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よくわかる「IASB概念フレームワーク」シリーズ(3) 第3回 財務諸表の構成要素

(月刊誌『会計情報』2018年11月号)

今回は、2018年版フレームワークの第4章「財務諸表の構成要素」の内容について説明します。

著者: 公認会計士 藤原 由紀

1.はじめに

国際会計基準審議会(IASB)は、2018年3月29日に「財務報告に関する概念フレームワーク」の改訂版(2018年版フレームワーク)を公表した。よくわかる「IASB概念フレームワーク」シリーズでは、概念フレームワークの内容及び今回の改訂における主要な変更点について、IASBで客員研究員として概念フレームワークプロジェクトの最終段階に実際にかかわった筆者がわかりやすく解説する。シリーズ第3回目の今回は、2018年版フレームワークの第4章「財務諸表の構成要素」の内容について説明する。

2.資産

概念フレームワークでいう財務諸表の構成要素とは、資産(asset)、負債(liability)、持分(equity)、収益(income)及び費用(expense)のことである。それでは早速資産の定義から話を始めよう。2018年版フレームワークによれば、資産とは企業が過去の事象の結果として支配している現在の経済的資源である。定義中の「経済的資源(economic resource)」とは、経済的便益を生み出す潜在能力を有する権利である。なお、「経済的便益(economic benefits)」という用語は概念フレームワークでは定義されていないが、わかりにくいと思われる読者は、本稿を理解することのみを目的とする限り、「キャッシュ」と読み替えてもらって差し支えない。

まとめると、資産とは企業が過去の事象の結果として支配している現在の権利を指す。以下で詳しく見ていこう。

※続きは添付ファイルをご覧ください。

(569KB, PDF)
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