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Performance magazine issue 19

January, 2016

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欧州の金融サービス業界は現在、数々の課題に直面しています。一方においては、従来からの低金利政策、資産運用会社のマージンにかかる下押し圧力に加えて、欧州中央銀行(ECB)の現行政策に伴って市場の流動性が高まっています。また、規制当局が資産運用業界に対して求める要件も増えつつあります。

その一方で、資産運用業界はデジタル化という計り知れない課題にも直面しています。これに伴い、スピードと量の双方の面における情報過多と、市場参加者の著しい増加という2つの副産物も生じています。

さらに、テクノロジー自体、新しい市場参加者、一般的な金融サービスのフレームワークがいずれも既存の組織構造に疑問を投げかけており、現行のビジネスモデル自体まで問い直されています。これが、商品開発や営業・販売プロセスに連鎖的な影響を与えます。また、リテールの顧客関係で進んでいる自動化を見逃さないことも重要です。自動化によって透明性が高まっているほか、消費者需要の傾向が大きく変わり、変動性が徐々に高まっていると言われています。

世界経済フォーラムの創始者であるクラウス・シュワブの言葉が、この時代を極めて如実に物語っています。同氏は、技術的な変化のペースを次のように定義しています。「新しい世界では、小さな魚が大きな魚に食べられるのではなく、動きの鈍い魚が機敏な魚に食べられるのです」。この言葉は金融サービス業界の将来の姿を言い当て、優れた視点をもたらしているように思えます。

資産運用業界は、現在の経済情勢や金融システムのフレームワークから恩恵を享受してきました。低金利環境により、アクティブ運用とパッシブ運用の両方(特にパッシブ資産運用)において、プロフェッショナルな資産運用に対する需要が拡大しました。たとえばドイツを例に挙げると、2015年1~9月で正味1,410億ユーロ近くの資金が流入しました。これは、1~9月ですでに過去最高の年となっていた2014年の倍以上の水準です。規制がかつてないほど増えているため、資産運用会社は自身のプロセスを最適化し、イノベーションの水準を引き上げなければならないという圧力にさらされています。これは、必要不可欠でもあります。なぜなら、「フィンテック」の圧力が今後も続き、デジタル化の進展とともにいっそう高まるためです。少なくともリテール市場においては、市場参加者間の商品開発と販売での競争を決定づける要因は将来のテクノロジーの発達であると言えるでしょう。

金融サービス業界、とりわけ資産運用業界には複雑な面が多く、個々の国内市場では業界が抱えている問題を解決できないと思われます。このため、こうした課題に対応していくのは欧州全体レベルの職務と責任になります。これは金融サービス業界のみならず、移民の流入から他の総体的なテロの脅威に至るまで、今日私たちが影響を受ける他のトピックにも該当します。

「パフォーマンス」本号では、金融サービスに関するトピックを数多く取り上げ、資産運用業界の先行き見通しや解決策を提示しました。皆様に楽しんで頂けることを願っております。


<本号目次>

巻頭インタビューーELTIFフレームワークの特性と効果を徹底検証/注目のトピックーインタビュー:「実物資産」市場への投資展望/スマートベータのアートとサイエンス/ユーロ危機はなぜ今後も続くのか、投資家にとってその意味とは?/バック(オフィス)・トゥ・ザ・フューチャーー4つのデジタルトレンドがカストディアンの現状を再構築/資産運用業界の規制、比例性の原則導入で成長と雇用創出へ/新シルクロードにおけるドイツのカストディアンー高成長市場に投資家を誘導/欧州のデポジタリー規制ー適切にバランスが取れているか?/保険会社の投資方針に対するソルベンシーIIの影響/共通言語だけでは不十分/欧州の規制報告の将来像/MiFID IIに基づくファンド販売ーEU全域でファンドを販売する投資運用会社の戦略上の検討事項

 

 

詳細については、添付資料をご覧ください。
英語原文(PDF)

(PDF、80ページ、4,260KB)
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