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税務情報 注目される中国個人所得税の改正:税法修正案の要点

『デロイト トーマツ チャイナ ニュース』(月刊誌『会計情報』2018年12月号)

本稿は、2018年6月29日に公開された意見募集草案に対する修正点に注目し、その要点について解説を行う。

著者:デロイト中国 上海事務所 米国公認会計士 板谷 圭一

2018年8月31日、「『中華人民共和国個人所得税法』改正についての決定」が第十三期全国人民代表大会常務委員会第五回会議にて可決された。これにより、広く注目を集めている「中華人民共和国個人所得税法」修正案(以下「修正案」)が正式に承認され、中国個人所得税改革は重要な一歩を踏み出したことになる。

修正案は段階的に実施され、大部分の条文は2019年1月1日より全面的に発効する。2018年10月1日から2018年12月31日までの賃金給与所得については、標準的な基礎控除額を月5,000元に引き上げた上で、新しい総合所得の税率を適用することになる。それと同時に、近日中に発布される修正案の実施条例、各種の具体的な規定及び措置も、納税者の期待と議論を招くホットトピックとなると考えられる。中国個人所得税の改正に関する第2弾として、本ニュースレターは、2018年6月29日に公開された意見募集草案に対する修正点に注目し、その要点について解説を行う。

1.意見募集草案の要点

現在の個人所得税法と比較すると、2018年6月29日に公開された修正草案には、主として以下の変更点が含まれている。

■「居住者」の定義を明確化し、「183日」ルールによる居住者身分判定基準を導入する

■課税所得の種類を改正し、賃金給与所得、労務報酬所得、原稿料所得、特許使用料所得を総合所得に含める

■賃金給与所得について、低い税率(3%~25%)のランクを拡大する

■賃金給与所得に係る基礎控除額を引き上げ、附加控除費用を廃止しつつ、特定附加控除項目を新設する

■新しい申告納税制度を制定し、居住者個人の総合所得につき、前払いの源泉徴収と確定申告を組み合わせる徴収方法を採用する

■国外移住前の税務清算規定を新たに追加する

■多部門間での情報の共有を明確にし、社会信用システムを確立する

■個人の脱税防止条項を追加する

2.修正案条文の変更

修正案は、意見募集草案での各修正点を保留した上で、主として以下の条文を追加している。

※続きは添付ファイルをご覧ください。 

(583KB, PDF)
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