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テクニカルセンター長からのご挨拶

『会計情報』40周年を迎えて

有限責任監査法人トーマツ テクニカルセンター長の市川育義からのメッセージをお届けします。

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『会計情報』は、1976年(昭和51年)7月に月刊誌として創刊して以来、今月号で480号となり、40周年を迎えることになりました。

1976年当時は、我が国に連結財務諸表制度が導入されようとしている時期であったそうで、その後の制度改正が想定される中、公認会計士の指導が欠かせなかった時期であったものと思います。その意味で実務家が発信する記事は実務に直結するものであり、経理担当の方々にとっては大変興味深いものであったと思います。

『会計情報』は、その名のとおり会計基準等の解説記事が中心になるものですが、現在では、会計監査、IFRS、税務、コンサルティング、CSR環境、パブリック、海外情報など、内容が非常に盛りだくさんであり、正直、『会計情報』のタイトルと内容がマッチしていないのではないか気になることもあります。

2000年当初の会計ビックバンの時期など会計基準の改正が続いた時期においては、会計関連の記事が多すぎてこれまで見たこともないくらい分厚い号が続いたこともありましたが、それが一段落してからは発行月にもよりますが、コンサルティングの記事にも力を入れるようになり、また読者の方々の関心も高いようです。

このことは、会計関連の記事以外の企画をしたことで経理以外の方々が読まれるようになったということもあるのですが、昔と違って経理の方々の守備範囲が広がったことによるものと思います。

そもそも会計は、企業活動の業績を示す手段というだけでなく、事業計画の策定など、将来の企業活動の方向性を示す手段でもあり、会計ビックバン後は、繰延税金資産の回収可能性の検討や固定資産の減損会計の検討を通じ、様々な形で事業計画や投資計画の実行可能性の検討結果が会社業績に直接影響することとなり、経理担当者の方々の関心はプロアクティブな対応ということで企業経営そのものにも及んでいることを反映しているものと思います。

また、近年、会計基準の改正が一段落したところもあり、経理担当の方々、特に経験の浅い方々が会計基準の基本的な取扱いを復習したいとのリクエストも強いと思います。これは、単純に会計基準を振り返りたいということでなく、現行の会計処理の実務上の取扱いについては、ASBJだけでなく、過去に日本公認会計士協会が作成し公表している実務指針等が現行の実務慣行を形成しているところがあるため、何を読めばいいのかよくわからないところも影響しているように思います。また、掲載記事が難しすぎるため、もう少し解りやすくしてほしいというのが本音なのかもしれません。

そのようなことで、企業経営にかかわる課題解決についての特集記事や会計基準の基本解説シリーズなど、今後も経理の方々をサポートするため、チャレンジしていきたいと思います。

我が国資本市場のインフラである開示制度は、会計ビックバン後に急速に発展しましたが、近年不正事件等が絶えない状況の中で必ずしも定着しているとはいえず、このことは我が国のガバナンスのあるべき姿にも関係するように思います。近年のグローバル経済色がより濃厚になった環境下においては、我が国開示制度もこれまで以上に外国企業、外人投資家等を意識せざるを得ない状況であることを認識し、海外に開かれた資本市場であることを志向して、常に進化し続ける関係者の努力が欠かせない状況にあるものと理解しています。

当法人だけでなく、業界、そして日本全体が総力を挙げて信頼回復に取り組むべき大事な時期であり、そのことに少しでも貢献すべく、有用な記事を発信し続けたいと思っています。

今後も末永くご愛読いただければ幸いです。

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