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第3回 LIBOR移行プロジェクトの進め方について

LIBOR移行に伴う課題について

本シリーズでは3回に分け、金融機関のLIBOR移行に伴う課題について説明します。最終回の第3回では、どのようにプロジェクトを進めるべきかについて説明します。

第3回 LIBOR移行プロジェクトの進め方について

前回、LIBORは様々な商品の指標金利として使われていることから、LIBOR移行に伴う影響が広範囲に及ぶこと、またLIBOR移行プロジェクトを円滑に進めるには、経営の下に事務局(PMO)を設置しPMOが関連部署を統括しながら進めることの必要性についてご説明致しました。

今回は実際にどのようにプロジェクトを進めるべきか、についてご説明致します。

まず、考えるべき点は、移行プロジェクトの期限をいつに設定すべきか?という点です。2021年末以降、現在の形でのLIBORの存続には不透明感が漂っていることから2021年末までにLIBOR移行プロジェクトを完遂させるロードマップを引くことが適切と考えられます。

またLIBOR移行においては、LIBORの後継レートや具体的な商品への適用に関する市場における合意形成のスケジュールに十分留意する必要があります。日本円については、2018年8月に日本銀行が「日本円金利指標に関する検討委員会」を発足させ、円金利指標の適切な選択と利用に関し市場参加者のみならず、幅広い金利ユーザーをメンバーとして検討が開始されました。同検討委員会は図1に示すようなロードマップで検討を行います。円以外の通貨についても、諸外国で検討部会が組織されています。これらの検討部会ではデリバティブ取引のみならず貸付、債券等の金利指標の在り方などが検討されます。

【図1】「日本円金利指標に関する検討委員会」のロードマップ

以上を念頭においた上で、まず、LIBOR移行により影響を受ける商品、顧客、プロセス、システムを包括的に把握するインパクト分析を行うことが考えられます。影響を受ける部署が多数に及びかつ各部署で推進しているその他のプロジェクトも存在すると考えられることから、これらを調整することが必要となってくると考えられます。

移行においてはシステム対応にかかる時間を考慮する必要があります。特に融資等を取り扱う金融機関においては、後継指標による金利が必ずしも現状の前決めになるとは限らない点に留意が必要です。融資等では現状、次回利息の金額は利息計算期間の開始時点に決まる前決め金利が一般的ですが、仮にリスクフリーレートに基づく後継指標が後決めとなる場合は、システム対応のみならず、従来の業務フローの見直しが求められる可能性があります。
またリスクフリーレートに基づく商品に移行する際には、LIBORに基づく商品と価値の移転が生じないような商品設計が重要となると同時に、新たな商品に関する顧客説明を統一的なフレームワークで行うことが顧客保護の観点から重要となります。
さらにグローバルでビジネスを展開している企業の場合、各通貨で移行が行われますので、諸外国の動向にも十分に留意した上で、全社的に統一された枠組みのもとで移行プロジェクトを遂行することが望ましいと考えられます。
以上を踏まえた個社のロードマップの事例は以下の通りです。

【図2】個社のロードマップ(例)

Deloitteでは、システム、プロジェクト管理、規制対応、金融工学、リスク管理、会計・税務、法務・コンプライアンスの専門家からなるチームにより、お客様の円滑な移行のお手伝いをさせていただきます。

執筆者:有限責任監査法人トーマツ
パートナー  上野佐和子
ディレクター 勝藤史郎
ディレクター 小山敦史
シニアマネジャー 千田大次郎
シニアマネジャー 尾方哲郎

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