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金融商品取引行等に関する内閣府令等の改正

監査に関する改正内閣府令の概要

平成24年3月、証券取引所等監視委員会によりある投資顧問株式会社(以下「投資顧問会社X社」という。)への検査が行われ、投資顧問会社X社による法令違反の事実が明らかとなった。この投資顧問会社X社の不正事件に内在する問題に規制・監督上対応するため、平成24年12月13日に金融商品取引業者等に関する内閣府令その他諸法令、監督指針が改正(以下「本改正内閣府令等」という。)された。

金融商品取引業等に関する内閣府令等の改正

投資顧問会社X社の不正事件の内容
投資顧問会社X社の不正事件の内容は、証券取引等監視委員会の発表によると、以下のとおりである。
(1) 投資一任契約の締結の勧誘において、虚偽の事実を告知している行為

イ.投資顧問会社X社は、投資一任契約を締結している年金基金等の顧客に対し、かかる投資一任契約に基づく運用対象資産として投資顧問会社X社が運用している外国投資信託「海外投資信託A」の買付けを指図しているが、顧客に対して海外投資信託Aの各サブファンドについて虚偽の基準価額を算出・報告していた事実が認められた。

ロ.虚偽の基準価額の算定に当たっては、投資顧問会社X社社長は、自らの相場観に基づき決定した一定の数値を虚偽の基準価額として算出していた。

ハ.投資顧問会社X社社長により算出された虚偽の基準価額は、海外投資信託Aの管理会社の取締役でもある投資顧問会社X社取締役から海外投資信託Aの販売証券会社である証券会社Y社に対して伝えられている。

ニ.投資顧問会社X社は投資一任契約の締結の勧誘について、少なくとも平成19年10月以降、66の顧客(年金基金)に対し、証券会社Y社と一体となって虚偽の基準価額や当該基準価額に基づく運用実態が記載されたリーフレットを配布し、投資一任契約の締結の勧誘を行っていることが認められた。

上記の行為は、金融商品取引契約の締結に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為であり、金融商品取引法第38条第1号に該当するものと認められる。

 

(2) 虚偽の内容の運用報告書を顧客に交付する行為

投資顧問会社X社は、金融商品取引法第42条の7第1項の規定に基づく運用報告書について、金融商品取引業等に関する内閣府令第134条第1項第2号ロに規定する事項のうち、有価証券の価額について、虚偽の基準価額を用いて記載をし、かかる運用報告書を顧客に交付していることが認められた。

上記の行為は、虚偽の内容の運用報告書を作成し、顧客に交付しているものであり、金融商品取引法第42条の7第1項に違反するものと認められる。

(3) 虚偽の内容の事業報告書を作成し、関東財務局長に提出する行為

イ.投資顧問会社X社は第22期事業報告書(平成22年1月1日から平成22年12月31日の事業年度)において、平成22年12月31日現在の運用資産の総額として、国内の運用資産総額は183,210百万円、海外の運用資産総額は206,997百万円などと記載をして関東財務局長に提出している。

ロ.しかしながら、これらの計数は海外投資信託Aの受託銀行の代理人が算出している各サブファンドの基準価額等に基づかない虚偽の計数であることから、投資顧問会社X社は事業報告書に虚偽の記載をしていると認められる。

上記の行為は、虚偽の事業報告書を作成し、関東財務局長に提出したものであり、金融商品取引法第47条の2に違反するものと認められる。
 

(4) 忠実義務違反

イ.投資顧問会社X社は、顧客である年金基金等の財産の運用に当たって、著しく価値が毀損していることを知りながら自らが偽装した虚偽の基準価額をもって海外投資信託Aを購入することを指図している。

ロ.また、投資顧問会社X社は、海外投資信託Aが出資している投資事業組合(当社社長が実質的に支配)に解約請求に係る外国投資信託受益証券を虚偽の基準価額で買い受けさせているなど、ファンドの財産を不当に流出させている。

上記の行為は、虚偽の事業報告書を作成し、関東財務局長に提出したものであり、金融商品取引法第47条の2に違反するものと認められる。

ハ.このように、投資顧問会社X社は投資運用業者として、権利者である顧客のため忠実に業務を行っていないと認められる。

上記の行為は、忠実義務に違反するものであり、金融商品取引法第42条第1項に違反するものと認められる。
 

監査に関係する改正内閣府令の概要

当該投資顧問会社X社の事件に内在する問題に規制・監督上対応するため、前述のとおり金融商品取引業等に関する内閣府令その他諸法令、監督指針が改正されている。改正点は主に3点あり、一番目の改正点は、「信託会社等の第三者によるチェックが有効に機能する仕組み」の規定、二番目の改正点は「顧客(年金基金等)が問題を発見しやすくする仕組み」の規定、三番目の改正点は、「投資運用業者に対する規制・監督・検査の在り方の見直し」の規定である。
まず、一番目の改正点である「信託会社等の第三者によるチェックが有効に機能する仕組み」における監査に関係する改正点として、金融商品取引法2条8項12号に掲げる行為を特定投資家以外の者と締結する投資一任契約に基づき行う投資一任業者が、「対象有価証券」を運用投資対象として組み入れる場合、当該投資一任業者に、顧客の運用財産を管理している信託会社等が「ファンド監査」の真正な監査報告書等の提供を受けるような措置を講ずることを義務付けている。
二番目の改正点である「顧客(年金基金等)が問題を発見しやすくする仕組み」における監査に関係する改正点として、投資一任契約等(金融商品取引法2条8項13号に掲げる行為のうち投資一任契約に係るもの)に係る契約締結前交付書面及び運用報告書上に、「外部監査」の情報を含む、関連記載の拡充が図られている。
三番目の改正点である「投資運用業者に対する規制・監督・検査の在り方の見直し」における監査に関係する改正点として、投資一任業者が金融庁に提出する事業報告書に、「ファンド監査」の状況や投資運用業を行う者に係る「外部監査」の状況を記載することが追加されている。
 

信託会社等がファンドの「真正な監査報告書等」を入手できるようにする措置

投資一任業者が講じる義務を負う、信託会社等がファンドの「真正な監査報告書等」を入手できるようにする措置は、具体的には以下の改正内閣府令130条1項15号ハ(1)から(3)のいずれかの措置である。

(投資運用業に関する禁止行為)
第百三十条
法第四十二条の二第七号に規定する内閣府令で定める行為は、次に掲げる行為とする
一から十四(略)

十五 運用財産(法第二条第八項第十二号に掲げる行為を投資一任契約に基づき行う業務に係るものに限る。以下この号及び第三項において同じ。)の管理について権利者(特定投資家を除く。イ(1)及び同項第一号において同じ。)が信託会社等(信託会社又は信託業務を営む金融機関をいう。以下この号及び同項第一号において同じ。)への信託をする場合において、当該運用財産の運用に関し、当該運用を行う金融商品取引業者が、対象有価証券について次に掲げる要件を満たすことなく、当該対象有価証券の取得又は買付けの申込みを行うこと。

イ (略)
ロ 当該対象有価証券に係る権利を有する者から出資又は拠出を受けた資産に係るファンド監査が行われること。
ハ 当該信託会社等がロのファンド監査の真正な監査報告書等の提供を受けるために必要な措置として次に掲げるいずれかの措置を講ずること。

(1) 当該信託会社等が、当該ファンド監査の監査報告書等について、当該ファンド監査を行った者から直接に提供を受けることを確保するための措置
(2) 当該信託会社等が、当該ファンド監査の監査報告書等について、当該ファンド監査を行った者から当該金融商品取引業者又は当該金融商品取引業者の親法人等、子法人等若しくは関係外国法人等以外の者を経由して提供を受けることを確保するための措置
(3) その他当該信託会社等が当該ファンド監査の真正な監査報告書等の提供を受けることを確保するための措置

ここで、「対象有価証券」とは、改正内閣府令96条4項により規定する対象有価証券から、改正内閣府令130条3項に規定するものを除くものと定められている。すなわち、投資信託・外国投資信託の受益証券、投資法人・外国投資法人の投資証券・外国投資証券、内国籍・外国籍の集団投資スキーム持分等が該当し、国内で公募されているものや投資対象が国内上場株等の一定のものに限定されている投資信託の受益証券であって、一定の要件をみたすもの等は除かれている。
 

「ファンド監査」とは、当該金融商品取引業者(投資一任業者)の所属する金融商品取引業協会の規則(金融庁長官の指定するもの)の定める要件を満たす外部監査(*2)であり、協会規則を定める金融商品取引業協会に加入していない金融商品取引業者にあっては、「ファンド監査に関する規則」(一般社団法人日本投資顧問業協会規則)の定める要件を満たす外部監査(以下併せて「ファンド監査」という。)をいう(*3)。

「監査報告書等」とは、ファンド監査を行ったものがファンド監査の結果を記載した書面、いわゆる監査報告書及び当該ファンド監査の対象となった貸借対照表、損益計算書その他の財務計算に関する書類(*4)である。

改正内閣府令130条は投資運用業に関する禁止行為であり、対象有価証券に係る権利を有する者から出資又は拠出を受けた資産に係るファンド監査が行われず、また投資運用業者が信託会社等がファンドの「真正な監査報告書等」を入手できるようにする措置を講じない場合は、投資運用業者に対して、当該対象有価証券の取得又は買付けの申し込みを行うことを禁止している。なお、本措置は、本改正内閣府令等の施行前にすでに投資している対象有価証券については遡及して適用されない(*5)。
(*2)金融商品取引業者等に関する内閣府令130条4項
(*3)金融庁告示第三十八号(平成25年6月28日)2条
(*4)金融商品取引業等に関する内閣府令130条6項
(*5)「金融商品取引業等に関する内閣府令」等改正案に対するパブリックコメントの結果等について」における「コメントの概要及び金融庁の考え方について」(平成24年12月13日公表)(以下「パブリックコメントに対する考え方」)No.15

(1)当該信託会社等が、ファンド監査の監査報告書等について、当該ファンド監査を行った者から直接に提供を受けることを確保するための措置

この規定はファンド監査を行った者、すなわち監査法人及び公認会計士から直接、監査報告書等を信託会社等に送付することを確保するための措置である。投資一任業者が運用の対象としている「対象有価証券」が海外の外国投資信託の受益証券、外国投資法人の投資証券・外国投資証券、外国籍の集団投資スキーム持分等である場合は、当該対象有価証券の監査を実施している外国の監査法人及び公認会計士から直接国内の信託会社等に送付することが必要となり、対象有価証券に係る監査が実施されているかどうかの把握、実施されていればどの監査法人等から送付を取り付けるか等の手配が必要となる。
 

(2)当該信託会社等が、当該ファンド監査の監査報告書等について、当該ファンド監査を行った者から当該金融商品取引業者又は当該金融商品取引業者の親法人等、子法人等若しくは関係外国法人等以外の者を経由して提供を受けることを確保するための措置

この規定は、前規定とは異なり監査法人等から信託会社等に監査報告書等が提供される経路に複数の者の介在を許容する規定であるが、当該経路に介在する複数の者は、投資一任業者又はそのグループの者であってはならない、とするものである。
投資顧問会社X社の事件においては、投資顧問会社X社の子法人である、海外投資信託Aの管理会社であるファンド管理会社Z社が、監査事務所から監査報告書等の提供を受けていたが、親法人である投資顧問会社X社による顧客への開示拒否等により、当該監査報告書等が海外投資信託Aの投資者である投資顧問会社X社の顧客や投資顧問会社X社の顧客資産を管理する国内信託銀行に送付されることはなかった。
そのため、投資一任業者及びその子法人等若しくは関係外国法人等から国内信託会社等に監査報告書等が送付されても、これらの者は監査報告書等を送付しない、または、その監査報告書を改ざんすることができる立場にあるため、当該経路に介在する複数の者が投資一任業者及びその子法人等若しくは関係外国法人等以外の者であることを要求している。

投資一任業者が運用の対象としている「対象有価証券」が海外の外国投資法人の投資証券・外国投資証券、外国籍の集団投資スキーム持分等である場合は、ファンド計理サービスや株主や規制当局向け報告書の作成及び提出等の業務を提供するアドミニストレーターが監査報告書等を監査法人等から受領しているケースが多いため、当該アドミニストレーターが投資一任業者やその子法人等若しくは関係外国法人等でない場合は、本規定を通常満たすものと考えられる。

監査契約に基づき、海外の監査事務所は、投資会社トラスティーや取締役会及び(又は)ファンドと監査契約を締結し、ファンド計理や株主・規制当局向け報告書を担当しているアドミニストレーターが作成するファンド財務諸表の監査を実施するのが通常である。海外の監査事務所は監査が完了したら、監査報告は投資会社トラスティーや取締役会及び(又は)ファンドに行うが、実際の発行した監査報告書等はアドミニストレーターに提出し、それを受けてアドミニストレーターが規制当局向けの報告の一つに当該監査報告書等を組み込むのが実務では見られることである。監査報告書等の写しはファンド管理会社へも送付され、日本の投資一任業者は当該ファンド管理会社経由で監査報告書等を入手しているケースが多い。
 

改正内閣府令施行前の監査報告書等の送付経路から、当該規定を満たすためには、監査事務所から直接監査報告書等の提供を受けたアドミニストレーターが直接信託会社等に、当該監査報告書等を送る経路になると想定される。
実務上は、今までのアドミニストレーターからファンド管理会社に監査報告書等を送付するステップに加えて、信託会社等にも送付するという新たなステップが必要となると想定される。

なお、通常アドミニストレーターの業務として、株主や規制当局向け報告書の作成・提出の一環で、当該監査報告書等を含むアニュアル・レポートを作成している場合は、

1.当該アニュアル・レポートに内閣府令130条6項に規定する「監査報告書等」に該当するものが全て含まれており、かつ
2.当該アニュアル・レポート上「監査報告書等」に該当する部分が特定されているもの

であれば、当該アニュアル・レポートは「監査報告書等」に該当するものとされている。ただし、その場合であっても、当該アニュアル・レポートの作成者に金融商品取引業者又は当該金融商品取引業者の親法人等、子法人等若しくは関係外国法人等が含まれている場合は、本規定を満たさないものとされている(*6)。

(*6)パブリックコメントに対する考え方No.74からNo.76

(3)その他当該信託会社等が当該ファンド監査の真正な監査報告書等の提供を受けることを確保するための措置

この規定は、どのような措置を講じればファンド監査の真正な監査報告書等の提供を受けることを確保したと判断できるかについて、事例に応じて実質的に判断を求めるものである。パブリックコメントに対する金融庁の考え方として、下記1から3は本規定を満たす旨が示されている。

1.投資一任業者又はファンド関係者のウェブ上に監査報告書を掲載する際に、改ざんに対する牽制のため、閲覧権を国内信託銀行及び監査法人に与える方法(この場合において、国内信託銀行が監査報告書の真正性の確認のため、監査事務所に問い合わせを行おうとするときは、投資一任業者はそのために必要な措置を講じるものとする。)(*7)

2.ファンド管理会社等が監査報告書を電子メールに添付して送付する際に、改ざんに対する牽制のため、送付先を国内信託銀行及び監査法人とする方法(この場合において、国内信託銀行が監査報告書の真正性の確認のため、監査事務所に問い合わせを行おうとするときは、投資一任業者はそのために必要な措置を講じるものとする。)(*8)

3.外国で銀行業を営んでいる法人(ただし、当該国において銀行法第4条第1項の免許又はこれに類する許可その他の行政処分を受けたものに限る。)であって、国内信託銀行が信頼できるものを経由して監査報告書を送付する方法。 (当該外国で銀行業を営んでいる法人が「投資一任業者の関係外国法人等」である場合もこれに含まれるものと考えられる。)(*9) 

契約締結前交付書面及び運用報告書等の外部監査の有無に係る記載事項

次に投資一任契約に係る契約締結前交付書面上、本改正内閣府令等のうち監査に関係する事項として拡充された規定を見ていく。

5-1 投資一任業者自身に関する情報
本改正内閣府令等は、その締結しようとする金融商品取引契約が投資一任契約又は投資一任契約の締結の代理又は媒介を行うことを内容とする契約である場合、

1.投資一任業者の財務に関する外部監査又は投資一任契約に係る業務に関する監査に関する外部監査の有無、

2.外部監査を受けている場合は、外部監査を行った者の氏名又は名称並びに当該外部監査の対象及び結果の概要
の記載を契約締結前交付書面に追加している。(改正内閣府令96条1項6号)

改正内閣府令96条1項6号に定める「外部監査」には、金融商品取引法の規定に基づく財務諸表監査・内部統制監査、会社法に基づく会計監査人監査、監査・保証実務委員会実務指針第86号「受託業務に係る内部統制の保証報告書(日本公認会計士協会)」、SSAE16号等の基準に基づく受託企業の内部統制に関する保証業務、グローバル投資パフォーマンス基準準拠に関する検証(*10)が該当すると考えられる。

なお、当該財務諸表監査・内部統制監査及び会社法に基づく会計監査人監査において、投資一任業者を子会社とするグループ親会社で実施されている監査については、任意で契約締結前交付書面に記載することは妨げられないが、本規定上の「外部監査」には該当しない(*11)。

また、投資一任契約に係る業務に関する監査の結果については、例えば、その結果内容を幅広く第三者へ開示することを監査契約で制限している場合がある。ただし、契約締結前交付書面は、個々の顧客との間で契約を締結する前に交付すべき書面であり、幅広く第三者へ開示することを求める書面ではない。このため、当該業務監査の外部監査人との協議等も踏まえて、個別具体的なケースに応じて判断されることにはなるものの、基本的には当該「外部監査の結果の概要」の記載をする必要はあると考えられている(*12)。
(*7)パブリックコメントに対する考え方No.80からNo.84
(*8)パブリックコメントに対する考え方No.80からNo.84
(*9)パブリックコメントに対する考え方No.85
(*10)金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針VI-2-2-2(2)④及びパブリックコメントに対する考え方No.125からNo. 128
(*11)パブリックコメントに対する考え方No.125からNo. 127
(*12)パブリックコメントに対する考え方No.124
 

金融商品取引業等に関する内閣府令の改正

一方、投資一任契約に係る外部監査に関する監査の結果の概要に関して、通常、当該投資一任契約に係る外部監査契約書上、当該結果が記載された監査報告書について、その対象となった財務諸表と一体で利用しない限り、無断でその内容の転載等を行うことができない。また、任意監査の場合は監査人が監査報告書上に、監査報告書の配布又は利用制限その他一定の事由を記載しようとする場合がある。(*13)

本改正内閣府令等のうち監査に関係する事項として追加された記載内容は、投資家による投資一任契約の締結・継続に係る判断に当たって重要であると合理的に考えられる情報であり、当該情報の開示を充実させる趣旨(*14)で設けられたものである。そのため、監査結果の概要を記載する際には、投資家に誤解を与えないよう、予め監査人と記載内容を相談するなどの対応が想定されている(*15)。

また、本改正内閣府令等のうち監査に関係する事項として追加された記載内容を契約締結前交付書面に反映する対応期間については、外部監査に係る報告を受けた後、合理的な期間内において、遅滞無く反映する必要があるものとされている(*16)。なお、継続した外部監査ではなく、一回性(スポット)の外部監査である場合の契約締結前交付書面上の記載期間は、例えば概ね1年間程度で当該外部監査を受けた前提に変化があると考えられる場合には、当該期間記載することが考えられる(*17)。

ファンド資産に係る外部監査の有無及び関連情報
ファンド資産に係る外部監査についても、関連情報の記載が本改正内閣府令等で追加されている。具体的には

1.ファンド資産に係る外部監査の有無、
2.外部監査を受ける場合の当該外部監査を行う者の氏名又は名称、
の記載が以下の改正内閣府令96条1項6号及び同条2項4号で要求されている。

(投資一任契約等に係る契約締結前交付書面の記載事項)
第九十六条 その締結しようとする金融商品取引契約が投資一任契約又は法第二条第八項第十三号に掲げる行為(投資一任契約に係るものに限る。第六号において同じ。)を行うことを内容とする契約である場合における法第三十七条の三第一項第七号に規定する内閣府令で定める事項は、第八十二条各号に掲げる事項のほか、次に掲げ令で定める事項は、第八十二条各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項とする。
一から五 (略)
六当該金融商品取引業者等(その締結しようとする金融商品取引契約が法第二条第八項第十三号に掲げる行為を行うことを内容とする契約である場合にあっては、当該行為に係る投資一任契約の相手方となる金融商品取引業者等)の財務又は投資一任契約に係る業務に関する外部監査の有無並びに当該外部監査を受けている場合にあっては、当該外部監査を行った者の氏名又は名称並びに当該外部監査の対象及び結果の概要

2 一から三 (略)
四 ファンド資産に係る外部監査の有無及び当該外部監査を受ける場合にあっては、当該外部監査を行う者の氏名又は名称

3 第八十三条第二項の規定は、投資一任契約について準用する。この場合において、同項中「前項各号」とあるのは「第九十六条第一項各号及び第二項各号」と、「同項の」とあるのは「これらの」と、「同項各号」とあるのは「同条第一項各号及び第二項各号」と読み替えるものとする。

4 (略)

(*13)日本公認会計士協会法規委員会研究報告第14号
「監査及び四半期レビュー契約書の作成例」
(*14)パブリックコメントに対する考え方No.113、No.116からNo.118
(*15)パブリックコメントに対する考え方No.114及びNo.115
(*16)パブリックコメントに対する考え方No.121からNo.123
(*17)パブリックコメントに対する考え方No.129

 

投資一任業者等の運用報告書等上、本改正内閣府令等のうち監査に関係する事項として拡充された規定についても、投資一任業者の外部監査に関する事項については、投資一任契約に係る契約締結前交付書面上に記載する内容と同様であるが、ファンド監査に係る外部監査の有無及び外部監査を行う者の氏名又は名称の記載は要求されていない。具体的には下記のとおりであり、以下の改正内閣府令134条1項11号にて規定されている。

1.投資一任業者の財務に関する外部監査又は投資一任契約に係る業務に関する監査に関する外部監査の有無

2.外部監査を受けている場合は、外部監査を行った者の氏名又は名称並びに当該外部監査の対象及び結果の概要

(運用報告書の交付)

第百三十四条
法第四十二条の七第一項の運用報告書(以下この条及び次条において単に「運用報告書」という。)には、次に掲げる事項(第九号から第十一号までに掲げる事項にあっては、運用財産が法第二条第八項第十二号に掲げる行為を投資一任契約に基づき行う業務に係るものである場合に限る。)を記載しなければならない。

事業報告書の外部監査の有無に係る記載事項

最後に、投資一任業者が金融商品取引業者として金融庁へ提出する事業報告書上の改正記載事項のうち、監査に関係した改正記載事項を説明する。
改正記載事項として、別紙様式第十二号の「(19)投資運用業に係る経営の状況」に下記の記載が追加された。

(1)「2.投資運用業を行う者に係る外部監査の状況」
投資運用業を行う者の財務諸表について、公認会計士又は監査法人による外部監査を、年一回以上の頻度で受けている場合に、
1.監査人名
2.監査の内容(法定監査又は任意監査の別及び結果の概要を具体的にかつ簡潔に記載する)
を記載する。

(2)「3.ファンド監査の状況」

下記イからハの状況区分ごとに、下記(i)(ii)及び(iii)の別で、記載する。

イ 投資一任契約に係る業務におけるファンド監査の状況
ロ 投資信託、外国投資信託及び投資法人に関する運用に係る業務におけるファンド監査の状況
ハ 法第2条第8項第15号に掲げる行為に係る業務におけるファンド監査の状況

(i) 国内籍(公募・私募)、外国籍(公募・私募)ごとの財務諸表監査が実施されているファンド数(法定監査数を内書)
(ii) 国内籍(公募・私募)、外国籍(公募・私募)ごとの投資先ファンド数
(iii) 財務諸表監査が実施されているファンド総数の投資先ファンド総数に占める割合

なお、改正内閣府令130条1項15号ロに基づくファンド監査は、イに係る業務における(i)のファンド数において、「法定監査」に含まれる(*18)。

施行日

以上説明した「4.信託会社等がファンドの「真正な監査報告書」を入手できるようにする措置」、「5.契約締結前交付書面及び運用報告書等の外部監査の有無に係る記載事項」及び「6.事業報告書の外部監査の有無に係る記載事項」に記載した事項に関連する改正については、平成25年7月1日から施行している。
 

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