ナレッジ

FRTB対応の進め方に関する考察

~欧米金融機関の事例を参考にした進め方の提案~

2017年1月13日に、トーマツ金融セミナー「FRTB対応の進め方に関する考察~欧米金融機関の事例を参考にした進め方の提案~」を開催しました。

関連コンテンツ

【セミナー要旨】

1. バーゼル委員会が2016年1月に、市場リスクの最低所要自己資本の改定に係る最終規則として「Minimum capital requirements for market risk」(所謂FRTB:Fundamental Review of the Trading Book。以下、FRTB)を公表しました。法制化の期限は2019年1月1日であり、金融機関は2019年12月31日から当該枠組みのもとで所要資本を計算することが求められます。


2. 市場リスクの計測の方法
FRTBにおける市場リスク計測について、概要、現行規制とのギャップ、ギャップ解消の方向性を解説しました。

  • FRTBにおいて、市場リスクを計測するポジションの範囲と補足する市場リスクの種類は、現行規制と概ね同様です。但し、例示されるポジションや補足するリスクファクターの粒度が細かくなりました。
  • 市場リスクに対する所要資本は、損益要因分析やバックテストの結果により判断されるデスクの適格性や、リスクファクターの市場における観測可能性を考慮して計算することになりました。
  • 信用リスクに係る所要資本は、信用の質の変動に関する発行体間の相関、発行体のデフォルト率、デフォルト時損失率を用いて計算します。
  • リスク計測の方法は、リスククラスごとではなく、デスクごとに決定されます。
  • リスクファクターの観測可能性に応じた所要資本の計算方法やリスク量の表現方法については、現行規制と異なっています。市場リスクに対する所要資本計算で考慮するリスククラスやリスクメジャーは、現行規制より広がりました。


3. デスク構成策定のアプローチ
所要資本低減の観点から重要になるデスク構成策定のアプローチについて、欧米金融機関の動向を解説し、FRTB対応の進め方を提案しました。

  • バーゼル委員会の調査において、標準的方式(SA)による所要資本は内部モデル方式(IMA)の1.4倍となるとの結果が出ているため、欧米金融機関では、IMAを使用する方向で検討が行われています。
  • ある欧米金融機関では、IMAの使用による所要資本低減を目指す場合、フロント部署のビジネス戦略と対立する可能性があるため、所要資本の内訳の情報を基に、リスク管理部署とフロント部署が協議を行っていました。
  • 金融機関は、デスクレベルでの所要資本の内訳を分析し、リスク管理部署とフロント部署が協議する等して、SAとIMAをどのように組み合わせて採用するか、内部で十分に確認をする必要があると思われます。

本セミナーでは、FRTBにおける市場リスク管理の概要についてご説明した後、市場リスクの計測の方法とデスク構成策定のアプローチについて、現行規制との違いや欧米金融機関の事例を参考にしながら解説し、FRTB 対応の進め方を提案しました。

本セミナーには、金融機関の関係部門から、数十名のお客様にご来場いただきました。お客様からは、デスク構成の策定について具体的な方法を聞くことができ大変参考になった等、ご好評をいただきました。


【セミナー講師】
有限責任監査法人トーマツ 
ディレクター 久永 健生
シニアマネジャー 山内 洋幸


※当件のお問い合わせ、ご要望等につきましては、「お問い合わせ」フォームよりご連絡ください。

お役に立ちましたか?