IASB、セール・アンド・リースバックから生じるリース負債に対する事後測定の要求事項を追加するようIFRS第16号「リース」を修正 ブックマークが追加されました
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IASB、セール・アンド・リースバックから生じるリース負債に対する事後測定の要求事項を追加するようIFRS第16号「リース」を修正
月刊誌『会計情報』2022年12月号
注:本資料はDeloitteの IFRS Global Officeが作成し、有限責任監査法人トーマツが翻訳したものです。この日本語版は、読者のご理解の参考までに作成したものであり、原文については英語版ニュースレターをご参照下さい。
トーマツIFRSセンター・オブ・エクセレンス
本iGAAP in Focusは、2022年9月に国際会計基準審議会(IASB)によって公表された「セール・アンド・リースバックにおけるリース負債」というタイトルのIFRS第16号「リース」の修正について解説するものである。
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背景
IFRS解釈指針委員会は、指数又はレートに応じて決まらない変動リース料であるセール・アンド・リースバック取引に対するIFRS第16号の適用に関する要望書を受領した。本論点の議論後、IFRS解釈指針委員会は、どのようにセール・アンド・リースバック取引から生じるリース負債にIFRS第16号における事後測定の要求事項を適用しなければならないかを明確化するようIFRS第16号を修正することに便益があるであろうという結論に至った。IASBは、当該提言に従い、IFRS第16号の修正を公表した。
本修正
本修正は、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の要求事項を満たし売却として会計処理されるセール・アンド・リースバック取引に対する事後測定の要求事項を追加する。
本修正は、売手である借手が、開始日より後、売手である借手により保持している使用権に関連する利得又は損失の金額を認識しないように、「リース料」又は「改訂後のリース料」を決定することを要求する。本修正は、リースの部分的又は完全な終了に関連する、売手である借手により認識される利得又は損失には影響しない。
これらの新しい要求事項なしに、売手である借手は、IFRS第16号の一般的な要求事項を適用し、リース負債の再測定のためのみにより(例えば、リースの条件変更又はリース期間の変更の後)、保持している使用権についての利得を認識する場合がある。これは、指数又はレートに応じて決まらない変動リース料を含むリースバックの場合に特に当てはまる。
見解 公開草案ED/2020/4「セール・アンド・リースバックにおけるリース負債」は、売手である借手が、開始日現在の予想されるリース料の現在価値を使用してリースバックから生じる使用権資産及びリース負債を当初測定することを提案した。回答者は、当該提案に関する概念的及び実務上の懸念を提起した。したがって、IASBは、リースバックから生じるリース負債に対する具体的な測定の要求事項を定めないことを決定した。 |
本修正の一環として、IASBは、IFRS第16号の設例1つを修正し、指数又はレートに応じて決まらない変動リース料であるセール・アンド・リースバック取引についての使用権資産及びリース負債の事後測定を例示する新しい設例1つを追加した。これらの設例は、IFRS第15号を適用して売却として適格であるセール・アンド・リースバック取引から生じる負債が、リース負債であることも明確化している。
発効日及び経過措置
本修正は、2024年1月1日以後開始する事業年度に発効する。早期適用は認められる。売手である借手が、本修正を早期適用する場合、その旨を開示することが要求される。
売手である借手は、IFRS第16号の適用開始日、それは企業が最初にIFRS第16号を適用した事業年度の期首と定義されるが、当該日以後締結されたセール・アンド・リースバック取引に対して、本修正をIAS第8号に従って遡及的に適用する。
以 上
本記事に関する留意事項
本記事は皆様への情報提供として一般的な情報を掲載するのみであり、その性質上、特定の個人や事業体に具体的に適用される個別の事情に対応するものではありません。また、本記事の作成または発行後に、関連する制度その他の適用の前提となる状況について、変動を生じる可能性もあります。個別の事案に適用するためには、当該時点で有効とされる内容により結論等を異にする可能性があることをご留意いただき、本記事の記載のみに依拠して意思決定・行動をされることなく、適用に関する具体的事案をもとに適切な専門家にご相談ください。