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嵐を乗り切る:

アジア太平洋地域における保険ソルベンシー資本の最新動向

アジア太平洋地域の保険市場は、地域によってペースは異なるものの、ソルベンシー規制制度が急速に変化する時代を迎えています。ここ数年において、オーストラリア、中国本土、シンガポールなどの市場はソルベンシーIIに類似した新たなソルベンシー制度に移行している。香港特別行政区、日本、韓国、マレーシア、ニュージーランド、タイなどその他の市場は、新たなソルベンシー制度への移行の取り組みに着手しています。

進捗度合いはそれぞれ異なるものの、こうした規制改革はいずれも保険業界の資本水準に広範囲にわたって影響を及ぼしており、規制当局、投資家、格付機関、一般市民といった多岐にわたるステークホルダーにとって注目のテーマとなっています。

  1. 採用される新たなソルベンシー基準は経済価値ベースのバランスシートのアプローチを取り入れているため、現行制度と比較してよりボラティリティが大きいソルベンシー結果をもたらすことになるだろう。
  2. ソルベンシーのボラティリティの増大は、保険会社が新制度に向けて「万全な事業準備態勢」を整える必要があることを示唆している。それは、ソルベンシーに関連する指標を全ての事業過程に完全に組み込み、ソルベンシーの主要な根本要因に対応できる能力を有し、ビジネス上の意思決定をタイムリーに行うことができるようにすることである。
  3. 「万全な事業準備態勢」を取るためには、新制度の運用化には全社的なビジネスへの組み込みと応用を促進するトップダウン型マネジメント支援が必要となる。

本稿は「嵐を乗り切る:アジア太平洋地域における保険ソルベンシー資本の最新動向(PDF)」シリーズの第1回であり、アジア太平洋地域における各保険市場におけるソルベンシー制度の進展に関する近況、および形成途中にある市場動向に関するデロイトの所見を提供します。

本シリーズの第2回では、新たなソルベンシー制度の運用化、および3本の柱に基づくソルベンシー制度における第2の柱である定性的要件を施行するにあたっての主要な成功要因に関連した議論に焦点を当てます。

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