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2018~2019年 世界経済展望 絶好調米国経済一人旅の行方─米国の潜在成長率は高まったのか?

(月刊誌『会計情報』2018年10月号)

本稿では、2018年にグローバル経済や金融で起こり得る事態を、特にリスク管理という視点から考えます。

著者:リスク管理戦略センター長 大山ᅠ剛

1. 2018年8月末までの振り返り

(1) 米国経済一人勝ちの構図が強まる

米国経済の絶好調が続いている。昨年中2%弱といわれる潜在成長率を大きく上回る成長を達成した米国経済は、第一四半期こそ天候要因もあって潜在成長率近辺にまで鈍化したものの、第二四半期は再び年率で4.1%まで加速したほか、第三四半期もいまのところ絶好調な個人消費を背景に引き続き4%強の成長が見込まれている。こうした好調な個人消費の要因としては、米政権による個人所得税減税の影響や株高の影響が指摘されている。実際米国の株価は、貿易摩擦等のリスクオフ要因による調整を経ながらも、足許では最高値を伺う水準にまで上昇してきた。

一方賃金は、失業率が3.9%にまで低下するなど労働市場の超タイトな状況が続いているにも関わらず、前年比2.7%程度の「巡航速度」に止まっており加速する兆しをみせていない。この結果物価も、コアのPCEデフレータが前年比1.9%と漸くFRBが目標とする2%圏内に達したもののその後は横ばいが続き、こちらも加速には程遠い状況である。

こうした中FRBは、当初の予定通り、金利の引き上げ/バランスシートの正常化を淡々と進めている。2018年中にFOMC委員が見込んでいる年4回の利上げのうち既に2回を実行し、残り2回の利上げも今のところ実行する構えを見せている。さらには、2019年中に3回、2020年中も1回利上げするのがFOMC自身の予測だ。足許物価が加速の兆しをみせない中でも、当初の予定通り淡々と利上げ路線を継続するFRBの考え方としては、仮に足許まだ物価上昇が加速する兆しはみられなくても、これには後述するような一時的な要因が作用しており、今後は徐々にそうした圧力が強まるというものがある。そうした中では、徐々に緩和モードを弱める(すなわち利上げを継続する)ことでインフレ圧力を抑えることが、息の長い成長につながるというわけだ。

※続きは添付ファイルをご覧ください。

(1,138KB, PDF)
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