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ナレッジ
保険セクターにおける気候関連情報の開示の現状
Case study: Climate disclosure in the insurance sector
気候関連情報の開示が進んでいる中、今後、各保険会社が、気候関連情報の開示を開始する、あるいは、拡充していくに際し、他社の取組みを参考にすることは非常に有用であると考えられます。本稿では、気候関連情報の開示に関して先進的な取組みを行っていると思われる保険会社のプラクティスを紹介します。
「保険セクターにおける気候関連情報の開示の現状」(本誌)では、特に気候関連のリスクと機会にかかる定量的な情報にフォーカスし、欧州の保険会社3社がそれぞれ現状どのような情報を開示しているかを紹介しています。また、監督当局による保険会社の監督の観点から、そのリスクと機会を監督上どのように取り扱い得るかを議論しています。
本誌で紹介した3社を含む多くの保険会社の事例をみても、ガバナンスや戦略、リスク管理などにかかる定性的な情報を開示している保険会社は比較的多く認められました。他方で、定量的な情報を含めて開示している保険会社の数は、現状、相対的に少ないように見受けられました。こうしたことから、気候変動のリスクと機会の開示には進展があると考えられる一方、さらなる取組みが必要であるとも思料されます。
なお、本誌では定量的な情報の開示に焦点をあてましたが、このことは、定量的な情報が定性的な情報よりも重要であるということを意味するものではありません。定量化とそのためのモデルやツールの開発は、気候変動リスクへの対応の一部であり、また、定量化のアプローチは多様にあると考えられます。持続可能なビジネス・モデルの構築およびその実践における出発点は、経営陣が明確なビジョンを掲げることです。同様に、気候変動リスク、さらには、SDGsにかかる取組みについても、まずは経営陣が目指すべき方向を定め、それが社内で十分に共有され、理解されるところから始まるものと思料されます。その意味で、経営陣のリーダーシップが非常に重要であり、同時に、具体的な戦略や方針の策定とその実施を確保するための強固なガバナンスの構築が不可欠であると考えられます。
(Section 3 of this paper ‘Summary’ is available in English.)
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Vol. 52 2024年10月~11月(2024.11.8 掲載)