有価証券報告書の改正解説シリーズ(1) 改正項目の解説 事業等のリスクの拡充 ブックマークが追加されました
ナレッジ
有価証券報告書の改正解説シリーズ(1) 改正項目の解説 事業等のリスクの拡充
(月刊誌『会計情報』2019年4月号)
本号から複数回にわたり解説記事及び想定される今後の対応等についてご紹介していきたい。特に今回の改正は「事業等のリスク」について、従来の日本企業の有価証券報告書の記載事項から大幅な拡充が求められているため、その点を中心に解説する。
著者:公認会計士 山内 達夫
はじめに
金融庁は、平成31年1月31日「『企業内容等の開示に関する内閣府令(以下、「開示府令」という)』の改正案に対するパブリックコメントの結果等について」を公表し、本改正に係る内閣府令が同日付で公布・施行された。
本誌においても「金融庁が『企業内容等の開示に関する内閣府令』の改正案を公表」(本誌2018年12月号(Vol.508))、「金融庁が『記述情報の開示に関する原則(案)』を公表」(本誌2019年2月号(Vol.510))をお知らせしているが、一連の改正案・原則案が確定したことを踏まえ、本号から複数回にわたり解説記事及び想定される今後の対応等についてご紹介していきたい。特に今回の改正は「事業等のリスク」について、従来の日本企業の有価証券報告書の記載事項から大幅な拡充が求められているため、その点を中心に解説する。
1.改正の全体像
(1)改正の背景
今回の改正は、平成29年11月より金融庁金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループにおいて、企業情報の開示・提供に関する在り方の検討を進め、平成30年6月に同グループ報告における提言を踏まえたものである。同ワーキンググループにおいては、複数回にわたり国内外の機関投資家を招いてヒアリングを行っており、開示書類の利用者である投資家の意見が強く反映されているものと思料する。
同報告では、日本企業を取り巻く経営環境の変化・経営課題の複雑化、株主構造の変化、近年のコーポレートガバナンス改革、諸外国における開示制度などを背景に、企業内容の開示を従来以上に充実することが提言されている。
※続きは添付ファイルをご覧ください。