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第1回 LIBORの代替レートの検討

LIBOR移行に伴う課題について

本シリーズでは3回に分け、金融機関のLIBOR移行に伴う課題についてお話しします。第1回目の今回は、LIBORの代替レートの検討についてお話しします。

第1回 LIBORの代替レートの検討

2014年7月に金融安定理事会(FSB)は、①指標金利(IBOR)を取引データによる銀行の無担保調達コストに基づく金利(IBOR+)にすること②リスクフリーレート(RFR)を別途開発することを提言しました。さらに2017年7月に英国金融行為規制機構(FCA)のベイリー長官が、LIBORからの移行に要する期間について協議し、2021年末までLIBORを継続するようLIBOR呈示行に伝えたことを表明したことから、2021年以降のLIBORの継続が不透明な状況となりました。そこで、各国・地域ではLIBORに代わるIBOR+やRFRの検討が進んでいます。IBOR+としては日本円全銀協TIBOR、RFRとしては、日本円無担保コールレート・翌日物、米ドルSOFR(担保付翌日物調達金利)、英ポンドSONIA(ポンド翌日物金利加重平均)などが内定しています。

一方、LIBORとRFRの間には以下の違いがあり、単純な置き換えにはならないため、LIBORが廃止された場合に既存のLIBOR参照取引に適用する代替レート(フォールバック・レート)の扱いについては国際スワップデリバティブ協会(ISDA)で協議していました。

① LIBORは1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月など複数の期間について存在するがRFRは翌日物のみ。
② LIBORには金融機関の信用スプレッドが含まれているがRFRは無リスクを想定。

その結果、2018年7月12日にISDAからコンサルテーション・ペーパー「Interbank Offered Rate (IBOR) Fallbacks for 2006 ISDA Definitions」が発表され、検討されうる調整後リスクフリーレート(Adjusted RFRs)のオプションと、それぞれの利点および欠点が提示されています(図1)。同時に、調整後リスクフリーレートに上乗せするスプレッドの調整方法(Spread Adjustment Methodologies)のオプションと、それぞれの利点および欠点も提示されています(図2)。

FSBは、同じ7月12日に「金融安定性のためには、幅広く利用されるベンチマークは特に頑健でなければならないため、オーバーナイトRFRに基づいたフォールバックを検討しているISDAの市中協議を歓迎する」旨の声明を発表しました。

FCAのベイリー長官も同日のロンドンでの講演において、「オーバーナイトRFRは、取引と強固に結びついているため、最も頑健なベンチマークである」と述べました。

第2回は、LIBOR移行に伴う全社的な影響についてお話しします。

執筆者:有限責任監査法人トーマツ
パートナー  上野佐和子
ディレクター 勝藤史郎
ディレクター 小山敦史
シニアマネジャー 千田大次郎

【図1】 調整後リスクフリーレート(Adjusted RFRs)

【図2】 スプレッド調整方法(Spread Adjustment Methodologies)

【図表2】 スプレッド調整方法(Spread Adjustment Methodologies)
(国際スワップデリバティブ協会資料より有限責任監査法人トーマツ作成)
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