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IASBは、会計上の見積りの定義を明確化するためにIAS第8号を修正
IFRS in Focus|月刊誌『会計情報』2021年5月号
注:本資料はDeloitteのIFRS Global Officeが作成し、有限責任監査法人トーマツが翻訳したものです。この日本語版は、読者のご理解の参考までに作成したものであり、原文については英語版ニュースレターをご参照下さい。
トーマツIFRSセンター・オブ・エクセレンス
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背景
IFRS解釈指針委員会は、会計方針と会計上の見積りを区別する際に、企業が直面する困難についてIASBに情報を伝えた。会計方針の変更は遡及的に適用しなければならないのに対し、会計上の見積りの変更は将来に向かって会計処理することが要求されるため、この区別は重要である。
本修正の前、IAS第8号には、会計方針の定義及び会計上の見積りの変更の定義が含まれていた。ある項目(会計方針)の定義と別の項目の変更(会計上の見積りの変更)の定義の組合せにより、両方の項目の区別が不明確になっている。区別をより明確にするために、IASBは、会計上の見積りの変更の定義を会計上の見積りの定義に置き換えることを決定した。
修正点
IASBは、会計上の見積りを「財務諸表上の貨幣金額のうち測定の不確実性に晒されているもの」として定義するようIAS第8号を修正する。会計方針が、財務諸表における項目を測定の不確実性が含まれるような方法で測定することを要求する場合がある。すなわち、会計方針が、直接的に観察可能ではなく、見積りを行わなければならない貨幣金額で測定することを要求する場合がある。このような場合、会計方針で定められた目的を達成するために会計上の見積りを行う。会計上の見積りを行うためには、最新の入手可能な信頼性のある情報に基づく判断又は仮定の使用が含まれる。
見解改訂基準には、会計上の見積りの例として、以下の項目が列挙されている。
会計上の見積りを行う際に、企業は、見積技法(例えば、予想信用損失に対する損失引当金を見積もる)及び/又は評価技法(例えば、資産又は負債の公正価値を測定する)を使用する。 |
会計上の見積りの変更の定義が削除された。しかし、IASBは、以下の明確化により、基準における会計上の見積りの変更の概念を維持した。
- 新たな情報又は新たな進展から生じる会計上の見積りの変更は、誤謬の訂正ではないことを明確化している。
- 会計上の見積りを行うために使用するインプット又は測定技法の変更の影響は、過年度の誤謬の訂正から生じるものではない場合には、会計上の見積りの変更である。
設例を提供することで、企業が修正を理解し、適用するのに役立つという利害関係者からのフィードバックに基づいて、IASBは、基準に付属するIAS第8号の適用ガイダンスに2つの設例(設例4と5)を追加した。一方、IASBは、本修正に照らして混乱を招く可能性がある1つの設例(設例3)を削除することを決定した。
発効日及び経過措置
本修正は、2023年1月1日以後に開始する事業年度に、当該期間の期首以後に生じる会計方針の変更及び会計上の見積りの変更に対して発効する。早期適用は認められる。
以上
本記事に関する留意事項
本記事は皆様への情報提供として一般的な情報を掲載するのみであり、その性質上、特定の個人や事業体に具体的に適用される個別の事情に対応するものではありません。また、本記事の作成または発行後に、関連する制度その他の適用の前提となる状況について、変動を生じる可能性もあります。個別の事案に適用するためには、当該時点で有効とされる内容により結論等を異にする可能性があることをご留意いただき、本記事の記載のみに依拠して意思決定・行動をされることなく、適用に関する具体的事案をもとに適切な専門家にご相談ください。