ナレッジ

有価証券報告書の改正解説シリーズ(3) デジタル化時代の持続的成長に資する経営管理手法とは

(月刊誌『会計情報』2019年6月号)

前号「『事業等のリスク』の拡充に対応する際の検討事項」(本誌2019年5月号(Vol.513))では、有価証券報告書の改正に伴う対応ポイントの解説を行った。今回はそれらの開示対応の前提となるデータ収集・分析を含め、昨今デジタルトランスフォーメーションが叫ばれる中で、表面的な言葉に踊らされず、取締役会や経営者が、企業(グループ)の持続的成長を実現するため、どのような情報をデジタル技術を活用して総合的に把握し経営アクションに繋げて行くべきか、すなわち経営管理のデジタルトランスフォーメーションをいかにして実現するかについての考え方を紹介する。

著者:リスクアドバイザリー事業本部 木付 立思

はじめに

前号「『事業等のリスク』の拡充に対応する際の検討事項」(本誌2019年5月号(Vol.513))では、有価証券報告書の改正に伴う対応ポイントの解説を行った。今回はそれらの開示対応の前提となるデータ収集・分析を含め、昨今􏘩デジタルトランスフォーメーションが叫ばれる中で、表面的な言葉に踊らされず、取締役会や経営者が、企業(グループ)の持続的成長を実現するため、どのような情報をデジタル技術を活用して総合的に把握し経営アクションに繋げて行くべきか、すなわち経営管理のデジタルトランスフォーメーションをいかにして実現するかについての考え方を紹介する。

1. 経営管理におけるデジタル化の現状

ビッグデータ時代にあっては、既に多くの大企業で、クラウド活用、アナリティクス、AI、RPA、IoTといったデジタル化のシステム投資がそれなりに進んでいる。しかしながら、「野良ロボ*1」に代表されるように、数々のデジタル化案件は各部署や特定プロセスでの最適化や効率化の積み重ねとなっており、それらを続ける事によって経営としてどこに辿りつくのかという明確なゴールが見えないまま投資を続けている企業も多い。また、データ活用という意味では、顧客サービス・営業・生産・物流等のバリューチェーンプロセス上での活用が中心であり、それらの現場データをタイムリーに分析・集約し、経営判断の質を高めるための情報として活用できている企業はまだ非常に少ないと言える。

なぜこのような状況になっているのかと言えば、一つには、デジタル化は生産ラインや顧客接点などの現場からスタートしたため、経営者のためのデジタル化やデータ活用はやっと表舞台に現れてきた段階である事、また、伝統的な収益性(財務パフォーマンス)管理だけでは、現代の企業グループ経営の持続的成長を実現する経営の枠組みとしては不十分である事が挙げられる。経営者が自らの手のひらの上で経営を掌握し舵取りを行うためには、事業リスク管理を含めた総合的なマネジメントフレームワークの整理が必要となる。しかし、これまでは実務で実践出来るレベルまで整理が進んでいなかったと言える。

しかしながら、ここに来てグローバルに活動する大企業では、CSR/ESGなどのサステナビリティを意識した非財務的価値向上への取り組み姿勢が重視されるようになってきた。加えて、大手企業での品質不正、会計不正、コンプライアンス違反等の事件がいくつも社会問題化した事から、財務・非財務を含む事業パフォーマンス管理と事業リスク管理を、断片的にではなく統合的に行う必要性が認識されるようになって来たのである。

※続きは添付ファイルをご覧ください。

リスクアドバイザリー事業本部 
(1,103KB, PDF)
お役に立ちましたか?