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企業結合会計基準及び関連する適用指針の平成31年改正ついて

(月刊誌『会計情報』2019年3月号)

本稿では、企業結合会計基準及び関連する適用指針 の平成31年改正の概要について説明する。

著者:公認会計士 長沼 洋佑

1.はじめに

平成31年1月16日、企業会計基準委員会(ASBJ)は、以下を公表している。

● 改正企業会計基準第21号

「企業結合に関する会計基準」(以下「改正企業結合会計基準」という。)

● 改正企業会計基準適用指針第10号

「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」(以下「改正結合分離適用指針」という。)

 

今回、主に以下の3点が改正されている。

 対価の一部が返還される場合の条件付取得対価の取扱い

●「事業分離等に関する会計基準」(以下「事業分離等会計基準」という。)と「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」(以下「結合分離適用指針という。)の記載内容の相違(結合当事企業の株主の連結財務諸表上の会計処理の記載内容の相違)への対応

● 分割型会社分割のみなし事業年度が廃止されていることへの対応

 

本稿では、改正の概要について説明する。

2.対価の一部が返還される場合の条件付取得対価の取扱い

(1) 改正の背景

改正前の結合分離適用指針第47項(1)なお書きでは「なお、条件付取得対価は、企業結合日後に追加的に交付又は引渡されるものに限定されるものと解される」

(下線部は筆者)とされており、取得対価の一部が返還される場合(マイナスの支払い又は交付)に条件付取得対価の会計処理の対象となるかどうか、その明確化が求められていた。仮に、対価の返還が条件付取得対価に含まれない場合には、当初取得時に支払った対価をもとにのれんが計上され続ける一方で、返還額(マイナスの支払い又は交付)が利益として計上されることとなり、不健全な会計処理になるとの懸念も提起されていた。

(2) 条件付取得対価の定義の改正

「条件付取得対価とは、企業結合契約において定められるものであって、企業結合契約締結後の将来の特定の事象又は取引の結果に依存して、企業結合日後に追加的に交付される若しくは引き渡される又は返還される取得対価をいう」(改正企業結合会計基準(注2))として、条件付取得対価の定義に「追加的に交付される若しくは引き渡される」もののみならず「返還される」ものが追加されている。これは、対価の一部が返還される条件付取得対価は、追加的に交付される又は引き渡される条件付取得対価の場合と同様に、契約交渉の過程における買手側と売手側のリスク分担によって設定されるものであり、対価の追加的な交付等を行う場合と対価の返還を受ける場合で異なる性質はないと考えられるためである(改正企業結合会計基準第96-2項)。

※続きは添付ファイルをご覧ください。

(578KB, PDF)
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