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フィンテックのその先に:金融エコシステムの勢力図に影響を与える8つの要因

「フィンテック」は今や全ての経営者にとって最大の関心事となっています。「フィンテック」が更なる発展を遂げている今、金融業界にどのような影響をもたらすでしょうか。

デロイトは、世界各国のイノベーターが集結する世界経済フォーラム(WEF)で戦略パートナーを務め、2015年から世界の主要金融機関とともに金融業界のディスラプションに関する協議を行ってきました。2017年に発行したWEFとの共同レポートでは、フィンテックの変革的な役割や、金融業界にもたらすその破壊的な影響力を考察し、過去3年間の集大成となる「フィンテックのその先に:金融業界における潜在的な破壊力の実証的評価」(外部サイト、英語)を発表致しました。

金融業界を見回すと、フィンテックが金融業界の競争原理そのものを変えてきたことが分かります。他業界と組んだフィンテック企業の増大により、金融エコシステムのバリューチェーンの分離を促しています。また、金融機関は新たなパートナーシップを模索し、新しいテクノロジーへの投資も促しています。

本レポートでは、金融エコシステムの勢力図に変革をもたらすであろう8つのディスラプティブな要因を明らかにしています。

1.Cost Commoditization:
コストが以前ほど競争優位性を発揮しなくなり、金融機関は新たなテクノロジーを駆使し、競合企業だけでなく新規参入組とも提携することでコスト原価のコモディティ化を促進する

2.Profit Redistribution:
テクノロジーが金融サービスのバリューチェーンの根幹を揺るがし、業界全体で利益がシフトし、隣接・新規領域で激しい競争が生まれる

3.Experience Ownership:
顧客接点を持つ販売企業はカスタマーエクスペリエンスのオーナーとしての戦略的な強みを持ち、商品開発企業はより大規模化や集中化を含む重点戦略を求められる

4.Platforms Rising:
他金融機関との連携やサービスを開発しやすいプラットフォームが主流となっていく

5.Data Monetization:
他社との差別化を図るため、他社データとの統合やリアルタイム活用が進み、データが充実していき、その価値が高まる

6.Bionic Workforce:
人口知能(AI)等の最新テクノロジーが、金融機関の労働力に著しい変革をもたらす

7.Systemically Important Techs:
金融機関でデジタルエクスペリエンスを実現するには、AWSやGoogleといった大手テクノロジー企業のケーパビリティ活用が必要不可欠となる

8.Financial Regionalization:
各地域の規制や技術的進度、顧客事情の違いに伴い、金融機関は各地域に合わせた個別の道筋を立てるようになる

本レポートは、フィンテックがどのように金融サービスエコシステムへ影響を与えるか3年以上に渡る研究結果をまとめたものに日本のコンサルタントの見解を付け加えたものになります。
このレポートが、金融サービスの未来へ導く一助となることを願っております。

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