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「金融機関向けIFRSニュース 2023年9月」(2023年10月掲載)

銀行・証券・保険・リース・クレジットカード

デロイトが発信する IFRS関連の総合ナレッジサイト「IAS Plus」等より、特に金融機関(銀行、証券、保険やリース・クレジットカード会社等)に関連性の高いグローバルな最新動向を日本語で集約しご紹介しております。

「金融機関向けIFRSニュース 2023年9月」

デロイトが発信するIAS Plusの情報等のうち、特に金融機関に関連性の高い情報(IFRS関連に加え、日本基準やUSGAAP関連であっても関心が高そうな情報を含む)を日本語で集約し、金融機関等の皆様に向けて週次でニュース配信しております。以下は、配信した週次ニュースを月次単位(記事日付の属する月基準)で集約した記事一覧・概要(一部抜粋)となります。実際の詳細な週次ニュース配信のご要望等ございましたら、右上のお問合せからお問合せください。なお、公式の翻訳ではありませんので、参考情報としてご活用ください。時制は、各記事の掲載時点のものとなります。本文中の団体・組織名の略称については、リンク先の<凡例(PDF))>をご参照ください。

 

<今月のハイライト>

◆金融商品

    ■ JICPAによるIASB情報要請『IFRS第9号「金融商品」の適用後レビュー―減損』に対するコメントの提出
    国際会計基準審議会(IASB)からの情報要請『IFRS第9号「金融商品」の適用後レビュー―減損』について、日本公認会計士協会(JICPA)は2023年9月22日付けでコメントを提出しました。JICPAは、予想信用損失モデルの適用に伴い、新たな複雑性が一定程度認められるとともに、特定の取引や事象について、予想信用損失の測定や信用リスクの開示につき実務の多様性や適用の困難性が生じており、要求事項の明確化や関連するガイダンスの提供が必要と考える点に言及しています。なお、ASBJ及びデロイトからも別途コメントが提出されております。各コメントの内容につきましては、記事概要欄のリンク先をご参照下さい。

    ◆サステナビリティ

    ■ 欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)の最終化を解説するニュースレターの掲載
    デロイトによる欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)の最終化を解説するニュースレターが掲載されました。欧州委員会(EC)は、2023年7月31日に、委任規則によってESRS 1stセットを正式に採択し、欧州議会及び欧州理事会に提出しました。同委任法には、2つの横断的基準、及び環境・社会・ガバナンスについての10個のトピック別基準が含まれます。ESRSに準拠した必須開示について、企業サステナビリティ報告指令(CSRD)は企業グループのタイプに応じて異なる適用日を定め、最初のグループについて2024年1月1日以降に開始する会計年度からの適用が要求されます。

    ■ ISSBによるIFRS S1号及びS2号の移行支援グループ(Transition Implementaiton Group)の設立
    ISSBは、IFRS S1号「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」及びS2号「気候関連開示」に関して、各企業での適用を支援するために「移行支援グループ(Transition Implementation Group:TIG)」を設立しました。TIGでは、ステークホルダーからの質問を募集、分析、議論することや、当該質問をISSBに情報共有し、また、ステークホルダーが当該質問に関する議論を理解するための公開フォーラムを提供することが目的とされています。

     

    <今月の配信記事一覧>

     

    ※1 発信元の正式名称はリンク先の<凡例(PDF)>をご参照ください。
    ※2 <今月のハイライト>で個別に取り上げた記事を■で、1つのテーマで紹介した複数記事を□で示しています

     

    <記事概要>

    金融商品

    【JICPA】

    • (2023年9月25日)
      IASB情報要請『IFRS第9号「金融商品」の適用後レビュー―減損』に対するコメントが提出されました。
      2023年5月30日に国際会計基準審議会(IASB)から、情報要請『IFRS第9号「金融商品」の適用後レビュー―減損』が公表され、意見が求められていましたが、日本公認会計士協会(JICPA)の会計制度委員会は、当該情報要請に対するコメント(全14ページ)を取りまとめ、2023年9月22日付けで提出しました。
      コメントの中でJICPAは、予想信用損失モデルの適用に伴い、新たな複雑性が一定程度認められるとともに、例えば以下に挙げられるような特定の取引や事象について、予想信用損失の測定や信用リスクの開示につき実務の多様性や適用の困難性が生じており、要求事項の明確化や関連するガイダンスの提供が必要と考える点に言及しています。
      • 予想信用損失の測定
        • リボルビング払い方式の与信
        • ロールオーバーすることを前提とした短い契約期間の貸出
        • 「不可分な」信用補完
      • 購入又は組成した信用減損金融資産(POCI債権)
        • POCI債権の取得後に、予想キャッシュ・フローの見込みが当初より改善(favorable change)した場合の利得の相手勘定の取扱い
      • IFRS第9号の減損の要求事項と他の要求事項の適用
        • 2022年9月のIFRS解釈指針委員会「貸手のリース料免除(IFRS第9号「金融商品」及びIFRS第16号「リース」)」のアジェンダ決定
        • 事後的に信用減損金融資産になった後の金利収益の算定
        • 直接償却
        • 信用の悪化に関連する条件変更
      • 信用リスクの開示
        •  「金融商品の信用リスクが当初認識以降に著しく増大したのかどうかを企業がどのように判定したのか。」(IFRS第7号「金融商品:開示」第35F(a)項)についての開示
        • IAS第1号「財務諸表の表示」第125項に基づく重要な見積りの開示
        • モデル適用後の調整又はマネジメント・オーバーレイ
      • その他の事項
        • その他の包括利益(OCI)を通じて公正価値評価される負債性金融資産(FVOCI負債性金融資産)に対する予想信用損失
        • 金融保証契約に対する予想信用損失

    なお、ASBJ及びデロイトからも別途コメントが提出されております。
    ASBJのコメントの内容は、こちら(ASBJのウェブサイト)
    デロイトのコメントの内容は、こちら(デロイトのウェブサイト)

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    サステナビリティ

    【ISSB】

    • (2023年9月14日)
      IFRS S1号及びS2号の移行支援グループ(Transition Implementaiton Group)を設立しました。
      ISSBは、ステークホルダーからのIFRS S1号「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」及びS2号「気候関連開示」に関する質問を募集、分析、議論し、当該質問をISSBに情報共有し、また、ステークホルダーが当該質問に関する議論を理解するための公開フォーラムを提供する目的で「移行支援グループ(Transition Implementation Group:TIG)」を設立しました。

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    【DTT】

    • (2023年9月22日)
      『iGAAP in Focus — European sustainability reporting:欧州サステナビリティ報告基準の最終化』が掲載されました。
      デロイトによる欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)の最終化を解説するニュースレター(全26ページ)が掲載されました。
      欧州委員会(EC)は、2023年7月31日に、委任規則によってESRS 1stセットを正式に採択し、最終確認のために欧州議会及び欧州理事会に提出しました。同委任法には、2つの横断的基準、及び環境・社会・ガバナンスについての10個のトピック別基準が含まれます。
      ESRSに準拠した必須開示について、企業サステナビリティ報告指令(CSRD)は企業グループのタイプに応じて異なる適用日を定めており、最初のグループについては2024年1月1日以降に開始する会計年度からの適用が要求されます。CSRDは今後EU加盟各国で法制化され、各国における追加的な要求事項が規定される可能性があります。

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    会議

    【IASB】

    • (2023年9月27日)
       2023年9月のIASB会議の議事メモ(DTT作成)が掲載されました。
      2023年9月19日から21日にかけて開催された当会議では、以下を含むトピックが議論されました。
      • 財務諸表における気候関連リスク
        (以下を含む暫定決定事項あり)
        • IASBは、当プロジェクトの目的は、財務諸表における気候関連及びその他の不確実性に関する財務情報の報告を改善できるかどうか、改善できる場合にはどのように改善できるかを探求することであると暫定決定しました(この決定により、当プロジェクトの名称が「財務諸表における気候関連及びその他の不確実性」に変更されます)。また、IASBは、財務諸表における気候関連リスクの影響の報告に関する懸念に対処するための取り得るアクションについても暫定決定しました。
      • 金融商品の分類及び測定の修正
        (暫定決定事項なし)
      • 企業結合 ― 開示、のれん及び減損
        (以下を含む暫定決定事項あり)
        • IASBは、これまでに暫定決定した事項の要約を受領し、暫定決定されていなかった以下を含む技術的側面について暫定決定しました。
          • IFRS第3号「企業結合」の開示要求の修正案を取得日が修正の発行日以後である企業結合に適用することを企業に要求し、早期適用を認める
          • IFRS第3号の修正案の適用の具体的な免除を初度適用企業に提供しない
          • IAS第36号「資産の減損」の修正案を、修正案の発効日以後の減損テストに適用することを企業に要求し、早期適用を認める
          • IAS第36号の修正案の適用の具体的な免除を初度適用企業に提供しない
          • IASBは、適用されるデュー・プロセスの要求事項を遵守し、公開草案に対する書面投票を行うことを承認しました。
      • 共通支配下の企業結合
        (暫定決定事項なし)

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    【ISSB】

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    【IASB/FASB】

    デロイトの会議要約記事(10月5日掲載)はこちら(デロイトのウェブサイト)

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    【IFRS IC】 

    • (2023年9月14日)
      2023年9月のIFRS解釈指針委員会会議の議事メモ(DTT作成)が掲載されました。
      2023年9月12日に開催された当会議では、以下を含むトピックが議論されました。
      • 仲介者からの未収保険料(IFRS第17号「保険契約」及びIFRS第9号「金融商品」)
        (暫定決定事項あり)
        • 2023年3月の会議において、保険者が仲介者からの未収保険料に対して、IFRS第17号「保険契約」及びIFRS第9号「金融商品」の要求事項をどのように適用するかについての要望書について議論しました。委員会は、要望書に記載された事実パターンにおいては、仲介者からの未収保険料について、IFRS第17号とIFRS第9号のいずれも適用できると結論付けました。
        • 委員会は、編集上の変更を加えて、アジェンダ決定を最終化することを暫定決定しました。
      • デリバティブ契約に対する保証(IFRS第9号「金融商品」)
        (暫定決定事項あり)
        • 2023年3月の会議において、金融保証契約の発行者がデリバティブ契約に対する保証を、金融保証契約とデリバティブのいずれとして会計処理するべきかについての要望書について議論し、委員会は、このような事項は広範な影響を及ぼすものではなく、重要な影響を及ぼさないと結論付け、本件について、基準設定プロジェクトとしてワーク・プランへ追加しないことを暫定決定しました。
        • 委員会は、アジェンダ決定を最終化することを暫定決定しました。

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    ワーク・プラン

    【IASB/ISSB】

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    コンバージェンス

    【ASBJ】

    • (2023年9月7日)
      第509回企業会計基準委員会の概要が公表されました。
      ASBJは、2023年9月7日に開催された第509回企業会計基準委員会の審議資料を公表しました。当委員会では、今回、以下を含む事項が審議されました。また、審議は動画(YouTube)公開されました。
      • 証券監督者国際機構(IOSCO)市中協議文書「のれんに関するコンサルテーション」への対応
      • IASB情報要請『IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の適用後レビュー』に対するコメント案の検討
      • IASB情報要請『IFRS第9号「金融商品」の適用後レビュー ― 減損』に対するコメント案の検討
      • 金融資産の減損に関する会計基準の開発
        • 金融資産の条件変更に関する開示(IFRS第7号「金融商品:開示」第35J項等)
      • 公開草案「資金決済法における特定の電子決済手段の会計処理及び開示に関する当面の取扱い(案)」等に寄せられたコメントへの対応
      • パーシャルスピンオフの会計処理
      • 公開草案「リースに関する会計基準(案)」等に寄せられたコメントへの対応

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    【ASBJ】

    • (2023年9月8日)
      現在開発中の会計基準に関する今後の計画が改訂されました。
      ASBJが、日本基準及び修正国際基準(IFRSと企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)の開発に関する検討状況、及び今後の計画の改訂を公表しました。
      <主な改訂点>
      • リースに関する会計基準
        • 2023年5月2日に公表した会計基準公開草案第73号「リースに関する会計基準(案)」等について、2023年8月4日にコメントを締め切っており、今後、公開草案に寄せられたコメントへの対応を検討している旨が記載されています。
      • 資金決済法上の「電子決済手段」の発行・保有等に係る会計上の取扱い
        • 2023年5月31日に公表した実務対応報告公開草案第66号「資金決済法における特定の電子決済手段の会計処理及び開示に関する当面の取扱い(案)」等について、2023年8月4日にコメントを締め切っており、今後、公開草案に寄せられたコメントへの対応を検討している旨が記載されています。

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    • (2023年9月21日)
      第510回企業会計基準委員会の概要が公表されました。
      ASBJは、2023年9月21日に開催された第510回企業会計基準委員会の審議資料を公表しました。当委員会では、今回、以下を含む事項が審議されました。また、審議は動画(YouTube)公開されました。
      • 2023年9月開催会計基準アドバイザリー・フォーラム(ASAF)への対応
      • IASB情報要請『IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の適用後レビュー』に対するコメント案の検討
      • 公開草案「資金決済法における特定の電子決済手段の会計処理及び開示に関する当面の取扱い(案)」等に寄せられたコメントへの対応
      • パーシャルスピンオフの会計処理
      • 日本公認会計士協会が公表した実務指針等の移管に関する意見の募集」に寄せられたコメントへの対応
      • 四半期報告書制度の見直しへの対応
      • 公開草案「リースに関する会計基準(案)」等に寄せられたコメントへの対応

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    • (2023年9月22日)
      現在開発中の会計基準に関する今後の計画が改訂されました。
      ASBJが、日本基準及び修正国際基準(IFRSと企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)の開発に関する検討状況、及び今後の計画の改訂を公表しました。
      <主な改訂点>
      • 日本公認会計士協会が公表した実務指針等の移管
        • 2023年6月20日に公表した移管のアプローチ等に関する意見募集について、2023年8月25日にコメントを締め切っており、現在、意見募集に寄せられたコメントへの対応を検討している旨が記載されています。

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    その他

    【DTT】

    • (2023年9月13日)
      『iGAAP in Focus — 財務報告:IASB、年次改善プロセスの一環としてIFRS会計基準の修正を提案する』が掲載されました。
      デロイトから、IASBが9月12日に公表した公開草案「IFRS会計基準の年次改善(第11集)」に関するニュースレター(原題:iGAAP in Focus - Financial reporting:IASB proposes amendments to IFRS Accounting Standards as part of its annual improvements process)が掲載されました。
      本公開草案は、IFRS会計基準及び付属のガイダンスの狭い範囲の修正案を、会計基準の定期的な維持管理の一環として公表しています。修正案は、以下の各基準書における明確化、簡素化、訂正又は一貫性を改善するための変更を含んでいます。
      • IFRS第1号「国際財務報告基準の初度適用」
      • IFRS第7号「金融商品:開示」及びそれに付属するIFRS第7号に関する適用ガイダンス
      • IFRS第9号「金融商品」
      • IFRS第10号「連結財務諸表」
      • IAS第7号「キャッシュ・フロー計算書」

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