ナレッジ

IASBは、会計方針の開示に関してIAS第1号及びIFRS実務記述書第2号を修正

IFRS in Focus|月刊誌『会計情報』2021年5月号

注:本資料はDeloitteのIFRS Global Officeが作成し、有限責任監査法人トーマツが翻訳したものです。この日本語版は、読者のご理解の参考までに作成したものであり、原文については英語版ニュースレターをご参照下さい。

トーマツIFRSセンター・オブ・エクセレンス

本IFRS in Focusでは、2021年2月に国際会計基準審議会(IASB)が公表した「会計方針の開示」というタイトルのIAS第1号「財務諸表の表示」及びIFRS実務記述書第2号「重要性の判断の行使」の修正を解説する。

  • 本修正は、会計方針の開示に関するIAS第1号要求事項を変更する。本修正を適用することにより、企業は、重要な(significant)会計方針に代わって、重要性のある(material)会計方針を開示する。
  • IAS第1号のさらなる修正は、企業がどのように重要性のある会計方針を識別することができるかを説明するために行われている。会計方針に重要性がある可能性が高い場合の例が追加される。
  • 本修正を支援するために、IASBは、IFRS実務記述書第2号に記載されている「4段階の重要性プロセス」の適用を説明し、明示するガイダンス及び例も開発した。
  • IAS第1号の修正は、2023年1月1日以後に開始される事業年度に発効し、将来に向かって適用される。早期適用は認められる。IFRS実務記述書第2号の修正には、発効日又は経過措置は含まれていない。

 

背景

IAS第1号は、企業が重要な会計方針(significant accounting policy)を開示することを要求している。IASBのディスカッション・ペーパーDP/2017/1「開示イニシアティブ-開示原則」は、重要な会計方針を構成するものについて、利害関係者の見解が異なっていることを示した。DPに対するフィードバックからは、重要な会計方針の開示が効果的でないのは、会計方針の開示の要求事項が重要性(materiality)を参照しないため、重要性の概念を適用するのが困難であることを示唆した。

 

修正点

IASBは、会計方針の開示に関する決定を下す際に、重要性の概念を適用することができると結論付けた。したがって、IASBは、IAS第1号を修正し、「重要な会計方針」という用語のすべての場合について、「重要性のある会計方針の情報(material accounting policy information)」に置き換えることを決定した。IASBの見解では、企業の財務諸表に含まれている他の情報と合わせて考えた場合に、一般目的財務諸表の主要な利用者が当該財務諸表に基づいて行う意思決定に影響を与えると合理的に予想し得るならば、会計方針の情報は重要性がある。

IAS第1号の補足する項も、重要性のない取引、他の事象又は状況に関連する会計方針の情報は重要性がなく、開示する必要がないことを明確にするために修正されている。金額に重要性がない場合であっても、関連する取引、他の事象又は状況の性質により、会計方針の情報に重要性がある可能性がある。しかし、重要性のある取引、他の事象又は状況に関連するすべての会計方針の情報は、それ自体に重要性があるわけではない。

例えば、標準化された情報又はIFRS基準の要求事項を繰り返す又は要約するのみの情報は、財務諸表の利用者にとってあまり有用ではない。

改訂基準は、企業が重要性のある会計方針の情報をどのように識別するかについて説明している。このような情報は、企業の財務諸表の利用者が財務諸表の他の重要性のある情報を理解するために必要である場合に、重要性があると見込まれる。

例えば、ある会計方針が重要性がある取引、その他の事象又は状況に関連していて、かつ、以下のようなものである場合には、企業は、会計方針の情報が財務諸表に対して重要性があると考える可能性が高い。

  • 期間中に変更された。
  • IFRS基準により認められている代替的選択肢から選択された。
  • 具体的に当てはまるIFRS基準がない場合に、IAS第8号に従って策定された。
  • 企業が重要な判断又は仮定を行うことを要求されている領域に関連している。
  • 複雑な会計に関連し、企業の財務諸表の利用者が、他の方法では、関連する取引、他の事象又は状態を理解できない
見解

1名の理事が、本修正の公表に反対票を投じた。反対理事は、標準化又はIFRS基準の要求事項を繰り返した情報を含む会計方針の情報が、基礎となる会計処理が複雑な場合には重要性がある可能性があるという含意に同意しなかった。反対理事の見解では、複雑性の概念は非常に主観的であり、要求事項のための堅牢な基礎を構成するものではない。これにより、必要以上に多くの情報が開示される可能性がある。反対意見の中で、その反対理事は、IFRS基準から文言を繰り返すことは、その定義を延々と引き伸ばさなければ「重要性がある」の定義を満たすことができないと述べた。

 

本修正を支援するために、IASBはまた、会計方針に関する情報が財務諸表に対して重要性があるかどうかを、どのように企業が判断するか説明するためにIFRS実務記述書第2号も修正する。特に、IASBは、会計方針の開示に「4段階の重要性プロセス」を適用する企業を支援するために、実務記述書にガイダンスと例を追加する。

 

発効日及び経過措置

本修正は、2023年1月1日以後に開始する事業年度に発効し、早期適用が認められ、将来に向かって適用される。

IFRS実務記述書第2号の修正については、IASBは、重要性がある会計方針の情報の定義の適用に関する強制力のないガイダンスであるため、経過措置及び発効日は不要であると結論づけた。

以上

484KB, PDF ※PDFダウンロード時には「本記事に関する留意事項」をご確認ください。

本記事に関する留意事項

本記事は皆様への情報提供として一般的な情報を掲載するのみであり、その性質上、特定の個人や事業体に具体的に適用される個別の事情に対応するものではありません。また、本記事の作成または発行後に、関連する制度その他の適用の前提となる状況について、変動を生じる可能性もあります。個別の事案に適用するためには、当該時点で有効とされる内容により結論等を異にする可能性があることをご留意いただき、本記事の記載のみに依拠して意思決定・行動をされることなく、適用に関する具体的事案をもとに適切な専門家にご相談ください。

お役に立ちましたか?