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JICPA:会計制度委員会報告第4号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」、同7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」、同9号「持分法会計に関する実務指針」、同14号「金融商品会計に関する実務指針」及び金融商品会計に関するQ&Aの改正について(公開草案)

月刊誌『会計情報』2022年5月号

『会計情報』編集部

日本公認会計士協会(会計制度委員会)では、企業会計基準委員会(ASBJ)から2022年3月30日に公表された企業会計基準公開草案第71号(企業会計基準第27号の改正案)「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(案)」、企業会計基準公開草案第72号(企業会計基準第25号の改正案)「包括利益の表示に関する会計基準(案)」及び企業会計基準適用指針公開草案第72号(企業会計基準適用指針第28号の改正案)「税効果会計に係る会計基準の適用指針(案)」(以下、これらを合わせて「法人税等会計基準改正案等」という。)に対応するため、会計制度委員会報告第4号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」、同7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」、同9号「持分法会計に関する実務指針」、同14号「金融商品会計に関する実務指針」及び金融商品会計に関するQ&A(以下、これらを合わせて「外貨建取引等実務指針等」という。)について見直しを行った。今般、一通りの検討を終えたため、公開草案として公表し、広く意見を求めることとしたとされている。

1. 改正の背景

ASBJにおいて、税金費用の計上区分(その他の包括利益に対する課税)及びグループ法人税制が適用される場合の子会社株式等の売却に係る税効果の取扱いに関して検討がなされ、法人税等会計基準改正案等が公表された。これに伴い、外貨建取引等実務指針等についても改正する必要が生じたため、ASBJからJICPAに対し、外貨建取引等実務指針等の改正の検討の依頼があった。

本公開草案は、JICPAによる検討の結果、外貨建取引等実務指針等の改正を行うものであるとされている。

2. 改正内容

外貨建取引等実務指針等の主な改正内容は、以下のとおり。

(1)税金費用の計上区分(その他の包括利益に対する課税)に関する取扱い

法人税等会計基準改正案等では、税金費用の計上区分(その他の包括利益に対する課税)について、当事業年度の所得に対する法人税、住民税及び事業税等を、その発生源泉となる取引等に応じて、損益(税引前当期純利益から控除)、株主資本及びその他の包括利益の各区分に計上する案が示された。そのため、株主資本及びその他の包括利益の各項目(評価差額及び繰延ヘッジ損益等)について、従来、繰延税金資産又は繰延税金負債に対応する額を控除した金額を計上することとしていたが、これに加えて、各項目に対して課税された法人税等の額についても控除した金額を計上することとしたとされている。

(2)グループ法人税制が適用される場合の子会社株式等の売却に係る税効果の取扱い

法人税等会計基準改正案等では、グループ法人税制が適用される場合の子会社株式等の売却に係る税効果の取扱いについて、連結財務諸表上のみ、売却時に税金費用を計上しないようにする案が示された。そのため、持分法適用会社における留保利益、のれんの償却額、負ののれんの処理額及び欠損金について、税務上の要件を満たし、課税所得計算において売却損益を繰り延べる場合(法人税法第61条の11)に該当する当該持分法適用会社の株式売却の意思決定を行った場合には、税効果を認識しないようにしたとされている。

【参考】ASBJより公表されている法人税等会計基準改正案等は、ASBJのウェブサイトをご参照ください。

なお、コメント期限は2022年6月8日(水)までとされている。

詳細については、JICPAのウェブページ(https://jicpa.or.jp/specialized_field/20220330ruy.html)を参照いただきたい。

以 上

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