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CHRO Summit開催報告

第1回CHRO Summitでは「企業横断の人材エコシステム」の必要性や実現に向けた課題について、第2回目は、各社でのWell-beingに関する取り組みや課題の共有、更なるWell-being実現に向けて企業連携で取り組める可能性について討議しました。

第1回CHRO Summitを開催

企業横断での人材エコシステムの可能性を考える


CHROプログラムの最初のアクティビティとして、第1回CHRO Summitを開催しました。本Summitでは、外部環境の激しい変化や社内の人材の多様化にも耐えうる「企業横断の人材エコシステム」の必要性や実現に向けた課題についてCHROの皆様と討議しました。
 

サマリー

"企業の成長を促す「人材エコシステム」とは

COVID-19の感染拡大やデジタル化の加速など、企業を取り巻く外部環境の目まぐるしい変化に加え、昨今では働く人々の属性や意識も急速に多様化しています。そんな中、人材の需給のマッチングを個社内で行うことが難しくなっており、例えばDX人材の確保、シニアの活用など、人材課題が顕著にあらわれるようになりました。

企業横断の人材エコシステムとは、この人材課題に対応するため、人材と職場のマッチングをグループ外、又は社外に広げ、企業横断、ひいては市場全体で最適配置を目指すという考えです。例えばDX人材の確保に対しては、バリューチェーン全体に亘るDXコンソーシアムを組成し、その中で人材を相互に交流・研鑽・育成するようなプラットフォームを構築することで解決を目指すことができます。また、シニアの活用に対しては、プラットフォーム上での各社シニア人材のリスキル・アスピレーションの再構築や、社外でこれまでに培ったスキルを活用できるよう新しい職場との雇用マッチングなどが考えられます。
ただし、企業横断での人材の異動・配置にあたっては課題も多く、自社内にこもりがちな社員のマインドセットの変革や、各人材が持つスキルや経験を社外でも評価できるような互換性の高い職務・スキル定義やジョブディスクリプション(JD)などの仕組みが必要です。国内外でもすでに複数取り組みが始まっていますが、企業の多様なニーズに全て応え得る取り組みは未だありません。

なお、2021年度には本テーマについて調査レポートも発行していますので、ぜひご参照ください。


CHRO Summitでのご参加者のご意見

まずは企業横断の人材エコシステムの必要性について議論を行い、満場一致で「必要」というご意見をいただきました。個社で起こっている人材課題が、すでに自社内の打ち手だけでは解決できないという現状が反映された結果です。

加えて、人材エコシステムにどのような役割を期待するか?という質問については、海外や新規事業の経験を積ませ若手を育てる「育成機会の創出」や、シニア人材がこれまでに培ってきたスキルを社外でも活用できるような「新たな活躍の場の提供」が目立ちました。

とはいえ、その実現に向けては課題が多く、例えば優秀な人材を囲い込む組織文化や、社員間での処遇やキャリアの差を嫌う意識、実際にマッチングを行ってもうまく職場になじめない(社外人材に対して排他的な文化がある)等の具体的なご意見も寄せられました。これらのことから、需給のマッチングを行うことだけに留まらない多様な要素を持った人材エコシステムの構築の必要性が改めて強調された形となりました。

企業横断での人材異動・配置に向けた課題は多く、どれも解決が難しい根深い問題ですが、急速に変わりゆく外部環境に対応していくためには、それらの課題を打破したうえで早急な人材エコシステムの構築が必要です。ESGなどの社会的企業価値の向上、また同時に企業の経済的成長に向けて、今後も引き続きあるべき人材エコシステムについて検討をしていく予定です。

第2回CHRO Summitを開催

日本企業における今後のWell-beingの発展を考える


第2回CHRO Summitを開催しました。本Summitでは、「社員のWell-being/Happinessを高める人材・組織のあり方」として、各社でのWell-beingに関する取り組みや課題の共有、また更なるWell-being実現に向けて企業連携で取り組める可能性について、CHROの皆様と議論を交わしました。
 

サマリー

日本企業における「Well-being」の重要性

健康経営、ワークライフバランスなどという言葉に代表されるように、昨今従業員の「Well-being」についての関心がますます高まっています。
実際のデータでも企業におけるWell-beingの重要性は示されており、Well-beingが社員の幸福度だけでなく、生産性や創造性*¹、離職率*²や欠勤率*³、ひいては企業の時価総額まで影響することが分かってきています*⁴。また、人的資本情報開示の国際規格であるISO30414にもWell-being関連の指標が組み込まれ、市場や投資家の目線からもWell-beingの可視化・充足が求められています。

しかし日本市場においては、労働者の幸福度、つまりWell-beingがグローバルと比較して低い状態です。従業員のWell-beingと生産性は相関関係にあるとする研究論文も多数発表されており、実際に日本においては労働生産性が低く*⁵、従業員の”熱意“もグローバルに比較して低い水準に留まっています*⁶。

日本企業の経営者や人事担当者はWell-beingの重要性を認識してはいるものの、数多ある経営アジェンダの中では短期的な事業の拡大・成長に関する施策に比べて優先度が低くなりがちで、十分に施策を実施できているとは言えない状況です*⁷。

デロイトトーマツグループでは、このWell-beingの重要性をまずは個社の中で十分浸透させ、更にそこから日本市場全体に意識を広げていくことで、日本企業におけるWell-beingを実現し、また、日本企業の持続的な成長が可能になるのではないかと考えています。そこで、第2回CHRO Summitでは、このWell-beingの状況について企業横断で情報共有を行うとともに、今後、企業横断でどのようなイノベーションを起こせる可能があるか?について議論を行いました。


Well-beingに対するご参加者のご意見

各社での現在の取り組み状況に関して、「支援的な労働環境」を整えるための健康経営・DEI促進・働きやすさ向上といった狭義のWell-being施策は、多かれ少なかれほぼ全ての参加企業で行われているものの、働きがい向上や自立促進といった広義の施策については、その実施状況にばらつきがありました。

ただし、企業の成長に必要なイノベーションの創造や自立的な人材の育成の為には、今後広義の施策を打ち出していくことも重要だという認識はほぼすべて参加者間で共有されました。そしてその推進においては、誰に・どのように語り掛けるかという”ストーリー”が重要であり、例えば、現状目の前の経済的な成長のための課題が手一杯ある状態でも、企業の社会的使命や人材の成長、健康・安全のためのWell-beingというストーリーで語ることができれば、経営側からも従業員側からも、もっと受け入れられやすくなるのでは?という意見も挙がりました。

では、実際に企業間ではどのような連携が可能か?に対しては、第1回CHRO Summitで言及された人材エコシステムの構築や相互協力での効果的なWell-being施策の策定の2つの案が挙げられました。前者では従業員のキャリアの選択肢を広げつつ、地域・社会のWell-beingを高めることができる、また、後者では各企業がこれまでに積み上げてきているノウハウを共有・比較しあうことで更なる進化の可能性があると示唆されました。

 

《参考文献》

*1 Sonja Lyubomirsky, Laura King, Ed Diener “The Benefits of Frequent Positive Affect: Does Happiness Lead to Success?”
*2 Donovan, 2000 “Personality and job performance: the Big Five revisited.”(personality_and_job_performance-with-cover-page-v2.pdf (d1wqtxts1xzle7.cloudfront.net))
*3 George, 1989 “Social support and the outcome of major depression” (1989-Social-support-and-the-outcome-of-major-depression-George-et-al.pdf (grupoact.com.ar))
*4 経済産業省 商務情報政策局 ヘルスケア産業課 “企業の「健康経営」ガイドブック ~連携・協働による健康づくりのススメ~ (改訂第1版)”
*5 岩崎敬子(2020)「幸福度が高まると労働者の生産性は上がるのか? 大規模実験を用いた因果関係の検証:プログレスレポート」 (2021_basicpolicies_ja.pdf (cao.go.jp))
*6 Gallup “State of the Global Workplace 2017”
*7 デロイト グローバル・ヒューマン・キャピタル・トレンド(2020, 2021)

CHROプログラムとは

CHROプログラムは、国際社会や投資家の要請、社会の変化を受けて、今後の日本企業の持続的な価値向上のため、これからの未来における人・組織の”あり方”について考える場として日本において開始したプログラムです。

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