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金融機関はデジタルトランスフォーメーションにどう対応するか

【後編】

エコシステムの変化

金融サービスを分解して考えると、数多くの要素から成り立っていることがわかります。テクノロジーの側面を見ると、インフラ、アプリケーション、データなどの分野はデジタルジャイアントの手の中にあるのが現実です。金融業界においても、このようなプレイヤーを使わなければ新しいビジネスモデルを見出すのは容易ではないでしょう。利用者保護、公正な競争、金融機関の行動規範といった点については、引き続き規制当局が大きな役割を果たします。投資家やベンチャーキャピタルも、テクノロジーの選択にあたり影響力を持つことになります。そして、フィンテック、金融機関、規制当局などが出会う場となるイノベーションセンターがあることも重要です。

金融サービスのエコシステムの変化
金融サービスのエコシステムの変化

変化への対応

金融機関はこのような変化にどう対応すべきでしょうか。既存のビジネスモデルのままで既存のプロセスを自動化し効率化することは、「芋虫」がスピードを上げるだけです。テクノロジーを取り込み、収益モデルを検討し、さらにフロント、ミドル、バックにいたるまでのプロセスを改革することにまで踏み込んでビジネスモデルを変革することが必要です。つまり「蝶」に脱皮することです。「蝶」になるためには、企業文化、社員のマインドセット、経営トップの意識改革が非常に重要です。

最後にアジャイル、つまり変化に迅速に対応できる組織であることの重要性を指摘します。アジャイルな戦略を組織として持つこと、アジャイルな考え方や人材を活用すること、さらには状況にあわせてビジネスパートナーを柔軟に入れ替えることが重要です。特に銀行はリスクに関して慎重ですので、一連のビジネスプロセスが正しく執行され、予測可能で一貫性のあるものにしようと努力されています。しかし、何かが変わることについて拒絶してしまっては、そこでプロセスは止まってしまいます。世の中はスピーディーに変化しています。コアバンキングの構築に何年もかけているようでは、顧客のニーズも競争環境も、そして規制も変わります。さらに、テクノロジーはエクスポネンシャルに成長していきます。変革すべき時には、既存のビジネスであってもすぐに壊して、新しいものを作り直すことが必要です。デジタルトランスフォーメーションの考え方というのは、つまりはそのような企業文化とマインドセットを育てることなのです。

(デロイト トーマツ金融ビジネスセミナー2018講演録)

 

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【講師プロフィール】

Michael Tang : マイケル・タン
デロイト・カナダ パートナー&グローバル金融サービス部門 
デジタルトランスフォーメーション責任者

デロイトのグローバル金融サービス部門でのデジタルトランスフォーメーション責任者。デジタルトランスフォーメーション、フィンテック、オープンバンキング、金融サービスイノベーションに関連する戦略やサービスに従事。デロイト カナダのパートナーとして、ビジネス戦略、テクノロジーの分野で活躍する企業やシニアエグゼクティブとともに仕事をしており、成長・コスト削減戦略、大規模な企業改革、デジタルテクノロジーの導入、業務全体のデジタル化、IT戦略の一貫性保持において特に高い専門性を発揮している。

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