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ASBJが議事概要「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方(2021年2月10日更新)」公表

月刊誌『会計情報』2021年4月号

『会計情報』編集部

企業会計基準委員会(ASBJ)は、2021年2月10日に、議事概要「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」を更新した。

ASBJは、以下の議事概要を公表済みである。

  • 第429回企業会計基準委員会議事概要(2020年4月10日公表)
  • 第432回企業会計基準委員会議事概要(2020年5月11日公表)
  • 第436回企業会計基準委員会議事概要(2020年6月26日公表)

(2021年2月10日更新)
 

2020年4月に第429回企業会計基準委員会の議事概要を公表してから約10か月経過するが、現状においても、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を予測することが困難である状況に変化はなく、会計上の見積りを行う上で、特に将来キャッシュ・フローの予測を行うことが極めて困難な状況であることに変わりはない。したがって、これまでに公表した議事概要の考え方を引き続き周知するとともに、現状における論点を審議し、これまでに公表した議事概要を更新する形で第451回企業会計基準委員会の議事概要を公表することとしたとされている。

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企業会計基準第31号「会計上の見積りの開示に関する会計基準」を適用する前の取扱い

企業会計基準第31号「会計上の見積りの開示に関する会計基準」(以下「企業会計基準第31号」という。)を適用する前の年度決算に関する取扱い及び四半期決算の取扱いについては、審議の上、第429回企業会計基準委員会の議事概要、第432回企業会計基準委員会の議事概要及び第436回企業会計基準委員会の議事概要で示した考え方が変わらないことを確認したとされている。

 

企業会計基準第31号を適用した後の取扱い

第429回企業会計基準委員会の議事概要及び第432回企業会計基準委員会の議事概要で示した考え方について、2021年3月31日以後終了する連結会計年度及び事業年度の年度末に係る連結財務諸表及び個別財務諸表から適用が開始される企業会計基準第31号との関係を明らかにして欲しい等の意見が聞かれており、審議の上、以下を確認したとされている。

(1)第429回企業会計基準委員会の議事概要及び第432回企業会計基準委員会の議事概要で示した考え方のうち、(1)(2)及び(3)については、企業会計基準第31号の適用後も、会計上の見積りを行う上で新型コロナウイルス感染症の影響を考えるにあたり変わらないとされている。

(2)企業会計基準第31号は、重要な会計上の見積りとして識別した項目について、当年度の財務諸表に計上した金額、及び会計上の見積りの内容について財務諸表利用者の理解に資するその他の情報を開示することとしている。後者には、例えば、当年度の財務諸表に計上した金額の算出方法、当年度の財務諸表に計上した金額の算出に用いた主要な仮定、及び翌年度の財務諸表に与える影響が含まれる。したがって、第429回企業会計基準委員会の議事概要及び第432回企業会計基準委員会の議事概要で示した考え方のうち、(4)において重要性がある場合に追加情報としての開示が求められる新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等の一定の仮定については、企業会計基準第31号で求められる開示に含まれることが多いと想定され、前段に記載した他の開示と合わせ、新型コロナウイルス感染症の影響について、より充実した開示になることが想定される。なお、企業会計基準第31号に基づく開示において、第429回企業会計基準委員会の議事概要及び第432回企業会計基準委員会の議事概要で示した開示がなされる場合、改めて追加情報として開示する必要はないものと考えられるとされている。

(3)新型コロナウイルス感染症の影響に重要性がないと判断される場合であっても、当該判断について開示することが財務諸表の利用者にとって有用な情報となると判断し、追加情報として開示しているケースが見られる。企業会計基準第31号に基づく開示は、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある項目について求められるものであるため、このような開示は、企業会計基準第31号により求められる開示には含まれないが、引き続き、追加情報を開示する趣旨に沿ったものになると考えられるとされている。

詳細については、ASBJのウェブページ(https://www.asb.or.jp/jp/info/105236.html)を参照いただきたい。

 

以上

 

本記事に関する留意事項

本記事は皆様への情報提供として一般的な情報を掲載するのみであり、その性質上、特定の個人や事業体に具体的に適用される個別の事情に対応するものではありません。また、本記事の作成または発行後に、関連する制度その他の適用の前提となる状況について、変動を生じる可能性もあります。個別の事案に適用するためには、当該時点で有効とされる内容により結論等を異にする可能性があることをご留意いただき、本記事の記載のみに依拠して意思決定・行動をされることなく、適用に関する具体的事案をもとに適切な専門家にご相談ください。

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