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平成の次の時代に金融機関が対応するべき経営課題とは

ファイナンシャルインダストリーリーダー 神谷精志からのご挨拶

従来からの「ファイナンシャル・リスク」に加えて、コンダクトリスク、データリスクマネジメントなどの定量的な枠組みでは管理することが困難な「ノン・ファイナンシャル・リスク」への対応が、今後の金融機関には重要です。

平成の最後である2019年がスタートしました。時代の波をよく見極め、「金融サービスの成長において最も信頼できる助言者」として、社会や金融業界の発展に貢献すべく、社員・職員一同、本年もこれまでより一層、研鑽に努めて参ります。

さて、平成30年史を振り返ってみると、阪神大震災、東日本大震災などの想定を超える多くの自然災害の脅威に晒されました。また「その後の失われた20年」につながるバブル景気とその崩壊、金融危機、メガバンクの誕生、リーマンショック、マイナス金利政策など、金融機関の経営環境も大きく様変わりしています。

バブル崩壊後、多くの金融機関は「ファイナンシャル・リスク」に支配された、すなわち定量的な指標に重きを置いた経営スタイルであったと考えています。例えば、定量指標を改善につなげるため、信用リスクを回避する行動は一見合理的に思われますが、過度な信用リスクの回避は金融機関の社会的使命の観点から課題を残しました。加えて、近年ではマイナス金利政策やネットビジネスなど異業種からの参入等による収益環境の悪化などを背景に、一部においては組織的に不正を行うなど、定量指標を重視することにともなう負の側面も露見しました。

このような事態を踏まえ、私共は、従来からの「ファイナンシャル・リスク」に加えて、定量化が困難とされる「ノン・ファイナンシャル・リスク」が金融機関の経営にとって、より一層重要なものとなると提言します。

ノン・ファイナンシャル・リスクには経営者・従業員の業務上の不正に関するコンダクトリスク、ビッグデータやアナリティクス、仮想通貨等の技術革新にともない新たに生じたデータプライバシーやサイバー攻撃などに関するデータリスクマネジメントなどが含まれます。これらは従来の定量的な枠組みではリスクを管理することが困難で、経営者・従業員が日頃から自己の行動にともなう「リスク」を意識することが肝となりますが、これには組織における「リスクカルチャー」の醸成も不可欠であると考えます。

また、LIBOR廃止に関連するシステミックリスクへの対応や、保険分野におけるIFRS導入にともなう経営の在り方の見直しなど、ノン・ファイナンシャル・リスク以外のマーケットイベントに対する万全の備えが各金融機関には求められていると認識しています。

金融という重要な社会的使命を帯びたインフラがこれからも健全に機能すべく、また社会やクライアントの皆様の高いご期待に応えるべく、私共は英知を結集して金融機関が抱える経営上の様々な課題解決に貢献して参ります。

*本記事では「非財務リスク」「ノンファイナンシャルリスク」「ノン・ファイナンシャル・リスク」「非ファイナンシャルリスク」等を、「ノン・ファイナンシャル・リスク」に表記を統一して使用しております。

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