IASB)の最新のコンバージェンス活動。各コンバージェンス・プロジェクトの完了目標日を示した詳細な一覧表が含まれる
  • 米国証券取引委員会(SEC)の「並行開示」要求に関連した技術的な考慮事項
  • 財務諸表の表示プロジェクトの概観
  • 電力および公益事業会社に関する産業更新情報

<2010.07.20> FASBが偶発事象に関する提案された会計基準更新(ASU)を公表する

米国財務会計基準審議会(FASB)は、提案された会計基準更新(ASU) 「偶発事象(Topic450)-一定の偶発損失の開示」を公表した。
BC47項およびBC48項は、国際財務報告基準(IFRS)(IAS第37号)との類似点及び差異について議論している。

<2010.07.15> IFRS保険会計のニュースレター

デロイト(英国)は、『保険会計のニュースレター』2010年7月号を発行した。
この号は「ゴール間際のコンバージェンス」と題され、両審議会が長期にわたり存在した数多くの主要な意見の不一致を解決した、2010年6月の3つの特別会議と月例審議会の議論に焦点をあてている。
公開草案(ED)の公表予定日は2010年7月であり、両審議会が公開草案への投票を行うまで、さらなる公開審議会の開催は予定されていない。

 

『保険会計のニュースレター』第16版 (PDF ファイル・125KB・英語)
IAS Plusの保険プロジェクトのページには、ニュースレター全号への常設リンクがある

<2010.07.01> IASBとFASBが財務諸表の表示に関する提案された基準書のスタッフ・ドラフトをWebサイトに掲載

国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)は、財務諸表の表示に関する基準書を開発する共同プロジェクトにかかる、提案された基準書のスタッフ・ドラフトを、それぞれのWebサイトに掲載した。

ドラフトは、2010年4月の共同会議における、両審議会によるそれまでに累積した暫定的な決定事項が反映されている。しかし、このプロジェクトに関する作業は継続しており、両審議会がパブリック・コメント募集のために公開草案を公表することを決定する前に、提案が変更される可能性がある。

公開草案が最終化され公表される前に、両審議会はさらなるアウトリーチと分析を進める予定である。

これらの活動は、主に次の2つの論点に焦点を当てる。

(1)提案の認識される費用対効果、および(2)金融機関による財務報告にかかる提案事項の影響である。両審議会は、今回のスタッフ・ドラフトについて公式なコメントを求めていないが、利害関係者からのインプットは歓迎している。両審議会は、2011年の早い段階で、公開草案をパブリック・コメント募集のために公表する予定である。

 

IAS Plusのプロジェクト・ページ

<2010.06.30> IASBが公正価値測定に関する限定した範囲の公開草案を公表する

国際会計基準審議会(IASB)は、公正価値測定に関する2009年5月の公開草案(ED)の提案に対する比較的マイナーな修正を提案する、ED「公正価値測定に関する測定の不確実性分析」を公表した。

2009年5月のEDは、公正価値測定のためのインプットとして使用される観察可能および観察不能な市場データを区分する3つのレベルの公正価値ヒエラルキーを提案した。

そのヒエラルキーの下で、レベル3のインプットとは、市場データが利用可能でない資産や負債の公正価値測定に使用される「観察不能なインプット」である。

要求される開示には、「測定の不確実性分析」(時として「感応度分析」と呼ばれる)が含まれる。

新しく提案された改訂は、レベル3において公正価値測定をするために使用される観察不能なインプット間の相互関係を反映するために測定の不確実性分析の開示を要求することにより、当初の提案を強化する。

コメント期限は2010年9月7日である。

 

米国財務会計基準審議会(FASB)もまた、測定の不確実性分析の開示に関する同様のEDを公表した。

2009年5月のEDおよび以後の公開草案再公表や暫定合意に基づく、現時点までの公正価値測定に関するIASBの主要な結論について、以下に記載した。

IASB プレス・リリース (PDFファイル・101KB・英語)

 

IASBの公正価値測定プロジェクトの目的

プロジェクトの目的は、公正価値を定義し、公正価値測定のためのフレームワークを確立し、そして公正価値測定に関する開示を要求することである。しかし国際財務報告基準(IFRSs)に基づき、資産、負債および資本あるいは開示項目が公正価値で測定されなければならない状況は変更されない。

 

公正価値測定に関する現時点までのIASBの結論
  • 公正価値は、測定日における市場参加者間の秩序ある取引において資産の売却により受領する、または負債の移転により支払う価格(「出口価格」)として定義される。
  • 測定日において実際の取引がない場合、公正価値の測定は、資産または負債に関する主要な(あるいは最も有利な)市場において、その日に取引が行われると仮定する。
  • 公正価値は、市場に基づく測定であり、企業特有の測定ではない。したがって、公正価値の測定は、リスクに関する仮定を含む、市場参加者が資産または負債の価格決定の際に利用するであろう仮定を用いて決定されなければならない。その結果、公正価値の測定は、資産を保有するまたは負債を決済もしくは履行する企業の意図について考慮しない。
  • 非金融資産に関する公正価値評価は、資産が最も高頻度かつ最善の使用が行われることを想定する。
  • 公正価値測定及び関連する開示に一貫性と比較可能性を増大させるために、IASBは、公正価値を測定するのに使用される評価技法へのインプットに、3つのレベルの優先順位を決める公正価値ヒエラルキーを確立し、同一の資産または負債の活発な市場における(調整なしの)相場価格を最高レベルの優先順位(レベル1のインプット)とし、観察不能なインプットを最低レベルの優先順位(レベル3のインプット)とする。

 

レベル1のインプットは、企業が測定日にアクセス可能な同一の資産または負債の活発な市場における(調整なしの)相場価格である。

レベル2 のインプットは、資産または負債に関して、直接的または間接的に観察可能な、レベル1に含まれる相場価格以外のインプットである。資産または負債に特定の(契約上の)期間があれば、レベル2インプットは、その資産または負債の実質的な全期間にわたって観察可能でなければならない。

レベル3のインプットは、資産または負債に関する観察不能なインプットである。観察不能なインプットは、関連する観察可能なインプットが利用可能でない範囲において公正価値を測定するために用いられ、したがって、測定日における資産または負債の市場活動がほとんどない状況において(レベル3の使用を)認めている。

しかし公正価値測定の目的は同じである。すわなちそれは、測定日に資産を保有するまたは負債を負う市場参加者の観点からの出口価格である。したがって、観察不能なインプットは、リスクに関する仮定を含む、市場参加者が資産または負債の価格を決定する際に使用する仮定を反映しなければならない。

<2010.06.24> IASBとFASBがG20に対してプロジェクト・タイムテーブルの更新報告を行う

国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)は、G20のリーダー達に、「会計基準のコンバージェンスおよび単一の高品質なグローバル会計基準へのコミットメントに関する進捗レポート」 (PDFファイル・64KB・英語)を提出した。
IASBとFASBのG20への書簡(PDF・53KB・英語)のリンクはこちらである。
進捗レポートは、多くの両審議会の共同プロジェクトのアプローチおよびタイムテーブルに対する変更を識別し説明を行っている。
両審議会は先日、2010年6月3日に、以下の3つの目標をもって、これらの変更を行う計画を発表している。

  • 国際財務報告基準(IFRS)と米国会計基準(US GAAP)の著しい改善とコンバージェンスをもたらすと確信する論点およびプロジェクトに、より焦点を絞るために、主要なプロジェクトを優先する。
  • 基準の品質に極めて重要なデュープロセスにおいて、広範囲かつ効果的な関係者の参加を可能にするため、公開草案(ED)および関連するコンサルテーションの公表を段階的に行う。これには、1四半期に発行される重要なまたは複雑なEDの数を4つに限定することが含まれる。
  • 発効日および経過措置について、関係者からのインプットを求める別のコンサルテーション文書を公表する。

 

IASBの観点から、いくつかの主要な変更点を以下に記載する。

 

<進捗レポートおよび最新のIASBプロジェクト・タイムテーブル>
連結

IAS第27号を置換える基準書の完了が、2011年第2四半期に計画されている。さらに2010年第4四半期に、現行のUS GAAPと平仄を合わせるために、IASBは投資会社に関連した連結の要求に対する変更を提案するEDを公表する。IASBは、2011年第2四半期に予定される連結の基準書において、これを最終基準化する。

 

金融商品の認識の中止

2009年3月にIASBは、提案された認識中止モデルと、一部の審議会メンバーにより提案された代替モデルを示したED を公表した。応答者は代替モデルを支持した。IASBは改訂EDを2010年第3四半期に、最終基準書を2011年第1四半期に公表することを見込んでいた。
新しいタイムテーブルでは、プロジェクトを以下の3つの構成に分割する。

  • 開示 - IASBは認識中止に関する開示要求を2010年第3四半期までに最終基準化する。
  • デリバティブの貸借対照表上のネッティング - これはある意味、認識中止を完了するための表示の代替手段である。IASBとFASBは、デリバティブ契約や他の金融商品の貸借対照表上のネッティングおよび関連する開示について両基準書における違いに対処するための変更を提案する別のEDを、2010年第4四半期に共同で公表する。それらの違いは金融機関による財務報告に重大な影響を及ぼす可能性がある。ネッティングに関するコンバージェンスされた最終基準書の公表は、2011年第2四半期に計画されている。
  • 認識中止に関する包括的な基準書 - スタッフの追加的な調査の後に、IASBとFASBは将来のある時点で、さらなる改善およびコンバージェンスに対する取組みの性質と範囲に関する決定を行う。

 

ヘッジ会計

IASBは、2010年第3四半期にEDを公表し(以前は2010年第2四半期に予定されていた)、最終基準書を2011年第2四半期に公表する予定である。それまでの間、FASBはヘッジ会計も含めた2010年5月27日の包括的な金融商品の提案について関係者との円卓会議を開催する予定である。IASBもそれらの円卓会議に参加する。

 

財務諸表の表示

このプロジェクトは基本的に以下の3つのパートに分割されている。

  • 包括利益の表示 - IASBは2010年5月27日に、全ての企業が経営成績を単一のつながった包括利益計算書(2つの計算書の表示は禁止される)に表示することを要求する提案を公表した。FASBは同様の提案を公表した。両審議会は、コンバージェンスされた最終基準書を2010年第4四半期に公表する予定である。
  • 財務諸表表示に関する包括的な基準書 - 2008年に両審議会は、財務諸表の表示について包括的な原則を提案するディスカッション・ペーパーを公表した。それらの原則に含まれるのは、(a)貸借対照表、包括利益計算書およびキャッシュ・フロー計算書の統一された構成、(b)包括利益計算書中に損益の小計、および(c)直接法による営業キャッシュ・フローの表示である。現在両審議会は、EDを最終化し公表する前に、2010年第4四半期に追加的なアウトリーチ活動を行うことを決定している。この間、その日までの暫定合意を反映した提案基準書のスタッフ草案を2010年第3四半期にそれぞれのウエブサイトに掲載する予定である。現在EDは2011年第1四半期に、最終基準書は2011年第4四半期に計画されている。
  • 非継続事業 - これは、非継続事業および関連する開示に関するIFRSとUS GAAPの定義の違いを取り除くための限定的な範囲のプロジェクトである。両審議会はEDを2011年第1四半期に、コンバージェンスされた最終基準書を2011年第4四半期に計画している。

 

資本の特徴を有する金融商品

2008年2月にIASBは、2007年11月のFASBの討議資料と同様の論点に関するコメントを募集したディスカッション・ペーパーを公表した。その後、両審議会はFASBの討議資料における提案とは異なるアプローチを検討することを決定した。計画では、EDを2010年6月に、最終基準書を2011年第2四半期に公表する予定であった。新しい計画では、EDを2011年第1四半期に、最終基準書を2011年第4四半期に公表する予定である。

 

リース

IASBとFASBの間で貸手の会計処理に関する議論が当初の予定より長引いているため、EDの公表は2010年第3四半期に変更された。しかしコンバージェンスされた最終基準書は依然として2011年第2四半期に予定されている。

 

公正価値測定

IASBは、公正価値測定に関する2009年5月のEDの提案に対する比較的マイナーな修正を提案する、限定的な改訂EDを公表することを決定した。この改訂は、公正価値で測定されるすべての資産と負債について、レベル3の公正価値測定に関する「感応度分析」の提案された開示に関連するものである。 この結果、IASBの公正価値測定に関する最終基準書の公表は、2011年第1四半期に計画されている。

 

収益認識

2010年6月24日に公開草案が公表され、最終基準書の公表は2011年第2四半期に計画されている。

 

退職後給付

EDが2010年4月に公表された。最終基準書の公表は2011年第1四半期に計画されている。

 

保険契約

共同の進捗レポートは、IASBとFASBがこのプロジェクトにおいて、いくつかの重要なテクニカルな論点に関し異なる結論に至ったことを認識している。IASBはED を2010年7月に公表する計画としている。両者の異なる見解を踏まえて、FASBは、IASBの提案に関する関係者からのインプットを入手する最良の方法について7月に決定する計画である(たとえばそれをEDまたは他の方法で公表する)。進捗レポートは、最終基準書のタイムテーブルを示していない。

 

排出権スキーム

2010年5月に両審議会は、他の覚書(MoU)のプロジェクトの方がより優先順位が高いことで合意した。現在両審議会は共同でのEDの公表を2011年下半期に、コンバージェンスされた最終基準書の公表を2012年のいつかの時点で計画している。

<2010.06.24> IASBが収益に関する公開草案を公表する

国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)は、「顧客との契約からの収益」に関する公開草案(ED)を、パブリック・コメントのために共同で公表した。

採用される場合、本提案により、IAS第11号「工事契約」およびIAS第18号「収益」 ならびに関連する解釈指針は廃止される。

EDで提案されたコアの原則は、物品や役務と交換に受取ることが予想される対価を反映した金額で、顧客に物品や役務が移転したことを明確に示すように、企業が収益を認識することを要求している。

原則を適用するために、企業は以下を行う。
 

  • 顧客との契約を識別する

通常それぞれの収益取引は単一の契約であるが、時として複数要素契約の要素について別個の会計処理が必要であったり、あるいはより頻度は低いが、二つの契約が結合されることがある。

  • 契約における別個の履行義務を識別する

企業が二つ以上の物品や役務を提供することを約束している場合には、その物品や役務が他と明確に異なる場合にのみ(すなわち別個に販売されている、または販売可能である)、企業は個々の約束された物品や役務を別個の履行義務として会計処理する。

  • 取引価格を決定する

取引価格は、企業が受取ると見込まれる対価の確率加重金額である。これには、回収可能性、貨幣の時間的価値、非現金対価の公正価値、および顧客に支払われる対価を考慮に入れる。

  • 取引価格を別個の履行義務に配分する

それぞれの履行義務に内在する物品や役務の独立した販売価格に応じた割合で、取引価格を別個の履行義務に配分する。

  • 企業が個々の履行義務を充足した時点で収益を認識する

これは約束された物品や役務を顧客に移転することにより達成される。資産の開発に関する契約(たとえば、工事、製造、カスタマイズされたソフトウエア)は、資産が開発されるにつれて顧客が資産を支配する場合にのみ、継続的に収益認識する結果となる。

 

EDはさらに、契約コストの会計処理について特定している。契約獲得のコストは、発生時点で費用処理する。契約を履行する際に発生したコストが、他の基準書に基づく資産化に適格でない場合、それらのコストが以下の場合に限り、企業は資産を認識する。

  • 契約(または交渉中の特定の契約)に直接関連するコスト
  • 将来履行義務を充足するために使用される企業の資源を生み出すあるいは強化するコスト
  • 回収が予想されるコスト

多くの企業にとって、新しいアプローチは収益認識の金額や時期を変更するものではないだろう。しかし場合によっては重大なインパクトの可能性がある。

たとえば基準書では、携帯電話サービスの契約の一部として、別個に請求せずにセット販売で提供する携帯電話について、別個に初期段階で収益認識することを要求する。

公開草案「顧客との契約からの収益」に対するコメント期限は、2010年10月22日である。

 

IASBプレス・リリース (IASBのWebサイト)
プロジェクト・ページ (IAS Plus)

<2010.06.23> IFRSの保険会計ニュースレター

デロイト(英国)は、『保険会計のニュースレター』2010年6月号を発行した。

この号は「ゴール近し」と題され、2010年5月および6月初旬の国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)の合同会議での議論に焦点を当てている。

公開草案(ED)の公表予定日は2010年7月である。

 

『保険会計ニュースレター』第15版 (PDF ファイル・113KB・英語)
IAS Plusの保険プロジェクトのページには、ニュースレター全号への常設リンクがある

<2010.06.13> FASB議長がコンバージェンスについてコメントする

米国財務会計基準審議会(FASB)議長のロバート・ハーズ氏は、2010年6月3日にカリフォルニアにおけるコンファレンスで、「コンバージェンスと変化について」と題する講演を行った。
以下はその二つの抜粋である。

ハーズ議長の発言 (PDFファイル・122KB・英語)

 

コンバージェンスに関する抜粋

FASBと国際会計基準審議会(IASB)の著しい努力は、昨秋ピッツバーグにおけるG20の会合を踏まえ、2011年の目標までにコンバージェンスを完了するために我々に「より一層の」努力を求めたG20のリーダー達に応えるための我々の試みを示している。「コンバージェンスを完了する」ことは、2006年に我々が最初に公表しその後定期的に更新してきた覚書(MOU)における、主要なプロジェクトを完了することを意味している。
これにより米国会計基準(US GAAP)と国際財務報告基準(IFRS)はより近づくことになり、同様に重要なことは、多くの主要領域において基準書が改善されることになる。
しかし一方で、一部が提言しているように、US GAAPとIFRSが完全にコンバージェンスされることを意味するものではない。多くの差異は残る。
米国証券取引委員会(SEC)スタッフは、最近発表した作業計画の一部として、これらの引き続き残存する差異の重要度を棚卸し、評価する。これらの残存する差異の評価は、他の多くの検討事項とともに、米国公開企業の財務報告システムにIFRSを導入するか否か、またいつ、どのように導入するかに関するSECの決定に反映される。

 

プロジェクト計画およびタイムテーブルの改訂に関する抜粋

我々とIASBは、特定の共同プロジェクトに関するタイミング、範囲およびアプローチの変更を含む、MOU作業計画に対する多くの改訂を行っている過程にある。
作業計画を変更する目的は、出来る限り迅速に主要なプロジェクトを完了することを可能にするために我々の努力に優先順位をつける一方で、関係者が適切にレビュー、評価およびインプットを提供することを可能にすることを含め、適切なデュー・プロセスを維持することである。
したがって我々は、向こう1年間は主要な公開草案のリリース、コメント期間および円卓会議の日程を調整し、1四半期に発行する重要なまたは複雑な公開草案の数を4つに限定する。
必然的かつ必要な結果として、我々は引き続き多くのプロジェクトを2011年6月30日までに完了することを目標としているが、そのすべてはその日までに完了せず、いくつかのプロジェクトは2011年後半の完了を目指すこととなる。
我々はIASBと共同で、更新された作業計画の詳細に関する公式声明を間もなく発表する予定である。

<2010.06.04> FAS第167号-VIESPEの連結

デロイト(米国)は、「貸借対照表に再び認識-FAS第167号の採用からの考察」と題するペーパーを公表した。
このペーパーは、「変動持分事業体(VIE)」(SIC第12号で「特別目的事業体(SPE)」と呼ぶものに類似)の連結のルールを変更した、最近の米国財務会計基準審議会(FASB)基準書の影響について議論している。
FAS第167号は、投資会社が(a) VIEの経済状態に最も著しく影響を与える活動を指図するパワーを有しており、かつ、(b)便益を享受する権利又は損失を負担する義務を負っている場合に、VIEを連結することを要求している。
多くの米国公開企業が、2010年第1四半期に新しい連結基準の導入を完了した。ペーパーは、これらの初度適用企業が直面したいくつかの問題や論点を検証し、VIEの連結が企業の連結財務諸表に与えた影響の分析も行っている。
VIE の連結の問題は、現在の国際会計基準審議会(IASB)とFASBによる連結に関する共同プロジェクトの範囲に含まれる。
IAS第27号を置換える最終の基準書は、2010年第4四半期に予定されている。

 

「貸借対照表上に再び認識-FAS第167号の採用からの考察」 (PDFファイル・259KB・英語)

<2010.06.03> SECがFASB-IASBによる共同プロジェクトのタイミング変更に関する声明を発表

米国証券取引委員会(SEC)のメアリ・L・シャピロ委員長は、米国財務会計基準審議会(FASB)と国際会計基準審議会(IASB)によって計画されているプロジェクトのタイミングの変更(6月3日付の関連記事参照)が、今年2月に発表された、米国の財務報告システムに国際財務報告基準(IFRS)を導入するか否か、またどのように導入するかについて2011年に考慮するためのSECの作業計画にネガティブな影響を与えるものではないことに自信を示す声明を発表した。

シャピロ委員長は以下のように述べている。

「私は、米国発行企業の財務報告システムにIFRSを導入するか否かについて、SECが予定通り2011年に決定を行うことに自信を持っている。」

 

シャピロ委員長の声明 (PDFファイル・28KB・英語)

<2010.06.03> IASBが一部のコンバージェンス・プロジェクトの完了予定を2011年下期に延期する

国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)は、「両審議会が、国際財務報告基準(IFRS)と米国会計基準(US GAAP)の間に著しい改善とコンバージェンスをもたらすと確信する論点およびプロジェクトに、より焦点を絞ることを許容するために」、重要なコンバージェンス・プロジェクトを優先させる意向を発表した。
両審議会は、2010年第2四半期に公表が予定されている多くの重要な公開草案について、高品質なインプットを提供することが可能かどうかに関して関係者が懸念を示していたことを認識した。
一部のプロジェクトの目標完了日が2011年下期に延期された。
両審議会は、それらのプロジェクトおよび新たな目標完了日を示した、新しい作業計画を近日中にリリースする予定である。

 

コンバージェンス作業に関するIASBとFASBの共同声明

2009年11月の共同声明において、我々IASBとFASBは、IFRSおよびUS GAAPを改善し、それらのコンバージェンスを達成する我々のコミットメントを再確認した。
この共同声明は、2011年6月を、2006年の覚書(MoU)その後2008年に更新)における主要プロジェクトの目標完了日として確認し、プロジェクト毎のマイルストーン目標を記載し、それらの目標を達成するための基準設定に向けた我々の取組みを強化する必要性を認識していた。

我々の進捗状況を定期的に報告することにより、我々はこれらの計画に関する透明性および説明責任を提供することををコミットした。2010年3月31日付の我々の最初の報告書では、その時点までの進捗状況を記述し、特定の領域において基準を改善およびコンバージェンスする際に直面するいくつかの問題について説明し、特定のプロジェクト毎のマイルストーン目標に対して行った変更について報告した。

2010年3月の進捗報告で記述したように、我々は、多数のプロジェクトについて、効果的なグローバル関係者の従事を求めることから生ずる問題を認識した。3月の進捗報告公表以来、今年の第2四半期に公表が予定されている多くの重要な公開草案について、高品質なインプットを提供することが可能かどうかに関して関係者が懸念を示していた。

IASBとFASBは、これらの懸念を考慮するために、修正された戦略を開発する過程にある。

それは、以下のものである。
 

  • 我々がIFRSおよびUS GAAPの間に著しい改善とコンバージェンスをもたらすと確信する論点およびプロジェクトに、より焦点を絞るために、MoUにおける重要なプロジェクトを優先する。
  • 基準の品質に極めて重要なデュープロセスにおいて、広範囲かつ効果的な関係者の参加を可能にするため、公開草案および関連するコンサルテーション(公開円卓会議等)の日程を調整する。我々は1四半期に発行される重要なまたは複雑な公開草案の数を4つに限定する。
  • 発効日および経過措置について、関係者のインプットを求める別のコンサルテーション文書を公表する。

 

修正され戦略は、当初のMoUで認識された多くのプロジェクトに加え、MoUにない他の論点についても、コンバージェンスされた解決が緊急に求められる場合、2011年6月の目標完了日を保持している。
一部のプロジェクトの目標完了日が、2011年下期に延期された。
公開草案について受取ったコメントの内容によって、公開草案再公表の必要性の程度、および高品質なコンバージェンスされた基準に到達するために要求される日程が決定される。

IASBとFASBは、この提案された戦略について、国際会計基準委員会財団のモニタリング・ボードのメンバーを含むそれぞれの監督当局や規制当局との協議を開始した。

FASBとIASBによる今回のアクションは、本年2月に発表された、米国の財務報告システムにIFRSを導入するか否か、またどのように導入するかについて、2011年に考慮するための米国証券取引委員会(SEC)の作業計画に、ネガティブな影響を与えないと見込まれる。
両審議会は、改訂された作業計画を含む進捗報告を、近日中に公表する予定である。

<2010.06.01> デロイト(カナダ)がIFRSへの移行ニュースレター『カウント・ダウン』を発行

デロイト(カナダ)は、カナダの会社がIFRSへの移行において直面している実務的な問題を議論し、また最近のIFRSの出来事に関する更新情報を提供する、IFRSへの移行ニュースレター『カウント・ダウン』2010年5月号を発行した。

この刊行物は以下の記事を含んでいる。
 

  • ゲームのルール – IFRSs の開発に自身の意見を反映する
  • 現実の対策 – 今月の焦点は「関連当事者の開示」
  • 国際基準の設定活動に関する更新情報

 

ニュースレターはPDFファイルでご覧いただけます。
 

カウント・ダウン ニュースレター 2010年5月号 (PDFファイル・1,615KB・英語)
カウント・ダウン ニュースレター 2010年5月号 (PDFファイル・1,728KB・フランス語)

 

関連情報

IAS Plusデロイトカナダのページには、カナダにおける財務報告に関するより多くの情報が掲載されています。
IFRSsの初度適用に関する特設ページ

<2010.05.30> 『IFRSインサイト』ニュースレター発行

デロイト(米国)は、『IFRSインサイト』ニュースレター2010年5月・6月号(PDFファイル・274KB・英語)を発行した。『IFRSインサイト』は、 米国企業を対象としたIFRSに関するニュースレターである。

この刊行物は以下の内容を含んでいる。
 

  • 既にIFRSsに変換した企業から学んだ実務上の教訓を見る
  • IFRSsおよび法定報告
  • ヘッジ会計に関するIASBの金融商品プロジェクトの更新情報
  • 石油およびガス企業のための業界更新情報

 

IAS Plusの米国のページにはIFRSインサイト全号への常設リンクがある。

<2010.05.27> IASBが包括利益計算書に関する公開草案を公表する

国際会計基準審議会(IASB)は、全ての企業が、損益およびその他の包括利益(OCI)を、単一のつながった計算書に別々のセクションで表示することを要求する提案を行う公開草案(ED)を、パブリック・コメントのために公表した。
この公開草案は現在、経営成績を、(a)公開草案の提案と同様の、単一のつながった計算書、または(b)損益計算書と包括利益計算書の二つの別々の計算書、のどちらかで表示する選択肢を認めている現行のIAS第1号を改訂するものである。

公開草案におけるその他の提案は、以下を含んでいる。

 

  • OCIの項目は、最終的にそれらが包括利益計算書の損益セクションに「リサイクル(再組替)」されるかどうかに基づき区分される。
  • OCI の項目が税引前で表示される場合(選択可能)に、それらの項目に係る法人所得税は、その後「リサイクル」される項目および「リサイクル」されない項目に配分される。
  • 包括利益計算書のタイトルは、国際財務報告基準(IFRSs)を参照する場合は、「損益およびその他の包括利益計算書」に変更されるが、企業は別のタイトル(例えば、「包括利益計算書」)を使用することも可能である。

 

これらの提案は、米国財務会計基準審議会(FASB)と共同で開発された。
FASBは、最近行った金融商品の提案の一部として、OCIの表示の変更に関するパブリック・コメントも募集している(5月27日付のIAS Plus記事参照)。
公開草案「その他の包括利益項目の表示(ED/2010/5)」に対するコメント期限は、2010年9月30日である。

 

IASB プレス・リリース (PDFファイル・100KB・英語)
IAS Plusのプロジェクト・ページ

<2010.05.27> FASBが金融商品および包括利益の公開草案を公表する

米国財務会計基準審議会(FASB)は、提案された金融商品および包括利益に関する会計基準の公開草案(EDs)を公表した。
本公開草案は、国際会計基準審議会(IASB)との共同プロジェクトに関連している。IASBは、既に以下を完了している。
 

 

IASBはさらに、ヘッジ会計および包括利益計算書のプロジェクトを作業中である(公開草案が間もなく公表される予定である)。

 

<FASBの提案の概観>
金融商品
  • 会計処理は、金融商品の特徴および資産や負債がどのように事業で使用されているかに基づきなされる。分類は、取得時または発行時に決定され、再分類は禁止される。
  • 変動キャッシュ・フローを有するまたは定期的に取引される金融資産は、公正価値で会計処理し、価値変動は(事業戦略に関わらず)純利益に反映される。これにはすべてのデリバティブが含まれる。
  • また、資本性有価証券、特定の複合金融商品、および保有者が実質的に全ての投資を回収できないような方法で契約上前払いされ得る金融商品についても、その公正価値の変動は、(事業戦略に関わらず)各報告期間の純利益に認識される。
  • キャッシュを回収する目的で保有する金融資産については、以下とする。 

  ◦償却原価および公正価値測定は、ともに、貸借対照表に表示する

  ◦未収利息、信用毀損および戻入から生じる公正価値の変動、ならびに実現利得および損失は、純利益に認識される

  ◦他の公正価値の変動は、その他の包括利益に認識される

  ◦貸借対照表における資産サイドは、貸付金を以下のように表示する

 

          貸付金:

    償却原価                            XXX

          貸倒引当金                           (XX)

          残存公正価値調整                  (XX)

          公正価値                              XXX

 

 ◦資本は以下のように表示される

 

          貸付金:

     償却原価                     XXX

          貸倒引当金                     (XX)

          残存公正価値調整            (XX)

          公正価値                        XXX

 

  • 金融資産及び金融負債がどのように一緒に管理されるかを反映して、金融負債は金融資産と同様に会計処理される。銀行のコア預金負債は、この低コストで安定的な資金源から企業が享受する経済的便益を反映した現在価値法を用いて毎期再測定される。この一部は、その他の包括利益を通じた再測定に適格となる。そうでなければ公正価値で再測定される金融負債は、認識された資産および負債の「会計上のミスマッチ」を回避するために、償却原価オプションに適格となる。
  • 回収または支払目的で保有する貸付金および他の負債性金融商品は、信用損失見積りのための単一モデルを用いて減損テストが実施される。提案は、貸付金の減損を認識するための、現行の「可能性が高い(probable)」という基準を除去し、「期待損失」モデルとなる。
  • ヘッジ会計規準は、以下のように簡素化される。 

  ◦企業は引続き、金融項目における特定のリスクを、ヘッジ関係においてヘッジされるリスクとして指定することができ、ヘッジされたリスクの影響のみが、各報告期間の純利益に反映される。

  ◦「ショートカット法」および「重要条件マッチ法」は、削除される。

  ◦企業は、単にヘッジ指定を解除することによっては、ヘッジ会計を中止することができなくなる。ヘッジ会計の規準をもはや満たさない場合、またはヘッジ手段が失効、売却、終了、あるいは行使される場合にのみ、ヘッジ会計が中止される。

  • 発効日および経過措置 

  ◦現在、発効日は2013年と予想される。

  ◦連結総資産が10億ドル未満の非公開企業は、貸付金およびコア預金に関連する特定の要求の適用を、発効日から4年後に延期することが認められる。

  ◦企業は、発効日の直前の報告期間における財政状態計算書に累積的影響の修正を行うことによって、提案されたガイダンスを適用する。早期適用は禁止される。

 

包括利益
  • FASB は、包括利益の合計およびその構成要素を、純利益(IFRSsでは「損益」と参照される)およびその他の包括利益(OCI)の二つに分けて、単一のつながった財務業績計算書に表示することを要求する提案をしている。 

  ◦財務業績を二つの別個の財務諸表に表示することは禁止される。

  ◦提案のパラグラフ220-10-45-10A は、米国会計基準(US GAAP)のもとでOCI項目として現在報告されている、11種類の利得および損失を識別している。

  ◦OCI項目がない企業は、包括利益の表示を要求されない。

  • 提案は、OCIに報告すべき項目、またはOCIの項目を純利益に再組替えすべき時点について変更を行わない。
  • 提案は一株当たり利益の計算に影響を及ぼさない。
  • 提案が採用される場合には、以下のようになる。 

  ◦金融商品の変更と同時に発効する

  ◦報告期間の比較可能性を改善するために、完全な遡及ベースで適用される。提案された改訂への準拠が既に認められているため、早期適用が認められる。

 

二つの公開草案のコメント期限は、2010年9月30日である。FASB は、さらに意見を募集するために、2010年10月12日および同月20日に円卓会議を開催する予定である。
公開草案は、FASBのWebサイトにおいて無料でダウンロードが可能である。
FASBの公開草案の付録Aは、FASBの提案と、現在IASBによって開発されている金融商品モデルとの詳細な比較が含まれる。
FASBはさらに、FASB議長のロバート・ヘルツ氏への突っ込んだインタビューを録音したポッドキャストと共に、金融商品の提案に関する報告書の要約 (PDFファイル・1,339KB・英語)を公表した。
またFASB は6月30日に、金融商品の提案に関するWebキャスト中継を主催する予定である。

 

FASBニュース・リリース (PDFファイル・49KB・英語)

<2010.05.22> 金融負債に適用される公正価値オプションに関するニュースレター

デロイトのIFRSグローバル・オフィスは、IAS Plus更新ニュースレター「IASBが金融負債に対する公正価値オプションの提案を公表する」(PDFファイル・63KB・英語)を発行した。
2010年5月11日に、国際会計基準審議会(IASB) は、IAS第39号の公正価値オプションを金融負債に適用する方法の改訂を提案する公開草案を公表した。
公開草案は、企業が公正価値測定を選択する金融負債について、「自己の信用力」の変化に起因する全ての利得および損失は、損益としてではなく、「その他の包括利益」の構成要素として認識すべきであると提案している。公開草案は、金融負債について、他の変更は提案していない。
公開草案「金融負債に対する公正価値オプション(ED/2010/4)」のコメントの期限は、2010年7月16日である。

 

IAS Plusニュースレター全号へのリンク

<2010.05.19> SEC委員長がグローバル会計基準に対するコミットメントを再確認する

米国公認証券アナリスト協会の年次会議におけるプレゼンテーションにおいて、米国証券取引委員会(SEC)のメアリー・シャピロ委員長は、米国および世界中の投資家に恩恵をもたらすことになる、単一の高品質でグローバルな会計基準を開発するというSECのコミットメントを再確認した。

プレゼンテーションの中で、同氏は、SECおよびIFRSsに関するいくつかの風評を正した。

 

シャピロ委員長の発言 (PDFファイル・41KB・英語)

 

以下は風評に関するいくつかの抜粋である。

 

風評1 「グローバルな会計基準に対するSECのコミットメントは、本来あるべきものほど強いものでない」

この件に関して直ちに誤りを正そう。この誤りは、コンバージェンスおよびグローバルな会計基準をサポートする「委員会声明」の公式文書を引用することによって正すことができる。本年2月に我々は明確に以下のように述べている。

「SECは、単一の高品質でグローバルな会計基準が米国の投資家に恩恵をもたらし、この目標が我々のミッションである、投資家保護、公正で秩序ある効率的な市場の維持、および資本形成の促進と一致するということを、引続き確信している。この目標に向けた一歩として、我々は、米国会計基準(U.S. GAAP)と国際財務報告基準(IFRS)のコンバージェンスを引続き奨励し、コンバージェンス・プロジェクトの結果、両者の差異は時間とともにより少なく、より限定的になるものと予想している。」

これで明白であろう。次に移ろう。

 

風評2 「米国はコミットしているかもしれないが、IFRSの適用に関し、もたもたしている」

これも誤りである。ここで明確にしたいのは、私は高品質な会計基準に対する我々のコミットメントについて確信しているが、同様に強く確信していることは、このコミットメントは議論の終わりではなく始まりにすぎないということである。

コンバージェンスのプロセスは、米国市場にIFRSを導入するうえで重要なものである。IASBおよびFASB は、投資家のニーズおよび保護がこのプロセスを通じて最優先であることを常に考えなければならない。

これまでFASBおよびIASBは、 困難な財務報告問題に対する共通の解決に到達するために作業に励んできたが、現在、U.S. GAAPとIFRSは多くの主要領域においてコンバージェンスされていない。これには、金融資産の会計処理(金融危機の渦中にある、まさにそのタイプの証券)、収益認識、連結原則、およびリースが含まれる。

コンバージェンスのゴールをタイムリーに達成するために、より一層の努力をすることは重要であるが、基準設定主体のデュー・プロセスを考慮することなしに行われるコンバージェンスの取組みは、長期的には投資家に役立つものにはならない。

最終的に新しい基準を実践し使用する企業や投資家および他の利害関係者からのインプットを募集、受領し、分析することに時間をかけることが重要である。

さらに、最終基準の完全性を確保するためにFASBおよびIASB によって導入されるプロセスは、質実ともに尊重されなければならない。プロセスおよびテスティングに十分時間をかけないことは、ひいては不十分な決定をするリスクを増大させることになる。我々はコンバージェンスにコミットしている。しかし我々がとりわけコミットしているのは、会計基準に対する高品質な改善を実現するコンバージェンス活動なのである。

実際に我々はそれに向けて前進している。我々は包括的な作業計画を実行し、そこに多くの資源を投入し、定期的な進捗レポート提出する。次回のレポートは、本年10月にリリースする予定である。

これは当然に以下につながる。

 

風評3 「米国はプロセスに固執している」

これは正確ではない。米国は成功裏に向けたプロセスの重要性を理解している。我々のより大きな目標を浸食したり、高品質でグローバルな基準の達成に関するリスクに妥協するようなショートカットを、我々は受容れない。

基準設定プロセスで重要なのは、IASBおよびFASB が不当な政治的または商業的な圧力から保護されることをを確保することであり、特に今は、多くの共同プロジェクトを最終基準化する作業を行っているため、なおさらである。

FASBと同じく、IASBにも、高品質の中立的な会計基準の目標を曖昧にする商業的、政治的な影響および他の影響に対処できるようにデザインされた、構造的なセーフガードが設置されている。これらのセーフガードには、公的資本市場当局者から構成されるモニタリング・ボードも含まれ、私もその投票権のあるメンバーになっている。

モニタリング・ボードは、基準設定組織と政府当局の間の監視関係を創出する。モニタリング・ボードによって、規制当局は、コンバージェンスが進むにつれて、投資家および市場の誠実性ならびに資本の形成を保護する使命から解放されることを確実にすることができ、その信頼性がさらに高まる。

モニタリング・ボードの存在は、グローバルな基準の合意プロセスをより複雑にするが、それは他の手続上のセーフガードと同様、実現しうる最良の結果に到達するために重要なものである。

 

風評4 「米国は偏狭な利益を保護している」

これも間違いである。我々が保護しているのは、我々の市場における投資家の利益であり、我々はそれがSECが行っている仕事であることを常に望んでいる。世界中の投資家が我々の市場に参加する場合、彼らはSECの保護下に置かれるのである。

しかしこの保護があってもなお、我々は領域を越えて継続的に協働することができ、またそうしなければならない。世界経済は、偏狭な利益を容認するには、あまりにも絡み合っており、あまりに相互依存している。我々の目標は、いたるところの資本市場参加者が会社の財務業績および財政状態に関する情報にアクセスでき、それによって彼らが十分な情報を得たうえで経済的判断を行うことができるようなルールとなる中立的なプロセスを確実にすることである。会計基準は投資家に対し透明性を提供する必要があり、事実を覆い隠すものであってはならない。たとえその事実が痛みを伴うものであっても。