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「クレジットカード決済に健全な発展に向けた研究会 中間報告」の公表

経済産業省から2014年7月に「クレジットカード決済に健全な発展に向けた研究会 中間報告」(以下中間報告という)が公表されました。今後クレジットカード業界において対応が求められる事項がちりばめられてますのでその概要と特に重要と思われるポイントを整理しました。

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はじめに

経済産業省から2014年7月に「クレジットカード決済に健全な発展に向けた研究会 中間報告」(以下中間報告という)が公表されました。
これは2014年6月24日に閣議決定された「成長戦略」において2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会に向けてのクレジットカード戦略が打ち出されたことを受けて立ち上がった研究会の中間段階での提言ですが、今後クレジットカード業界において対応が求められる事項がちりばめられてますのでその概要と特に重要と思われるポイントを整理しました。
 

中間報告における論点

中間報告における論点は以下の4つです。

(1) 2020年に向けたクレジットカード利用環境の整備:

・外国人目線で海外発行クレジットカードの利便性の悪さの改善が必要。
・特に地方部でのクレジットカード利用率のアップが必要。

(2) 行政・公共分野での利用拡大:

・法改正後も普及率があがらない地方税のクレジットカード決済の拡大が必要。
・国の経費支払等へのクレジットカード導入の支障となる事項への対応が必要。

(3) 安心・安全への取組:

・決済市場の多様化の中で偽造・なりすまし等の不正利用拡大を指摘。
・ネット加盟店やスマホ決済個人加盟店の拡大にともなうリスク拡大を指摘。
・カード情報を含む個人情報漏洩の増加を指摘。

(4) その他(データの活用、システムの統合):

・短期的には安価な端末の普及・提供やネット回線利用によるインフラコストの削減が必要。
・中期的には消費データを活用した収益拡大やシステム統合・新技術導入によるシステムコスト削減が必要。
・我が国のクレジットカードの国際競争力強化が必要。
 

もっとも重要な項目

それぞれの論点に対する今後の方向性と解決策の中で特に重要と思われる項目を整理してみました。

(1) クレジットカードの利用環境の整備

外国人旅行者のため、銀行(特に地銀)やコンビニATMでの海外発行クレジットカードの開放拡大が提言されており、クレジット業界を超えた対応が必要となります。
また交通機関関連プリペイド型電子マネー(例えばSuica)と海外発行クレジットカードとの親和性が提言されているため、この点でも業界を超えた対応が必要となります。
また国内においては特に地方観光地を中心とした中小加盟店の確保のための諸施策が提言されています。

(2) 行政・公共分野

既にクレジットカード決済を導入している自治体のシステムを参考に出来るよう関係省庁において使用の標準化を検討すべきと提言されています。また国においては単年度予算を超え、支出負担行為額を特定しない複数年度契約によるクレジットカードの導入を提言されています。

(3) 安心・安全

2020年までにクレジットカードの100%IC化を目指すことが提言されています。
日本クレジット協会においてもアンケート調査を実施し、IC化率80%を超えている会社名を公表しています。業界全体でのIC化率はまだまだ低く、今後IC化拡大にともない、カード発券コストの増加が見込まれます。
情報漏洩対策として、加盟店に対しカード情報非保有の徹底またはPCIDSSへの準拠を提言していますが、加盟店側の協力が不可欠であり個社単位ではなく業界として対応してゆく必要があると思われます。またスマホ決済個人加盟店等の拡大に呼応し、加盟審査や苦情対応に関する制度上の措置強化が提言されています。この点は現在改正準備が行われている割賦販売法に織り込まれる可能性があると思われます。

(4) その他

消費データの活用による商品開発・加盟店送客モデルの構築が提言されています。そのためには個人情報の利用が前提となるため、その活用に向けた環境整備(ルール)の策定が重要となります。この点は現在改正中の「経済産業分野における個人情報保護法ガイドライン」の中に織り込まれるものと思われます。


まだ中間報告の段階ですし、あくまでも提言であるため、強制力を持つものではありませんが、2020年に向けてクレジット業界として取り組むべき課題は数多くちりばめられていると言えます。デロイト トーマツ グループでは、数多くのクレジット業界に対するサービス提供経験を通じて、中間報告に提言されている事項を一つでも多く解決いただけるよう全力を尽くします。

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